あと少しで中国が終わります
一晩中風は止まなかった。
ものすごい風でテントが歪んでいたのは知っていたが、朝起きると支柱の一か所が裂けるように折れてしまっていた。
かろうじてテントの形は留めているが、この先これでは使い物になりそうもない・・・。この2ヶ月間、随分酷使したので仕方無いかな。いくつか問題もあったのでこれを機会に買い替えるか・・・な。
テントを支える2本の支柱。恐るべし自然の力。
強風と共に砂がテントの中まで運ばれてくる。
それにしても昨日の続きで追い風だ!しかも風速15m/s!普通に漕いでも時速40kmになる。気合いを入れると時速60km。
相変わらずの砂漠地帯だが、それでも少しずつ民家が見え始めた。ハミ市に近付いている証拠だ。
気分よく進んでいたのだが、午後になると風は横風に変わってしまった。ボーナスステージ終了・・だ。
しかし毎度のことだが今夜はシャワーを浴びられるかと思うと、風も苦にならない。
ブドウ畑を横目に見ながらハミ市を目指す。
途中ですれ違ったイギリス人二人。彼らは向かい風の中を進む。昨日は35kmしか進めなかったそうだ。
立ち寄った食堂。トラック野郎達は賑やかで明るい!見事な腹まわり・・・だ。
午後から風向きが変わってしまい・・・。
ハミ市まであと30km地点。葡萄畑が広がる。
17:00頃にハミ市に到着。緑が多く今までのどの都市よりも爽やかな町。町自体は大きくないがとにかく綺麗だ。
中心地まで走り旅館を探す。皆が勧める方向に向かうと、ある道を境に雰囲気が変わった。そこは中国ではなくイスラムの町の風景だった。言葉も文字も全部。そこにいる人たちも中国語は第二言語だ。
女性は全員「ヒジャブ」で頭を隠す。
因みに良くテレビで見る黒い服装は「アバヤ」という。
無事に旅館(というよりもホテル!)に入り、お決まりのシャワー♪ いつもい以上に砂が足もとに溜まっていた。そしてお決まりの洗濯タイム。これまた見事なドロ・・・。5度洗いでようやく透明な水になるほどだった。
サッパリすると今度は腹が減る。すぐに夕暮れの町に出て屋台を探す。この町では普通の中華料理よりも、新疆料理が多いらしい。ブラブラ歩きながら屋台を探した。 いくつかある屋台の中で、穏やかそうなイスラムおじさんのいる店に決めて席に着く。
屋台の趣もいつもと異なる
炒め御飯と羊肉の串焼きを2本頼んだ。辺りは週末の賑わい。賑やかに食事をしている風景が見える。
こう言う時ふと寂しくなることがある。 一人でいる事は苦ではないのだが、なんとなく胸の奥がギューとしてくる。
出来た食事に驚いた。これほど美味い炒め御飯はいつ以来だ?そして羊肉!これが羊肉か?と思わずマスターに確認するほどジューシーで臭みがなく、柔らかいのだ。噂には聞いていたが、西に来るほどこれほどまでに羊肉が美味いとは思わなかった。久しぶりに食事に感動した。
涙が出るほど美味い!これが羊肉とは・・・。
帰り道でブドウと桃を買ってホテルに戻る。帰った途端、睡魔に襲われた。
3日間で400km強。未舗装路が約100kmあったのでなかなかシンドイ区間だった。しかもあまり良く眠れなかったし。
さぁ、次はトルファン!かな?
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トラックの音で熟睡できず
312号線と言うのは、中国で最長の国道だ。上海を起点にして中国最西端まで続いている重要な国道。しかもこの周辺にはこの国道以外に走る道はないので、交通量が増えるのは確かだ。と、言ってもトレーラー以外は殆ど見かけないだが。
砂漠の上のテントは快適、、、だったがここはまだ標高1800m。さすがに明け方は冷え込んだ。加えてトラックの音。
結局日の出前(この地域の日の出は7時過ぎ)に起きて8時には出発した。
テントで生活していると、朝日を見るのが楽しみになる。
5kmほど走ると舗装がなくなり、砂利道となる。そこをトレーラーが行きかうのだから砂埃で大変な事になる。
これでも国道です。口の中までジャリジャリ・・・。
更に5kmほど進むと随分先まで見渡せる場所に来た。そこから見えた景色は・・・・・地平線の向こうまで続くトレーラーの列!
いったい何千台・・・いや、何万台なのだろうか?とにかく道路がトレーラーで埋め尽くされているのだ。
まさかこの渋滞がこの先120kmも続くなどとは思わなかった。
お陰で終日トレーラーの運転手たちに、大いに応援をしてもらい、更には強烈な横風をトレーラーで遮ってもらえた。
ようやく渋滞を抜けたのは夕方になってから。食堂で止まっていた運転手に聞いてみたら、なんとここまで4日かかったそうだ!自転車で9時間の道を彼らは4日! 因みにこの食堂、渋滞のせいで食料が届かず、食べるものは何もない。みんなカップラーメンを食べていた。
4日ぶりの「風呂」らしい。
ここから先は、建築中の高速道路を走る事になった。トレーラーは走る事が出来ないが自転車はOK!
追い風+下り坂で、ガンガン進む!
ふとメーターを見るとなんと150km走っているではないか!日も暮れてきたし、テントサイトを探すがこの強風を遮る場所がどうしても見つからない。更に20kmほど進むがそれでも見つからない。ついには諦めて大平原の中でテントを張ることにした。
強風でテントを張るだけでも一仕事。テントを張ってはみたものの、風のせいでテントはひしゃげてしまっている。体を壁にもたらせるようにして座らないと、テントの中の空間が確保できないくらいだ。
凄まじい風の音ではあったが、流石に170kmの疲れもあって、グッスリと寝てしまった。。。
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とにかく真っすぐ。ひたすら真っ直ぐ。道は陽炎の中に消えている。
敦煌の市街はに葡萄畑が広がる。もともとは「綿」の栽培が行われていたというが、観光地化が進むにつれて地下水の消費量が増え、より少ない水で栽培できる「ブドウ」に変化したそうだ。気候も味方したと言えるが、皮肉と言えば皮肉だ。
この葡萄畑は当たり前だがブドウの香りで包まれている。乾いた空気の中で爽やかに漂う。何とも気持ちがいい。
なぁんて、爽やかな気持ちに浸っていたのは1時間ほど。 再び砂漠地帯に突入だ。遮るものは何もなく、凶暴な横風で自転車が揺すられる。風の音で頭の中がガンガンしてくるし、風と共に砂漠の砂が運ばれてくるので口の中がジャリジャリになる。照りつける太陽はジリジリと皮膚を焦がす。その横を大型トレーラーが砂埃を上げて猛スピードで駆け抜けるのだ。
ノロノロ進む
半日以上走り小さな村に着いた。「西湖」だ。村と言うか「出荷場所」のような場所だ。道路沿いには三輪バイクが止まり、畑から採ってきたであろう山積みのメロンを、大型トレーラーに積み込んでいる。道路脇には商品にならないメロンが捨てられ、その香りが風に乗って広がっている。葡萄の次はメロンだ。
西湖近くの路上売店。後ろに広がるのはメロンを干したもの(ドライフルーツね)
食堂を探すが見つからない。キョロキョロしているとおじさんが一人メロン片手に近付いてきた。「兄ぃちゃん!このメロンあげるよ!」と。 そのメロンは普通のメロンを縦に引き伸ばしたようなカタチで、長い部分でゆうに40cmはある。短い部分で25cmくらいだろうか。僕の頭よりも遙かに大きい。 「このメロン、裂けてしまって売り物にならない。捨てるんだれど見た目を気にしなければ食べられるし、おいしいぜ!」と、半ば強引に手渡されてしまった。
・・・・重っ!3kg?いや5kgはあるだろうか。ズシッとしたメロンを手にしたものの、とても自転車に載せられない。
よし、今日のランチはこのメロンとしよう!
亀裂が入り売れないメロン♪
売店のベンチに座り、裂け目に沿ってナイフを入れると、「パキッ」と言う音とともに勝手に2つに割れた。完熟している。
中は薄いオレンジ色で、強烈な香りを発している。
食べながらメロンを出荷する農家の人たちを観察していた。畑からここに届いたメロンは、ここで分類されている。大きさ・色・形で3種類に分類される。それを大きな秤で重さを量り、メロンにネットを掛け箱詰めする。これをひたすら繰り返す。見る見るうちにメロンの山が築かれていく。
そんな作業を見ながら30分ほどかけて半分を食べたが、お腹いっぱい!とても残り半分は食べられない。隣のベンチに座っていたおじいさんに「よければどうぞ?」と差し出してみたが、「毎日3個食べてるから要らないよ」とニッコリ断れれた。そりゃぁそうだ。文字通り”捨てるほど”あるのだから。
ナイフでザクザク食べる!美味い!
再び漕ぎ出すが、ここから60kmの一直線の上り坂。上り坂と言っても平坦路と同じくらい緩々と上る。坂は問題ないのだが、とにかく風がスゴイ。風速を計って見ようと思って、ちょっと実験してみた。結果、凡そだが風速15m/s以上だ。風速15m/sというと、「強風」あるいは「疾強風」と呼ばれ、風に向かって歩く事が出来ない程の強風だ。
うぅぅぅ・・・。3分走って5分休憩を繰り返すが、最後は黙々と押して歩いた。
19:00にようやく目的地に到着。「柳園」だ。ここは、今まで走ってきた215号と懐かしの312号が交差するところ。トレーラーが何百台と止まっている一大ターミナルだ。ここで夕食。
敦煌辺りから麺の作り方・味が変わってきた。日本のラーメンにかなり近くてシコシコ!
ここから312号を西に向かうのだが、今日一日吹いていた風が、今度は追い風になるのだ!
ご飯を食べてからテントを張る場所を求めて少し走ってみたら・・・・進む進む!もう漕がなくても進む!あたりはすっかり暗くなっていたが、あまりにも快適だったので1時間ほど走ってからテントを張った。
今日はよく頑張った!砂漠地帯に沈む夕日
見渡す限り何もない砂漠の中。砂漠の上のテントは、太陽の熱を十分に吸収していて心地よい。
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この小さな観光都市敦煌に一週間も滞在した
過ごしやすかったなぁ・・・。一年間の1/3が観光シーズン。それ以外はほとんど観光客は来ないそうだ。
一番良い時期に滞在できたのはラッキーだったかな。 あんまり出歩けなかったけれど、町の雰囲気は良く分った。
さぁて!明日から敦煌→ハミ(クルム)→トルファン→ウルムチと駆け抜けます!
5年前に知り合ったウルムチの友人(現在、京都に留学中)と連絡を取り、ウルムチで何かイベントをやろうという事に決定!
およそ2週間後にはウルムチに到着です。また新しい友達ができるかな・・。今から楽しみです!
しっかし、、、暑いだろうなぁ・・・。
頑張りMAX!