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深津ちゃん応援ブログ

深津絵里さんの非公式ファンサイトです。

映画『寄生獣』の原作からの変更点に関する考察(一部ネタバレあり)

2014-11-02 23:12:55 | 深津絵里(映画)

映画『寄生獣』、本当におもしろかったです! 早く完結編が観たい!

原作と同じセリフが出てきて、パラサイトのバトルが目の前で繰り広げられます。原作からの変更点はあっても、コンパクトにまとまっていて、原作ファンも楽しめると思いますよ。グロ描写あり、PG12の限界に挑んでいる感じなので、グロまったくダメな人は無理かも。(※三池監督ほどは血しぶきすごくないです。)

血は流れますし、首が飛んだり、体が切れたりしますが、多少は配慮されている気がするので、グロがまったくダメというのでなければ、大丈夫だと思います。予告編で無理という人は、やめたほうがいいです。

私は配慮だと思ったのは、死体の多いシーンでは画面を暗くするとか、断面をすっきり見せるとか。断面で内臓や骨の描写を控えめにしています…。これは内臓とか出しちゃうと、スプラッタ大好きな人はいいですが、大多数の人は嫌悪感をもつからじゃないかと。あとはレーティングを気にしてのことだと思います。でも、もともと虚構の話だから、そういう細かいところのリアリティはなくてもいいんじゃないかなと思います。

まだまだこれから試写会ということで、ネタバレしすぎはよくないのですが、ニュース記事にはない視点で、映画『寄生獣』について書きたいと思います。

原作ファンが気になる、原作からの変更点についてです。私も原作大好きですが、ある程度必然性のある変更点で、映画として「あり」だな~、と思います。一部、「なんで?」と思うところもないわけではないですが。

◆漫画作品の実写映画化に対する考え方(ネタバレなし)

具体的な変更点について書く前に、漫画作品の実写映画化に対する考え方を書きます。あくまで私の個人的意見です。

原作は完成された作品で、素晴らしいから変えるのはよくない、という考えはありますし、そういう人の気持ちもわかりますが・・・。

・映像表現の限界(時間、VFX技術等)

・漫画まったくそのままを映像化するだけでいいのだろうか?(ストーリーが読めてしまう)

・漫画と映像の表現の違い(コマでの表現、カラーかつ動画としての表現)

以上を考慮すると、やはりまったく同じにするのは得策でないし、する必要もないのでは?と思います。

漫画とまったく同じ話を実写で観ても、楽しくないですよね? でも、原作のエッセンス(キーとなる台詞)、原作に近い映像イメージを採用し、原作で表現したいと思われる意図を尊重していけば、おのずと原作に近い作品になると思います。

まあ、私も、アニメの『寄生獣 セイの格率』では、「なんで新一がメガネなんだ!」と文句を言っているクチですが。いや、アニメとしての表現はいいですし、楽しんでみていますよ。それでも、いくつか納得のいかない改変はあります。

なんでそうなるのかというと、必然性が低く、原作イメージと大きく離れてしまう改変は、ファンも納得いかないんですよ。たぶん。

でも、許容できるハードルは個々で異なるので、原作ファン全員が許容できるような変更レベル、というのはないと思います。

その点、映画『寄生獣』は、原作のイメージを大事にしつつ、うまくエピソードを再構成し、限られた時間の中で、テーマを明確にしていると思います。もちろん、いくつか重要な設定の変更はありますが、話の流れで、私は許容できました。

次の項では、映画『寄生獣』の具体的な変更点について、考察を加えたいと思います。

◆映画『寄生獣』の、漫画原作からの変更点(ネタバレあり)~「母親」というもう一つのテーマにスポットを当てるため?~

山崎貴監督は雑誌のインタビューで、この映画のテーマについて、「新一の成長」以外に、「母親」が重要なテーマであると話しています。

「母親」というテーマを明確にするため、以下の点で原作から変更が加えられています(たぶん)。

・新一には母親しかいない設定(母親が女手一つで育てた)

・新一と母パラサイトとの対決・決着の仕方

・田宮の妊娠が発覚した際、田宮の自宅に両親が来た(原作では母親のみ)

今回の変更の大きなヒントとなるのが、映画『寄生獣』の完成披露会見のコメントです。

橋本愛さん、深津絵里さんらが挨拶 映画「寄生獣」記者会見 2014 10 30 (日仏共同テレビ局フランス)

http://www.youtube.com/watch?v=eEEnPmoDOeA

母性の描写に関するコメントが39:30頃~あります。

深津さん、まだ映画『寄生獣』の田宮役を引き受けるかどうか決まっていない時期に、山崎監督と話し合いをもったそうです。原作を読んだうえで、深津さんは、なぜ田宮が妊娠したいと思ったのか?脳は食べられても脊椎は残っているので、そこに人間としての記憶が残っているのでは?と思ったそうです。そのことを山崎監督に話すと、山崎監督は「なるほど~」と思い、シナリオに落とし込んだそうです。それが、新一と母親の対決にも反映されていると。

で、これだけ読むと、原作ファンの人は、不満をもつ人がいるかもしれません。「原作では、脳が食べられたら別人で、体に人格はないから、そこに新一の悲劇性があるのだ」と。でも、この記者会見の話をよく聞くと、そういうことではないんですね。

深津さんは、「岩明さんの考えとは違っているかもしれませんが、間違っているかもしれませんが」と前置きしたうえで、どうして彼女はあのような行動にでたのか、考えたかったそうです。

深津さん、さすがだな~、と思ってしまいました。田宮はなぜこのような行動をするのか、考えて役作りしたい、ということですよね。今まで数多くの舞台でワークショップを経て役作りをしてきた、深津さんらしい考え方だと思いました。

実際に脚本に反映させたのは監督です。もちろん原作とは解釈が異なるかもしれませんが、登場人物を減らしていることや、時間の制約があることを考えると、この改変はよい方向に働いていると思いますよ。

だって、映画では宇田さんとかいないし、母親とのバトルで孤立無援の新一は、かわいそうです! 私は、今回の決着シーンで、少し泣けました。

ちなみに、このやり取りをした後、監督は「深津さんに是非お願いしたい」と、しつこいくらいにアプローチしたそうです(笑)。

原作の父親の存在感も大きいし、名台詞もあるんですが、おそらく「母親」というテーマに絞り込むために、片親にしたんだと思いますよ。父親がいると、母親がいなくなることによる悲劇性はそこまで大きくないですからね。その分、原作よりも里美の役割を大きくして、母親代わりに心配するような会話を加えているんだと思います。

次に、田宮と母親の関係についてです。

田宮の妊娠が発覚した際、原作では少しなまった母親(田舎の人?)が来て、田宮と少し会話して「良子じゃない」と気づきます。アニメと原作は同じ展開ですね。

映画ではどうかというと、わりと都会的な、田宮の両親が来ていました。そこで、田宮は一言も発しないんです。きつい目つきでにらんでいます。でも、その目つきを見ただけで、母親は「この子は良子じゃない!」と気づくんですね。父親にしきりに訴えかけますが、父親は気づきません。その瞬間、田宮が…。あとは、想像つきますよね。ちなみに、このときの変形がすごく怖いんですよ。深津さんの右眼が白目になって、バカッといきます。気持ち悪いです。

ここで、あえて両親にしているのは、母親は気づくが、父親は気づかない、という対比で、母親のもつ特殊な力?を明確にするためだと思います。

両親を殺した後、田宮は鏡を見て、しきりに自分の顔を触っているんですよ。「なぜ気づかれた…」と言わんばかりに。漫画やアニメだと「顔も声も似せているのに、なぜ気づかれた…」みたいな独り言を言っていますが、映画では台詞なしです。

山崎監督は説明台詞が多いイメージがありましたが、映画『寄生獣』に関しては、そんな感じではないですね。このシーンなんか、台詞なしで、深津さんの演技力にまかせている感じです。

で、このシーンは、最後の方の田宮の台詞につながってくるんですね。

田宮は最後の方で、「人間の母親には、何か特殊な能力があるのか? それを知りたい」みたいなことを話しています。

前半、怒りにまかせた新一が乗り込んできたときに、「ただの実験」と言い放っていた田宮が、最後の方ではこのように少し心変わりしています。

このように考えるようになったきっかけが、田宮の母親に(一言も発していなかったのに)見破られた、ということなのでは?と思います。

このシナリオは、伏線もきちんと考えられていて、すごいです。

他の変更点もあるんですけど、この記事が長くなってしまったので、いずれまた別の記事で。

ちなみに、登場するパラサイトで、変形が一番気持ち悪く感じられるのは、やっぱり深津さん演じる田宮ではないでしょうか。だって、あんなに綺麗な女性の頭が割れて、グロテスクな触手が飛び出してきちゃうんですよ。急に白目になって顔が崩れて、人間襲った後、何事もなかったかのように人間形態に戻るんです。この人間に戻るというのが、ミソです。東出さん演じる島田は、原型とどめないくらいパラサイト形態になった後、パラサイトのままです。大半のパラサイトはパラサイトのままなので(だいたい新一にやられてしまうし)、人間形態を保持しながら力を発揮しているのは、PART1では深津さん演じる田宮くらいです。だから、なおさら、そのように感じられるんだと思います。ちなみに、田宮は髪の毛だけでも強いし、変形スピードもすごいです(笑)。深津さん、こんなに強い役やっちゃって、すごいわと思いました。

よく漫画でありますよね。見た目小さくて一見すると強く見えないんですが、実はオーラなんかもあってすごく強いキャラクター。田宮はその路線だと思います。

完成披露記者会見で、深津さん「もっと割れろ、と思いました(笑)」と話していますが、すかさず監督から、「PART2ではもっとすごいことになりますよ」と言われていました。たぶん、完結編では、いろいろとすごい深津さんが観られるんじゃないかと…。


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