妖しい亜熱泰

タイと東京、アジアと和の話題など。
出かけたついでに一枚をつづります。

東大寺境内を歩く

2008-07-26 | Weblog
暑い中を歩いて南大門に着いた。東大寺への入口だ。人がいっぱいだ。それ以上に鹿、鹿、鹿が行く手をふさいでいる。どうしても気になってしまう。前を歩いている人が鹿せんべいを持っていると鹿が集まってきて、これは、写真にとておきたいな、と常に思わせてしまうくせものだ。だから、なかなか前に進めない。

大仏殿周辺は、さすがに世界遺産だけあって国内外からの観光客で埋まっていた。しかし、拝観料を払って中に入るとそれほどでもない。実はかなりの人がいるのだが、大仏建立当時から、これだけ大きな大仏を造るのだから、器もそれなりに大きくないと駄目だろうと、すべて大仏サイズに造ったので、相対的にそう思えるだけのような気がする。
盧舎那仏にしても、たいして大きくないなと錯覚してしまうほどだった。脇を固める広目天、多聞天の大きさを確認して改めて比べると、よくもまあ1,300年も前にこんなとてつもない大事業をちっぽけな島国がやってのけたのだろうかと思えるようになった。大仏殿には入れ替わり立ち代わり参拝客やら、観光客らが拝んだり、写真を撮っては出て行くが、堂内を一回りしたあとも、なぜか立ち去りがたい感じがして、外へ出てからも何度も振り返ってしまった。

大仏殿から少し歩くと、驚くほどあたりから人影が消えていた。大仏殿は中央に位置しているので、境内をひととおり見ておこうとすると同じ道を一旦もどるという効率の悪い歩き方になってしまうがやむをえない。東に歩いて、お水取りで有名な二月堂と法華堂(三月堂)に向った。隣りあわせで建っていて、二月堂のほうが人気があるようで、清水の舞台のような坂を参詣客が登っていく。なるほど舞台の上に立つとなかなかの眺望だ。時間があれば、ベンチで小1時間ぼうっとしていたいくらいだ。
法華堂は外見はさりげないが、国宝だ。安置されている仏像も豪華で、中央に不空羂索観音がどっしりと構え、脇に穏やかなお顔の日光菩薩、月光菩薩が配され、その外側に四天王が睨みを聞かせている。まさに天平芸術の宝庫だ。

水分を補給しながら、来た道を戻り再び大仏殿前を通って、今度は西に向う。境内の外に出てしまったのかと思う頃、丘の上の戒壇院に着いた。鑑真大和上所縁の建物だが、現在のは再建されたものだ。三段になった堂内上段の四隅に立つ、四天王像がここのメインだ。小ぶりだが、独特の距離感を保って安置されているのがなんともいえない。同じ像を見たくて何回もぐるぐる回る羽目になってしまう。
堂内ぐるぐる。そして境内もぐるぐる。東大寺は国宝を見て回るだけでも目が回りそうになる。

最後にこれまた国宝に指定されている転害門までぐるっと回って行ったが、門だけが残っているだけで、やや落胆。炎天下のバス通りを歩いて戻る。先ほどまでの興奮が徐々に醒めていく。再び奈良公園に入り、視界に鹿が入ってきたのでほっとする。やがて興福寺の五重塔が見えると、改めて奈良へ来たのだなと実感が湧いてきた。