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妖しい亜熱泰

タイと東京、アジアと和の話題など。
出かけたついでに一枚をつづります。

損保ジャパン東郷青児美術館

2009-03-24 | Weblog
久方ぶりに、ひまわりを見に行った。といっても屋外ではない。ゴッホの絵だ。新宿高層ビル街にある損保ジャパン東郷青児美術館に行けばいつでも見ることができる。

いつ見ても燦然と輝いている。この絵画が落札された当時は、その金額の高さゆえに非難を浴びたこともあったが、おかげで私たちはいつでもこの名画に会うことができるのも事実だ。その両側に、モネとゴーギャンが並んでいるが、ひまわりの圧倒的な存在感の陰に隠れて目立たないのがかわいそうだ。せめて、ゴーギャンの絵が、「アリスカンの並木路」ではなくてタヒチ時代の作品であれば、かなり違っていただろうけど…

ところで、今回の特別展はこの美術館主催による選抜奨励展だった。現代の作家、それも新進、中堅どころまでの人たちの作品なので知っている人はいない。数年前に来たときはほとんど素通りだった。

今回は何点か眼に留まる作品があった。大胆な構図と色使いの「花泥棒」や独自の描法で色を出していた「棚田」などだ。また、最近のアニメブームを反映してか、絵画というよりはイラストあるいはグラフィックデザインに近い系統が出品されていたのが目立った。これらの作品を見て瞬時に思い浮かんだのが「デジカメのプリントみたい」という言葉だ。

日本画と洋画の区別が曖昧になってきたのと同様に、これらの分野も境界線がいずれなくなっていくのだろうということを予感させる展覧会だった。

ペルシャ絨毯と文化展

2009-03-21 | Weblog
「スミマセン イランタイシカン ハ ドコデスカ?」
駅を出てすぐに肌の黒い人に声をかけられて焦った。
「私もちょうど行くところです。一緒に行きましょう」
彼らはインド人で、カーペットの視察に行くらしい。

明るいガラス張りの建物はイスラム風を想像していた私には意表をつくものだった。さらに、入口を抜けると、日本人のおばちゃんが
「会場はその階段を下りたところです。どうぞ。」
大使館にこんなに簡単に入れちゃっていいのか。

この日はイラン暦のノールーズ、つまり元旦にあたる。イラン暦の正月は春分なのだそうだ。イランでは7つのSのつくものをテーブルに飾ってお祝いするということで、小麦、にんにく、酢などが中央のテーブルを飾ってい、そのまわりを伝統のペルシャ絨毯が囲んでいた。

ふと見ると、階段下で美女が絨毯織りの実演をしていた。細かい作業を少しずつ丹念に進めていて、思わず見入ってしまう。我が家にも香港在住時代に買い求めた絨毯があるので、大切しなければと改めて思った。

隣のホールではイラン正月についての講演をやっていた。片隅に席を確保して次のプログラムを待った。
やがて、数人の男性がサントゥール(ピアノの原型)やセタール(ギターの原型)、太鼓などを抱えて登場。彼らは国営放送の専属で大学の先生も混じっていた。そんな彼らの演奏は、あるときはゆったりとあるときはハイテンポでと、異国情緒たっぷり。予定時間を10分以上延長しての熱演に集まった人たちも大感激、アンコールにも応えてくれて満足、満足のイスラム世界体験でありました。

江戸切子新作展

2009-03-08 | Weblog
地下鉄駅のポスターに大きく切子と出ていたので行きたくなった。
亀戸で行われている江戸切子新作展のことだ。東京カットグラス工業会主催のコンテスト入賞作品の展示がメインで、切子作品の即売や、職人さんの絵入れ実演、ペーパーウエイトに模様を刻む体験教室なども開かれていた。

最高賞を取った作品はちょっと地味な単色のもので、目立つけれど売れるのかな?という器だった。
そのほかの受賞作品も我々素人目からみる選考基準とはやや違うように思った。

運良く、理事長さんによる受賞作品の解説が始まった。理事長さんは選考基準と、売れるかどうかは違うといっていた。簡単にいうと賞を取った作品はそれぞれ異なる分野において高度の技術が用いられているものだった。これで納得です。貴重な伝統工芸の継承という方針に沿ったものだろう。他の人には簡単に模倣できないような、それでいてプロが見れば一目で違いがわかるという、作品だったのだ。

即売会はあいにく手が出ないものばかりだったので、次の機会が楽しみだ。

ガムランの響き

2009-02-28 | Weblog
10年以上前、初めてバリ島を訪れたときのことが、未だに強く印象に残っている。ホテルのロビーで演奏されていた音楽だ。ゆったりとした打楽器が奏でる音は初めて聞くものなのに、懐かしい感じがした。そう、なんとなく沖縄の音楽に似ていたからだ。

だからガムランをやってみたいという人も多いのだろう。毎年、東京音楽大学でガムランの社会人講座が開かれている。そして講座の年度末には発表会が行われる。
ジャワから取り寄せた楽器で、本格的なガムランを聞くことができる貴重な機会だ。

演奏が始まると、忘れていたバリの音楽が、踊りが、記憶の引き出しをひとつひとつ開けていく。

この旋律は、きっとずっとずっと昔の日本人も聞いた調べだろう。

屏風と現代アート

2009-02-24 | Weblog
泉屋博古館の「近代の屏風絵」展が展示替えになっているのを思い出して、出かけてみた。前期の入場券の半券持参で、後期の入館料が半額になるからだ。

今回の展示で一番目を引いたのが、第一展示室入ってすぐの、「二条城行幸図屏風」だ。17世紀の作品なので、平安絵巻のような優雅さはないが、これでもかこれでもかというほど人物一人一人を丹念に描いていて、雅の世界とはまた違った華やかさをかもし出していた。続いて入った第二展示室には人だかりができていた。運良く、展示解説の終盤に間に合ったのだ。大正期の香田勝太の作品は屏風絵にしては珍しく油絵で、さらにプラチナを用いているなど、解説がなかったらわからなかったような話を聞くことができて有意義だった。ここでの注目は、ポスターにも採用されている木谷桜谷の「柳花図」だろう。やわらかい緑と白い桜の対比が絶妙だ。

近代の世界をのぞいた後は、アークヒルズの前を通って六本木ヒルズへ。結構時間がかかります。特に交差点手前の坂はきつかった。以前は逆方向から歩くことが多かったので気づかなかった。

六本木ヒルズの40階にある、六本木アカデミーヒルズ40で行われていたのは、東京工芸大の卒展。いやぁ、豪華な施設を借り切ったものだ。入学志望の学生たちも訪れていて、それなりの宣伝効果が表れていたようだ。学生集めも大変ですね。
写真、映像、デザイン、メディアアート、アニメーションの各学科で個人、グループによる実演、展示をやっていて、動かしてたのしい、見てたのしい作品が多かった。
テレビの時代から、ネット、ゲームの時代ではこうした学生のような資質を持った人たちが広告や番組、映像作品の担い手になっていくのだろう。

変わらない芸術、変わっていくアート、100年足らずの間に色々とあるものだ。