土曜日、「容疑者Xの献身」また見てきました。で、帰りに原作も買ってきました(笑)家帰ってから4時間ちょっとかけて読破。実に面白い!(←また言ってる)
以下、感想です。ややネタバレ注意。
まず映画のほうで、2度目で気づいたこと。
(1度目の感想はこちらから)
・草薙が、石神が帝大の同期だと気づくシーン
最初見たときは、画面に映ってないときに実はもっと話をしてて、
そのときに偶々大学の話が出たんだろうと思ってました。
郵便物の中に同窓会の封書があったんですね。
・研究室の謎のスクリーンセーバー
湯川が真実に気づいて独り苦悩しているところへ、
内海が来て問いかけるシーン。
その背後の壁で動く映像が気になったんですが…。よく見たらあれ、
「YUKAWA LABORATORY」(湯川研究室)って書いてたんですね。
PCのスクリーンセーバーかな?
・取調室の壁
石神が偽の自白をしているシーン。
あの部屋の壁がマジックミラーになっていること、
2度目でやっと気づきました。
そうか、確かにそのほうが色々と都合がいいですよね。
首実k…いや、
「貴方が見たのはこの人ですか?」「ええ、間違いありません!」
とかやるとき、証人が直に顔を合わせるよりずっといい。
ドラマとかでも普通に出てくるらしいですね、取調室のマジックミラー。
刑事モノ滅多に見ないんで、全然知りませんでした…(汗)
原作感想。
ハードボイルド、という言葉の意味を正確には知らないけど、なんかそんな感じがした。
…そしてなんとなく不安になったのでYAHOO!辞書で調べてみた(笑)
ハード‐ボイルド【hard-boiled】
[名]《卵の固ゆでの意から》
1 第一次大戦後に、アメリカ文学に登場した新しい写実主義の手法。簡潔な文体で現実をスピーディーに描くのが特徴。ヘミングウェイらに始まる。
2 推理小説の一ジャンル。行動的な私立探偵を主人公に、謎解きよりも登場人物の人間的側面を描く。ダシール=ハメット・レイモンド=チャンドラーなどが代表。
[名・形動]《から転じて》非情なこと。人情や感傷に動かされないで、さめていること。また、そのさま。「―な文体」
…どうやら一応、合っているようだw
全体の雰囲気として、渋い。男臭い。でもなんかいい。
まず、石神の心理描写が意外としっかりあった。
靖子への気持ちとか、湯川に対する焦りとか。
原作は石神側の描写が大部分とは聞いてたので、驚きはしなかったけど。
だから湯川があんまり出てこないかもと思ってましたが、「論理的思考」のとこからしっかり出てたのでホッとしました(笑)
それから、髪… どっさり…
生々しい悲哀を感じるじゃないかww
湯川と草薙の友情。
実写版の刑事側の主軸は内海なので、湯川が草薙と組んでるのはなんか新鮮でした。いや、実写版でもエピソード0は草薙でしたけども。
真相が明らかになる頃の、終盤のやり取りがとてもよかったです。
お互いの覚悟が伝わってきて、なんというか、かっこよくて。
「刑事としてではなく、友人として聞いてくれるか」って、こういうことだったのね。
美里。…美里……。
彼女これからどうなるんだろう。
「あの時点」で、「あの真実」は彼女は知らないわけで。
靖子もたぶん、娘にそれは知らせないだろう。
そして石神も靖子も、あれが2人がかりだったことは誰にも言わないだろう。2人がかりで行われたという痕跡も、おそらく残ってはいないだろう。
だけどそれでも…彼女の罪が暴かれることなく、彼女が残酷な真実を知らないままでいられたとしても、その結果と無縁で過ごすことはできないわけだ。
ラストのラストは、湯川としてもキツかったろうな…この結果を導いたのは自分だもの。
真相を暴いたところで、誰も幸せにはなれない。自分はかつての友を失い、友の究極の献身はすべて水の泡になり、友も、友が護ろうとしたひとも、社会的にも精神的にもどん底に堕ちることになる。
だけど暴かずにいたところで、友は自らの身を貶め、ひとり塀の向こうにこもることになる。最も残酷な真実は、彼と自分の胸中のみにしまわれたまま、闇に消えることになる。友の護ろうとしたひとも、社会的には護られるかもしれないが、消えない罪悪感に悩まされ続けることになるだろう。隣人が何をしたかを知らぬまま。
それがどんなに残酷であれ、真実が知られぬまま友が消えるを良しとできなかった。だから真実を、その深い愛を、彼の護ろうとしたひとに告げた。
そしてその結果は、2人の人間の慟哭となって…
…あぁ、せめて何らかの救いがありますように。
あと、映画とあわせて気づいたこと。
・“技師”
原作読んで、やっぱあの人新入りだったのか!と納得。
映画で見たとき、あそこでの暮らしが長いにしちゃ
妙に身奇麗というか、整った格好してると思ったんだ。
荷物も少ないし、集落の外れにいて、所在無げにしている。
やはり、日が浅くて皆に馴染んでいなかったんだ。
映画もその辺ちゃんと作りこんであるんだな、と妙に感心。
・登場人物の容姿
石神が冴えない容姿なのはパンフで知ってたから意外ではない。
が。や…靖子って別に美人ってワケじゃなかったのか!!
石神視点で“美しい女”って表現はあるけど、
他に彼女の容姿に関する記述は見つからない。
そして靖子本人は自分のことを
“何の取り柄もなく平凡で大して魅力的とも思えない中年女”
“一目惚れされるような美貌ではない”と評している。
**追記*10月28日(火)**
よくよく読み返してみたら、工藤も「あれだけの美人だから」とか言ってたわ…。やっぱ原作でも美人らしい。
まさに美人薄幸なキャラだ…
*************
また、富樫が“若い頃は美男子の部類に入ったであろう”
“今でも女性に好まれる風貌だったに違いない”
と評されている(by石神)ことに驚いたw
工藤も“端正な顔”“垢抜けた服装”
“世の中の女性は自分(石神)と彼(工藤)なら彼を選ぶだろう”
実写版は確か、富樫が長塚さんで工藤がダンカンさん…
えーと……(;・∀・) ←失礼
あと…学生時代の湯川。これが一番衝撃だった。
“髪を肩まで伸ばし、シャツの胸元をはだけた男が頬杖をついていた。
首には金色のネックレスをつけていた。”
何故か真っ先に脳裏をよぎったのが、
狩野英孝さん(ラーメンつけ麺僕イケメンの人)でした…;;
・歯の治療痕
原作で、石神が富樫の死体を調べながら歯の治療痕を気にしてた。
映画でも、死体を見た石神が富樫の顎を掴んで口の中を見てた。
そして、死体が発見されたとき
「こりゃー歯の治療痕も照合できないなぁ」と言われていた。
顔を潰したとき、そのこともやはり考えていたんだろうか?
・ついでに突っ込みどころ(一部反転)
捜査中に偶然富樫本人の血液型が判明して、
「あれ?死体の血液型と違うな、おかしいぞ?」
なんてことになったらどうするんだろう…;;
最後に一つ。
………是非、原作に忠実な人物構成バージョンも見てみたいです。
いや、内海バージョンもこれはこれで好きなんですが…。
映画見てから原作読んだもんだから、湯川・草薙・石神・靖子・美里・富樫・工藤がみんな映画の役者さんの顔で浮かんでくるんですよwww
以下、感想です。ややネタバレ注意。
まず映画のほうで、2度目で気づいたこと。
(1度目の感想はこちらから)
・草薙が、石神が帝大の同期だと気づくシーン
最初見たときは、画面に映ってないときに実はもっと話をしてて、
そのときに偶々大学の話が出たんだろうと思ってました。
郵便物の中に同窓会の封書があったんですね。
・研究室の謎のスクリーンセーバー
湯川が真実に気づいて独り苦悩しているところへ、
内海が来て問いかけるシーン。
その背後の壁で動く映像が気になったんですが…。よく見たらあれ、
「YUKAWA LABORATORY」(湯川研究室)って書いてたんですね。
PCのスクリーンセーバーかな?
・取調室の壁
石神が偽の自白をしているシーン。
あの部屋の壁がマジックミラーになっていること、
2度目でやっと気づきました。
そうか、確かにそのほうが色々と都合がいいですよね。
首実k…いや、
「貴方が見たのはこの人ですか?」「ええ、間違いありません!」
とかやるとき、証人が直に顔を合わせるよりずっといい。
ドラマとかでも普通に出てくるらしいですね、取調室のマジックミラー。
刑事モノ滅多に見ないんで、全然知りませんでした…(汗)
原作感想。
ハードボイルド、という言葉の意味を正確には知らないけど、なんかそんな感じがした。
…そしてなんとなく不安になったのでYAHOO!辞書で調べてみた(笑)
ハード‐ボイルド【hard-boiled】
[名]《卵の固ゆでの意から》
1 第一次大戦後に、アメリカ文学に登場した新しい写実主義の手法。簡潔な文体で現実をスピーディーに描くのが特徴。ヘミングウェイらに始まる。
2 推理小説の一ジャンル。行動的な私立探偵を主人公に、謎解きよりも登場人物の人間的側面を描く。ダシール=ハメット・レイモンド=チャンドラーなどが代表。
[名・形動]《から転じて》非情なこと。人情や感傷に動かされないで、さめていること。また、そのさま。「―な文体」
…どうやら一応、合っているようだw
全体の雰囲気として、渋い。男臭い。でもなんかいい。
まず、石神の心理描写が意外としっかりあった。
靖子への気持ちとか、湯川に対する焦りとか。
原作は石神側の描写が大部分とは聞いてたので、驚きはしなかったけど。
だから湯川があんまり出てこないかもと思ってましたが、「論理的思考」のとこからしっかり出てたのでホッとしました(笑)
それから、髪… どっさり…
生々しい悲哀を感じるじゃないかww
湯川と草薙の友情。
実写版の刑事側の主軸は内海なので、湯川が草薙と組んでるのはなんか新鮮でした。いや、実写版でもエピソード0は草薙でしたけども。
真相が明らかになる頃の、終盤のやり取りがとてもよかったです。
お互いの覚悟が伝わってきて、なんというか、かっこよくて。
「刑事としてではなく、友人として聞いてくれるか」って、こういうことだったのね。
美里。…美里……。
彼女これからどうなるんだろう。
「あの時点」で、「あの真実」は彼女は知らないわけで。
靖子もたぶん、娘にそれは知らせないだろう。
そして石神も靖子も、あれが2人がかりだったことは誰にも言わないだろう。2人がかりで行われたという痕跡も、おそらく残ってはいないだろう。
だけどそれでも…彼女の罪が暴かれることなく、彼女が残酷な真実を知らないままでいられたとしても、その結果と無縁で過ごすことはできないわけだ。
ラストのラストは、湯川としてもキツかったろうな…この結果を導いたのは自分だもの。
真相を暴いたところで、誰も幸せにはなれない。自分はかつての友を失い、友の究極の献身はすべて水の泡になり、友も、友が護ろうとしたひとも、社会的にも精神的にもどん底に堕ちることになる。
だけど暴かずにいたところで、友は自らの身を貶め、ひとり塀の向こうにこもることになる。最も残酷な真実は、彼と自分の胸中のみにしまわれたまま、闇に消えることになる。友の護ろうとしたひとも、社会的には護られるかもしれないが、消えない罪悪感に悩まされ続けることになるだろう。隣人が何をしたかを知らぬまま。
それがどんなに残酷であれ、真実が知られぬまま友が消えるを良しとできなかった。だから真実を、その深い愛を、彼の護ろうとしたひとに告げた。
そしてその結果は、2人の人間の慟哭となって…
…あぁ、せめて何らかの救いがありますように。
あと、映画とあわせて気づいたこと。
・“技師”
原作読んで、やっぱあの人新入りだったのか!と納得。
映画で見たとき、あそこでの暮らしが長いにしちゃ
妙に身奇麗というか、整った格好してると思ったんだ。
荷物も少ないし、集落の外れにいて、所在無げにしている。
やはり、日が浅くて皆に馴染んでいなかったんだ。
映画もその辺ちゃんと作りこんであるんだな、と妙に感心。
・登場人物の容姿
石神が冴えない容姿なのはパンフで知ってたから意外ではない。
が。や…靖子って別に美人ってワケじゃなかったのか!!
石神視点で“美しい女”って表現はあるけど、
他に彼女の容姿に関する記述は見つからない。
そして靖子本人は自分のことを
“何の取り柄もなく平凡で大して魅力的とも思えない中年女”
“一目惚れされるような美貌ではない”と評している。
**追記*10月28日(火)**
よくよく読み返してみたら、工藤も「あれだけの美人だから」とか言ってたわ…。やっぱ原作でも美人らしい。
まさに美人薄幸なキャラだ…
*************
また、富樫が“若い頃は美男子の部類に入ったであろう”
“今でも女性に好まれる風貌だったに違いない”
と評されている(by石神)ことに驚いたw
工藤も“端正な顔”“垢抜けた服装”
“世の中の女性は自分(石神)と彼(工藤)なら彼を選ぶだろう”
実写版は確か、富樫が長塚さんで工藤がダンカンさん…
えーと……(;・∀・) ←失礼
あと…学生時代の湯川。これが一番衝撃だった。
“髪を肩まで伸ばし、シャツの胸元をはだけた男が頬杖をついていた。
首には金色のネックレスをつけていた。”
何故か真っ先に脳裏をよぎったのが、
狩野英孝さん(ラーメンつけ麺僕イケメンの人)でした…;;
・歯の治療痕
原作で、石神が富樫の死体を調べながら歯の治療痕を気にしてた。
映画でも、死体を見た石神が富樫の顎を掴んで口の中を見てた。
そして、死体が発見されたとき
「こりゃー歯の治療痕も照合できないなぁ」と言われていた。
顔を潰したとき、そのこともやはり考えていたんだろうか?
・ついでに突っ込みどころ(一部反転)
捜査中に偶然富樫本人の血液型が判明して、
「あれ?死体の血液型と違うな、おかしいぞ?」
なんてことになったらどうするんだろう…;;
最後に一つ。
………是非、原作に忠実な人物構成バージョンも見てみたいです。
いや、内海バージョンもこれはこれで好きなんですが…。
映画見てから原作読んだもんだから、湯川・草薙・石神・靖子・美里・富樫・工藤がみんな映画の役者さんの顔で浮かんでくるんですよwww
帰宅して早速、映画の感想について述べてあるブログを片っ端から閲覧しました。
私の感想に一番近かったのがあなたの感想です。
全体を通して引き込まれ、随所に石神が述べるトリックのヒントについてはよくできているなと感心しました。
石神の献身(無償の愛?)については少々重過ぎる気がしました。警察を騙せても靖子には一生殺人の事実は消えません。なおかつトリックのために石神がもう一人殺したことで靖子には更に罪悪感を加えてしまっていますよね。天才数学者でもこれが「重過ぎる」ことはわからなかったのか疑問です。
最後に突っ込みどころです
富樫とホームレスと摩り替えたトリックですが、グランドに放置された死体と簡易宿泊所に残された毛髪のDNAが一致しただけで本人と断定できるでしょうか?
富樫は天涯孤独ということは述べられていなかったようなので、身内(両親や兄弟)のDNAと比べるのが本当の断定手法だと思います。
石神も血液型を調べずよくこんなことできたよなと映画を見ながら突っ込んでいました。
天才数学者のすることなのだから細部まで作りこまないと、リアリティーに欠けてしまい「やっぱ小説ね」と思ってしまいました。
この点について突っ込んでいた方は30人中、貴女を含めて2人だけでした。
京都在住 41歳 男性
石神の愛、重いですよね…かなり。
「罪悪感を持ってはいけません」…無理です。
もう一つの殺人は、警察はもちろん靖子にも絶対に隠し通すつもりでいたようですが。
でも、殺人を隠して幸せになる、なんて正直無理ですよね…誰が知らなくても、本人が知ってるわけですし。
血液型は突っ込みどころですね(笑)
仮に天涯孤独だったとしても、簡易旅館以前の彼の生活をたどる上で彼の様々な個人情報は出るはず。
生前に通った病院のカルテなんて見つかろうものなら…。
歯の治療痕を気にするぐらいなら、それぐらい気づいてもよさそうですよね。
替え玉候補に血液型尋ねて違ったら別の人、なんてことやってたら不自然過ぎて目立ちますし。
話自体は面白いからいいんですけどね(笑)
原作者や映画監督の最も表現したかったことは言うまでもなく「献身」であり、「無償の愛」なのでしょう。ラストに泣き崩れる石神をみると、行き過ぎた愛情ゆえに靖子が自首してくることを想定できなかったということを最後に付け加えているのだと思います。
しかし石神も靖子のことを本当に想うのなら冷静に自首をすすめるべきだったと思います。(それでは小説や映画がすぐ終わってしまうか?)
私もこの映画(原作はまだ読んでいません)は面白いと思いましたし、久しぶりに引き付けられた作品でした。しかし突っ込みどころで指摘したように細部の詰めが甘く、リアリティーに欠けています。
湯川、石神の両人を創り出す作者なのですから、こういった単純な突っ込みどころは残してほしくありませんでした。身元確認に関しては作中のような方法では絶対に断定しないはずです。
きびしい言い方ですがせっかくのストーリーが台無しです。
作品自体の作りこみが良かっただけに残念でなりません。完全版を観てみたいです。
発覚して捕まる恐怖を長く味わう必要がないし、罪悪感も少しは軽減される。
身代わりに捕まることだって、石神はそれでよくても、靖子や美里はそうは思えないでしょうし。
彼がそういう極端な道に走ってしまうのがこのストーリーですし、引き込まれるポイントでもあるのですが。
身元確認の詰めの甘さはちょっと残念でしたね;
本物の富樫の血液型・DNA等のデータが見つかった場合の対策まであったら凄かったのですが。
その辺が補正されたらもっといいのにな…と思いつつ、また見に行こうと思っていたりします。
細かいこと抜きにして原作と映画を観た感想は
「切ない」の一言です。
原作では3月となっていた時期も映画では12月になっており、年末のクリスマスに持ってきたのも「切なさ」をより深めています。
原作には「技師」の身元を突き止め家族を探し出せればDNA鑑定が可能になり遺体の本当の正体がわかる。と述べられていたので、作者は身内のDNA鑑定(富樫でなく技師)による身元判明については気にしていたことがわかります。
作者はおそらく、富樫の血縁のある身内(両親、兄弟)について作中で述べてしまうとややこしくなるのでそれは避けたのだと考えられます。
なぜなら、身内が存在する場合、遺体の身元確認で富樫でないことがすぐわかってしまうからでしょう。
そして身内がなく天涯孤独としてしまうと、元妻である靖子が遺体確認に引っ張り出されるからです。そうなったら彼女にトリックがばれてしまいます。
以上のような理由で身内による身元確認については触れなかったのだと考えられます。
原作では「技師」の身元が判明するころには公判はとっくに終わっている。
映画では富樫の遺体が見つかる頃には..
と述べられており、とにかくどちらの遺体が技師か富樫か判明するにしても、公判が結審するまでの「時間稼ぎ」ができればいいわけです。
映画も原作もこのことを述べてはいますが、もう少し「強調」していればDNAや血液型の矛盾があってもそれが判明するまでに膨大な手間や時間がかかるので「手遅れ」になることがわかりやすくなります。
原作を読んで前の最初のコメントで述べた「やっぱ小説ね」は撤回します。非常によく考えられた作品でした。
原作では石神の最後の叫び声は今までの行為(遺体すり替え)が無駄になったことへの絶望と混乱となっていましたが、映画のパンフで堤真一さんが述べていたように、「ラストで彼は初めて愛情に出逢った」ことへの叫びだったと私は思いたいです。
下心のない無償の愛である石神の気持ちが靖子に伝わった瞬間なのだと。
身元判明にかかる時間を考慮した時間稼ぎだとすると、湯川に解明されなくても最終的には出頭する展開になっていたのかもしれませんね。
堤さんが言っていたように「もし事件が解明されることなく靖子の疑いが晴れたなら、石神は黙ってアパートを去っただろう」っていう展開もアリかなぁと思ったのですが。
最後の叫び、そうだといいなと思います。
多大な犠牲を払ってやってきた事がすべて無駄になったことへの絶望、靖子を守りきれなかったことへの絶望、(抑えていた)人を殺した罪悪感、それを靖子に知られたショック(これは湯川に告げられていましたが)、靖子が石神のために自ら出頭してきたことへの衝撃…
それが全部入り混じった「混乱」なのでしょう。
二人(と美里)に幸せが待っているとは思えないけど、お互いの愛情―恋愛的な意味ではなく―を理解した上で、人生をやり直していってくれたらいいですね…。