1.アンビエントテクノの認識根拠
「アンビエントテクノ」は、80年代後半のレイヴ・シーンを前提として成立したジャンルである。
当時、ヨーロッパを中心に享楽的なハードコア・テクノのレイヴ・パーティーがシーンを席巻しており、激しく踊るパーティーの最中に「チルアウト(=沈静化)」する空間が求められることになる。その空間を取り囲む音が、パーティー・アイテムとして重要なポジションを占めるようになることは必然であった。
パーティーの高揚を余韻として保ちつつ、精神的にも肉体的にも「チルアウト」するためのサウンドのニーズが自然と高まっていったと思われる。
アンビエントテクノの代表的な作品であるTHE KLFの『CHILL OUT』は、「チルアウト」というワードを流通させ、アンビエントテクノのジャンルにとどまらずテクノシーン全体に一つの金字塔を打ち立てた。
2.アンビエント本来的概念との照合
辞書から導かれるアンビエントミュージックの定義は次の通りである。
* アンビエントミュージック 【ambient music】
1970 年代末にブライアン=イーノによって始められた環境音楽。人間を取り巻く外部環境の独特な雰囲気を表現するもの。リラクセーションや黙想などに用いられる。1980 年代後半からクラブ・ミュージックの一つとして再発見される。
* 三省堂提供「デイリー 新語辞典」より
最後のくだり、「クラブ・ミュージックの一つとして再発見される」という箇所に関しては、注意が必要である。
ブライアン・イーノ周辺がプロデュースしてきたアンビエントミュージックの作品が、そのままの形で80年代後半にクラブ・ミュージックとして大衆に聴かれたわけではなく、そのジャンルとしての概念が再発見され、アンビエントテクノとして再構築されたのである。
「** 光の色や雨の音が環境の一部であるように、音楽も周囲の環境の一部として聴く」というブライアン・イーノの発想から、音楽の概念として、アンビエントミュージックは生まれた。
アンビエントミュージックは、「**聴覚的、雰囲気的な特異性を覆うことを強調する。平穏、そして思考の空間を導くものである。」
** "Music for Airports"ライナーノーツより
このアンビエントミュージックの概念は、「チルアウト」が目的とされた空間の音楽にスムースに適合した。
精神を高揚させる音の洪水から逃れるには、自分の周囲環境の一部として存在できる音が求められていた。
そうして、電子音のシャワーを浴びた脳に対して親和性の高い、アンビエントテクノ(アンビエントミュージックの概念×電子音)が生まれる。
3.アンビエントテクノの拡張性
一度、アンビエントテクノというジャンルが確立してしまうと、典型的なアンビエントテクノを構成するパーツとしての音色群が表層的に抽出され、それらが効果的に使われる楽曲はアンビエントの要素を持つと解釈されるようになる。
次にあげるジャンルにおいて、先述した性格を持つ楽曲が比較的数多く存在し、音色や楽曲構成、エフェクト効果からインテリジェントな印象で語られることがある。
・ドラムンベース
・ハウス
・トランス
・ダブ
・クリック
あるいは、その楽曲がリスナーに及ぼす精神的な効果がアンビエントテクノと近似する場合、大枠でのカテゴライズの結果、アンビエントテクノとして認識されたりしている。
written @ 2005/01/12
copyright(c)2005 electric_soundscape
「アンビエントテクノ」は、80年代後半のレイヴ・シーンを前提として成立したジャンルである。
当時、ヨーロッパを中心に享楽的なハードコア・テクノのレイヴ・パーティーがシーンを席巻しており、激しく踊るパーティーの最中に「チルアウト(=沈静化)」する空間が求められることになる。その空間を取り囲む音が、パーティー・アイテムとして重要なポジションを占めるようになることは必然であった。
パーティーの高揚を余韻として保ちつつ、精神的にも肉体的にも「チルアウト」するためのサウンドのニーズが自然と高まっていったと思われる。
アンビエントテクノの代表的な作品であるTHE KLFの『CHILL OUT』は、「チルアウト」というワードを流通させ、アンビエントテクノのジャンルにとどまらずテクノシーン全体に一つの金字塔を打ち立てた。
2.アンビエント本来的概念との照合
辞書から導かれるアンビエントミュージックの定義は次の通りである。
* アンビエントミュージック 【ambient music】
1970 年代末にブライアン=イーノによって始められた環境音楽。人間を取り巻く外部環境の独特な雰囲気を表現するもの。リラクセーションや黙想などに用いられる。1980 年代後半からクラブ・ミュージックの一つとして再発見される。
* 三省堂提供「デイリー 新語辞典」より
最後のくだり、「クラブ・ミュージックの一つとして再発見される」という箇所に関しては、注意が必要である。
ブライアン・イーノ周辺がプロデュースしてきたアンビエントミュージックの作品が、そのままの形で80年代後半にクラブ・ミュージックとして大衆に聴かれたわけではなく、そのジャンルとしての概念が再発見され、アンビエントテクノとして再構築されたのである。
「** 光の色や雨の音が環境の一部であるように、音楽も周囲の環境の一部として聴く」というブライアン・イーノの発想から、音楽の概念として、アンビエントミュージックは生まれた。
アンビエントミュージックは、「**聴覚的、雰囲気的な特異性を覆うことを強調する。平穏、そして思考の空間を導くものである。」
** "Music for Airports"ライナーノーツより
このアンビエントミュージックの概念は、「チルアウト」が目的とされた空間の音楽にスムースに適合した。
精神を高揚させる音の洪水から逃れるには、自分の周囲環境の一部として存在できる音が求められていた。
そうして、電子音のシャワーを浴びた脳に対して親和性の高い、アンビエントテクノ(アンビエントミュージックの概念×電子音)が生まれる。
3.アンビエントテクノの拡張性
一度、アンビエントテクノというジャンルが確立してしまうと、典型的なアンビエントテクノを構成するパーツとしての音色群が表層的に抽出され、それらが効果的に使われる楽曲はアンビエントの要素を持つと解釈されるようになる。
次にあげるジャンルにおいて、先述した性格を持つ楽曲が比較的数多く存在し、音色や楽曲構成、エフェクト効果からインテリジェントな印象で語られることがある。
・ドラムンベース
・ハウス
・トランス
・ダブ
・クリック
あるいは、その楽曲がリスナーに及ぼす精神的な効果がアンビエントテクノと近似する場合、大枠でのカテゴライズの結果、アンビエントテクノとして認識されたりしている。
written @ 2005/01/12
copyright(c)2005 electric_soundscape
私は、このジャンルに特に深く
精通していないのですが、以下のような楽曲を非常に好みます。
類似するタイプの音楽を探しているのですが、
何かいくつかご紹介頂く事はできないでしょか。テクノであるとか、ミニマルであるとか
ジャンルとしては特に問いませんが
ゆったりとして静かで気の遠くなるような
美しい音を探しています。
どなたか知識のある方にご紹介頂けましたら幸いです。宜しくお願い致します。
Selected Ambient Works, Vol. 2のDisc2全般(特に1曲目)
B.Eno/An Ending (Ascent)
Sun Electric/30.7.94 live
貴重な記事、ありがとうございます。
はじめて知りました。
とても参考になりました。