・中鎖脂肪酸Medium chainfatty acid ちゅうさしぼうさん
摂取する脂肪酸の中には、脂肪として蓄積されにくい、体脂肪になりにくい、すぐにエネルギーになりやすい中鎖脂肪酸(MCFA)があります。
ヤシ油14%、パーム核油7%、母乳2%、牛乳4%、乳脂(チューダチーズ・ヤギミルク)、ノニジュースに総脂肪酸量の2～10%程度含みあまり多くは、見つかっていません。
構成炭素数、鎖の長さがC8～C12程度であるものでオクタン酸octanoic acid (カプリル酸caprylic acid:C8-0)、デカン酸decanoic acid (カプリン酸capric acid:C10-0)、ドデカン酸dodecanoic acid(ラウリン酸lauric acid:C10-0)が知られます。中鎖脂肪酸は比較的水溶性のため胆汁で乳化する必要がなく容易に小腸から吸収できます。
いままでに高カロリー食を必要とする医療食としゼリー、アイスクリーム、クッキーにしたりしてアメリカでは1950年ごろから、日本では1960年代より栄養補給の医療用に活用し、早くから医療現場での栄養補給にMCT(マクトンMedium chain trigluceride:中鎖脂肪酸100％の油)として長年用いられています。
MCTオイルという中鎖脂肪酸を85～97％含む油を使用し、手術後の栄養管理や低栄養に、さらに、てんかん治療食(ケトン食)などの医療用食品に、長年使用してきました。MCTオイルは発煙点が150度と低いので、揚げ油としては利用できません。
マクトンオイルは中鎖脂肪酸油85％に長鎖脂肪酸油15％を配合した液体の油とし、ドレッシングやスープ、炒め物などに使います。 マクトンゼロパウダーは中鎖脂肪酸油を粉末状にした油で、 粉末なので様々な食品に混ぜて用いられます。
植物油の多くやラードなどは長鎖脂肪酸を多く含み、中鎖脂肪酸は長さがその約半分で、代謝が長鎖脂肪酸にくらべ約10倍速いため、体脂肪になりにくいのです。
中鎖脂肪酸そのものは、舌触りが軽く、胃も垂れが少なく、普通の油に比べ多く取ることが出来ることから利用しています。
独特の汗っぽい匂いと酸っぱさのあるといいオイル(ココナッツオイル：中鎖脂肪酸６５％・パーム核オイル中鎖脂肪酸５０％)、パウダー(白)にしたものがあります。
長鎖脂肪酸に比べて長さが短いため、水になじみやすい特長から小腸から門脈を経由し直接肝臓に入り分解します。このように長鎖脂肪酸と消化・吸収後の経路が異なることから、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べて分解される時間が４～５倍も速く、短時間でエネルギー源になるというのです。
リパーゼで素早く分解しやすく消化、吸収が早く、体内で素早くエネルギー源となり燃焼し脂肪酸と水溶性のグリセリンとになり中性脂肪となって人間の体で糖の様に分解を受け蓄積しにくく分解速度が早いことから特定保健用食品として認められています。
長鎖脂肪酸はリンパ管経由での吸収で、血管内に入り、それから全身へと運ばれます。
速やかに長鎖脂肪酸と異なり完全に脂肪酸とグリセリンに分解するのです。そのために体脂肪としても蓄積されにくいといえます。大部分が小腸絨毛の血管から吸収され、門脈を通じて肝臓へと運ばれ、すぐに エネルギー源となります。
ブドウ糖不足の時に脳は肝臓で作られる「ケトン体」を利用していますが、このケトン体を効率よく作り出す成分として中鎖脂肪酸が勧められています。
血中のケトン体の量が増えると記憶力の低下が抑制するという研究があります。脳機能の維持のために必要な中鎖脂肪酸の量や摂取方法などの研究が進められています。
1gで9kcalは、普通の油と変わりません。脂肪を燃焼させるとケトン体(ケトン体の利用は、飢餓時に増加)が流出し、ケトン体を分解するのにもインシュリンを必要とします。そのインシュリンがなくなり、体脂肪、体蛋白が使われ体重減少の状態に陥(おちい)る、痩せてくると危険な状態となるのです。
通常調理に使用する植物油で220～250℃、MCTは加熱すると煙がでたり、揚げ物をすると泡立ってきます。発煙点(150～160℃)が低く、加熱調理油としては使用上の注意が必要です。
また多量に摂取すると、胃のムカつきや下痢などを起こす場合がありますので過剰摂取には注意しましょう。
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