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5つの目標を作り始まった、永住LIFEの幸せなオーストラリア永住権への道

幸せなオーストラリア永住権への道 57 最高の夜

2006-07-25 20:38:06 | Weblog
いよいよ今日からマークと僕のサーフショップがオープンする。正確に言えば僕らの店には1本のサーフボードも置いていないので今の段階では完全にボディーボード専門店なのだが、目標では最初の半年でボディーボードを売りまくって資金を稼ぎ、サーフボードを仕入れていく計画になっている。

アパートの引越しもアッキィーががんばって少しずつ車に乗せて荷物を運んでくれたり、荷物を梱包しておいてくれたおかげでスムーズに進めることができた。アンドレアスと二人で探したメインビーチのマンションから引っ越すことは僕の中で一つのステージが終わり、新しいステージに進む気分だった。アンドレアスと大騒ぎしながら酒を飲んだり、サーフボードを綺麗にリペアをしたり、ふざけあっていた沢山の思い出があの部屋には残っていた。アンドレアスが酔っ払って壁にあけた穴も、僕が焦がしてしまったキッチンの扉も、僕らがあの部屋でたくさんのことを経験した証だった。

アンドレアスは国に帰り、僕はマークとのサーフショップの仕事に没頭している。ふざけあってバカ騒ぎばかりしていた青年の時代が終わり、僕らは大人として次の段階を歩き初めている。人の人生に少年時代や青年時代、そして大人になっていく、それぞれの段階があるように僕らのオーストラリア生活の中にも、それぞれの進むべき道に向かって成長していく段階があるような気がする。

必要なときに必要な人と出会い、別れて、色々な経験をしていく、きっとそんなことを繰り返しながら、僕らは自分の進むべき道に向かって歩いていくんだ。全ての荷物を運び出して、空っぽになったメインビーチの部屋から出るときに、僕はそんなことを考えていた。

「今までありがとう。」

僕は最後の荷物を運び出しながら、楽しく暮らしたあの部屋に心の中でお礼を言った。

昨日から暮らし始めた、このシェブロンアイランドのアパートも快適だった。メインビーチのマンションは綺麗だけれどホテルの部屋のような冷たさがどこかにあった。でも、この新しいアパートは家の前には芝生があって裏にはバックヤードもある、決して綺麗ではないけれどちゃんと大地にくっついていて、しっかりとした生活があるような気分がした。

「おはよう、アッキィー。今日は何時頃にお店に遊びにくる?」

僕は自分の部屋を出て階段を下りて、リビングでテレビを見ながら牛乳を飲んでいるアッキィーに話かけた。アッキィーが見ているのはオーストラリアの朝の子供用の番組で、日本でいえばポンキッキのような番組だ。子供用の番組なので英語も分りやすく、絵や歌も多いので勉強になるらしく最近のアッキィーのお気にいりだ。

「今日は牧場の仕事が夕方まであるのでマークの店に行けるのは夜になると思いますよ。いよいよ今日からオープンですね、がんばってくださいね。」

「ありがとう、アッキィー。がんばるよ。」

僕は冷蔵庫から自分の牛乳を出してコップに注いで一気に飲み干した。自分の体の中に気合が入っていくのを感じた。急いでシャワーを浴びて、身支度をしてお店に向かった。

ネラング川の橋を渡りながら、川の水面を見ると太陽が反射してキラキラと金色に輝いていて、とても綺麗だ。きっと素晴らしい1日になるぞ、僕はそう思った。

お店に付くとマークが大きなダンボール箱をニコニコしながら開けていた。

「おはようマーク、いよいよオープンだね。昨日は嬉しくってなかなか眠れなかったよ。」

「おはよう永住ライフ、今日は学校を休んでくれてありがとうな。お前に見せたい物があるんだ、俺はこっちのダンボールを空けているから、そこに積んであるほうのダンボールを開けてくれないか。」

マークは手に持っていたカッターを僕に手渡した。僕は今日、荷物が届く予定なんかあったかなと考えながらお店の入り口の脇に詰まれたダンボール箱を開けることにした。お店に並べる予定の商品は一昨日までに全て届いて確認済だったからだ。

中の商品に傷をつけないようにテープの脇からカッターの刃を慎重に入れて、ダンボールを梱包してあるテープを綺麗に剥がした。ダンボールを開けてみると、そこにびっくりするような物が入っていた。

「わーすごいや!マーク、マーク、いつの間にこんな物を注文していたんだよ。全然知らなかったよ。」

ダンボールの中には色々な色のラッシュガードが入っていた。そしてそのラッシュガードの胸の部分には僕らのお店「シリンダーズ」のロゴマークが入っていた。

「かっこいいだろ永住ライフ。お前に内緒で知り合いの業者に頼んでおいたんだ、オープンに間にあわせたくてずいぶんと無理を言ったんだけれど、どちらも間にあわせることができたんだ。」

「すごい、かっこいいよ。内緒にしてるなんてずるいよマーク。えっ、でも、どちらもってどういうこと?」

「アハハ、いいから、いいから、じゃあそっちのダンボールも開けてみろよ。」

僕はもう片方のダンボールからはいったい何が出てくるんだろうと考えながら、一気にダンボールのテープを剥がした。

「わー、すごいよマーク。僕、感動だよ。」

もう一つのダンボール箱の中にはラッシュガードの胸の部分についているのと同じ、僕らの店「シリンダーズ」のロゴマークが入ったTシャツとステッカーが沢山入っていた。

「これに着替えようぜ、永住ライフ。今日は記念すべきオープンだからな、俺もお前もこのTシャツを着て営業しよう。そして、そっちのステッカーは今日お店に来てくれたお客さん全員にあげよう。」

「すごいやマーク。最高だね、でも来てくれたお客さん全員にあげちゃって大丈夫なの?」

「けちなこと言うなよ永住ライフ。今日はオープンだぜ、ステッカーをタダで配っても、つぶれるようなことはないから安心しろ。それにお客さんがサーフボードやボディーボード、車なんかに俺達の店のステッカーを貼ってくれればいい宣伝になるだろ。それにオープン記念でステッカーを配ってるて聞いたら、ステッカー欲しさにこの辺のガキどもが集まるかもしれないだろ。どちらにしてもいい宣伝になるぞ。」

「そうだね、さすがマークだね。だてにサーファーズで何年も商売してないね。」

マークは嬉しそうに笑いながら早くTシャツに着替えろと言った。僕が嬉しいのと同じように、いやきっと僕の何十倍もマークはこの日がやってきたことが嬉しいんだろう。僕がマークとお店を造り始めたのはここ数ヶ月のことだけれど、マークの頭の中にはずいぶんと前からあった夢だったはずだ。そしてビジネスや生活が忙しすぎてお酒に走ったりして、海の世界から離れてしまっていたマークが、大好きなサーフィンの世界にまた戻ってくることができたんだ。

「よーし永住ライフ。店を開けろ。シリンダーズ、オープンだ!」

その日は本当に忙しかった。サーファーズで初めてのボディボード専門店がオープンする噂はすでに街の人達にも流れていたらしく観光客のお客さんだけでなくローカルのオージーのキッズ達や、ワーキングホリデーの日本人サーファー達もたくさんやって来た。

水着を買いに来た女の子たちの中にもボディーボードに興味がある子が多く、僕らのお店の中には沢山の人達があふれた。用意していたステッカーもどんどん配ったので、マークが言っていたように近所のキッズ達が先にステッカーをもらった友達から話を聞いて、ステッカーをもらいにたくさん集まってきた。

僕らの店には1枚のサーフボードもないけれど壁一面には何十種類ものボディボードのフィンが、まるでオブジェのようにかけられているし、百枚以上のボディボードが店中にディスプレイされている。

本当に最高の気分だった。

僕が始めてマークの水着屋のショウウインドをのぞいていたのはたった数ヶ月前のことで、その時にはサーフショップも並べられた沢山の商品も、陳列のために作ったラックや棚も、まるっきり何も存在していなかったのに今はお店が出来上がり、今日もたくさんのお客さんが来てくれた。

数ヶ月前まではマークの頭の中にしか無かったサーフショップが今はこの街に現実に存在している。壁を壊し始めたときに諦めそうになった僕にマークが言った言葉を思い出した。

「永住ライフ、できないって思うことは、お前がまだやり方を知らないだけだ。この店が出来上がる頃にはお前にもできるってことが信じられるようになる。」

今なら人がやっていることで本気でやりたいと思えばできないことなんて何もないって思える。

「おつかれ!永住ライフ。店を閉めて飲みにいこうぜ。」

鍵を閉めて外にでると月がとても綺麗だった。
本当に最高の夜だった。




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幸せなオーストラリア永住権への道 56 進むべき道

2006-07-18 20:50:21 | Weblog
今日は学校をお昼で切り上げてアッキィーとマークの店の前で待ち合わせをしていた。僕らのマンションの契約の期限もあと1週間を切っていて、さすがに新しい引越し先を決めないとまずいことになる。本当なら先週の内に決めておくべきだったのだけれど、牧場で働きはじめたばかりのアッキィーの仕事のシフトが僕の予定となかなか合わなかったことと、マークのサーフショップのオープンも引越し期限の次の日とすでに決まっていたので、仕事を抜けることができなかったんだ。

学校のエレベーターを降りて、一つ目の角を曲がるとマークの店はある。学校もお店も同じブロックの中にあるんだ。角を曲がると店の前に置いてあるベンチにマークとアッキィーが座っていた。マークにはアッキィーを紹介してあったので、ひまそうなアッキィーを見つけてマークが話し相手になってくれているのだろう。

「おーい。マークとアッキィー調子はどうだい?」

僕は二人にずいぶん手前から声をかけた。僕の好きな二人が仲良く話をしているのを見るのは、僕も嬉しい。

「あー、永住ライフさん。今、マークとお店の話をしてましたよ。順調にいっているらしいじゃないですかぁー。」

アッキィーも少し離れた僕に向かって、大きな声で応える。マークは僕を見てにっこり笑って手を振っている。そして、お店の前に着いて僕も並んでベンチに腰をかけた。

「マーク、ありがとう。これから不動産屋さんに行ってくるよ。終り次第にお店に戻るから待っていてね。」

「おい、アッキィーに聞いたぞ、永住ライフ。お前らマンションの契約が切れるまで1週間も無いらしいじゃないか、本当に大丈夫なのか?行くとこがなかったら俺の家に来てもいいぞ。」

「ありがとう。でも、大丈夫だよ。今から不動産屋さんに行って直ぐに入居ができるアパートを探してくるから。明日の朝から引越しを始めるよ。」

僕がそう言うとマークは呆れたような、面白がっているような顔をして笑った。

「まったく若いってのはいいよな。衝動だけで行動して即決ができちまうんだから。俺なんかそんなことしたらかみさんにぶんなぐられちまうよ。」

マークにこの辺で一番近い不動産屋の場所を聞いて、僕らはそこに行くことにした。正確に言うと本当に一番近い不動産屋さんは同じブロックの僕の学校に隣にあるのだけれど、ここから近くて安いアパートに暮らしたいとマークに話すと、それならばシェブロンアイランドに行けと言われた。

シェブロンアイランドはサーファーズの街から、ネラング川に架かる橋を1本渡った場所にある地域のことだ。マークの話によると、あまり治安は良くないけれどサーファーズの街からも歩いて5分から10分くらいだし、なにしろ家賃が安いらしい。若い女の子にはあまりお勧めはしないけれど僕らのような若いサーファーの男二人には、まあいいだろうという話だった。

僕とアッキィーはネラング川の橋を渡っていた。今までシェブロンアイランドには行く用事も無かったので、こんなに近くにあるのに、このネラングの川を渡ったことは無かった。橋の上を歩いていると水面に太陽がキラキラと反射をしてとても綺麗だ。ゆっくりと流れていくネラング川には、小さな船が走っていたり、カヌーを漕いでいる人や、のんびりと釣りをしてい人たちもいる。

「なんだか良い場所だなー。」

僕は、この川とこの川に架かった橋が一瞬で好きになってしまった。今までは海の前に住んでいたけれど、今度はこの川沿いに住みたいな。僕はそんなことを考えながら橋を渡りきった。

その瞬間、僕らの眼の前に赤い字で書かれた大きな看板が目に入った。その看板は丁度、橋を渡りきったところの川の目の前にある、2階だての建物の前の綺麗なグリーン色の芝生の上に立てられていた。

「FOR RENT 」

「アッキー!アッキィー!FOR RENTって書いてあるよ。部屋を貸しますってことだよ。ちょっと見に言ってみようよ。」

「永住ライフさん、そのぐらい僕にだって分りますよ。」

僕は走って、その看板の下の方に書いてある説明を読みに行った。近くに行って見ると、リビング、キッチン、1バスルーム、2ベッドルーム、家具付きと書いてあった。看板の立ててある芝生の直ぐ後ろにある部屋をカーテンの隙間から覗いてみると、ソファーやテーブル、イスなんかが見えるけれど、たしかに人が住んでいる気配がない。

「これ、すごくないかアッキィー。不動産屋さんの電話番号が書いてあるから直ぐに電話をしてみよう。」

僕は、通りを挟んで反対側にある公衆電話から看板に書いてある電話番号に電話をした。

「もし、もし、シェブロンアイランドの橋を渡って直ぐ目の前のアパートの看板を見て電話をしているのですが、この部屋はまだ借りてが決まっていませんか。」

電話口の女性はハキハキとした丁寧な口調で応えてくれた。

「はい、まだ借りては決まっていませんよ。今日の午前中に看板を立てたばかりなんです。ご希望があれば部屋の中をお見せすることもできますが、いかがいたしましょうか?」

僕が直ぐに部屋を見たいと相手の女性に言うと、5分くらいでアパートの前に行くので待っていて欲しいと言われた。嬉しくって、少し舞い上がってしまい、一番肝心な家賃について尋ねるのを忘れてしまった。

女性は直ぐに現れた。歩いて5分くらいでやって来たので、きっとずいぶん近い場所にお店があるんだろう。ロイと名乗る、その女性はアパートの鍵を開けると僕らを部屋の中に入れて、慣れた感じで説明を始めた。部屋の中は入ったところが、すぐリビングになっていて奥のキッチンと繋がっていた。リビングの脇には2階に上がる階段があり、キッチンの奥の裏戸を開けると畳3畳くらいの広さのバックヤードがあり、洗濯を干したり荷物を置けるようなスペースがあった。

「結構せまいですねー。」

アッキィーは説明をしてくれているロイには日本語が分らないと思って、ずいぶんと正直な意見を言っている。たしかに今、僕らが暮らしているマンションよりはずいぶんと狭い、でも僕はこのアパートが2階立てになっていること、そして何より角部屋でガラス窓がたくさんあり、太陽の光が沢山入ってくることが気にいった。

「二階も見せていただけますか?」

「もちろん。」

僕らはロイについてリビングの脇にある階段を上った。2階にあがるとタイルでできた浴槽の付いたバスルームがあり。4畳半くらいの大きさの2つのベッドルームがあった。どちらの部屋にも大きなガラス窓がついていて太陽の光がたくさん入る。全体的にはっきり言ってオンボロだけど、昔テレビで見たような外国の古い家のような造りになっていた。

特にバスルームの隣の部屋なんて、下から上に持ち上げるタイプの古いガラス窓がついていて、そこからは芝生や、裏の茶色い板でできた垣根が見えて、まるでトムソーヤが住んでいた部屋みたいだ。

そして、びっくりしたことに、このアパートにはソファーやベッド、箪笥やテーブルだけでなく、洗濯機や冷蔵庫、オンボロなテレビやトースターだけならまだしも、ナベやフライパン、フォークやカンキリ、そしてお皿まで付いていた。まさしく家具付き、掃除をすれば今日からでも暮らすことができそうだ。

ココで暮らしたい。僕はそう思った。念のためにアッキィーにも日本語でどう思うか聞いてみたけれど、アッキィーはやはり暮らせればどこでもいいと言っている。僕はロイに一番、大切なことを聞くことにした。いくら住みたいと思っても、その条件が合わなければ暮らすことはできない。

「すいません、僕らはこのアパートがとても気にいったのですけれど。ちなみに家賃はおいくらですか?」

「週200ドルです。ボンドは1ヶ月ほど必要ですが。」

僕はビックリした。いくらオンボロとはいえサーファーズの街から橋を1本渡っただけで、2ベッドルームあり、家具付きで200ドルだって!今まで払っていた家賃の3分の2以下だよ。おまけに学校までは歩いて5分、お店まではもう1分、ビーチまではあと3分。こんな良い条件は他にあるか。

「契約させてください。いつから住むことができますか。」

僕は興奮してロイに尋ねた。ロイの応えだとこのままお店に言って書類にサインをして、必要な物さえ用意すれば明日からでも住んでいいということだった。

「やったな!アッキィー。僕らの新しい家が決まったぞ。探し始めて5分で最高の家をみつけたぞ。」

「よかったですね、永住ライフさん。僕ら、まだ不動産屋さんにさえ行っていませんよ。」

僕らはロイと一緒にお店に行って契約書にサインをした。ロイの不動産屋さんは僕らの新しい家から歩いて2,3分のところにあった。すべての必要な書類にサインをして明日、お金と必要なものを持ってくる約束をしてお店をでるまでに30分もかからなかった。

マークのお店に戻る帰り道、僕らは明日から引っ越すことになったアパートの前を通った。アパートの前の緑色の芝生の上には、さっき見つけた赤い「FOR RENT」の看板がまだ立っている。

「これ、もういらないよな。アッキィー。」

「うん、まったく必要ありませんね。」

僕達は芝生の上から地面に突き刺さっている看板をひっこ抜いて、アパートのゴミ捨て場に放り投げた。かわいそうにこの看板は半日、地面に突き刺さっていただけで僕らに見つかって用無しにされてしまった。そんなことを考えていると、とても愉快な気持ちになった。

「マーク。ただいま、新しい家を見つけてきたよ。」

「見つけてきたよって。お前らが出て行って、まだ1時間もたってないぞ。俺をからかっているんじゃないか。」

店に戻ってマークに報告をすると、僕らがあまりにも早く帰ってきたので、とても驚いていた。それでも、シェブロンの橋の向こうに安くてオンボロだけど最高な部屋を見つけたことを話すとマークは喜んでくれた。

「Right way on the truk!」

「なにそれマーク?」

僕らはマークが言った言葉の意味がわからなかった。

「自分にとって進むべき正しい道を進んでいると、いろんな物が勝手に味方してくれて思うように進んでいってしまうってことだよ。きっと今、お前らは正しい道を進んでいるんだよ。」

「へー、かっこいいね。Right way on the truk かぁ。 おい、アッキィー、Right way on the truk。」

僕は手を高く上げて頭の上でアッキィーの手とパチンと強く叩き合わせた。

「マーク、Right way on the truk 」

そして、マークとも同じように手を開いてパチンと叩き合わせた。

お店のオープンも1週間後だ。僕らは正しい道を歩いているんだと思うと、本当にすべてのことが、僕らに味方をしてくれているような気分になった。


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幸せなオーストラリア永住権への道 55 新しいステージ

2006-07-08 19:21:16 | Weblog
電話のベルが鳴る音で目が覚めた。寝ぼけた頭でベッドの脇の目覚まし時計を見るともう9時だった。今日はボディボードの業者が顔会わせをかねて、お昼すぎにお店にやってくることになっていたので学校は休むことにしていたんだ。

リーン、リーン、リーン・・・・・

こんなに朝早くからいったい誰だろうと思いながらベッドから起きて電話を取りにいった。こういう時にアッキィーがもう少し英語を話せたら楽なんだけど、まだ電話に出るのは僕の役目になっていた。

「おはようございます、不動産屋です。マンションの契約の件でお電話をしました。永住ライフさんかアンドレアスさんはいらっしゃいますか。」

「僕が永住ライフですが。」

「先日、はがきでもお知らせしましたが今月末でマンションの契約が終ります。契約を継続するかどうかお決まりでしょうか。」

僕はそんなはがきは見ていなかった。最近は日本の家族や友達とも手紙のやりとりはしていなかったのでポストを気にして開けていなかったんだ。僕らのマンションの契約がそろそろ切れるころだとは思っていたけれど、まさか今月の末だとは思っていなかった。今月の末までにはあと2週間しかない、そして来月頭には僕らのサーフショップがオープンすることがきまっている。

「契約を継続するとしたら最短でどのくらいですが。」

「ご相談にものらせていただきますが基本的には最短で半年からになっています。」

僕は後日、改めて電話をすることにして電話を切った。このマンションはメインビーチのメインストリート沿いにあるおしゃれなマンションだ。メインビーチはこの辺では比較的高級な街で家賃もサーファーズパラダイスの街に比べて割高で、おまけにアンドレアスとこのマンションを借りるときに、1度は海の目の前でジャグジーやプールがついているような素敵なマンションに住んでみたいと二人で話して契約をしたので、今の僕らにはつりあわないほど家賃が高かった。

素敵なマンションに暮らすことも、プールやジャグジーで遊ぶことも、そんな気持ちをもう充分味わうことができたし、無理をして高い家賃を払うことはないと思っていたので今度の契約が終ったらどこかサーファーズの街の近くで家賃が安いところに引っ越そうと決めていた。でも、それがあと2週間後では家を探して、契約をして引越しを終らせるなんて難しいと思った。お店のオープンも2週間後にせまりただでさえタイトなスケジュールで動いているのに、その上引越しまでしなければいけないなんて。

「おはようございます、永住ライフさん。電話が鳴っていたみたいですけれど、どうかしたんですか。」

眠そうな顔をして部屋からアッキィーが出てきた。牧場の仕事は今日はお休みらしく、ゆっくりと寝ていたようだった。

「うん、不動産屋さんからなんだけれど、この部屋の契約があと2週間で切れるんだ。契約を継続すれば住んでいることもできるんだけれど家賃が高いのはアッキィーも知っているよね。だから引越しをしたいんだけれど、あと2週間で家を探して引越しを終らせるのは大変だし、困ったね。」

「大丈夫ですよ、永住ライフさん。近い内に、二人で不動産屋さんに行って相談をして、その日の内に即決しちゃいましょうよ。僕ははっきり言って暮らすことができればどこでもいいですから、永住ライフさん決めちゃってください。」

「決めちゃってくださいって、スーパーで大根買うみたいに簡単にいうなよ。引越しのための荷作りもあるし、ここの家具だって全部、僕とアンドレアスが揃えたものなんだよ、だから新しい家に運ばなきゃいけないんだよ。」

僕はお店のオープンのことで頭が一杯だったので少しイライラしていたのかもしれない。あまりにものんきにアッキィーが答えるので、また何から何まで自分が決めて動かなければならないかもしれないと思うと少し気分が憂鬱になった。

「安心してください永住ライフさん。荷物の梱包や家具を運ぶのは車もありますし、できるだけ僕がやりますよ。お店のオープンも迫っていて忙しいのはわかっているし、僕は僕ができることをやりますから、僕にはできないことを永住ライフさんがやってください。」

「ありがとう。ありがとう、アッキィー。」

僕はとても嬉しかった。アッキィーがまた少し成長しているのを感じた、そして全部自分がやらなくてもアッキィーにももう色々なことができるようになっていることに気が付いた。

僕が思っていたよりもアッキィーは色々なことができるんだ、もう僕が全て面倒を見る必要はないんだ、アッキィーはアッキィーができることを一生懸命にやってくれるし、僕はアッキィーがまだできなくて手伝って欲しいとおもうことをやればいいんだ。僕の中でも考え方が変わってきた。そうすると、引越しもなんだか簡単なことに思えてきた。


「じゃあ、引越ししちゃおう。契約は解除でいいかぁ。」

「はい、引越ししちゃいましょう。簡単ですよ。」

なんだか嬉しくなって僕は楽しい気持ちになってきた。お店のオープンも家を替わることも、考えてみたらどちらも新しい生活のスタートじゃないか。来月から本当に新しいステージが始まるんだ。きっとこれも必然でベストなタイミングなんだ。僕はまた、全てのことが新しく、そしてゆっくりと良い方向に流れていることを感じた。



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次回からは通常どうり、毎週火曜日に更新です。楽しみにしていてくださいね。

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幸せなオーストラリア永住権への道 54 気持ちの良い車輪

2006-07-04 18:37:54 | Weblog
1ヶ月後のオープンに向けて僕らのサーフショップではなく、ボディボードショップの仕事は急ピッチで進んでいった。水着屋関係のコネや知り合いの業者にも協力をもらいマークは4つのボディボードブランドを獲得することができた。そして、女の子用の小さなサイズのボディボードだけではなくオージー用にメンズ用の大きなサイズのボディボードも販売することを決めていた。日本ではボディボードをやる男の子は少なく、男はサーフィンをやるものだ、というような雰囲気があるけれど、オーストラリアでは、そんなことはなくとても沢山の男の子がボディボードを楽しんでいる。

この街で初めてのボディボード専門のショップを始めるということで、ボディボード関係の業者も興味を持ってくれて、どこの業者もとても協力的になってくれた。マークも僕もお店の方向性がしっかりと決まったことで考えがまとまっていたし、資金が足りないことやサーフブランドではなかなかいいブランドを取り扱うことができないことに対する、焦りやプレッシャーも綺麗に無くなっていた。気持ちの良いワクワクとするような大きな車輪が、ゆっくりと僕らの間を周り初めてきたようだった。

「今日は何枚のボディボードが届くの?」

「今日はレディースサイズとメンズサイズ合わせて20枚だ。その他にフィンが山ほど届くからな。しっかりと検品してから在庫表を作って管理してくれよ。俺は水着屋の方の仕事もあるんだから、こっちサイドの仕事はお前にまかせているんだからな。」

「ずるいよ、マーク。マークはかわいい女の子にビキニを売って、僕は一人でダンボールやエアパッキンと格闘してるんだよ。たまには交代をしてもらいたいよ。」


僕らのお店にはこの2,3日の間、毎日沢山の大きな箱が届けられていた。その中にはボディボードやフィンが沢山、入っていた。そして、空っぽだった僕らのお店の壁やラック、そしてショウケースの中を埋め尽くしていった。海色に塗られた、ただの部屋だったこちらサイドの空間もだんだんお店らしくなってきた。

マークは検品や在庫の管理の仕方を僕に教えてくれた、前のお店では僕はただお店に並べられた商品を売ったり補充したりするのがメインの仕事で全体の在庫の管理をしたり、業者と会って話をしたりするのはマネージャーの仕事だった。

壁をなくして一つの店になっているとはいえマークが言うようにマークは水着屋の仕事も同時にやっていくことになる。僕はできるだけボディボードサイドの仕事は僕が覚えて、全て自分でできるようになろうと思っていた。そして、マークも同じように考えているらしく、ペンキ塗りや大工仕事の時と同じようにやり方を1度教えてからは、ほとんどのことを僕にやらせていた。この方法が僕自身が色々なことを自分でできるようになる一番の方法だと、今はもう分っていた。

僕は新しいことを覚えていくのがとても楽しかったし、女の子にビキニを売っているよりも何倍も楽しくて、いつも心がワクワクとしていた。もうすぐお店ができあがる、僕らのお店がオープンする、そう考えると何時間でも仕事をしたくなった。夜遅くまで表を作ったり、計算をしたり、ダンボールやエアパッキンをまとめてゴミにだしたり、お店が形になっていくことが楽しかった。

「永住ライフ。今日はもうこの辺で終わりにしとおこうや。ここんところ毎日、家に帰るのが夜中だろ。かみさんがヒステリー気味なんだよ。まったくジャパニーズガールっていうのは結婚する前はあんなにかわいいのに、子供ができたとたんに強くなるからな。」

マークは水着屋サイドの今日の売上げを計算しながら僕に声をかけた。たしかにここ数日間、家に帰るといつも夜中だった。独身の僕には関係が無いけれどマークの奥さんはさみしいのかもしれないな。僕も今日はビールでも買って帰って、ひさしぶりにアッキィーと話でもしよう。

僕らは店の電気を消して、鍵を閉めた。店の外にでるとゴールドコーストハイウェイ沿いのお店は、どこもまだ開いていて観光客の人たちが楽しそうに街を歩いていた。あと1ヶ月後には僕らのお店にも観光客がボディボードを買いにくる、そう考えると僕はまた嬉しくなった。

ボトルショップで6パックのxxxxビールを二つ買って、僕は家に帰った。アッキィーと二人で飲むには6パックが1つだけでは一人3本しか飲むことができない一人6本は多すぎるなと思ったけれど、まあ今日全部飲まなくてもいいやと思い6パックを2つにした。

家に着いて僕らの部屋の前に着くと、まだ早い時間なのにリビングの電気がついていない。まだアッキィーは帰ってきていないのかなぁ、僕はそう考えながら部屋のドアを空けた。たしかにリビングには誰もいなかったけれどアッキィーの部屋から音楽が聞こえている。僕はアッキィーの部屋をノックした。

「アッキィー、ただいまぁー。ビールを買ってきたよ、一緒に飲もうよ。ドアを開けるよー。」

僕がそう言いながらアッキィーの部屋のドアのノブを回そうとすると、中からあせったような声が聞こえてきた。

「あっ、永住ライフさん。ちょっと待ってください、ドアを開けないでください、お願いします。」

僕はアッキィーが部屋の中で何をしていたのか気になったけれど、ドアを開けるなというのだから仕方がないと思い、リビングで待つことにした。

「じゃあ、はやく出てこいよ。僕、のどが乾いてるんだよ。早くしないと先にビール飲んじゃうぞ。」

片方の6パックのビールを冷蔵庫の中にしまい、僕はリビングのソファに座ってアッキィーが出てくるのを待っていた。直ぐにでてくると思ったアッキィーはなかなか部屋からでてこなかった。僕はだんだんイライラしてきて、もう先にビールを飲んでやろうと思い、ビニールのパックを破いてビンの栓を回して開けていた。

その時に突然、勢いよく部屋のドアが開いてアッキィーが出てきた。

「バーン、見てくださいよぉ。永住ライフさん。」

アッキィーは大声で叫びながら部屋から登場した。部屋から出てきたアッキィーはジーンズをはいて、胸に刺繍の入った半そでのシャツを着ていた。そして、その頭の上には皮でできた茶色いカウボーイハットをかぶっていた。

「アッキィー!牧場の仕事、面接OKだったのか!羊飼いか、羊飼いか!」

「今日、午前中に電話があって面接受かったんですよ。すぐに牧場にお礼を言いにいったら、このシャツとカウボーイハットをくれて、明日から働けることになったんです。僕やりましたよ!羊飼いですよ、夢の仕事をゲットですよ。明日から僕は一生懸命に働きますよ。やりたいと思った仕事ができるんです。」

僕は興奮して手に持っていたビールをこぼしてしまった。アッキィーは顔をくしゃくしゃにして笑っていた。カウボーイハットをかぶり、ジーンズに刺繍入りのシャツを着ているアッキィーはとてもかっこよく見えた。そして何よりアッキィーが大学生の頃から言っていた夢が実現したことが僕はとても嬉しかった。

「アッキィー、すごいな!やったな、お前かっこいいぞ。本物のカウボーイみたいだよ。乾杯しよう、乾杯しよう。」

僕はテーブルの上のビールを取って、アッキィーに手渡した。アッキィーは自分の腕にビンの栓の部分を押しこんでひじをグイッと回して男らしく栓を開けた。

「乾杯しましょう、永住ライフさん。僕、今日は本当に嬉しいんです。やりたいと思って行動すれば思っていたことって実現できるんですね。オーストラリアに来て初めて何か成し遂げた気分です。」

僕らは勢いよくビールのビンをぶつけて乾杯をした。口の中に入ってきたビールは気持ちよく喉を抜けて一気に胃袋まで入っていった。

嬉しそうなアッキィーの顔にはただ喜んでいるだけではなく、自分で考えて行動して、初めて自分のやりたいと思ってきたことを実現した、自信のようなものが感じられた。英語も話せず、仕事もせず、自分では本当に何もできなかったアッキィーがこの国でやっと赤ちゃんから子供、そして青年になったことを僕は感じていた。

「今夜は飲もうぜアッキー、ビールはたくさんあるし、最高の夜だよ。」

「本当に最高ですよ。」

僕らは買ってきた6パックのビールが全部無くなるまで飲んだ。僕は自分がやりたい事を実現させるだけではなくて、誰かがやりたいと思っていたことが実現するのって、こんなに気持ちがいいものなんだと思った。



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