オーストラリア永住権取得は難しくない!

5つの目標を作り始まった、永住LIFEの幸せなオーストラリア永住権への道

幸せなオーストラリア永住権への道 229 間に合わない!

2010-04-15 01:18:51 | Weblog
ジャックさんのピックアップトラックの荷台に座りながら、アッキィーと2枚のむき出しのサーフボードと一緒に知らない街を走っていた。自分たちがこれからどこに行くのかは分からないけれど、その分からないという感覚が体いっぱいで感じている風と合わさって不思議と気持ちが良かった。

「なぁアッキィー、僕たちこれからどこに行くんだろうなぁ。」

走る車のスピードに合わせて過ぎ去っていく町並みと、ビュービューと体を撫ぜる海風が僕の言葉をはるか遠くに置き去りにしてきたかのようにアッキィーの耳には届かなかった。

「えっ、なんですかぁー?よく聞こえないんですけれど。」

「だからぁ、今からどこにいくんだろうねー。」

「分かりませんよ。とりあえずワンコロみたいに荷台に積まれて運ばれてんですから、おとなしく運んでもらいましょうよ。」

僕もあれこれと考えるのは止めて目を静かに閉じた。トラックの振動と照りつける太陽の光が強く感じられて気持ちが良かった。

「おっとぁ。」

トラックが急に停まった振動で、前につんのめって舌を噛みそうになった。顔を出して外を覗いてみると1軒のTABの前に車は停まっていた。TABは僕らの住んでいるサーファーズパラダイスやクーランガッタにもあるバーとレストランとカフェが一緒になったようなギャンブルをするためのお店だ。

初めてクーランガッタのTABに仲良くなったローカルサーファー達に連れていってもらった時は、なんで昼間からこんな酒場みたいな店に行くのだろうと不思議に思ったけれどTABは地元民のギャンブル兼憩い兼の場兼、社交の場という感じになっていてランチやフードも割安で食べることができた。きっとこのTABもアレキサンドラヘッドの街の人々が集まる場所なんだろう。

ちょっと薄暗い店の入り口から中に入ると右側にバーカウンターがあり、その上には競馬を映しているテレビモニターが2台ほど設置してあった。奥にはスロットマシーンが何台か並んでいていかにもTABという雰囲気をかもしだしていた。ジャックさんはすれちがう何人かの人たちに挨拶をされながら店のさらに奥にある中庭のような場所に入っていった。

そこは中央に植えられた背の高い木を取り囲むようにテーブルが並べられていて明るいオープンテラスレストランのようになっていた。正面のテーブルにはいかにも海から上がってきたばかりのサーファーたちが7、8人座って食事をしていた。ジャックさんは彼らに声をかけ、今日の波のコンディションやサイズについてひとしきり話した後で僕らのことを紹介してくれた。

「このジャパニーズサーファー達はサーファーズパラダイスから人探しでやってきているんだ。だれかクレアというカナディアンの女の子のうわさを聞いたことあるか?」

「おい、ジャック。そのクレアって女の子はどんな女の子なんだ。名前を聞いただけじゃあ、いまいちピンとこないぜ。そのクレアって娘はいったい何をやらかしたんだ?」

「いや、別に何かをやらかしてゴールドコーストくんだりからわざわざ追いかけてきたわけじゃあないんだ。クレアはこの永住ライフの大切な人なんだ。だが今はオーストラリアにどこにいるのかは分からないんだそうだ。そのどこにいるのか分からない女の子を1週間で捜しだすって言うからこれは協力をしてやらなきゃいかんと思ってな。」

その場にいたサーファー達はみんな一同に笑った。でも僕の目が真剣なことに気がつくと、それ以上は誰も僕をばかにするようなことは言わなかった。僕は彼らにクレアのことを説明した。顔のわりに高くない背丈や、赤いアーモンドのみたいなねこっ毛の長い髪、くるくるとよく動く大きな瞳、明るくて自由で子供みたいな性格、僕が思いつく限りのクレアの特徴を伝えた。

「そうかぁ永住ライフ。そんなホットな娘がこのアレックスにいれば、すぐに俺たちがみつけるはずだからな。少なくともそのクレアという娘はアレックスには来ていないよ。」

彼らの中でも年かさでリーダー格に見える金髪の坊主頭のサーファーがそう言うと、 
その場にいた全員が大きくうなずいた。

「あんたたちまた女の話をしてるの。毎日、毎日よく飽きないわね。」

TABのウェイトレスがやってきて誰かが注文をした山盛りのフィッシュアンドチップスをテーブルの上に投げるようにして置いていった。ショートヘアーで黒髪のいかにも気の強そうな男の子みたいな女の子だった。さっきジャックさんについて店に入ってきたときに彼女がジャックさんに声をかけていた。そのすぐ後に彼女と目が合ったので軽く挨拶をしたけれどすぐに目をそらして何の返事もなかった。それでもジャックさんやこの店に集まっているサーファー達に接している態度を見ると彼女とジャックさん達は親しい中であることは感じられた。

「手がかり無しか。ついでに飯でも食っていくか。」 

ジャックさんが大きな声でウェイトレスを呼んでモーニングスペシャルを注文したので、とりあえず僕もアッキィーも同じものを頼んだ。しばらくするとトーストとビーンズと目玉焼きにベーコンがたっぷり乗ったプレートディッシュをさっきのウェイトレスがやっぱり投げるようにテーブルの上に置いていった。

ビーンズの味は塩辛くて美味くなかったけれど、海あがりのサーファー達にはこのくらいでちょうどいいのかと納得した。

ジャックさんの店に戻りお礼を言って店を出ようとすると、せっかくだから夕方にビーチに行って一緒にサーフィンをしながら、もう一度サーファー達にクレアのことを聞いてみないかと誘ってくれた。僕らはこの後、どこの街に行けばいいのかも決まっていなかったのでジャックさんと夕方にビーチで会う約束をした。

その日の夕方、アッキィーとアレキサンドラヘッドランドのビーチへ行くとジャックさんと他に5人のローカルサーファー達が僕らを出迎えてくれた。内心、朝にもめたホワイトクリームのような色をした長髪のサーファー達がいたら気まずいと考えていたけれど、ビーチにも海の中のラインナップの中にもそれらしき人影は見当たらなかった。

ジャックさんの仲間は全員、この街で生まれこの街で育ったローカルサーファー達でジャックさんが紹介をしてくれたこともあってフレンドリーでとても気さくだった。全員と握手をして一緒に海に入ると今朝よりも大分サイズがあがっていた。セットで頭半くらいある大きな波をさすがこの海を知り尽くしたローカルサーファーと賞賛の声を贈りたくなるくらいスムーズに力の抜けた感じで全員が軽々とテイクオフをして乗っていった。

最初は僕もアッキィーも今朝のこともあり遠慮をしていたが、ジャックさんもその仲間達も大きめのセットが入ってくるたびにゴーゴーと言ってよい波に乗せてくれようとするので、ついには我慢しきれなくなり奥の方から入ってきたその日一番の大きなうねりに僕とアッキィーは同時にテイクオフをした。

朝とは反対のポジションで、僕がアッキィーに前乗りすることになる場所からのテイクオフだった。今回の追いかけっこは僕がアッキィーにつかまらないように全力で逃げ、アッキィーが僕を追いかける立場になった。

僕らが乗った波はかなり大きくジャックさんやこの街のローカル達もゲストである僕らのライディングを見ているはずなのでただ一直線にアッキィーから逃げるだけではなく僕らも波に乗ることができるんだということを見せたいという思いが自然にわいてきた。テイクオフからボトムにすべり降りながら一瞬アッキィーの顔を見て合図をしたのでアッキィーも分かっていてくれたはずだった。

僕はギリギリまで加速を溜め込んで深いターンをして波のトップまでかけあがった。そして2回ほどターンを繰り返し自分でも驚く位にスピードが乗ってきたのでアッキィーとの距離を気にしながらも思い切りボードをリップに当て込んだ。その瞬間、海水が大きな弧を描いてズバッと飛んで行ったのを背中で感じた。体を大きく反転させた瞬間、僕の板が押し返されて降りる位置にその女の子は突然に現れた。

間に合わない!

サーフボードがそして僕の体が何か硬いものに当たるのを感じた。大きな洗濯機の中に放り込まれたように僕の体は海の底に引き込まれていった。海に落ちる前の最後の瞬間に見えたあの女の子は無事だろうか・・・


★★★お知らせ★★★

☆永住ライフ君の「幸せなオーストラリア永住権への道」は毎週水曜日に更新させていただきます。楽しみにしていてくださいね。

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幸せなオーストラリア永住権への道 228 BEACH OR LUNCH 

2010-03-25 11:45:27 | Weblog
ホワイトクリームのような色素の抜けた髪を、肩の下まで伸ばしたサーファーは僕たちのほうに振り向きもしなかった。ガラス玉のようなその灰色の目でアレキサンドラヘッドランドの海を正面から見つめたまま動かなかった。後ろにいる二人のサーファーは警戒した目つきでこちらを見ながら、なぜだか興奮をしているように見えた。

「僕らはサーファーズパラダイスから来たんだ。ところで君達はこの街のサーファーなの?」

「なんで、お前にそんなことを答えなけれゃならない。」

髪の長いサーファーはまるで感情がないような平坦な口ぶりで答えた。他の二人の感情的な視線とはくらべものにならない程、それは冷たく僕らの存在を拒絶しているように感じられた。

「へんな意味じゃないんだ。僕らは人を探しているんだ。君たちがこの街のサーファーならこの辺のことには詳しいだろうと思って話しかけたんだ。僕らも君たちと同じサーファーだからサーファーに聞くのが一番だと思って。」

「アジアンもサーフィンをやるんだな。この街では始めてみたぜ。」

長髪のサーファーの後ろで、さっきから一度も目線をそらさずにこっちを見ていた胸に太陽の刺青のあるほうの男が珍しいものを見るように言った。それに応えるようにもう一人の坊主頭のサーファーもそれに合わせるように言った。

「人探しか何か知らないけれど。さっさとお前らのホームへ帰りな。」

「オーケー。じゃまして悪かったね。アッキィー行こう。」

挑発的な態度に正直かなり頭にきた。でも、こんなところでケンカなんてしている場合じゃあなかった。彼等がこの街のサーファーなのか、彼等がどんなやつらなのかはもう関係なかった。ただはっきり分かったのは僕たちのことが気にいらないということだ。これ以上、ここにいても仕方がない。僕とアッキィーはたった1本の波に乗っただけでビーチから去ることにした。

「永住ライフさん。あいつら最高にむかつきますね。何がアジアンもサーフィンをやるんだな、だよ。オーストラリアに来てあんなこと言われたの初めてですね。アジアンだろうがヨーロピアンだろうが世界中にサーファーはいるっていうの。」

「うーん。たしかにむかついたなぁ。でも、なんであんなに興奮していたんだろう。僕たちがケンカ売っているように見えたのかな?海の中は結構ゆったりしていていて良い感じだったのになぁ。」

「さあ?まぁ海の中でバトルになっても気分悪いから、さっさと街に出て飯でも食いましょう。」

僕らはビーチに備え付けてある水のシャワーで髪と体を流し、ついでに家から持って来た歯ブラシにたっぷりと歯磨き粉をつけて歯を磨いた。石鹸で顔や体も洗いたかったけれどそのへんに洗剤を流してはいけないだろうと思い我慢をした。

何処に行けばうまくて安い飯が食えるのか、初めて来る街なので僕らには見当がつかなかった。とりあえず街まで出てパーキングに車を停め、その辺を歩いているとローカルっぽいサーフショップを発見した。青い壁に白い看板でどこかシリンダーズと似た匂いのする店構えだ。

「アッキィー、ちょっと中を覗いてみようか?何か話が聞けるかもしれないし。」

「えー、なんかもうちょっと警戒しちゃいますよね。いきなり出ていけとか怒鳴られないですかね。」

「大丈夫だよ。この街のサーファー全員がそんなにバイオレンスじゃないよ。きっと何処にだって嫌なやつもいれば良い奴もいるよ。とりあえず入ってみよう。」

お店の中に入ると壁一面に、この街の海で撮影したであろう美しい波や華麗な技を決めているサーファー達の写真が貼られていた。それはすでに黄色く日にやけていて何十年も前のオーストラリアサーフィン創生期のものだと分かるものもあれば、波のリップから飛び出してエアを決めているような最近のものまであり、その写真達をみればこのサーフショップがこの街のサーファー達にとって大切な場所であることがわかった。それほど多くのサーファー達の笑顔がたくさんの写真に収められていた。

「ヤングサーファー達。この街じゃあ、めずらしいがジャパニーズサーファーだな?さしずめサーファーズパラダイスかクーランガッタあたりから遠征にきたんだろ。」

店の奥からマークやチュックと同じ年ぐらいの中年サーファーが出てきて僕らに声をかけた。丸太のように太い腕に白髪のまじった短い髪、そして目じりや口元には深いしわが刻まれていた。でも、なんだかその笑顔にはあったかいものがたくさんつまっているような雰囲気だった。

「そうなんです。僕らは昨日サーファーズパラダイスからやってきたんです。でも、なんで僕らがジャパニーズサーファーだと分かったんですか?あっと紹介が遅れました、僕の名前は永住ライフ。そしてこっちにいるのがアッキィーです。」

「俺の名前はジャック。この店のオーナーだ。君らがなんでジャパニーズサーファーだと分かったかって。それは何度もゴールドコーストやシドニーも行っているし、君らのようなトラベルサーファーにあったこともあるからな。ただ、この街にやってくるジャパニーズサーファーはめずらしいな。サンシャインコーストに来てもみんなここには寄らずに申し合わせたようにヌーサに行っちまうからな。」

「ヌーサ?ヌーサってどこですか?」

「アハハッ、なんだお前さんたちヌーサを知らんのか?こいつは驚いた、ジャパニーズサーファーと言えばヌーサに行くもんだと思っていたよ。ヌーサは世界的に有名なオーストラリアのロングボードの聖地だぞ。」

この店のオーナーだと言ったジャックは僕たちがヌーサを知らないことを愉快そうに手を叩いて笑った。ヌーサ、名前くらいは聞いたことがあるが正直言ってその場所がどこにあってどんな場所なのかは知らなかった。僕は仲間達から日本からの出稼ぎ労働者とからかわれるくらいオーストラリアに来てから仕事ばかりしていて旅行も遠出もしたことがなかったので地図を開いてみるようなこともなかったし、ロングボードの聖地といわれるような場所がオーストラリアにあることも知らなかった。ゴールドコーストの波は掘れていて早い場所が多いからかロングボードに乗っている人をみかけることは少なく僕の仲間や知り合いにもロングボーダーはいなかった。

「ジャックさん、僕たち人探しをしているんです。ここ半年くらいの間にクレアというカナダ人の女の子をこの街でみかけませんでしたか?」

僕はクレアを探してこの街に来たこと、彼女がどこにいるのかまったくてがかりはないこと、それでもきっとゴールドコーストからそう遠くない海のある街にいるであろうことを話した。僕の話を聞き終えるとジャックさんは白髪まじりの坊主頭をジャリッとなぜると、大きな手を叩きながら笑った。

「それじゃあお前さんたちは、この広い大陸のどこにいるのか分からない一人の女の子をたった1週間で探し出そうっていうのか。こいつは最高だ。永住ライフといったな?そのクレアという女の子はお前さんにとってそれほど大切な人なのか。」

「はい、大切な人です。それにうまく言えないけれど、きっと会えるような気がするんです。すごく感覚的なことなんですが、そんな気がするんです。」

「そうか、それならきっと会えるだろ。俺はスピリチュアルなことはまったく分からんが、よくわからないけれどそんな気がするってことは人生においてたいていがそのとおりになるからな。よし、俺も協力してやろう。この街のサーファー達に聞いてみてやる。その子が海のある街にいるのならこのアレキサンドラヘッドの街にいなかったとしてもいい波を求めて動き回っている連中の中にもしかしたらその子のことを知っているやつがいるかもしれないからな。」

「ありがとうございます。」

ジャックさんは店の奥に入るとドアにひっかけるタイプの大きな木の看板を持って来て店の入り口のドアに引っ掛けた。ついて行って横から覗いてみると看板には赤いペンキで BEACH OR LUNCH と書かれていた。

「ほら、いくぞ。善はいそげだ、俺の車に乗り込め。人生でもサーフィンでもうねりがきたら即、そのタイミングで乗らないとな。」

僕らは店の前に停まっていた、ジャックさんのピックアップトラックの荷台に乗り込んだ。荷台にはジャックさんのものだと思われるレトロタイプのツインフィンのショートボードと少し大きめのトライフィンのボードがそのまま積んであった。僕とアッキィーを荷台に乗せたジャックさんのピックアップトラックは、ゆっくりと風を切りながらアレキサンドラヘッドの街を走り出した。

★★★お知らせ★★★

季節外れの風邪を引いてしまいました。次回の更新は4月14日(水)を予定しています。
楽しみに読んでくれている皆さん次回の更新をお待ちください。

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幸せなオーストラリア永住権への道 227 アレキサンドラヘッドランド

2010-03-17 12:36:27 | Weblog
僕はいつのまにか赤茶色の土がどこまでも続く、乾いた大地の上にいた。ここに来るのは始めてのはずなのに、どこかひどく懐かしく以前に僕はここで暮らしていたかのような不思議な錯覚にとらわれていた。どこを目指して歩いているのか、何を求めてさまよっているのか分からないけれど赤い土や埃で汚れた靴と服を見ると、かなり長い間この土地で歩き続けていることは分かった。

僕はどこにむかっているのだろう?

そう思った瞬間、大きく広げた翼で金色の太陽を隠しながら、青い大鷲が遠くに飛び去っていくのが見えた。

「待ってくれー・・・。あれ、ここはどこだよ。何で、車の中で寝てるんだ。」

うだるような暑さと夢の中での自分の大声に驚いて目を覚ますと、僕は汗をびっしょりとかきながらシートを倒した車の助手席で横になっていた。フロントガラスと大きく開けたままになっている運転席側のドアからはまぶしい朝の光が直接に車内を照らしていて、外の風景がよく分からなかった。アッキィーは照りつける太陽が我慢できなかったのか、すでに車内にはいなかった。

それにしてもここはいったいどこなんだろう。昨夜、アッキィーと一緒にサーファーズパラダイスを出発してから3時間位は車で走ったはずだった。僕らはどこか明確な目的地が決まらぬままにパシフィックハイウェイをブリスベンから北の進路を取り、サンシャインコースト方面へと進んだ。そして内陸を抜け、やっと海岸線に出た付近で見つけた公園の駐車場に車を停めた。昨夜は真っ暗で何も見えなかったけれど打ち寄せる波の音と潮の匂いが海にたどり着いたことを教えてくれ、くだける波の音を聞きながら僕らは眠りに落ちたんだ。

「あっ、永住ライフさんおはようございます。やっと起きたんですね。永住ライフさんの寝言で目がさめちゃいましたよ。それにしても暑いですねー。サーファーズよりもずいぶん北に上がって来たって感じますよ。」

運転席側のドアの外に広がる眩しい金色の世界から突然にアッキィーが現れた。僕と同じく額から汗を流したアッキィーは上半身裸でボードショーツ1枚に着替えていた。僕は狭い車内で寝違えたのか、少し痛みを感じる首を押さえながら体を起こして助手席側のドアを足で押し開けた。車内に潮風が通り抜けて、新鮮な空気が僕の寝ぼけた体を包んでくれた。

「おはよう、アッキィー。僕の寝言じゃなくて、暑くて起きたんだろう。ここがどこか分かるかい?」

「いやいや永住ライフさんの寝言がうるさくて起きたんですよ。まぁ暑いことは暑かったですけれど。そんなことより、早く起きて外にでてみてくださいよ。」

アッキィーの言葉にせかされるようにして僕は車の外にでて目の前に広がる景色に驚いた。昨夜、公園だと思っていたのは海に突き出したがけに近いような丘の上のビューポイントになっている見晴らし場で、僕らはそのちょうどその先端の部分に車を停めて眠っていたんだ。そしてがけの下に広がる海ははるか遠くまで広がっていて、沖のほうからは1枚の帯のようにつながったうねりが何枚も何枚も続けて入ってきていた。

「いい波だな。」

「ねっ、いい波でしょ。朝の洗顔も兼ねてとりあえず入りますかぁ。」

僕らは車に乗り込みアッキィーの運転でビーチがあるであろう方向に車で降りていった。後ろの座席に積んであった1.5リットルのアクアウォーターに直接に口をつけて乾いたのどに流し込んだ。のどが上に上がったり下がったりしながら一気に半分くらいの水を体に入れアッキィーに手渡すと、アッキィーは最後まで飲み干してそのまま空になったペットボトルを後ろの荷台に投げた。ペットボトルが2枚のサーフボードにぶつかってポコンとまぬけな音をたてた。

ビーチのパーキングプレースには何台もの車がすでに停まっていて、海の中には数人のサーファー達がラインをつくっていた。目の前の美しい波に心を奪われて、とりあえず海に入ることに反対はしなかったけれど心の中ではクレアのことが気になっていた。ためらいがちにゆっくり服を脱いでボードにワックスを塗っていると、そんな僕の気持ちに気づいたアッキィーが笑いかけた。

「永住ライフさん、まずは情報収集です。サーフィンをしながら、この街のサーファーから情報をもらいましょう。クレアを探すとしても僕らはまだこの街の名前さえしらないんですから。サーフィンが終わったらサーファーや旅人があつまる店に行って、飯でも食べて今日の行動を決めましょう。サーファーはとりあえずサーフィンしないと良いアイデアも浮かびませんよ。エブリスィング ビー オーライ サーフズ アップですよ。」

そういうと僕の肩をポーンと叩いた。あんまりアッキィーがあっけらかんと笑いながら言うので、僕もなんだか少しだけそんな気持ちになった。どこに行くかという目的地も分かっていないんだからあせっても仕方ない。目の前の波に少し体をゆだねてみよう。何か海が教えてくれるかもしれない。

「アッキィー、サンキュー。でもサーフィンして飯が食いたいだけじゃないか。良い波に上手い飯。あとはビー オーライって。」

「永住ライフさんとりあえず行きましょう。サーフィンしながら、飯を食いながら、人に会って、走りながら考えましょう。サーフズ アップ。」

僕らは始めてのビーチ、初めての海、初めての波に出会うことができた。いつものサーファーズパラダイス、いつもの街、いつもの海と波とはちがう匂い、ちがう感触がした。沖に向ってパドルアウトしながらこの街のサーファー達に軽く挨拶をした。誰がローカルで誰がこの海のマスターなのか僕らにはまだわからない。沖から肩から頭サイズのうねりが入ってきた。僕とアッキィーは右から回り込むように波が割れ始めるトップの位置を目指してパドリングをした。

それに対抗するように3人のサーファー達がさらに奥までパドルしていった。1本目のうねりが波になって割れ始める瞬間に、真っ白なボードショーツをはいた髪の色素の抜け切ったホワイトクリームのような髪をした長髪のサーファーが、かなりきわどい位置からテイクオフして乗っていった。セットは続いて入ってきて次のサーファー、また次のサーファー、そして何本目かのセットが過ぎて僕とアッキィー以外にその場所に人がいなくなり次の波に僕とアッキィーは同時にテイクオフした。

僕のほうがピークに近くアッキィーが前乗りをするかたちになったけれど、初めての場所で同じ波に乗るのも楽しそうだったので一瞬振り返って目があったアッキィーに、僕はそのまま一緒に乗ろうと合図をだした。波の上のおっかけっこだ。前を走るアッキィーは後ろから追いかける僕に追いつかれないようにスピードをつけて必死に逃げる。僕はそんなアッキィーにおいていかれないように、それでもすぐには追いついてしまわないように波のパワーポイントをキープしたりリップまで上がっていったりしながらアッキィーの背中とラインを追いかける。仲が良く、波が良く、息があっていないとこのおいかけっこは長く続かない。僕らはビーチ際、ぎりぎりまでおいかけっこを続け1本の波を最後まで乗り切った。

僕らはハイファイブで手を高くあげお互いの手のひらを叩きあった。テイクオフはとろめでゆっくりだけれどだんだんと掘れ上がってくるような乗りやすくて楽しいファンウェーブだった。僕らが手を叩きあうの見ていたビーチにいたサーファー達がこっちを指さしていた。このあたりにはジャパニーズサーファーはあまりみかけないのかもしれない。僕は一度、ビーチにあがって彼らに話し掛けた。

「良い波だね、最高の波だねマイト。ところでこの街の名前を教えてくれないか?」

「アレキサンドラヘッドランド。」

さっきのホワイトクリームのような色素の抜けた長髪のサーファーがニコリともせずに応えた。彼の仲間も驚いたような警戒したような不思議な表情をしていて嫌な緊張がその場をつつんだ。不穏な空気を感じたのかアッキィーも海からあがってきて僕の後ろに並んだ。アレキサンドラヘッドランド、僕らは今、知らない街の知らないビーチに立っていた。


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幸せなオーストラリア永住権への道 226 消されたloveと北へ向けて

2010-03-11 01:30:07 | Weblog
2週間の日本でのホリデーを終えてマークがシリンダーズに戻ってきた夜。今度は僕らスタッフ3人に交代で1週間のホリデーを出すのでお店を休んでいいとマークが言い出した。1週間のホリデーと言っても僕もマサヤも学校もあるので、そう簡単にどこかに出かけられるわけではない。それに3人ともシリンダーズからもらう給料で生活をしているので、1週間もお休みはいらないと僕ら3人は口を揃えて断った。

でもマークはその後に追加をするように、自分がいない間の2週間3人ともよくがんばってくれたから1週間のホリデーのうち5日分の給料は店から支給すると言った。僕ら3人はそのニュースを聞いて飛び上がって喜んだ。1週間もお店を休んでそのうえ給料までもらえるなんて信じられなかった。僕らはマークの気が変わらないうちにと、その場でジャンケンをしてホリデーを取る順番を決めた。最初の一人が帰ってきて3日後に二人目がホリデーを取り、二人目が帰ってきてはその3日後に3人目が、というローテーションにすることまでその場で決めた。

ジャンケンで最初にパーで一人勝ちをしたターニーがトップバッター、次のチョキで僕に勝ったマサヤが二番手、そしてジャンケンに負けた僕が最後という順番になった。大声でジャンケンの掛け声をかけながら店内で大騒ぎしていた僕らをマークは微笑ましそうに笑ってみていた。こうしてシリンダーズスタッフ達のホリデーマンスが始まった。僕らは給料付きの魅惑のホリデーをもらえることになったんだ。

最初にホリデーを取ったターニーは一緒に暮らしているコンストラクションワーカーでハードコアサーファーのジェフと一緒にバリ島に旅行にいった。ジェフと一緒にGランドに行ってビーチの目の前にあるバンガローに泊まってワイルドな毎日を送ってきたらしく、すっかり小麦色に焼けた肌で抱えきれないほどの木や竹で作られた民芸品をおみやげに持ってシリンダーズに帰ってきた。そして、たくさんのお土産と一緒に横幅も縦幅も1メートル近くあるキャンバスに描かれた、美しい波の絵を買ってきてシリンダーズのバックルームに飾ってくれた。

マサヤもターニーに影響をされたのか学校にも1週間のホリデー申請を提出して、幼馴染の住んでいるというニューキャッスルまでサーフトリップに出かけて行った。途中、バリナやポートマックォーリーにも泊まったらしく幼馴染との楽しい時間を過ごしたらしい。中でもニューキャッスルでパーフェクトに近いレギュラーのバレルにあたったのが一番の思い出らしく、まだ見たことのない美しい波の写真を何枚も見せて僕とマークを興奮させた。

二人ともホリデーに出かける前とは見違えるようにリフレッシュされて帰ってきた。僕らはサーファーズパラダイスを愛しているし、この街には綺麗な海も素敵な仲間もいる。でも日常の中では味わうことのできない経験や出来事を体験して、二人ともますますキラキラ輝いてシリンダーズに帰ってきた。僕はそんな二人がなんだか羨ましかった。それでも自分はさりとてどこかに出かける計画もないままに明日から始まるホリデーを持てあましていた。

オーストラリアに来てからのこの1年と数ヶ月の間、シドニーからサーファーズパラダイスにたどり着きこの街で暮らし始めて以来。僕はほとんどと言っていいほど遠くにでかけることは無かった。週末を利用して1泊か2泊でバイロンベイにショートトリップに出かけたことはあったけれど、それも1度か2度だった。なにしろこの1年近くビジネスビザを取ることを目標にして働いていたので普通のワーキングホリデーや学生からしたら考えられないほど仕事ばかりしていた。

僕自身、夢に少しずつでも近づいているという感覚が嬉しかったし、どの職場で働いている時も、いろいろな出会いや学びがあり楽しくてしかたなかったからだ。僕がどこにも旅行に行ったことがないことや毎日働いていることを知っていて、口の悪い友達は永住ライフは日本から出稼ぎにきた労働者だとからかわれることもしょっちゅうだった。だから急に1週間のお休みをもらっても正直何をしていいのか分からなかった。学校が終わったら毎日サーフィンをして、それが終わったらおなかいっぱいご飯を食べて夜はシリンダーズに顔をだせれば今の僕にとってはそれが最高に幸せなことだったからだ。

お休みに入る前日の夜もマークやターニー、マサヤに永住ライフは本当にどこにもでかけないのか、せっかくの休みなんだからどこかに行ってこいと最後までさんざん言われた。それでも僕はシリンダーズの仕事が終わると店の前のボトルショップに行って店員のキースと今日の波はどこか良かったとか、明日は南風が吹くからあそこのポイントがいいいかもしれないなんていう、いつもどおりの会話を楽しんで6パックのXXXXビールを買って家に帰った。リビングの電気もニ階の電気も消えていたので、アッキィーはまだ仕事から帰ってきていないことがすぐに分かった。せっかくアッキィーと一緒に飲もうと楽しみにして帰ってきたので僕はちょっと残念な気持ちになった。

最近、アッキィーは仕事場のパラダイスカントリーで新しいガイドの仕事の担当になったらしく毎日遅くまで研修なんかを受けているようだった。僕は右手でポケットの中のキーリングを探しながら、玄関のすぐ脇にあるかなりサビたポストの中に反対の左手を突っ込んでぐるっと中を探りパンパンとポストの底を叩いてみた。いつもならからっぽのポストの底に手があたり何も郵便物が来ていないことを確認してから家に入るのだけれど、今日は僕の左の手のひらにポストの金属の手触りではなく薄い紙の封筒のような感触が伝わった。

何か入っているぞ。何かの請求書かな?このまえ日本から来たちょんか母さんが手紙を送ってくれたのか。そうじゃなかったら定期的にアッキィーに送られてくる日本で帰りを待っているアッキィーの彼女のアミちゃんからかもしれないな。僕はそんなことを考えながら取り出した黄色い封筒が誰宛なのかを確認した。アッキィー宛じゃない。封筒のあて先には僕の名前が書きなぐったような英語の筆記体で書かれていた。かあさんでもちょんでもないな。

それはあきらかに日本人が書く英語の書体ではなかった。ネイティブかそれに近い幼いころから英語を書いていた経験が無ければこんな字を書くことはできないからだ。いったい誰からだろう薄い黄色の封筒をひっくり返して、送り人の欄を見てみると通常書かれているはずの差出人の住所もフルネームも書かれていなかった。そこに書かれていたのはアルファベットがたったの4文字 C L E A だった。

「クレア、クレアからの手紙だ!」

僕は急いで部屋のドアを開け入り口のすぐ近くにあるスイッチをオンにして電気をつけて中に入った。背中に背負っている真っ赤なバックパックを肩から降ろし、リビング脇にある階段の下の荷物置き場に投げようとして、やっぱり思い直してバックパックをそこに投げるのをやめた。今は荷物置きになってしまったその階段の下のスペースは、クレアが僕らの家に住んでいた頃には大きな水色のシーツを上からたらして造られたクレアの寝起きする部屋があったんだ。

でもそれは本当は部屋と呼べるようなスペースではなく、階段の手すりからシーツを下に垂らしてリビングと仕切っただけの1畳か2畳分の広さしかないような空間だった。それでもクレアはそこにベッド代わりのマットレスと、バックパックに詰め込んで持ってきた黄色い花柄の折たたみ式の鏡と、数冊の本と衣服を持ち込んで自分の部屋だと呼んでいた。僕の頭と胸にクレアとの思い出と一緒に、クレアの細く長い髪の香りや、クルクルと良く動く亜麻色の瞳の色が鮮明によみがえった。

クレアとの素敵な思い出と記憶を感じながら、僕の知らないどこか遠くから届けられた手紙の封をそっと切って開いた。クレアがサーファーズパラダイスを旅たってからもう半年近くが過ぎていた。ただの一度も便りが無いのはクレアが元気でいる証拠だと思ったし、彼女の性格を考えれば不思議ではなかった。きっとこの広い大陸のどこかでクレアも同じサザンクロスを見ていると思いながら、夜空を見上げたのは一度や二度ではなかった。

封筒の中から出てきたのは書いてからしばらく出すのをためらって持ち歩いていたのか、少し汚れてしわのある所々文字のにじんだ1枚の手紙だった。

永住ライフへ

ごめんね永住ライフ。私もみんながいるサーファーズの街に帰りたいと思った。
でも、あの頃の私じゃないからあなたがいる場所に帰れない。望んだようにはなれなかったし、行動すればするほど自分が嫌いになった。あの頃、あなたと一緒に見えた青い鷲も私にはもう見えなくなっちゃった。最後にありがとうと、さようならを永住ライフに。

手紙の最後には一度書いた文字を後でこすって消したような跡があった。天井の電気に透かして見たらloveって小さく書いてあるのが見えた。でも、その消されたはずのloveという文字が僕には「助けて」って書いてあるように見えた。

行かなきゃ。クレアに会いにいかないと。

僕は二階の自分の部屋にかけ上がり、この街に、この国にやってきた時に背負っていた大きなバックパックをクローゼットの奥の奥からひっぱりだして着替えや下着を無造作に詰め込んだ。何が必要で何がいらないのかも分からないし判断でもできないからその辺にあるものを適当に詰め込んだ。階段を降りて家の前に停めてある僕の72年製のフォードファルコンに荷物を詰め込んで出発しようとした時に初めて気がついた。僕はどこに向けて走り出せばいいんだろう?クレアの手紙には住所も電話番号もなにも書かれてはいなかったからだ。エンジンをかけた車の中で気持ちだけがあせっていた。僕を呼ぶ声に気がついて振り返ると仕事から帰ってきたアッキィーが驚いた表情で車のすぐ後ろに立っていた。

「永住ライフさん、なにやっているんですか?そんな大きな荷物を車に詰め込んで。いったいどこにでかけるんですか?」

「僕にもよく分からないよ。でも行かないと。今すぐ出発しないともう間に合わないかもしれないんだ。」

「急いで出発しないと間に合わないってことは遠くまでいくんですね。それなら僕の車でいきましょう。永住ライフさんのファルコンじゃそんなに遠くまでは行けないですよ、僕のファルコンで行きましょう。さぁ荷物を積み替えて、どこに行くのか分からないなら寝袋とテントも必要ですよ。それに一番肝心なものを忘れていますよ。一人で出発するなんてひどいじゃないですか。僕も一緒に行きますよ。」

数十分後、僕とアッキィーは北に向けて走り出した。行く先は分からない。でも走り出さずにはいられなかった。

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幸せなオーストラリア永住権への道 225 半人前のスーパーマン

2010-02-18 11:06:54 | Weblog
マークの帰国は母さんたちが帰ってから1週間が過ぎた頃だった。タツヤ君達6人組も日本に帰り、騒々しかった数日間がまるでずっと前のできごとのように感じるようになってきたころマークは大きな荷物と一緒に愛するシリンダーズに帰ってきた。前日に日本から国際電話が入り、エアポートから一度バスで家に帰ってから店に行くので出迎えはいらないと聞いていたので、僕たちは普段通りに店を開けて営業をしながらマークの帰りを待つことにした。

店を空けていた2週間の間に1度も連絡はなかったのに、はじめてかかってきた電話が帰国の前日でしかも迎えはいらないという簡単なものだったのがマークらしいといえばマークらしかった。最初の頃はきっとマークは心配で毎日電話をかけてくるだろうとターニーやマサヤと話していたが、3日たっても1週間が過ぎても何の音沙汰間もないのでマークはもう帰ってこないかもしれないと3人でふざけて話していたくらいだった。

せっかくマークが帰ってくるのだからお店を綺麗にしておこうとターニーが言い出して、僕たちは朝から手分けをして掃除をしていた。ターニーはレディースサイド、マサヤやサーフショップサイド、そして僕は何故かバックルームとお店の外看板とショーウィンドウの係を任せられた。1時間ほどバックルームの整理や床の掃除、そして砂だらけになっていたレンタル用のサーフボードラックを掃除した。そして、折りたたみ式の高い脚立を出してライトグリーンとスカイブルーにイエローのシリンダーズの看板を磨いていると遠くから聞きなれた、あの音が聞こえてきた。

ドゥルドゥルドゥルという低い音、時々不規則にリズムが乱れる独特の排気音。あれを聞き間違えるわけがない。僕は2メートル以上の高さから飛び降りて大急ぎで脚立を折りたたみ店の中の二人を呼びに行った。

「ターニー、マサヤ。マークが帰ってきたよぉ。」

いつものオンボロピックアップトラックがシリンダーズの前に停まり、中から両手に大きな紙袋をかかえたマークが降りてきた。そして、シリンダーズの前で立ち止まってふっと一度看板を見上げるとニッコリと笑った。2週間ぶりに見たマークの顔はなんだか不思議になつかしく感じた。

「おかえりマーク。」「おかえりなさいマーク。」「おかえりマーク。」

「ああ帰ってきたぞ我が家へ。3人とも留守の間、ありがとうな。」

マークがいない2週間のあいだに本当にいろいろなことがあった。レディースサイドのドアを閉めて営業をして商品を盗まれたこと。ターニーに接客を教わったこと。3人で協力して落ち込んだ売上を回復させたこと。タツヤ君達6人組とのサーフィンレッスン。母さんとちょんがサーファーズパラダイスにやってきたこと。テリヤキテキーラナイトでの大騒ぎ、そして寝坊をして母さんたちを見送れなかったこと。タツヤ君達の別れ。店の中に入っても僕はなんだか落ち着かなかった。ターニーもマサヤも同じ気持ちのようでマークが何かを言い出すのを3人とも待っていた。

「この2週間のシリンダーズはどうだった?」

たくさんのことをマークに話したかった。でも何から話したらいいのか分からなかった。だから僕はマークが出発する日に僕に渡してくれたノートをマークに手渡した。マークは毎日の売上とシリンダーズの出来事が書かれたノートをゆっくりとめくりながら、本を読むようにじっくり眺めていた。

「ありがとうな永住ライフ、マサヤ、ターニー。お前たち3人ならシリンダーズを任せても大丈夫だと信じていたよ。正直言ってあと2、3週間は俺がいないほうが繁盛するんじゃないかと思うほどだよ。」

「最後にまとめて売上があがったのは日本から大学生の6人組が来て、サーフボードやウェットスーツをまとめてオーダーしてくれたからだよ。それにボードケースやデッキパットなんかの付属で必要なものも一式買っていってくれたからね。でも、いいことばかりじゃなくて悪い方の報告もしなければならないんだ。マークが日本に行って最初の数日間、昼間は僕が一人で店を開けていたんだけど、その時に店の商品が何点も無くなってしまったんだ。」

「ふーん、そうか。それでお前はどうしたんだ。」

「僕は一人で店を開けるなんて片方のドアを閉めておけば簡単だと安易に考えていたんだ。でも、自分にはまだ分かっていない事がたくさんあることが分かった。だからターニーやマサヤに相談して一緒に考えてもらったんだ。一人でなんでもできれば一人前になったとマークに認めてもらえると思っていたけれど、ターニーやマサヤと一緒でなければ僕はまだ半人前なんだ。でも、もう一つ分かったことがあるよ。3人一緒なら何人分ものパワーを発揮できるってこと。」

「じゃあ、よかったじゃないか。」

「ねぇ、マーク。よかったじゃないかって、店の商品を万引きされているのにそれでいいの。」

ターニーは怒るでもなく大きなブルーの瞳をくるくると動かしながら、驚いた表情をして長い髪を後ろに束ねた。マークがあんまりあっさりと万引き事件について話を片付けてしまったのが、まったく理解できないという様子だった。

「俺は永住ライフやターニー、マサヤを信頼してシリンダーズを任せたんだ。信じて、頼って、全てを任せたんだからそれでオーケーなんだよ。そりゃあ失敗や間違いをやらかすだろうと思ったさ、でも三人でそれを正して協力してやり直すことができるだろうと、そっちのほうを信じていたんだ。」

「だからマークは一度も電話してこなかったのかい?」

マサヤがあごひげを右手の親指で押さえながら、何かを思案するようにマークに言った。

「信頼して任せるっていうのはそういうことだ。それに、本当に困ったことがあったらお前たちのほうから日本にでも電話してくるだろうと思っていたしな。」

「でも、それって不安にならないの?マークにとってシリンダーズはとても大事なものだよね。僕だったら心配で不安でたまらないよ。」

僕はマークの言っていることが言葉の意味は理解できても、その言葉を受け止めることができなかった。自分だったらそんなことはとてもできないと思ったからだ。大切なものほど自分の手でしっかり守って、握っておきたい。

マークはシリンダーズの話をしているはずなのに、なんだか僕は妹のちょんのことと重なって聞こえた。病弱で体の弱いちょんのことを心配して、ちょんが何かしたいと言い出しても、それは危ないからとか上手くいかなかったらちょんが傷つくだろうと勝手に考えて、いつもやめさせてきた。今回のオーストラリアもかあさんとちょんが二人でチケットを取らなければきっとやめさせようとしたはずだ。僕はちょんがやり遂げること、上手くやれることを信じていなかったのかもしれない。

「永住ライフ、大切なものだからこそ信じて手放さなければならない時がくるんだ。だれかが失敗したり間違える経験ができるチャンスをうばってはいけないんだ。それが大切なものでもっともっと成長できると信じているものならばな。」

その時、シリンダーズの店内にふあっと風が舞い込んで僕たちのほほをやさしくなでていった。いつもの海からの潮風と違ってさらっとしていて、どこかとても遠い場所から新しいものを運んできたような爽やかな風だった。

マークは僕たちが失敗することも間違えること分かっていて、それでもそれを乗り越えることができると信じてくれていたんだ。そう思うと、ますますマークが大きく一人前って言葉が遠く感じた。でも、そのおかげで僕は毎日少しずつでも成長して夢に向って進んでいる自分を感じることができるんだ。

「おい、お前らいい風だな。そろそろ季節が変わるぞ。」



そして・・・

その頃、海を隔てた地球の裏がわでは大きな木でできたテーブルの上に今しがた写真屋さんで現像してきたばかりの写真を並べながらちょんと母さんが話していた。

「たのしかったわね、お母さん。オーストラリアの写真が現像できたわよ。にいにいの写真も、シドニーでブルーマウンテンに登った時の写真もあるわよ。」

「ゴールドコーストでは永住ライフやみなさんがお世話してくれたけど。シドニーでは私たち二人でよくあんな場所まで行けたわね。山に登ったり、車を運転したり。」

「私、だってやる時はやるんだから。いつまでもにいにいにばかりに頼っていられないもん。」

「永住ライフは元気かしらね?」

「にいにいはスーパーマンだから大丈夫。ちっちゃな時から私が困っているとすぐに飛んできて助けてくれたもの。いまも夢に向って飛んで行っているよ。だから私もがんばるのいつか誰かにとってのスーパーマンになれるように。」

母さんが窓を開けると、どこからかふぁっと風が入り込んでテーブルの上の写真を部屋の中に舞わせた。遠くから吹いてきたその風はだれかのほほを撫ぜたように、かあさんとちょんのほほもやさしくなでてまたどこかに吹いていった。

「春が来るのね。」

「うん、新しい季節がやってくるよ。」

サーファーズパラダイスにも、母さんとちょんが暮らす日本にも、新しい季節がすぐそこまでやってこようとしていた。

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幸せなオーストラリア永住権への道 224 僕はここに立っているよ

2010-02-04 12:05:28 | Weblog
部屋の中を探しても誰もいないことは分かっているのに、僕は昨日まで母さんとちょんがいた部屋の中で二人を探してグルグルと歩き回った。バスルームのドアを開けて、使った後に綺麗に折りたたまれた2セットのバスタオルとハンドタオルを見たときに二人が遠くに行ってしまったことにハッと気がついた。

僕は部屋を飛び出すと廊下を走り、エレベーターで1階まで降りた。途中、エレベーターの速度がひどく遅く感じて、意味も無く1階の表示ボタンをカシャカシャと何度も押した。

「すいません、703号室にいた日本人はすでにチェックアウトしていますか?」

ハアハアとはずんだ息を切らせながら、両手をフロントデスクの上について尋ねる僕の姿に尋常ではない雰囲気を感じたのか、いつものんびりとしてスノッブな感じがするホテルのフロントマンも急いでパソコンのキーボードを叩いてくれた。

「ミスター、残念ですが二人はすでにチェックアウトしています。何か大切なものでも預けていたのですか?」

「その逆だよ。僕は二人に何も渡すことができなかった。」

僕は立派な木製のフロントデスクに八つ当たりをするようにバスンと叩いた。叩いた手のひらは痛かったけれど、僕自身が自分で心に突き刺した後悔という刃物は手のひら以上に僕の胸を痛めた。どうしていいのか分からずにホテルのロビーをうろついてから、シリンダーズの入り口に面したホテルのもう一つの入り口まで歩いてくると、吹き抜けになった2階部分のエスカレーターからぞろぞろと新婚さんのツアー客たちが降りてくるのが目に入った。

そうだ!

母さんとちょんは団体のツアーで来たわけではないけれど、日本の旅行会社を通してチケットを予約したと言っていたのを思い出した。ホテルの2階にあるツアーデスクに行って理由を話すと、スーツを着た旅行会社の人が何箇所かに電話をして二人がシドニーで泊まることになっているホテルの名前と電話番号を調べてくれた。ありがとうございます。僕は深々と頭を下げ白と赤の看板のツアーデスクを出た。

その日は前日のテキーラが僕の頭の後頭部をずきずきと攻撃して、何をしていても頭がぼんやりとしていた。ターニーやマサヤも昨日のテキーラが残っているようで、楽しかったとはいうものの目の下に軽くクマを作っていた。さすがにタツヤ君達も夕方になるまで店に顔をださなかった。みんなから聞くところによると、僕はあの後も何度も何度もテキーラを飲んで、最終的にはリビングの床に倒れこむように寝てしまったらしい。どうやって二階の自分の部屋まで歩いていったのかを尋ねると、パラカンの怪力ビルが僕を片手で持ち上げるという芸を披露したあとに肩に担いで運んでくれたそうだ。

夜8時を過ぎるとお客さんの入りもほとんど無く、街を歩く観光客もほとんど見えなかったので、ゆっくりと店の中を片付けはじめ閉店時間の9時には外鍵を閉めて家に帰った。アッキィーも同じく二日酔いのようでリビングや台所の中は多少は片付けてあるものの、まだ昨日のクレージーナイトの残骸がそこらにころがっていた。荒れた部屋に電気を付ける気にもならないのか、それともすでに寝てしまっているのかアッキィーは部屋にこもったまま下に降りてはこなかった。

僕もそのまま2階にあがると廊下に置いてある有線の電話をコードを引っ張りながら自分の部屋の中に入った。そして、今朝ツアーデスクの人に教えてもらったシドニーのホテルの電話番号が書かれた紙を後ろポケットから取り出して祈るようにボタンを押した。

「グットイブニング、こちらはシドニーグランドホテルです。」

教えてもらった電話番号が正しかったこと、手書きのメモに書かれたとおりのホテル名の名乗りが聞こえたので僕の気持ちは少しはずんだ。電話に出たホテルマンに僕の名前と母さんとちょんの名前を伝えると確かに宿泊をしているという返事が返ってきた。部屋に電話を繋げてくれるように頼むと、ホテルマンはもちろんと応えてくれた。

ツル、ルルルルルルッルル・・・

何度目かのコールの後に、カチャという誰かが電話にでる音がした。母さんか、ちょんだっ。しかし電話の向うから聞こえてきたのは、さっき電話を繋いでくれると言ったホテルマンの声だった。

「すみません。お客様に繋がらないようなので、また改めてかけていただけますか?」

「繋がらないって、どういうことですか?部屋の電話にうまく繋がらないってことですか?それともまだ帰ってきていないということですか。二人はチェックインをしているんですよね。」

「すみません、繋がらないというのは繋がらないということです。すでにチェックインはされています。お部屋にいらっしゃるか、お休みになられているか、もしくはお出かけになられているかはお客様のプライベートですのでこちらではお応えしかねます。」

結局、その日はもう時間も遅いということもあって電話をかけなおすことはしなかった。早朝にゴールドコーストを出発してシドニーにインしたのだから、ホテルマンが言うように、すでに疲れて眠っているのかもしれないので起こしたらかわいそうだと思ったからだ。次の朝も気をつかって少しゆっくりとした朝食の後をねらって電話をしてみたが、やはり繋がらなかった。ホテルマンの応えは昨夜と同じで、宿泊はしていらっしゃいますがお休みになられているのか、お出かけになられているのかはプライベートということだった。

僕は二人にメッセージを残そうと考えたがホテルマンには日本語でメッセージを伝えることができないし、二人には英語のメッセージを理解することができないので、どうしても中途半端なことになってしまう。母さんもちょんも僕のアパートの電話番号は知っているので何かあったら電話をしてくれるだろうと考えて、あまり二人の行動に固執するのはやめにした。何もしてあげられなくて、最後も見送ることさえできなくて後悔をしていたけど、きっと僕はもう少し母さんとちょんと繋がっていたかっただけなんだ。

それからの二日間、タツヤ君達とサーフィンレッスンをしたりチュックのファクトリィーにオーダーしたボードの途中経過を覗きにいったりして忙しく過ごした。タツヤ君達のゴールドコーストでの時間も残すところあと二日にせまっていたからだ。帰国の前日になってキョーコちゃんやシホちゃんレイナちゃんの女の子達3人もチュックにサーフボードをオーダーすることになり、おまけにサーフボードのデザインにはターニーと一緒に書いた花やイルカのデザイン画を使いたいということになったので、僕はシリンダーズとバーレーのファクトリィーを行ったり来たりした。

別れの際にはサーファーズのバストランジットセンターまでシリンダーズのスタッフ全員にアッキィーにチュック、ノリにジュンまでかけつけてみんなでハグをして手を振って別れた。たくさんの思いでをありがとうと言って6人全員が泣いてくれた。そして、ターニーも一緒になって泣いていた。必ず、また会いにくるからね。またきっと、みんなでサーフィンをしようね。サーファーズパラダイスにシリンダーズに帰ってくるからね。バスの窓に6人がぴったりと張り付いていた。僕らは6人を乗せたバスがゴールドコーストハイウェイの角をまがり見えなくなるまで手を振った。

さよならは、いつもさみしい。また、きっと会える。離れていても繋がっている。そう分かっていても悲しい。母さんやちょんを見送ることはできなかったけれど、今朝と同じようなことをあの朝にしなければならなかったとしたら。僕は何十倍も悲しくて、寂しい気持ちになっていたことに小さくなっていくバスを見送りながら気がついた。

母さん、ちょん、僕はここに立っているよ。
この街で、この仲間達と、今日もここに立っているよ。

世界のどこまでも繋がっている、青い空に向って僕は心の中でそうつぶやいた。


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幸せなオーストラリア永住権への道 223 さよならとテキーラナイト

2010-01-27 23:36:38 | Weblog
今夜のBBQパーティーにみんなで参加をするために、シリンダーズの営業を1時間だけ早く終わらせて午後8時にはお店の前でタツヤ君達6人と待ち合わせをした。あまり遅い時間からのスタートだとみんなおなかが減ってがまんができないだろうし、ちょんや母さんの体の負担と明日の朝6時発のバスで二人はブリスベンエアポートに行かなければならないというのがメインリーズンだった。

いつものパーティーはBYOといって自分が飲む飲み物は自分で持参してくるというスタイルでパーティーをしているが、今回はシリンダーズのスタッフもアッキィーが呼んだパラダイスカントリーのスタッフもそれぞれの仕事が終わってから集まるので飲み物を買いに行ったり用意をする手間を省くために会費制で行うことにするようだった。

ターニーやマサヤ、タツヤ君達といっしょにシェブロンの大橋を一列になって渡っていくと大きな橋の真ん中あたりにさしかかっつたあたりから、僕らのアパートの部屋の前の芝生の敷地に大きな2本のたいまつの炎がゆれているのが見えた。2メートル近い長さがあるそのたいまつは以前、クレアがパイナップルパーティーをした時にホームセンターで買ったものだけれど、ガソリン臭い燃料を染み込ませたりして手間がかかるし、なにしろ周りになんの囲いやカバーもないたいまつの裸火を燃やしているのだから火事にならないように注意をしなけらばならない。アッキィーがそれを持ち出したということは、かなり張り切っているという証拠だった。

僕らのアパートに行ったことがないタツヤ君達でも、夜の大きな紫色の闇を照らすようなたいまつの炎が、みんなを迎え入れるようにゲートになっているのを見れば、今日のパーティー会場がどこなのかはすぐに分かったようだ。

シェブロン大橋を渡り、炎のゲートをくぐりながら僕らの部屋の入り口まで来ると、キッチンで使っているパイプの折りたたみイスに座ったちょんが首から小さな肩掛けの布バックをぶらさげて座っていた。その横にはサーフボードに黄色い画用紙を貼り付けて「本日の会費10ドル+とびっきりの笑顔」と書かれたウェルカムボードが作って置いてあった。これならば英語が良く分からないちょんでもイスに座りながら受付と会計ができる。きっとアッキィーが考えてくれたんだと分かって僕は嬉しくなった。

「いらっしゃい。会計はこちらでお願いしまぁーす。」

「おーいちょん、会計係。今夜は飲み放題の食べ放題なんだろ10ドルってずいぶん安すぎないか?BBQスタッフサイドの赤字になってやしないか?」

「だいじょうぶだよ、にいにい。お肉も野菜もアッキィーさんの知り合いのお店に安くゆずってもらえしたし、ビールだってウィークリースペシャルのものをケース買いしたからびっくりするほど安いんだから。お客さんたちの前でそんなはずかしいこと言わないでよ。それにね、アッキィーさんが教えてくれたんだけど10ドル札には素敵なおまじないがあるんだって。」

「おまじない?」

「うん、おまじない。にいにいはオーストラリアに住んでいるのに10ドル札を見たことないの?」

後ろポケットから財布を取り出してプラスティクでできた10ドル札を広げて見た。それはいつもどおり青いお札で真ん中にパーマをかけた女の人が書いてある何の変わりもない10ドル札だった。10ドル札になんのおまじないがあるんだろう。そう思いながらお札を裏に返してみた。裏側にも帽子のかぶった男の人が書かれているけどおまじないが隠れているようには見えなかった。

「もっとよく見てよ。」

「あっ、ジミーだ。こんなところにジミーがいる。」

「そう、いつもでジミーが一緒だよって。おまじない。どう素敵でしょ。」

目を凝らしてよく見てみると帽子をかぶった男の人の横に、勇ましい大きな馬がカウボーイを乗せて走っている姿が描かれていた。アッキィーのやつずいぶんロマンティックな話をするじゃないかと関心しながら、キッチンの奥で外に向って開け放たれたドアから入ってくる白い煙にすいよせられるようにバックヤードに向った。外に出てみると肉が焼けるうまそうな匂いと油がこげる白い煙に包まれたアッキィーと母さんが金属のトングでソーセージや肉をひっくりかえしていた。

「アッキィーに母さんごくろうさま。ずいぶんといい匂いをさせているし、表のたいまつが目印になって近所の人たちがみんな遊びにきちゃいそうだよ。」

「おかえりなさい永住ライフさん。今日は俺、はりきってますよぉ。今日はテリヤキチキンテキーラパーティーですからね。いや、永住ライフさんのお母さんが50ドルもカンパをしてくれたから今日は調子に乗ってテキーラを2本も買っちゃいましたからね。それはファイヤーも必要ですよ。」

「テキーラは分かるけど、テリヤキチキンっていうのはなんだよ?」

「見ての通りですよ。いつもの何の肉からできているかわからない腸摘め巨大ソーセージだけじゃなくて、今夜はちょんちゃんとお母さんの秘伝のたれにつけこんだテリヤキチキンBBQですよ。永住ライフさん家庭の味が懐かしすぎて泣いてもいいですよっ。アッチチ!」

すでにビールを2、3本飲んだのかやけにテンションの高いアッキィーがソーセージの代わりに自分の指をグリルで焼いたころチュックにジュン、ノリ、そしてパラダイスカントリーのスタッフ達もめずらしく時間どおりに集まってきた。子供用のビニールプールに氷をつっこんでビールを浮かべたビアプールから、みんなにビールをまわしチュックの掛け声とともに乾杯をした。今夜のパーティーは人数も多すぎず、それぞれがバラバラになることなく一つの輪のようになってもりあがっていった。

ちょんと母さんが漬け込んだというテリヤキチキンはパラダイスカントリーのスタッフやチュックやマサヤ達のオージーガイにも人気で、みんなうまいうまいと喜んでたべた。あんまり勢いよく食べ勢いよく飲むので最初はテンションの高かったグリルオーナー役のアッキィーは飲んだビールが全部、汗になって流れていきパーティーの中盤の頃にはアルコールもすっかり抜けぐったりとし始めていた。

おもえばこの頃まではたいしたハプニングや酔っ払いも登場せずにわき合い合いとしたオージースタイルの和やかなBBQパーティーだった。ちょんも母さんもタツヤ君も女の子達もみんな異国の地での楽しい一夜をゆったりと楽しんでいた。しかし、この後BBQと格闘しすぎて一人だけテンションが下がり気味になったアッキィーが持ち出したショットグラスとテキーラのおかげで一気にクレージーナイトがはじまってしまった。

「テキーラ飲む人、手をあげてぇ。」

アッキィーが叫ぶとパラダイスカントリーのスタッフの怪力ビルが手を上げた。次に誰も手をあげるものがいなかったのを見計らってチュックが手を上げると師匠だけに飲ませてはいけないとジュンが手を上げる、親友のジュンが飲むならとノリが大声で叫びながら手を上げると、それなら俺もとブーが手をあげる、ブーが飲むなら俺たちも飲まなきゃとタツヤ君とシューイチ君も手を上げる、手をあげていない男が少なくなるとマサヤもなんとなく手をあげた。そして仕方なく僕も手を上げた。

「おーしっ、それじゃあ男は全員テキーラ!」

アッキィーが用意していたテキーラの音楽を大音量でかけはじめた。チャッチャッチャッという軽い音とうねるような陽気な低音が部屋に響き、ショットグラスになみなみと注がれたテキーラがリビングのテーブルの上に用意された。

「よっし、じゃあ2回目のテキーラの掛け声に合わせていくよ。」

チャチャチャッ テキーラ

「テキーラ!」「テキーラ!」「テキーラ!」

男だけの野太いテキーラの掛け声が部屋中で聞こえ、一気にショットグラスのテキーラを飲み干したみんなのウェーとかウォーとかいう叫びごえと一緒に、空になったガラスのショットグラスをテーブルの上に叩きつけたカーンという音がなった。そしてテキーラの音楽はまだ続いている。

「それじゃあ、また飲む人!」

今度はターニーが手を上げると、キョーコちゃんやシホちゃんレイナちゃんの大学生三人組が手をあげた。さすがに母さんとちょんはつられることなく手をあげなかったので安心しているとターニーが飲むんだから永住ライフとマサヤはシリンダーズのスタッフ仲間なんだから飲めとチュックがおもしろがって言った。それならチュックもシリンダーズのスタッフではないけれどシェーパーなんだから飲めと僕は言い返した。結局、ジュンとノリもそれに混ざって2回目のテキーラをした。それに続くようにパラカンスタッフテキーラ、日本男児テキーラ、オージーガイズテキーラが続いた。

テキーラ、テキーラ、テキーラ、テキーラ、テキーラ何回目のテキーラなんだろう。僕はぼんやりしとした意識の中で眠い目をこするけどなぜだか目があけることができない。

「永住ライフさん、やばいです!」

アッキィーが僕の体をゆすり起こした。イタタッ頭が痛いし胸のあたりが焼けたように気持ちが悪い、いったい何が起こって僕は何をしているんだろう。現状が把握できるまでの数秒間が何十分かのように長く感じられた。正気に帰ると僕はなぜか自分の部屋のベットの上でひっくり返っていた。

「今、何時だっ?」

「すいません朝の8時です。」

なんでこんなことになったのか、あの後何が起こったのか、アッキィーに聞いている時間はなかった。僕はベットから飛び起きて階段を一気に駆け下りてその辺にころがっていた誰かの靴をはいてシェブロン大橋をサーファーズの街に向けて走った。

ちょんと母さんが泊まっていた部屋に付いた時、鍵は開いたままでドアを開けると中には誰もいなかった。母さんとちょんのバスは6時発のブリスベンエアポート行きだった。

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幸せなオーストラリア永住権への道 222 あなたのおかげです

2010-01-13 12:08:04 | Weblog
試乗用のサーフボードを持ってきてくれたチュック、チュックのサーフボードに試乗するのとサーフレッスンを受けにきたタツヤ君達6人組、そして僕の職場に来てみたいと言ってきかなかった母さんと妹のちょんとその引率のアッキィーが一度に表れて、シリンダーズの店内はそれぞれが勝手に思い思いに行動をしてまるで中学校の昼休みの教室のような騒々しさだった。

チュックと母さんはアッキィーのおかしな通訳士を間に挟んで、永住ライフがお世話になってすみませんとか、永住ライフをお願いしますとか、あいつは見所のあるやつだとか、マークも永住ライフを信頼しているとか、なんだか聞いていていごごちが悪くなるような会話を続けている。タツヤ君とシューイチ君はチュックの持って来たバレルブランドのサーフボードを見て表に返したり裏にしてみたり上下に反転させてみたりしているし。キョーコちゃん達女の子はターニーを呼んできて女子が一緒になってちょんになにやら話しかけている。

僕はあっちを見てもこっちを向いても落ち着かず、3箇所に別れた話の輪の中心をグルグル周りながらちょこちょこと話しかけては、また次の輪に進んでいた。僕が2周と半分を周った頃、マサヤが僕の肩をポンポンと叩き手招きをして騒々しいメリーゴーランドの中心から僕を引っ張り出した。

「おい、永住ライフ。この際だからまずはお前の母さんと妹さんをちゃんとみんなに紹介して俺たちのことも紹介したほうがいいんじゃないか。そうすれば俺が二人の相手もできるし、アッキィーもいるんだからなにもお前がスシトレインみたいにくるくる周っている必要もないだろ。店のことや他の誰かのことはよく気がつくのに、なんで家族のことになるとそんなに落ち着かないんだよ。」

「ああ、そうかそうだね少し落ちつかなきゃ。一番、大切なことを忘れていたよ。まずは自己紹介だ。みんなに母さんとちょんを紹介しなきゃ。」

僕はかあさんとちょんの腕をとってカウンターの前に二人を連れてきた。身内を紹介するなんて裸を見られるような恥ずかしさがあったが、みんなの前で母さんとちょんを紹介した。日本の東京から1週間の予定でオーストラリアに遊びにきていることや、明日の朝にはシドニーに出発すること、二人とも英語は得意ではないけれどツアーではなく二人で飛行機に乗ってここまでやってきた事なんかを話した。それから二人に日本語でいいからと言って一言づつ挨拶をしてもらった。

ちょんは恥ずかしがって自分の名前を言って、よろしくお願いしますと簡単に挨拶したが、かあさんは永住ライフの母であることと、永住ライフをお願いしますと言うとみんなに深々と頭をさげた。母さんがあんまり深くお辞儀をするので思わずその場にいた全員がそれに巻き込まれるようにぎこちない雰囲気でお辞儀をしてかえした。このオーストラリアゴールドコーストでお辞儀をするなんて、かなり場違いな気がして驚いたし僕は正直恥ずかしかったけれど、チュックが突然、拍手を始めると母さんとちょんに向ってみんなが拍手をしてくれた。母さんはみんなにまた何度も頭を下げていた。

今度はチュックから順番に、マサヤとターニーというようにシリンダーズのスタッフを紹介した。チュックはまたかまわずに英語で母さんとちょんに向ってしきりに僕のことを褒めてくれた。僕がはずかしくて日本語に訳せずにいると母さんとちょんの隣に立っているアッキィーが二人にだけ聞こえる声のトーンでそれを訳して伝えてくれた。かあさんはそれをとても嬉しそうに聞いていた。マサヤは永住ライフとシリンダーズで仲間として出会えたことに感謝しているし誇りに思っていると言ってくれたし、ターニーは永住ライフは大切な仲間であると同時にこの店のマネージャーでここにはいないけれど、オーナーのマークがいたら二人を誰よりも歓迎していたはずだと言ってくれた。

チュックが早口で最後に僕にも何か言えと叫んだので、僕は何を言おうかと一瞬思案したがあんまり自分の心を感じると気持ちが抑えきれなくなって涙がでてきてしまいそうだったので、心の中にあることを簡単に話してその場を終えることにした。

「みんな、ありがとう。えーと、僕のかあさんと妹です・・今は離れて暮らしているけど僕の大切な家族です。そして、ここにいるのは・・・僕の大切な仲間です。ありがとう。」

チュックが手を叩き拍手をすると、またみんながそろって拍手をしてくれた。母さんもちょんもとても嬉しそうに笑っていた。かあさんは嬉しすぎてポケットから折りたたんだ真っ白なハンカチを取り出して目のあたりを押さえていた。その瞬間、僕の気持ちの表面を覆っていたはずかしいという気持ちが綺麗に流れ落ちて心の内側に隠れていた素直な感謝の気持ちが表れた。

かあさん、重い荷物を両手に持ってわざわざオーストラリアまで会いに来てくれてありがとう。僕の好きなものを覚えていてくれて、僕を喜ばそうと買ってきてくれてありがとう。仕事を優先しないさいと言ってくれたり、体を気遣ってくれてありがとう。僕のために何度も何度もみんなに頭をさげてくれてありがとう。就職したばかりの会社を辞めてオーストラリアに行くことを応援してくれてありがとう。僕を信じてくれてありがとう。僕を生んでくれて育ててくれてありがとう。今、僕がオーストラリアで素敵な仲間に出会えて夢に挑戦することができるのは、母さんあなたのおかげです。ありがとう。ありがとう。ありがとう。

たくさんのありがとうが後から、後からでてきて止まらなかった。
僕の眼からも涙が溢れたので、急いでTシャツの腕の裾で拭いて、僕は叫んだ。

「みんな、ありがとう。シリンダーズ今日もオープンです。営業再開します!」

僕はパーンと手を叩き自分の気持ちを切り替えた。まだ泣いているのには時間が早い、タツヤ君達にチュックを紹介してサーフボードを見せてあげたいし、みんなにサーフレッスンもしたい。気にいって喜んでくれるならチュックのサーフボードを日本に連れて帰ってサーフィンを続けて欲しい。今日もシリンダーズのスタッフとして仲間達と一緒にたくさんの人に喜んでもらって売上も上げたい。

「えー、みなさん永住ライフさんが言い忘れたことがあるので僕アッキィーからお知らせします。今夜はここにいる永住ライフさんのお母さんとちょんちゃんのサーファーズパラダイスのラストナイトです。今から僕達、3人で準備をして今夜は僕らの家でBBQパーティーを開催します。全員、参加でよろしくです。」

タツヤ君達6人組が手を叩き、口々に歓声を上げ、チュックやターニーマサヤもニッコリと笑いパーティータイムがやってくることを予感させた。シリンダーズの雰囲気が今度は喜びのシャンパンをかけあったような幸せな喜びに包まれた。


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幸せなオーストラリア永住権への道 221 バケツの水

2010-01-06 23:19:16 | Weblog
ちょんと母さんが準備を手伝って、今夜僕らのアパートでBBQパーティーをする。2週間前から考えたらちょんとかあさんがオーストラリアに来ることさえも考えられなかったのに、二人がアッキィーといっしょとはいえ僕が仕事に行っていない間にBBQの準備なんて本当にできるのか僕はとても不安だった。かあさんは主婦で料理を作るのは慣れているけれどなにしろここは慣れないオーストラリアだし、ちょんにしてみれば普段体調の悪い時は外にでることさえ大変な時があるのに。

そのうえ、母さんは最後にどうしてもシリンダーズに来たいといってきかなかった。僕は仕事をしているし二人が来ても相手をすることもフォローしてあげることもできないからやめたほうがいいと言った。

今日はタツヤ君とシューイチ君がオーダーでサーフボードを注文するかどうか迷っていると言ったのでチュックにシリンダーズに来てもらって二人と話をしてもらうことにもなっているし、その後でサーフレッスンをすることにもなっているからだ。けれども邪魔はしないしスタッフのみなさんに挨拶をしたらすぐに帰ると母さんが言うので、僕はそれ以上断ることもできずに二人に都合がいい時間にお店に来るように言って昨夜はホテルの前で別れた。

今朝、仕事に来る前にリビングのソファーでいつものように子供用のテレビプログラムを見ていたアッキィーにちょんの病気や体調が悪くなるのが心配だと相談すると、アッキィーがお昼過ぎに二人をホテルまで迎えにいって、無理がないように楽しみながら準備をすると言ってくれたので少しだけ安心した。

僕は頭を仕事モードに切り替えて、シリンダーズのスタッフとしての仕事に集中することにして家を出た。マークが日本に行ってから最初の数日は僕の失敗で売上は半分以下に落ち込んでいたが、ここ数日の間はターニーとマサヤががんばってくれたおかげと、タツヤ君達6人の売上のおかげもあり通常の売上をキープすることができていた。ウェットスーツの時のようにまとめてサーフボードもオーダーしてくれるようなことになれば、かなりの売上が期待できる。

タツヤ君たちが日本に帰ってからもサーフィンを続けるのならウェットスーツもオーダーしたことだし、必ずサーフボードが必要になる。それならば日本の3分の一以下の値段で帰うことができるここオーストラリアで買ってかえったほうが絶対にお得だし、どうせならチュックのサーフボードを使って欲しいと思った。チュックが前回、北海道の牧場から来ていたヒロ君のために日本の波用にシェープした板はかなり調子が良いようでヒロ君の地元のサーファー仲間からもFAXでオーダーを頼まれたほどだった。きっとチュックならサーフィンの世界に入ってきたばかりの二人にも素晴らしいマジックボードを産み削ってくれるはずだ。

タツヤ君達との待ち合わせは午後1時、チュックとの待ち合わせはそれより30分早い12時半だ。よく言えばおおらかで悪く言えばルーズなオージーの性格にチュックも例外なくあてはまり約束の時間には大抵遅刻をしてくるからだ。それでもチュックは車の荷台にタツヤ君とシューイチ君が試乗できるようにバレルブランドのノーズがファットなサーフボードを2本積んでやってきた。僕も以前、バレルの同じタイプのサーフボードに乗せてもらったことがあるが波を取りテイクオフするスピードはロングボードのように速く、そして波の上に乗った感覚は雲の上を滑るように気持ちが良かった。

「おーい永住ライフ。今日はビギナーでもサーフィンを楽しめるマジックボードを持って来たぞ。海の女神に招待されたラッキィーな日本の若者はどこにいるんだ。」

「ありがとう、チュック。それがまだみんな来ていないんだ。すぐに来ると思うから、店の中のイスにでも座ってちょっと待っていてよ。」

「マークの奴がいないシリンダーズはなんだか若者の勢いが充満しているようで気持ちがいいな。まぁ俺が来て平均年齢をまたぐっとあげちまっているが。マークがいなくてもなんとか店は回っているのか?」

チュックが車の荷台からサーフボードを降ろすのを手伝っていると、後ろから大きな声でよびかけられた。弾むような笑い声と呼び声に振り返るとタツヤ君達がちょうど店の前の横断歩道を反対側から渡ってくるところだった。

「永住ライフさーん。こんにちはー、今日もよろしくお願いします。」

シューイチ君とタツヤ君が走ってきてサーフボードを降ろしている僕からサーフボードをあずかるように手を貸してくれた。その後ろからキョーコちゃん達女の子3人とブーがニコニコと笑いながら手を振って歩いてきた。チュックはそんな6人組と僕の顔を交互に見ると唇の端をくいっと上に引き上げてニッコリと笑った。

「おいおい、永住ライフ。マークがいないほうがシリンダーズは繁盛しているんじゃないか?それにやっぱり若者の勢いが充満しているな。」

「まぁ、今のところはオーケーかな。でも、まだまだ十分じゃないよ。」

チュックとタツヤ君達6人がサーフボードサイドに入り、店の中央にあるサーフボードラックにバレルブランドの板を置いてやっと落ち着いたかと思ったころに、店の入り口から今度はアッキィーが僕を呼ぶ声が聞こえて振り返った。

「永住ライフさーん。お母さんとちょんちゃんをお連れしましたよぉ。さあさあ、お母さんもちょんちゃんも遠慮しないでもこっちに来てください。ここが永住ライフさんの職場ですよ。あれ、チュックまで来てなんだか今日は大賑わいだな。この時間はいつも暇な時が多いのに。」

「えー永住ライフさんのお母さんがきたの?永住ライフさんの家族もオーストラリアに住んでいるの?」

「まじっすかぁ、永住ライフさんのお母さんと一緒にいる人ってもしかして永住ライフさんの彼女さんすか?」

「永住ライフさん、紹介してくださいよ。」

それは静かな海に修学旅行の団体がバスで乗り付けてきたかのような賑やかさと騒々しさになった。みんなが日本語で話しているので状況が飲み込めずにどうしたものかと僕の顔を覗き込んだチュックに、あれは僕の母さんと妹だと説明をすると、チュックまでがイスから立ち上がり店の入り口でこちらに軽く会釈をしている母さんとちょんのところに歩いていって英語で挨拶をして笑いかけている。

チュックは英語で話しているので母さんとちょんにはチュックが何をいっているのか分からないはずなのに母さんは日本語でチュックにいつも永住ライフがお世話になっていますとか言いながら頭を下げながら挨拶を始めた。そんな様子を見たアッキィーがチュックと母さんの間に立ちおかしな同時通訳を始めた。

シリンダーズの中はいっきにバケツの水をひっくり返したような大騒ぎになった。



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幸せなオーストラリア永住権への道 220 ジミーが言うなら大丈夫

2009-12-31 00:13:49 | Weblog
パラダイスカントリーに着くとアッキィーは真っ先に僕らを事務所に連れて行って、牧場の仲間に紹介をしてくれた。スタッフのみんなはそろそろ午後のショーが始まる忙しい時間なのにもかかわらず、その場にいた全員が母さんとちょんに握手をしてくれたり挨拶をしてくれた。中でも羊を片手で持ち上げることで有名なビルは誰が教えたのかしらないが、日本語でこんにちは、ありがとう、そしてきれいですね、を連発して僕らを笑わせてくれた。

スタッフのみんなへの挨拶が済むと、アッキィーの親友である長老馬のジミーに会いに行った。僕にとっては数ヶ月前にパラダイスカントリー、略してパラカンに来てジミーを紹介してもらっていたので久しぶりの再会だった。あの時は初めて馬に触らせてもらったし少し怖かったけれど、今ならジミーとも仲良くできそうな気がした。

厩舎の脇にあるワインを貯蔵しているような茶色い木でできた樽を半分に割った水溜めの前に、長老馬のジミーと牧羊犬のスティッフが仲良くたたずんでいた。アッキィーがやってきたことに気がつくとスティッフは走ってきて白い毛をひらひらとさせながら僕らの周りを嬉しそうにくるくると周った。母さんとちょんがスティフの突然の歓迎に驚いて立ち止まると、アッキィーが自慢のカウボーイハットを脱いで大丈夫だよと言いながらちょんの頭にかぶせてくれた。

「おはよースティッフ、ジミー。永住ライフさんとそのお母さんと妹だよ。二人とも永住ライフさんを覚えているだろ。」

スティッフは僕の前でピタッと止まるとワンと小さくほえ、長老馬のジミーは「おお、よく来たな永住ライフ。」と言うかのように、ぶしゅーと鼻息を出すとフンフンとその長い頭を上下に動かして挨拶をしてくれた。

「アッキィーさん、すごい。スティッフもジミーも人間の言葉が分かるの?」

「うん、言葉で通じているのかは分からないけど、心の中で思っていることならジミーにもスティッフにも伝わるよ。僕にも二人が感じていることは伝わるし。ジミーとスティッフがお母さんとちょんちゃんに挨拶をしたいって。」

母さんはスティッフの前に向き合うと屈みこんで白い頭をやさしく撫ぜた、スティッフは嬉しそうにハアハアと息を弾ませながら舌を出して笑った。長老馬のジミーは母さんとちょんが傍に近づくと、少し頭をななめに傾けて長い首をぐいっともたげて二人に顔をちかづけた。アッキィーがちょんの手を取って、ジミーの首のあたりにそっと乗せ上下に動かすとジミーは気持ちよさそうにゆっくりと目を閉じた。

その後、怪力ビルの羊の毛狩りショーを見て、カウボーイの投げ縄のショーも見たけれど、ちょんは他のどんなショーよりもジミーといることが気にいったようでパラカンを出るまでずっとジミーの傍を離れなかった。あんまり楽しそうに、うれしそうにしているので僕らと母さんはじゃまをしないように厩舎の出口にある木の下の芝生の上で寝転んで空を見ていた。


「嬉しかった。ジミーが大丈夫だよって、なんでもやってみなさいって。」

パラカンからシェブロンの僕らのアパートに帰る車の中でちょんが突然にそう言った。

「えー、ちょんもジミーの言葉が分かるの?ジミーやスティッフと話せるのはアッキィーだけじゃないんだ。」

「そう大丈夫。ジミーが言うなら大丈夫。なんたって、ジミーはパラカンで一番の長老馬だからね。」

母さんと僕にはちょんとアッキィーが言っていることは良く分からなかったけれど、なんだか僕らまで不思議とジミーが言うなら大丈夫な気がしてきて嬉しくなった。ジミーが言うなら大丈夫、ジミーが言うなら大丈夫、僕らは嬉しくなって大声で繰り返してみんなで笑った。助手席の窓を開けると草と土と緑の香りが風にのって走る車内に流れ込んできた。

シェブロン大橋のたもとにある僕とアッキィーのアパートは木造の古い建物で、1階と2階がある日本で言うメゾネットタイプのアパートだ。部屋の玄関の前には芝生と古いレンガで作られたパーキングプレースがあり、一間続きのリビングとキッチンの奥には洗濯小屋のあるバックヤードがついている。言葉にするとなんだか、とても素敵で高級な場所に聞こえるけれど簡単に言えば外国の古いボロ屋だ。

それでも海やサーファーズパラダイスの中心部まで歩いて5分程度だし、家の造りやたたずまいなんかも絶対に日本にはない造作で、いつか見た外国の映画の中で暮らしているようで僕もアッキィーも気にいっていた。ソファーやテーブルなんかの家具もサルベーションアーミーという日本でいう救世軍のバザーで5ドルや10ドルで買ってきたリサイクル品ばかりだ。そんな僕らの暮らしを母さんやちょんにも見せてあげようと思ったんだ。

家の前のパーキングプレースに車を停めて、水色のペンキがところどころ剥げ落ちた木製のドアを開け母さんとちょんにリビングに入ってもらうと、二人ともすごくめずらしいものを見る時みたいにいろんな場所に視線を動かしていた。
「こっちがリビングで奥がキッチンだよ。ちょっとこっちに来て見てみてよ。このアパートはとても古いけれど裏庭までついているんだよ。」

「へー、すごいねぇ。造りは古いけれどいかにも外国ってかんじの部屋だよね。お母さんもこっちに来てにいにいとアッキィーさんの自慢の裏庭を見てみようよ。」

「そうそうお母さんもどうぞどうぞ。まぁ自慢っていうわけじゃあないんですけれどね。いつもでもBBQなんかができるようにBBQコンロとイスやテーブルをセットしてあるんです。オーストラリアでもこのあたりはほとんど雨が降らないんで外に出したままにしていても、それほど汚れないんですよって、あっそうだ!ねぇねぇ永住ライフさん、俺いいこと思いつきました。明日の夜、久しぶりにBBQパーティーをやりましょうよ。お母さんやちょんちゃんのゴールドコースト最終日でしょ。ついでに昨日の6人組も呼んで上げればいいじゃないですか。ホラ、大学生の6人組。よーし、どうせやるならパラカンの仲間も呼んでやるかなぁ。」

「アッキィー、BBQパーティーを母さんやちょんのために企画してくれるのはすごく嬉しいけれど、僕は明日は仕事だから一緒に準備はできないけれど大丈夫?」

「そうかぁー永住ライフさんは仕事を休めないですもんね。やっぱり一人で準備となると難しいですかね。」

「私手伝う。アッキィーさんと私で準備をすればBBQハパーティーできるかな?」

ちょんが突然、教室で手をあげる子供のように天井に向けてまっすぐ手を伸ばしながら叫んだ。あまりにも曇りの無いまっすぐな視線で見つめられてアッキィーも少しびっくりして驚いているようだった。

「うん、ちょんちゃんが手伝ってくれるならきっとできるけれど・・でもゲストにそんなことさせたら申し訳ないよ。」

「ううん、私やりたいの。明日はにいにいもお仕事があるし、おみやげや買い物を買うのはシドニーに行ってからでもできるでしょ。オーストラリアでBBQパーティーの準備をするなんて、今しかできないもの。ねぇ、いいでしょにいにい。」

今までのちょんの体のことを考えたら大勢の食べ物や飲み物を買いに行ったり、料理の下準備をしたり、BBQの準備なんて本当にできるのか僕は心配になった。無理をして、また倒れてしまったり体調が悪くなったらどうしよう。第一、アッキィーがついているとはいえアッキィーはちょんの病気のことをよくは知らないし、ちょんにそんなことができるのだろうか。考えれば考えるほど心配になった。できればやらせたくない、心配と不安だけが先にたって僕はそう思った。

「うーん、体調が悪くなったら困るしせっかくゴールドコーストまできたんだから明日は母さんとどこか遊びに行ったほうがいいんじゃない。色々、楽しいツアーもあるだろうし。」

僕は困って母さんに助けを求めた。あまり強く否定することはしたくなかったし、ちょんの体が心配なのは僕よりも母さんのほうが心配しているはずだし、ちょんが体調が良くないときに苦しんでいるのも僕より知っているはずだから。でも母さんは僕の期待とはまったく正反対のことを言い出した。

「アッキィー君に教えてもらいながら、いっしょにBBQの準備をしましょう。母さん、もうゴールドコーストで行きたい場所は一ヶ所しか残ってないし。それにジミーも大丈夫って言っていたでしょ。だから、きっと大丈夫よ。」

「なんだよ母さん、ジミーも大丈夫って。本当に大丈夫なの?それに最後に行きたい場所ってどこなのさ。」

「母さんが一箇所だけ最後に見てみたい場所は、永住ライフあなたが働いているお店だよ。」

BBQパーティーのことも、母さんがシリンダーズに来たいと言い出したことも僕には予想不可能なできごとでどうしたらいいのか分からなくなった。僕は眼を閉じて長老馬のジミーの長い顔を思い出した。ジミー本当に大丈夫なのか?


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