乙一の『GOTH』を読みました。 図書館で借りたものです。 借りてみるまでこのタイトルをどう読むのかわからず、「ジー・オー・ティー・エイチ」だと思っていました。 これで「ゴス」って読むんですね。 「ゴスロリ」とかのゴスです。
GOTH的嗜好をもつ主人公と、クラスメイトの森野。 ふたりはその嗜好ゆえに、異常な事件へと巻き込まれることになる。
簡単にいうとそんな内容です。 長編小説だと思っていたのですが、主人公が同じ短編小説でした。 ミステリ仕立てにはなっていますが、それよりもこの『GOTH的嗜好』が印象的な作品です。
ちなみに作中でのGOTHの定義は『処刑道具や拷問の方法、殺人者の心など、人間の暗黒部分に惹かれる者』と記されています。
猟奇的な殺人の描写とかあるのですが、主人公はそれを好ましく感じていたり、殺人者にたいして畏敬の念を感じたりしています。 そういう人を主人公にして、それがどう感じ、どう動くのかを文章にしているということ、つまり「普通じゃない感性の主人公」を描いているところは型破りで面白いです。 そういう意味では興味深い作品です。
ですが。 万人受けはしないと思います。 ふつう人は、主人公なり語り手なりに(多かれ少なかれ)感情移入しつつ物語を読み進めていきます。 いくんちゃうかな? ともかく私の場合はそうです。
しかしこの作品の主人公たちには感情移入がむずかしいです。 「こういう嗜好の人はこういう考え方・行動をするんだな」というのは理解できるのですが、気持ちの上で共感できません。 読んでいてなんともチグハグに感じる作品だといえます。
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