●WEB版 ECOさんが帰る場所⑦
◆みんなが集える、オアシスハウス。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
●大人気ドラマ 『北の国から』 を通じ
全国に名を知られた美しい田舎町、富良野。
第7回目の “ecoさん” の舞台は、
その高台に建つ 山荘 『春の樹』 。
知る人ぞ知るお宿 兼 ご自宅です。

●おぉ!
さすが普通の個人宅とはチョット一線を隔す風格の、
大きなおうち!
「おじゃましま~す♪」 と扉を開けると…

うわ~ひろ~~~い!!!
天井もたか~~~い!!!
家主の名田道子さんと
元気な植物たちのウエルカムスマイルに導かれ、
“春の樹” の内側に上陸です。
●道子さんに
“さりげなくくつろいでいるポーズ” を取っていただいて (笑)、
まずは1Fのリビング全体を撮影。
どうです? この開放的な間取り!
やっぱり “山荘” だけあって、
一般家庭とは違うダイナミックデザインですね~

化学物質が染み込んでいない道産無垢材が
ふんだんに使われた空間だから、
本当に “樹の内側” に入り込んだような安心感です。
●暖炉風スペースの中にあるのは、
薪ストーブより簡単に火がつけられて、
薪ストーブ級に強力な暖が取れる 「ペレットストーブ」。
接着剤などは一切使用せず、木屑を圧縮して作った
“木質ペレット” が燃料だから、焚けば焚き火のい~い香り。
暖炉のような炎と温もりを楽しめるから、
冬にこの宿を訪れる人々も、きっと大喜びですね。

●一般家庭はもちろんのこと、自然素材のお宿やお店は、
それだけで癒しへの配慮がある、ということ。
居るだけで五感が自ずとリラックスしてきて、
呼吸が深~くなる気がします。
●壁も、自然素材の “珪藻土”。

植物の繊維を土に混ぜた “呼吸する壁” だから、
湿気や匂いを室内に溜め込むことなく、
室内環境をちょうどいい状態に調湿・調整してくれちゃうのです。

●こちらは、2Fの吹き抜けスペース。
大きな窓の向こうには、富良野を囲む山々の眺望が。
●廊下の先、はしごの向こうに並ぶ
お客様用の個室の扉を開けると……

自然素材の壁と無垢材の温もりに満ちた、
ゆったり静かなプライベート空間が。

扉の外のダイナミックな間取りとは一味違った、
ちょっとロマンティックな、落ち着いた雰囲気の空間ですね。
優しい光に包まれて、あ~気持ち良さそう!
こんなお部屋で眠ったら、
いつまでも寝坊してしまいそうです(笑)

この規模の山荘やペンションには珍しく、
なんと個室内に洗面とトイレも完備。
小さなお子さん連れや、お年寄りでも安心ですね。
●ヤヤッ?! はしごの先にも扉を発見!

この扉の奥には、
天井は低いものの広々とした屋根裏スペースが広がり、
お客さんが多いときは、ここも
“ひときわ落ち着く個室” になるとか(笑)。
子ども達や冒険気分を味わいたい方には、
うってつけのプライベートルームですね。
●そして…… ジャジャーン!
こちらが、「春の樹」 いちばんの贅沢空間 “VIPバスルーム”。

山々を見渡す贅沢な眺望を楽しみながら、
誰にもジャマされることなく
くつろぎのバスタイムを堪能できるデザイン。
家族やお友達とワイワイ入るお風呂もいいけれど、
自然の風景と2人っきりで過ごすバスタイムも、
ちょっとした非日常ならではの
至福のヒーリングになることでしょう。
●そして、こちらが、“みんなのキッチン”。

“春の樹” はB&B(ベッド&ブレックファースト)形式の山荘で
朝食は付いているのですが、昼食と夕食は自炊式。
いろんな食器や調理道具を自由に使えるので、
近所のスーパーや農協で地元の新鮮食材を調達すれば、
クッキングも存分に楽しめます。
●コーヒーメイカーも常備してあり、
コーヒー・紅茶は、いつでもフリー。

『春の樹』 いちばんの絶景が楽しめるこのパノラマリビングで、
コーヒーを飲みながら読書したり、
お酒を飲みながら語り合ったり、
訪れるお客さんたちは思い思いの出逢いに満ちた
“富良野タイム” を楽しんでいるとのこと。

「私もね、この部屋のこの位置で椅子に腰掛けて
山々を眺めるのが、いちばん好きなんです。
季節ごとに風景の変化が楽しめて、
ちっとも飽きないの。
読書も好きだから、ここでコーヒー飲みながら本を読んで、
いつのまにかウトウト寝ちゃったりね(笑)」 と道子さん。

●ずっと愛媛で暮してきた道子さんが
この家に暮すようになって、来年で10年。
何でまた、この北の大地で
山荘を営むことになったんですか?
「ミイラ取りがミイラになっちゃったの。
一番下の子どもが、 『ちょっと行ってくる』 と言って
富良野に行ったきり帰ってこないので様子を見に来たら、
すごくいい所でいっぺんで好きになっちゃってね(笑)。
遊びに来た親戚たちも気に入って、
『みんなの別荘を作ろう』 ってことになったんです」
●道子さんが住み込み管理役を担うその別荘は、
自然と友人知人の宿泊も受け容れる紹介制のB&Bに発展。
・心身ともにくつろげる自然素材の空間
・落ち着きと開放感に満ちた設計デザイン
・充実した快適な設備
・アットホームな雰囲気
……と4拍子揃ったエコホテル級のこの山荘の噂は
一度泊まった人々を通じてクチコミで広がり、
不景気の今も、冬はことさらウインタースポーツを
楽しみに来るお客さんで賑わうとのこと。
10人以上の宿泊も可能で、この9年間の間には、
さまざまな出会いも生まれているそうです。

●お話を伺いながら、
こんな贅沢空間がご自宅とはうらやましい!
と思うと同時に、
コミュニティの大切さが叫ばれる今、
道子さんのライフスタイルに、
新しい生き方・住まい方の可能性 を感じ、
ハッとさせられました。

「西條さんの会社は、
富良野でステキな喫茶店をやっていた方に教わったの。
監理設計士の山田さんとは、
『私がもっと若い娘だったらよかったね』
と笑うくらい、密に打ち合わせを重ねました(笑)。
来年で建てて10年になるけれど、
山田さんはこの家を
自分の子どものように思ってくださってるんだろうな、
と私は感じてます。
今も何かと気にしてくださって、
雪の降る前と降ったあとには必ず連絡をくださるし、
私も頼りにしすぎるくらい頼りにしちゃっていてね、
何かあるとすぐ電話しちゃうの(笑)。
ほんと、お世話になってます。
西條さんと山田さんは、違う面を持つ名コンビ。
ふたりとも、それぞれに頼もしいですよ。
私が言うのもナンだけど、
お互いいいパートナーを見つけたなぁと思うわ(笑)」
……と、まるで
愛しい甥っ子たちのことを語るような様子の道子さん。
施工業者と施主、という関係を遥かに超えた絆が、
家を建てた後もずっと、
築かれ続けているように感じました。

●家を建てる、ということは、
『住まい』 という題材を通して、
自然環境や人間関係を、
そして “生き方そのもの” を
“建築” すること なのかもしれないな……
今回の取材をはじめ、これまでの各取材を振り返り、
あらためてそう感じる、2011年の年末です。
●今年は3月11日の東北大震災や原発事故をはじめ、
様々な災害で “住まい” を失った方々が
たくさんいらっしゃいました。
心からお見舞いを申し上げるとともに、
復興に向けてできることの一つとして、
あらゆる暮らしの土台である
「地球」 という住まいそのものを壊さない営み が欠かせない
とあらためて気づき、自分と世の中を見つめ直しています。
●1955年(昭和30年)頃から、
それまで一般家庭燃料の中心であった木炭や薪などが
石油系燃料に急速に置き換わっていき、
さらに、1964年(昭和39年)に
木材の輸入が全面的に自由化され、
輸入木材への関税がなくなったことがきっかけで、
1955年(昭和30年)には
94.5%だった日本の木材自給率が、
1965年(昭和45年)には45%に激減。
今では約20%にまで減ってしまいました。
国内の林業が廃れてしまったことで、
手入れされなくなった日本中の植林が荒廃し、
雪崩や地すべりなどの災害や生態系破壊など、
今、深刻な災害や環境問題が多発しています。
●国産の無垢材を建材に利用することは、
その建物の中で過ごす人々の心身に心地良いだけでなく、
地球環境の改善にもつながってゆく大切な一歩。
自然界と人間の営みのつながりを知り、
広い視野でモノづくりやモノ選びをしていくことが、
真の意味での “防災” につながっていく。
そんな気づきを胸に、
“自然や人々との絆を大切に築く建築” の実例を、
来年も楽しくお伝えしてゆきたいと思います。
●今年も1年、お世話になりました。
苦かったことも、辛かったことも、余すことなく養分にして、
2012年も、たくましく楽しんでまいりましょう!
来年3月、またここでお目にかかれるのを
楽しみにしています♪
各地で、それぞれに、よいお年を……!
◆取材:2011年10月
◆photographer:蘒野孝行(GINO PHOTO WORKS)
◆designer:森川瞬(寺島デザイン制作室)
◆writer:はらみづほ(旅するはらっぱ)
◆みんなが集える、オアシスハウス。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
●大人気ドラマ 『北の国から』 を通じ
全国に名を知られた美しい田舎町、富良野。
第7回目の “ecoさん” の舞台は、
その高台に建つ 山荘 『春の樹』 。
知る人ぞ知るお宿 兼 ご自宅です。

●おぉ!
さすが普通の個人宅とはチョット一線を隔す風格の、
大きなおうち!
「おじゃましま~す♪」 と扉を開けると…

うわ~ひろ~~~い!!!
天井もたか~~~い!!!
家主の名田道子さんと
元気な植物たちのウエルカムスマイルに導かれ、
“春の樹” の内側に上陸です。
●道子さんに
“さりげなくくつろいでいるポーズ” を取っていただいて (笑)、
まずは1Fのリビング全体を撮影。
どうです? この開放的な間取り!
やっぱり “山荘” だけあって、
一般家庭とは違うダイナミックデザインですね~

化学物質が染み込んでいない道産無垢材が
ふんだんに使われた空間だから、
本当に “樹の内側” に入り込んだような安心感です。
●暖炉風スペースの中にあるのは、
薪ストーブより簡単に火がつけられて、
薪ストーブ級に強力な暖が取れる 「ペレットストーブ」。
接着剤などは一切使用せず、木屑を圧縮して作った
“木質ペレット” が燃料だから、焚けば焚き火のい~い香り。
暖炉のような炎と温もりを楽しめるから、
冬にこの宿を訪れる人々も、きっと大喜びですね。

●一般家庭はもちろんのこと、自然素材のお宿やお店は、
それだけで癒しへの配慮がある、ということ。
居るだけで五感が自ずとリラックスしてきて、
呼吸が深~くなる気がします。
●壁も、自然素材の “珪藻土”。

植物の繊維を土に混ぜた “呼吸する壁” だから、
湿気や匂いを室内に溜め込むことなく、
室内環境をちょうどいい状態に調湿・調整してくれちゃうのです。

●こちらは、2Fの吹き抜けスペース。
大きな窓の向こうには、富良野を囲む山々の眺望が。
●廊下の先、はしごの向こうに並ぶ
お客様用の個室の扉を開けると……

自然素材の壁と無垢材の温もりに満ちた、
ゆったり静かなプライベート空間が。

扉の外のダイナミックな間取りとは一味違った、
ちょっとロマンティックな、落ち着いた雰囲気の空間ですね。
優しい光に包まれて、あ~気持ち良さそう!
こんなお部屋で眠ったら、
いつまでも寝坊してしまいそうです(笑)

この規模の山荘やペンションには珍しく、
なんと個室内に洗面とトイレも完備。
小さなお子さん連れや、お年寄りでも安心ですね。
●ヤヤッ?! はしごの先にも扉を発見!

この扉の奥には、
天井は低いものの広々とした屋根裏スペースが広がり、
お客さんが多いときは、ここも
“ひときわ落ち着く個室” になるとか(笑)。
子ども達や冒険気分を味わいたい方には、
うってつけのプライベートルームですね。
●そして…… ジャジャーン!
こちらが、「春の樹」 いちばんの贅沢空間 “VIPバスルーム”。

山々を見渡す贅沢な眺望を楽しみながら、
誰にもジャマされることなく
くつろぎのバスタイムを堪能できるデザイン。
家族やお友達とワイワイ入るお風呂もいいけれど、
自然の風景と2人っきりで過ごすバスタイムも、
ちょっとした非日常ならではの
至福のヒーリングになることでしょう。
●そして、こちらが、“みんなのキッチン”。

“春の樹” はB&B(ベッド&ブレックファースト)形式の山荘で
朝食は付いているのですが、昼食と夕食は自炊式。
いろんな食器や調理道具を自由に使えるので、
近所のスーパーや農協で地元の新鮮食材を調達すれば、
クッキングも存分に楽しめます。
●コーヒーメイカーも常備してあり、
コーヒー・紅茶は、いつでもフリー。

『春の樹』 いちばんの絶景が楽しめるこのパノラマリビングで、
コーヒーを飲みながら読書したり、
お酒を飲みながら語り合ったり、
訪れるお客さんたちは思い思いの出逢いに満ちた
“富良野タイム” を楽しんでいるとのこと。

「私もね、この部屋のこの位置で椅子に腰掛けて
山々を眺めるのが、いちばん好きなんです。
季節ごとに風景の変化が楽しめて、
ちっとも飽きないの。
読書も好きだから、ここでコーヒー飲みながら本を読んで、
いつのまにかウトウト寝ちゃったりね(笑)」 と道子さん。

●ずっと愛媛で暮してきた道子さんが
この家に暮すようになって、来年で10年。
何でまた、この北の大地で
山荘を営むことになったんですか?
「ミイラ取りがミイラになっちゃったの。
一番下の子どもが、 『ちょっと行ってくる』 と言って
富良野に行ったきり帰ってこないので様子を見に来たら、
すごくいい所でいっぺんで好きになっちゃってね(笑)。
遊びに来た親戚たちも気に入って、
『みんなの別荘を作ろう』 ってことになったんです」
●道子さんが住み込み管理役を担うその別荘は、
自然と友人知人の宿泊も受け容れる紹介制のB&Bに発展。
・心身ともにくつろげる自然素材の空間
・落ち着きと開放感に満ちた設計デザイン
・充実した快適な設備
・アットホームな雰囲気
……と4拍子揃ったエコホテル級のこの山荘の噂は
一度泊まった人々を通じてクチコミで広がり、
不景気の今も、冬はことさらウインタースポーツを
楽しみに来るお客さんで賑わうとのこと。
10人以上の宿泊も可能で、この9年間の間には、
さまざまな出会いも生まれているそうです。

●お話を伺いながら、
こんな贅沢空間がご自宅とはうらやましい!
と思うと同時に、
コミュニティの大切さが叫ばれる今、
道子さんのライフスタイルに、
新しい生き方・住まい方の可能性 を感じ、
ハッとさせられました。

「西條さんの会社は、
富良野でステキな喫茶店をやっていた方に教わったの。
監理設計士の山田さんとは、
『私がもっと若い娘だったらよかったね』
と笑うくらい、密に打ち合わせを重ねました(笑)。
来年で建てて10年になるけれど、
山田さんはこの家を
自分の子どものように思ってくださってるんだろうな、
と私は感じてます。
今も何かと気にしてくださって、
雪の降る前と降ったあとには必ず連絡をくださるし、
私も頼りにしすぎるくらい頼りにしちゃっていてね、
何かあるとすぐ電話しちゃうの(笑)。
ほんと、お世話になってます。
西條さんと山田さんは、違う面を持つ名コンビ。
ふたりとも、それぞれに頼もしいですよ。
私が言うのもナンだけど、
お互いいいパートナーを見つけたなぁと思うわ(笑)」
……と、まるで
愛しい甥っ子たちのことを語るような様子の道子さん。
施工業者と施主、という関係を遥かに超えた絆が、
家を建てた後もずっと、
築かれ続けているように感じました。

●家を建てる、ということは、
『住まい』 という題材を通して、
自然環境や人間関係を、
そして “生き方そのもの” を
“建築” すること なのかもしれないな……
今回の取材をはじめ、これまでの各取材を振り返り、
あらためてそう感じる、2011年の年末です。
●今年は3月11日の東北大震災や原発事故をはじめ、
様々な災害で “住まい” を失った方々が
たくさんいらっしゃいました。
心からお見舞いを申し上げるとともに、
復興に向けてできることの一つとして、
あらゆる暮らしの土台である
「地球」 という住まいそのものを壊さない営み が欠かせない
とあらためて気づき、自分と世の中を見つめ直しています。
●1955年(昭和30年)頃から、
それまで一般家庭燃料の中心であった木炭や薪などが
石油系燃料に急速に置き換わっていき、
さらに、1964年(昭和39年)に
木材の輸入が全面的に自由化され、
輸入木材への関税がなくなったことがきっかけで、
1955年(昭和30年)には
94.5%だった日本の木材自給率が、
1965年(昭和45年)には45%に激減。
今では約20%にまで減ってしまいました。
国内の林業が廃れてしまったことで、
手入れされなくなった日本中の植林が荒廃し、
雪崩や地すべりなどの災害や生態系破壊など、
今、深刻な災害や環境問題が多発しています。
●国産の無垢材を建材に利用することは、
その建物の中で過ごす人々の心身に心地良いだけでなく、
地球環境の改善にもつながってゆく大切な一歩。
自然界と人間の営みのつながりを知り、
広い視野でモノづくりやモノ選びをしていくことが、
真の意味での “防災” につながっていく。
そんな気づきを胸に、
“自然や人々との絆を大切に築く建築” の実例を、
来年も楽しくお伝えしてゆきたいと思います。
●今年も1年、お世話になりました。
苦かったことも、辛かったことも、余すことなく養分にして、
2012年も、たくましく楽しんでまいりましょう!
来年3月、またここでお目にかかれるのを
楽しみにしています♪
各地で、それぞれに、よいお年を……!
◆取材:2011年10月
◆photographer:蘒野孝行(GINO PHOTO WORKS)
◆designer:森川瞬(寺島デザイン制作室)
◆writer:はらみづほ(旅するはらっぱ)