気まぐれロンリー 人生リボーン!

旅好き酒好きオヤジのロンリーライフ。
風に吹かれて何処をさすらう。
明日はいずこの草枕。

パーフェクト・デイズ

2024-01-30 16:57:12 | 映画

実は期待しないで観た。

ヴィム・ヴェンダースの「PERFECT DAYS」。

きっと退屈なんだろうと。

いやあ、裏切られた。

良いのよ。

ただのトイレ清掃員の日々を淡々と描いただけの映画。

誰も殺されないし、エッチなシーンもない。

街を掃除する音で目覚め、歯を磨き、植物に水をやり、自販機で買った缶コーヒーを飲み、車でカセットテープから流れる古い音楽を聴き、トイレを掃除する。仕事が終わると浅草の地下で安酒を飲み銭湯に行く。布団に入り古本屋で買った100円の文庫本を読む。

その繰り返し。

ホント、それだけの日々を繰り返し描いて飽きさせない。

恐るべしヴィム・ヴェンダース。

語ることが多過ぎて困る。

まず音楽。

いきなり「朝日のあたる家」アニマルズだよ。

続いてオーティス・レディング「The dock of the bay」。

タイトルにもなっているルー・リードの「パーフェクトデイ」。

その他いろいろ。

ニーナ・シモンの「フィーリンググッド」の歌詞は正に映画の内容そのもの。

「夜が明けて、新しい一日、私の新しい人生。最高だね」

「朝日のあたる家」は主人公平山が通うスナックのママ(石川さゆり)が歌うシーンがあるが、伴奏のギターを弾くのがあがた森魚。

公園にいるホームレス風の老人は田中民。

ラストに出てくるママの元夫が三浦友和。

隅田川沿いのテラスで2人(役所広司と三浦友和)が影踏みをするシーンが切ない。

平山の姪っ子が家出をして平山のボロアパートに転がり込んで来るのだが、豊かな暮らしの姪っ子の母親(平山の妹)が「住む世界が違うからオジさんには会うな」と言っていると言うと、平山はこう答える。

「この世界は繋がっているようで繋がっていない。自分のいる世界はキミのママがいる世界と違う」。

全くその通りだよ。

世界は多層構造、見えるけど行けない世界がある。

良いね、ヴィム・ヴェンダース。

必見です。

 

 

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