海権?制空権は米軍に奪われつつある上にソロモン周辺の航空隊は連戦続きによって激しく損耗していた。その為飛行場からはいつでも敵機が出撃できる状態であり、このままでは増援しても撃沈されるのが目に見えていた。
味方航空隊は頼りにならない。だが輸送を成功させるには何としても飛行場を一時的にも無力化さえなければならない。しかしその為には味方航空隊の援護が必要。だが航空隊は使えない。この無限のループを打破すべく、山本長官は最後の切り札を使う事にした。
当時、世界海軍の常識であった航空機の次に攻撃範囲の広い兵器。それは前時代の主力兵器――戦艦であった。
山本はヘンダーソン飛行場に対し、戦艦による艦砲射撃作戦を立案した。しかし投入されたのは世界最強の四六cm砲を搭載した戦艦『大和』『武蔵』ではなく、高速戦艦『金剛』『榛名』であった。
後に大和型戦艦二隻でやればもっと被害を大きくできたという意見があるが、それは愚問でしかない。
この作戦は電撃作戦でなければならないのだ。なぜならば攻撃に成功しても、敵艦隊や敵空母、はたまた撃ち漏らした敵機なんかがすぐさま迎撃に向かってくるからだ。
攻撃力は確かに世界最強だが、速度は日本戦艦としては一応速い方に位置するが、それでもやはり低速。逃げ切る事は難しい。そんな状態で迎撃されればいくら世界最強の防御力を持っている『大和』『武蔵』といえど損害は避けられず、最悪沈没という事もありえた。
日本海軍の象徴であるこの二隻を失う事は、軍全体の士気にも関わる。
その為に白羽の矢が立ったのが金剛型であった。
速度は日本海軍戦艦唯一の三〇ノット超えの高速力を持つので、一撃離脱にはもってこいであった。
さらに金剛型が四隻あるといのもひとつの理由でもある。
もし投入した金剛型が最悪沈められても、代わりがいるからである。大和型も長門型も代わりはないし、扶桑型と伊勢型は低速の為に問題外。
これらの理由も踏まえ、山本は金剛型戦艦二隻による艦砲射撃作戦を提示した。
この大事な作戦を指揮する事になったのは今でも批判が多い栗田(くりた)健男(たけお)中将であった。
栗田は当初危険が高すぎると作戦に反対していたが、山本は「お前がやらんなら、私が『大和』を指揮して突っ込む」とまで言い、渋々引き受けた。
かくして、日本海軍は初の航空機に戦艦で挑むという世界海軍史上空前絶後の作戦を発動したのだった。
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一九四一年十月十一日、トラック島からヘンダーソン基地艦砲射撃部隊――第二次挺身隊が出撃した。
編成は作戦の要である金剛型戦艦から『金剛』『榛名』が抽出され、その護衛に軽巡洋艦一隻、駆逐艦九隻という規模の艦隊であった。
島から離れていく艦隊の中央に位置する戦艦『金剛』の甲板の上にあるテーブルに腰掛けて金髪碧眼の美女がティーカップを口に傾けていた。
優雅に紅茶を飲むその姿はとても美しく、彼女が日本海軍最凶と呼ばれている恐ろしい人には到底見えない。
小さくなるトラック島を一瞥し、テーブルの上に置いてある小さな風呂敷を開く。中にはおいしそうなクッキーが入っていた。
金髪の美女――金剛は妹の比叡が作ってくれたクッキーを一枚かじる。欧米文化を嫌っている彼女でも生まれはイギリスなのでこうしたイギリス式のティータイムは大切にしている。
優雅にティータイムをする金剛に対面するように座っているのポニーテールの少女――榛名はクッキーをムシャムシャと食べる。
「おぉ、やっぱり姉さんの料理はうまいな」
「当然だ。あいつは私の自慢の妹だからな」
「えー、じゃあ俺は?」
「もっと修行しろ」
「んだよ。姉貴のいじわる」
榛名は少
味方航空隊は頼りにならない。だが輸送を成功させるには何としても飛行場を一時的にも無力化さえなければならない。しかしその為には味方航空隊の援護が必要。だが航空隊は使えない。この無限のループを打破すべく、山本長官は最後の切り札を使う事にした。
当時、世界海軍の常識であった航空機の次に攻撃範囲の広い兵器。それは前時代の主力兵器――戦艦であった。
山本はヘンダーソン飛行場に対し、戦艦による艦砲射撃作戦を立案した。しかし投入されたのは世界最強の四六cm砲を搭載した戦艦『大和』『武蔵』ではなく、高速戦艦『金剛』『榛名』であった。
後に大和型戦艦二隻でやればもっと被害を大きくできたという意見があるが、それは愚問でしかない。
この作戦は電撃作戦でなければならないのだ。なぜならば攻撃に成功しても、敵艦隊や敵空母、はたまた撃ち漏らした敵機なんかがすぐさま迎撃に向かってくるからだ。
攻撃力は確かに世界最強だが、速度は日本戦艦としては一応速い方に位置するが、それでもやはり低速。逃げ切る事は難しい。そんな状態で迎撃されればいくら世界最強の防御力を持っている『大和』『武蔵』といえど損害は避けられず、最悪沈没という事もありえた。
日本海軍の象徴であるこの二隻を失う事は、軍全体の士気にも関わる。
その為に白羽の矢が立ったのが金剛型であった。
速度は日本海軍戦艦唯一の三〇ノット超えの高速力を持つので、一撃離脱にはもってこいであった。
さらに金剛型が四隻あるといのもひとつの理由でもある。
もし投入した金剛型が最悪沈められても、代わりがいるからである。大和型も長門型も代わりはないし、扶桑型と伊勢型は低速の為に問題外。
これらの理由も踏まえ、山本は金剛型戦艦二隻による艦砲射撃作戦を提示した。
この大事な作戦を指揮する事になったのは今でも批判が多い栗田(くりた)健男(たけお)中将であった。
栗田は当初危険が高すぎると作戦に反対していたが、山本は「お前がやらんなら、私が『大和』を指揮して突っ込む」とまで言い、渋々引き受けた。
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編成は作戦の要である金剛型戦艦から『金剛』『榛名』が抽出され、その護衛に軽巡洋艦一隻、駆逐艦九隻という規模の艦隊であった。
島から離れていく艦隊の中央に位置する戦艦『金剛』の甲板の上にあるテーブルに腰掛けて金髪碧眼の美女がティーカップを口に傾けていた。
優雅に紅茶を飲むその姿はとても美しく、彼女が日本海軍最凶と呼ばれている恐ろしい人には到底見えない。
小さくなるトラック島を一瞥し、テーブルの上に置いてある小さな風呂敷を開く。中にはおいしそうなクッキーが入っていた。
金髪の美女――金剛は妹の比叡が作ってくれたクッキーを一枚かじる。欧米文化を嫌っている彼女でも生まれはイギリスなのでこうしたイギリス式のティータイムは大切にしている。
優雅にティータイムをする金剛に対面するように座っているのポニーテールの少女――榛名はクッキーをムシャムシャと食べる。
「おぉ、やっぱり姉さんの料理はうまいな」
「当然だ。あいつは私の自慢の妹だからな」
「えー、じゃあ俺は?」
「もっと修行しろ」
「んだよ。姉貴のいじわる」
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