「三好の軍勢に向けてじゃ。思いきり撃て」
「では今から」
「撃ちましょうぞ」
三好の軍勢を見ながらだ。鉄砲を持っている足軽達がそれぞれ弾を込める。そうしてだった。
彼等は銃を構え片膝をついてそのうえでだ。狙いを定め。それからだった。
堀は采配を振り下ろした。それと共にこう叫んだ。
「撃て!」
この言葉と共にだ。鉄砲が一斉に放たれ雷の如き音が鳴り響いた。その音を聞いてだ。
三好の者達は動転した。只でさえ蒲生の攻勢を受けていてそれからだった。
「こ、今度は鉄砲か!?」
「鉄砲か来たぞ!」
「いかん!撃たれた!」
「どうするのじゃ!」http://www.952bc.com
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こうしてだった。三好の者達はだ。
実際には鉄砲に当たった者達はいなかった。だがそれでもだった。
彼等はさらに動転した。そして言うのだった。
「織田の軍勢は鉄砲が多いらしいぞ」
「千丁は持っているらしいぞ」
「何っ、千丁じゃと!?」
「千丁も持っておるのか」
戦をしながらだ。彼等はその混乱の中で話していく。
「千丁もの鉄砲で狙われては敵わんぞ」
「我等には鉄砲なぞ殆どないのだぞ」
「それで狙われてはどうにもならん」
「何もできんぞ」
こう言ってだ。彼等はだ。
先程以上に浮き足立つ。だがそれでもだ。
面頬の男は馬上からだ。その兵達に刀を向けて告げた。
「言ったな、退く者は斬る!」
「し、しかし!」
「これでは!」
「死にたくなければ戦え!」
まだ言う男だった。声は地獄の鬼のそれの様だった。第八十六話 竹中の献策その十二
「よいな、そうせよ!」
「ううむ、あの御仁に斬られるよりはな」
「まだ戦い生き残る方が分があるぞ」
「ではやはりのう」
「戦うしかないのじゃな」
こう言ってだ。彼等は動揺しながらも戦の場に留まるしかなかった。しかしまた鉄砲の音が鳴り響く。間合いのせいか当たる者はおらずとも音だけで充分だった。
音を受けて怯え槍に打たれる彼等にだ。今度はだった。
森長可がだ。蒲生の軍の左手をすり抜けてそこから三好の軍勢に雪崩れ込んだのだった。
「よし、今こそ攻めるぞ!」
「はい、それでは!」
「今から!」
「うむ、これで戦を決める!」
十字槍を右手に持ち馬に跨りだ。彼は軍の先頭に立ち叫んでいた。
「三好の者達を蹴散らせ!よいな!」
「三好の者達はこれで終わりじゃ!」
「覚悟せい!」
こう叫んでだ。青い具足の兵達が長可と共に雪崩れ込む。これで三好軍の先陣は総崩れになった。
最早面頬の男が幾ら叫んでも何の効果もなかった。浪人達も百姓あがりの者達も我先に逃げていく。そうしてその勢いを見てであった。
信長は伝令を森と池田に出した。攻めよというのだ。それを受けてだ。
彼等も戦いに加わる。これで戦は決まった。
三人衆は総崩れになった自軍を見て忌々しい顔になった。しかしだ。
総崩れになっては仕方がなかった。それでだった。
「仕方ないのう」
「うむ、これではどうにもならんわ」
「これ以上の戦は無駄に死人を増やすだけじゃ」
馬上からだ。彼等は話した。そうしてだ。
退却の法螺貝を鳴らさせた。それを受けてだ。
三好家の軍勢は戦場を後にする。その後詰はだ。
面頬の男だった。彼は懸命に戦うがその采配はというと。
「ふむ。あの男の采配はじゃ」
「大したことがありませぬな」
「うむ、気迫はあるがのう」
だがそれでもだとだ。信長は前線に出てその場で竹中に話していた。
「しかしそれでもじゃ」
「はい、采配自体はどうということがありませぬ」
「大したものではない。しかしじゃ」86
だがそれでもだというのだ。
「気迫は見事じゃな」
「鬼気迫るものがあります」
「怨念すら感じ