昨日本屋に行ったときに自分が憧れている人が表紙に載った雑誌を見かけた。
自分がその人を知ったのは6年前、名前は高橋 吾郎。
勿論会ったことも話したこともないが、吾郎さんの作るシルバーアクセサリーと革細工を見たとき「凄く良い」と一瞬で思った。
それ以前から革細工は始めていたが、その日からゴローズのようなアイテムを作りたいと思い、見よう見まねで銀と革をいじくった。
しばらくして表参道にあるゴローズに行き3時間行列に並んだ後、ゴローズの店内に初めて入ったときは本当に感動した。
その時にフェザーペンダントとピアスを買い、店から出るとすぐに身に着けた。
メディア等では成功イコールお金持ちのように取り上げられ、お金以外の価値観を示すことが難しい世の中で、吾郎さんは本の中でこう言っている。
「貧乏は楽しい」
心からそう言える人が日本に何人いるんだろう、でも自分もそう思えたら最高だと思う。
貧乏と言えば20代の前半に北海道のレストランで働いていたが、そこのシェフが非常に暴力的な人間で、お金にもルーズだった。
給料がもらえない時もあり、夜逃げ同然で逃げ出した。地元、愛知まで帰る金は無く、交通費を支給してくれる派遣会社に登録し、愛知まで帰ってきた。
財布には88円しか入っていなかったので、パンを一つ買ったら所持金が0になり、泣きたくなった。
会社に前借りをして食いつないだが、2ヵ月で14キロも痩せた。今思うと本当に笑える。
楽しいことはすぐ忘れてしまうが、苦労したことはずっと忘れないというのは本当なんだと思う。
身近な人が○殺したとき、自分が病気になったとき、バイクで事故をして、もしかしたら死んでいたかもと思ったとき、本当に人生は一度きりなんだと痛感する。
いつかその時が来ると思いながら、人はその時が来るまで本当に無防備だ。
高橋 吾郎さんが亡くなった。本当に残念だ。いつか会ってみたいなんて思ったりしていた。
その時は恥ずかしくない自分でいたいと思っていたけど、間に合いませんでした。
ご冥福をお祈りします。ありがとうございました。