【現代思想とジャーナリスト精神】

伊勢志摩G7会議は有効な国際的打開策を提示できるのか

伊勢志摩G7会議は有効な国際的打開策を提示できるのか

                  櫻井 智志


 ドイツのメルケル首相の政治的識見は、国際政治において評価される力量と政治的資質とをもっている。まもなく任期を終えるオバマ大統領も、前任者のブッシュ前大統領の失政をついにフォローしきれなかったけれど、そのリベラルな政治理念はキューバとの国交回復などそれなりの取り組みはやはり認められてしかるべきだろう。


 しかし、他の諸国とその政治的指導者は、とりたててリーダーと呼べるものをもっていない。孫崎享氏のご指摘のように、すでにG7の諸国は国際社会をリードするとは言えない。


 シリアなどの中東の紛争も、ドイツのメルケル首相以外は、紛争解決の政治的手腕も文明史的理念も持ち合わせていない。あるのは経済的貧困国への蔑視と対応無策のみだ。


 メソポタミア文明やエジプト文明、古代のギリシャなどの文化。その時にいまのG7諸国は未開か野蛮な後進地域でしかなかった。そんな古代の歴史は、中学生でも初歩的な知識も認識ももっている。いまは経済的に遅れていても、中東から西アジア、南ヨーロッパにかけてのG7諸国とロシアは、空爆や入国制限など政治的対応において、すでに時代の要請に立ち後れている。日本の独裁的首相安倍晋三氏が論理未熟の詭弁と空疎な熱弁を奮っても、G7サミットの議事と総括は、なんら国際社会が求める解決策など打ち出せまい。自国の一地方自治体である沖縄県民の窮状打開の要請も対応さえできぬ総理に、難問が幾重にも重なり合った国際社会への有効な打開策など打ち出せはしないということ。それは、会議が終わらぬ時点の現在でも、ほぼ推測できる。



=====重要参考資料==================



【孫崎享のつぶやき】

《先進国首脳会議に世界をリードする力があるか、相対的経済力の低下、民主主義国として機能しているかの疑問。》
2016-05-26 10:072




 G7首脳会議は本26日から開催される。世界経済、政治外交、気候変動・エネルギー、アジアの安定と繁栄、開発とアフリカ等が協議される。首脳宣言が出される。こうした中、G7が今日、どれ位、世界情勢に影響を与えるかを考えてみたい。


 先進国首脳会議は次の経緯をもってスタートした。
「1975年に、フランス大統領ヴァレリー・ジスカール・デスタンは “工業化された4つの主要民主主義国”の首脳をフランスのランブイエに招待し、フランスを含めて5カ国ではじめての首脳会議を開催し、定期的に首脳会議を持つことを提案した。このときの出席者は、主催国を交代しつつ年に一回会議を持つことに合意した。「G5」が生まれた。不服としたイタリアの首相が第1回会議に乗り込んで来た為、イタリアを加えG6となる。翌年のプエルトリコの首都サンフアンでのサミットでアメリカのジェラルド・フォード大統領の要請によりカナダが参加したことにより、「G7」となる。」(ウィキ)

 先進国首脳会議は①圧倒的な経済力を持つ国、②(主要)民主主義国であることが特徴であった。


 しかし、今、これら7か国は主要先進国として、国際社会でその影響力を大きく後退させてきている。この兆しは2012年にあった。大統領に復帰したプーチン氏は当初、ホワイトハウスでオバマ米大統領と会談し、その後、ワシントン郊外のキャンプデービッドで今月18、19の両日開かれる主要国(G8)首脳会議に出席する予定だった。ホワイトハウスによると、プーチン大統領は9日にオバマ大統領に電話で直接、遺憾の意を表明し、今回の決定について、「組閣に専念するため」と説明した。G8首脳会議には代わりに、メドベージェフ首相が出席する。(2012年 5月 10日)そしてプーチンは直後に行われたG20首脳会議に出席した。


 ここで経済力からみる世界の大国をみてみよう。CIAのFACTBOOKが掲載する購買力平価ベースの順位である。
 1:中国、2:米国、3インド、4日本、5ドイツ、6ロシア、7ブラジル、8インドネシア、9英国、10フランス、11メキシコ、12イタリア。13韓国、14サウジである。7番目まで取れば非G7の方の国数が多い。


 では民主主義国家としての、理念面でのリーダー格はどうか。
 ここでは、指標を国境なき記者団の報道の自由度2016年を見てみたい。G7のランキングは次のとおりである。
 ドイツ16位、カナダ18位、英国38位、米国41位、仏45位。日本72位、イタリア77位、


 したがって、民主主義的国家の代表的な声の側面も失われた。さまざまな発言や声明が発出されるであろう。しかしそれが国際社会に投げかける影響力は極めて低い。


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