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【現代思想とジャーナリスト精神】

アメリカ「民主主義」から生まれた「独裁者」大統領のご機嫌をうかがう「ドレイ優等生」総理


2016/11/10
          櫻井智志


 トランプに比べれば、まだヒラリー・クリントンがまだましと考えていた。いまも私はトランプを支持はしない。背景をめぐる情報が入るにつれて、自分の意識を整理しようと考えた。



①なぜトランプが当選したか-アメリカ国内
 クリントンは、オバマ大統領が後継者とした候補である。トランプの女性への暴言や強姦などいくつかの暴行疑惑などもあり、二人は比較の対象とはならない。

 きょう11月10日午後4時現在、クリントン228、トランプ279、未獲得の選挙人票数: 31である。新聞やテレビは昨夜にはトランプ289まで報道したところもある。
https://www.google.co.jp/webhp?sourceid=chrome-instant&ion=1&espv=2&ie=UTF-8#q=%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E9%81%B8%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%96%E7%B5%90%E6%9E%9C
 いま見ているTBSNスタ報道(pm5:09)では、トランプ得票率/得票数=47.5%/5969万8506票なのに比べて、クリントン得票率/得票数=47.7%/5992万6386票。クリントンが得票率、得票数ともに多いのである。それが当選と結び付かないのは、各州ごとの「総取り方式」により、比較多数者がそこの地域のすべての選挙人を獲得する地域が多いためだ。開票速報を見ていると、少ない地域では「総取り方式」ではない地域もあった。

 なぜトランプに大量の得票が集まったか?
選挙戦術や大衆心理掌握、FBIのクリントンメール問題の動き・・・最初は、私もこのように考えた。しかし、アメリカは巨大な2極分解していた。労働者階級は、不況と失業にあえいでいた。白人労働者は、移民などに就職の機会を奪われていると考える者もいた。
 反クリントン票は、民主党も共和党も裕福な体制派で、クリントン氏候補もアメリカ社会の超エリート層であり、労働する場も収入も乏しい青年労働者にとっては、トランプがどんな暴言や女性蔑視を行っても、それがクリントンへ投票することには完璧に断絶していた。

 トランプ当選の翌日。アメリカ全土で、反トランプの大勢の反対デモがおきている。ニューヨークなどで15万人デモが起きている。トランプかクリントンかとは異なる、トランプの独裁政治を危惧し強く抗議するアメリカ民主主義の伝統の健在を示している。
もしもサンダース氏がトランプと大統領選を戦ったなら、結果は別の局面を見せたかも知れない。仮定は政治には導入できないとしても、優勢だったクリントン落選の原因に、アメリカ労働者と移民労働者などアメリカ社会の亀裂にあったとしたら、トランプ票に変化はあったと考える。


②トランプと安倍晋三

 トランプ当選に泡を食った安倍総理は、史上稀有な、大統領就任前のトランプに電話し、訪米面会対談の約束をとりつけた。あまりに情けない「ドレイ根性」だ。沖縄県知事翁長雄志氏も訪米の意向を示した。アメリカの軍事・防衛路線がいままでのアメリカ軍事政策と左右どう変わるかという意味ではなく、沖縄解放のためにあらゆるレーダーを張り巡らしている翁長知事の先駆性である。

 つねに「勝利者」「勝利国連合」に擦り寄って、そこで「ドレイの優等生」を演じる日本国家の歴代首相が、日本支配層の本質を見抜いて「なめられてきっている」外交の原因である。かつて沖縄自民党県連幹事長を務めた翁長雄志氏に匹敵するヤマトンチューの自民党総理は石場湛山氏くらいだ。大平総理の心筋梗塞入院中、代理をつとめた伊東正義外相は、総理にと周囲から熱望されたが、見識ゆえに固持した。三木武夫総理もバチカン政治家といわれ、少数派閥の困難ななかで自民党が汚職政治で国民の支持率急降下により、クリーンなイメージから総理に担がれた。様々な毀誉褒貶があるけれども、岸信介=安倍晋三の極右政治家がもたらし続けている1960年と現在からすれば、安倍総理は、三木武夫氏の行路を少しは知るべきだ。



③トランプ大統領と日本国民

 歴代のアメリカ大統領のなかでも、すでに就任する前から、「史上最も醜い大統領選挙」の結果に怒りをもつアメリカ国民のデモが続いている。フランス大統領、ドイツ・メルケル首相ははっきりと批判を声明した。アメリカの新聞は「ホワイトハウスは恐怖の館に」と一面全面に大きな活字で記している。
 そのようなアメリカ大統領の資質なき男に、日本の「政治的トップ」と一応もちあげられている男は、すぐに恭順の意を表し、ドレイ外交の継続を続けている。かつては、「絶対反対」と公約し、もはや意味のうすいTPPを委員会で強行採決し、衆院で通過させた。日本国民は、この安倍政権を打倒することなくして、トランプの独裁政治に対応することさえできない。-了-

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