光のみちしるべ ~愛だけが現実~

私たちは皆、神様の子供。
内なる神の分光を輝かせましょう。
5次元の光のピラミッドがあなたを待っています。

プロフェッショナル ~オリジナルこそ命~ ⑦

2007年02月24日 07時18分30秒 | プロフェッショナル
― 覚 悟 ―

しかし、高齢者分野で生きていくという覚悟が、まだ自分にはなかった。
知的障害児療育への断ち切れぬ思い、
大学時代から希望していたPSW(精神科ソーシャルワーカー)への道もあきらめられず、
はたまたゴスペルミュージックを聴きに米国へ渡りたいという夢もあり、
ひとつに決められない優柔不断さというものが私の欠点だった。

そんな思いとはうらはらに、施設内リハビリテーションはどんどん先に進んでいった。
寝たきりの人が自力で起き上がり、自力で車椅子に乗って移動するということは、
ベッド上の世界から開放されることだった。
ナースコールを使うことなく自分の好きなときに起き上がり、
会いたい人のいる場所へ行く。
それは他の居室であったり、寮母室であったり、医務室であったり。
玄関ロビーのテレビであったりした。
そんなちょっとしたことであっても、
大きな自由(自己選択、自己決定)の獲得だった。

それと同じように、車椅子の世界から開放される人も現れた。
歩けく力はあっても、バランスや筋力などの運動機能の低下が障害となって、
安全(転倒からの回避)という名の下で、歩くことをあきらめた人たちのことだった。

最初は平行棒内での守られた空間での歩行訓練から、
平行棒から飛び出して廊下を歩いての歩行訓練へと移る。
そして玄関から外に出てベンチに座りお日様に当たる。
そんな当たり前の生活が実現していった。
自分はこんなにも歩けたのかという喜び、
喪失した自信というものが戻ってくる瞬間でもあった。

そして、「あっ、○△さんが歩いているぅぅぅ~!」と、
口をあんぐりあけて、目が点になってしまう寮母さんもいた。
小さな奇跡が施設内のあちこちで起きていた。

東海大学病院リハビリテーション科での研修は、
こんなにも大きな成果をもたらしてくれた。
実際、プロと呼ばれる専門職の人たちの側にいるのは、とても心地良かった。
短い会話の中には無駄な言葉がなく、
それでいて患者さんたちを励ます言葉にはユーモアと力があり、
張り詰めた空気の中にもリラックスした緊張感があった。
私は医師やPTたちにいろいろな質問をし、
その訓練方法を見よう見まねで吸収していった。

そんな矢先だった。男性入居者のHさんが脳梗塞で倒れたのは。
救急車で搬送された病院の医師から、
「もう歩くことは出来ません!」との宣告をされたのだった。


つづく
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