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子ども期の人権を育む!~子どもと教育・文化 道民の会

子ども期の権利を育む実践を家庭・学校・社会で進めるために、情報交換、意見と運動の交流ができればと思い開設してみました。

ついに到着しました~1/8「新春のつどい」・松代さんの報告!

2011-05-29 03:48:58 | 行事・イベント・企画
「子どもと教育を考える新春のつどい」
 2010.1.8  於 札幌市教育文化会館

服装問題に取り組む子どもたちと大人の関わり ~自主自律の学校を目指して~

  富良野高校教諭 松代峰明

1、富良野高校の校風「自主・自律」の状況

富良野高校は、「自主・自律」を校風として掲げている学校です。1997年には、服装自

由化に向けて生徒会が7年間にわたる粘り強く取り組んだ結果、「制服着用自由化宣言」

を採択し、服装自由化を実現させました。

┌──────────────────────────────────────┐
│制服着用自由化宣言 │
│   富良野高校生徒会は「自律」するための第一歩として制服自由化を宣言する。│
│ そして私たちは「自由」を手に入れる。しかし、自由だからといって何をしても │
│ いいわけではない。自由だからこそ正しい判断をする責任が必要とされる。 │
│ そして、この自由化を通じて生まれてくるさまざまな問題に取り組むことによ │
│ って「自律」への第一歩をふみだし始めるのだ。私たちは自律した人間を目指し、│
│ 努力することをここに決意する。 │
└──────────────────────────────────────┘

しかし、ここ数年は、生徒たちが自治の力を発揮しているという状況にはありませんで

した。例えば、常任委員会の委員をクラスで選出する時にジャンケンで決める、HR討議

を行っても意見が出されず、すぐに多数決をおこなう、などといった状況が常態化してい

ました。

一方で、生徒会が主体的・創造的な活動を展開する場面もありました。2005年には、H

R委員会定期考査の試験範囲を2週間前に発表してほしいなどの要求を盛り込んだ「定期

考査に関する要望書」を学校側に提出し、要求を実現させるという取り組みもおこなわれ

ました。

服装自由化以降の状況については、「茶髪・派手な化粧・ピアス」や、「指定ジャージ

登校」、他校の制服や「なんちゃって制服」をだらしなく着用するなどといったことが改

善されずに日常化するという状況が続いており、地域の評判も良くありませんでした。

 これは、「制服着用自由化宣言」にある、「自由だからといって何をしてもいいわけで

はない。自由だからこそ正しい判断をする責任が必要とされる。そして、この自由化を通

じて生まれてくるさまざまな問題に取り組むことによって自律への第一歩をふみだし始め

るのだ。私たちは自律した人間を目指し、努力することをここに決意する」という文言

を、生徒と教職員が実践していくことが不十分だったことが原因でした。


2、服装・頭髪の改善で「自主・自律」の再構築を

 2010年6月に行われた職員会議で、校長からある文書が提出されました。タイトルは、

「『自主・自律』を問い直す」。校長は、「本校の良さも悪さも、『自主・自律』を掲げ

た教育に起因しているのではないか」と分析。そして、この課題解決に向け「学習面も含

めて本校の全ての教育活動で自主自律を育む→富良野高校の教育をトータルで見直す『ビ

ジョン検討委員会』を組織」することを提案しました。

この提案は承認され、その後ビジョン検討委員会のメンバーも決まり、検討がすすめら

れていきました。私は、生徒会担当として委員に選ばれました。

ビジョン委員会での本格的な議論は夏休み明けから始まりました。そこでは、①生徒の

力で現状を改善する、②服装自由化を残しつつ、制服を導入するという方向で合意しつつ

ありました。制服については、以下の理由から導入の方向での検討がすすめられました。

 ・進路活動や儀式的行事における制服の必要性を訴える生徒が年々増加している。

 ・卒業式における女子生徒の華美な服装(ほとんどの生徒が袴や振り袖を着る)に対

   して、改善を求める保護者が増加している。

  ・「なんちゃって制服」や指定ジャージを着て登校する生徒が年々増加している。

夏休み明けに校内研修会が開かれました。私は、旧教育基本法でも定めているように、

戦後の教育は、平和で民主的な日本を形成していく「人格の完成」を目指すために、「自

主的精神」の育成を必要不可欠なものと位置づけていることを強調しながら、本校を本当

の意味で自主自律の学校にしていくためにも、服装・頭髪の問題を生徒達の力で改善して

いくという趣旨の提起をしました。


これに対し、さまざまな意見が出されました。中には、「今の服装・頭髪でそんなに問

題があるとは思わない」「教師がルールを作って教師が指導していくべきではないか」と

いった意見も出されました。


その後、小委員会や職員会議での議論を重ねる中で、6月の職員会議のとおり、服装自

由化を残して制服は導入しつつ、服装・頭髪の乱れを生徒の力で改善するという方向での

意思統一が図られていきました。そして、11月の職員会議で次の点を確認するに至りまし

た。

 以下の点を生徒に提示する。


 ① 2011年度入学生から制服を導入する。

 ② 服装・頭髪の規則を教員が作る。

 ③ 上記①②について、生徒会が何らかの対案を示した場合はそれについても検討す
  る。

服装自由化廃止や教師主導によるルールづくりを主張する職員も一定数いる中で、生徒

自治による改善という決定に至ったのは、毎年行われてきた年度末反省会議での議論など

を通じて、自治の力を育てることの大切さを確認し、不十分ながらもそのための実践を行

ってきたことによるのではないかと思います。


3、PTAがアンケートを実施

本校では、「PST懇談会」を、2003年度から毎年1回開催してきました。これは、生

徒(S)、保護者(P)、教職員(T)が、教育についての情報を共有し、相互に評価し

ながら共同していくことを目的に行う懇談会で、PTA育成委員会が主催して毎年11月に

開催しています。

10月、PST懇談会の内容を協議するために開かれた育成委員会の中で、担当教員は、

教員側が服装・頭髪の改善に向けた検討を行っていることを説明し、PTAに対しても何

らかの協力を要請しました。そして、協議の結果、この問題を主としたPTAによる保護

者対象のアンケートを実施することと、PST懇談会については、1月にこの問題をテー

マにして開催することを確認したのです。


その後、育成委員会はアンケートを実施。その結果、約8割の保護者から回答が寄せら

れるなど、この問題に対する保護者の関心の高さを示すものとなりました。


4、動き出す生徒会

校長からの説明を受け、生徒会の取り組みが始まりました。そして、執行部は議論を重

ねる中で、次の方向性を確認するに至ったのです。

①「服装自由化宣言」を守る。

②自分たちで一定のルールをつくり、作ったルールは自分たちの力で守っていく。


 そして、その具体として、冬休み明けからLHRで討議を積み重ねて、2月中旬には生

徒会による何らかの改善策をつくり、その後改善策による試行を行い、教員側に認めても

らうという日程を考えたのです。

冬休みが明けた1月20日。朝のSHRの際に生徒会長が、全校放送で生徒に対し、この

問題を教師の力に頼るのではなく、生徒たちの力で解決していこうという呼びかけを行い

ました。


1月27日のLHRでは、教員側による改善策が生徒に示されました。


1月28日には、通算8回目となるPST懇談会が行われ、参加者はこの問題について活

発な話し合いを行いました。

ここまでの取り組みを通じ、生徒会執行部は、この問題を教員に任せるのではなく自分

たちの力で解決したいと考えている生徒が一定いるものの、多くの生徒は教員側のルール

と指導で改善するのか、それとも自分たちが何らかの取り組みをすすめることで改善して

いくのかを深く考えていないのではないかという現状分析をしました。そして、次回のL

HRでは、この問題を自分たちで改善するのか、それとも教員側のルールと指導で改善す

るのか、ということをテーマに討議を行うことにしました。

2月2日のLHRでは、ほとんどのクラスが生徒自身の手で改善すべきであるという意

見にまとまりました。

改善策策定に向けたHR討議としては最後となる2月12日のLHRを前に、執行部は

生徒会通信を発行し、「先生方の改善策が導入されるということは、先輩達が長い年月を

かけて勝ち取った『制服着用自由化宣言』がなくなるということであるが、自分たちの代

でなくなって本当にいいのかということを考えてほしい」と訴えました。12日のLHR討

議は、これまでになく積極的で建設的なHR討議となりました。

 そして、執行部は16日に改善策案を発表。翌17日に評議会(生徒総会に次ぐ議決機関。

HR委員が務める)を開催し、執行部案についての審議を行いました。そして、延べ6時

間の議論の結果、執行部の案に若干の修正を加える形で改善策は確定しました。そして、

改善策はその日のうちに生徒会長が校長に提出したのです。


5、試行の結果を生徒会・PTA・教員がそれぞれ検証

生徒会による改善策は、翌19日の職員会議に提案されました。そして、議論の結果、次

のような確認がされたのです。

  ・生徒会改善策による試行を認める。

 ・試行結果の検証については、生徒達だけで行うのではなく、PTAと教員もそれぞれ
  
  行い、改善されたかどうかの最終的な判断は三者の検証結果を総合して行う。

 ・検証の結果、改善されたという結論に至った場合は、22年度から正式に生徒会改善策
 
  を導入し、改善されないという結論に至った場合は、教員側の改善策を導入する。

職員会議で確認されたこれらのことは、2月22日に開かれた臨時全校集会の中で生徒に

伝えました。説明を受け、生徒会長と、評議会議長がそれぞれ、「生徒案をしっかり守る

ことが最後のチャンス。できなければ、大人に決められたことしかできない高校になって

しまう。生徒全員でがんばっていこう」(評議会議長)などと訴えました。

生徒会による点検は、卒業式が行われた3月1日から4回行われました。その結果、1

回目の点検では24人いた違反者が、2回目には12人、3回目は4人、4回目には1人(こ

の生徒も改善を約束)となり、違反者はほぼいなくなるという状況まで改善されたので

す。

一方、PTA、教員それぞれによる点検は、3月1日から3回ずつ行われました。

3月19日、生徒会、教員、PTAの点検結果をつきあわせる会議が開かれ、生徒会は、

「『服装頭髪問題』に関する改善策の試行結果について」という報告書を提出。(資料

⑦)そして、議論の結果、生徒の服装・頭髪の乱れは生徒会改善策によって改善されたと

いうことを三者で確認、その後PTAは役員会で、教員側は職員会議で、2010年度から生

徒会改善策を正式に導入することを確認したのです。


6、自主自律の学校を目指して

生徒会改善策が正式に導入されて、1年がたちました。この間、HR委員会と校風委員

会による点検は、7回行われましたが、違反者は毎回何名かいるものの、生徒の服装・頭

髪の状況は大幅に改善されました。地域の評判もすっかり変わりました。私も何人もの方

から「富良野高校変わりましたね」という言葉をかけられました。

しかし、この取り組みはこれからが本番です。取り組みを通じて明らかになった課題を

どのように解決していくのかが問われています。とりわけ重要な課題は、この取り組みが

違反者と点検者だけの取り組みになってしまっている状況を、どのように打開していくか

という問題です。たしかに、取り組みを通じて自ら身だしなみを正した生徒が多く出たこ

と自体、自主・自律が一定すすんだと言えます。しかし、違反している生徒がいるという

状況に対して、クラス・学年・生徒会全体で、違反生徒への働きかけも含め、多くの生徒

が主体的に関わっていくという取り組みや議論には、残念ながらまだ至っていません。た

しかに、生徒同士の人間関係が希薄になっているといわれる中で、互いに意見をぶつけ合

うということは、そう簡単なことではないのかもしれません。しかし、人間関係が希薄な

現状であるからこそ、生徒同士つながる実践を粘り強く積み重ねていくことこそ、今の教

育には必要なのではないかと思いますし、そうした生徒同士の関係を作っていくことなし

に、自主自律は成り立たないと思います。

また、今回の取り組みをPTAと共同して展開できたことは、PST懇談会などでつく

りだしてきた保護者との共同による学校づくりを、今後発展させる上でとても大きな力に

なると考えています。生徒を真ん中に据えた教職員・保護者との共同の学校づくりを今後

もすすめていきたいと思います。

「新春のつどい」での粟野正紀さんの報告とまとめ

2011-03-17 16:20:17 | 行事・イベント・企画
 以下、主催の「子どもと教育・文化 道民の会」事務局長の了解を得、発言者本人

の了解も得ましたので、アップしたいと思います。



1月8日に行われた「子どもと教育 新春のつどい」(「子どもと教育・文化 道民の

会」主催)における、粟野正紀さん(札幌市子どもの権利委員)の特別報告



 まず、札幌市子どもの権利委員としての1年間を、自分なりに振り返る機会をいた

だいたことに感謝申し上げます。先ほど姉崎先生からありましたように、私は子ども

の権利条例の制定にも、その運動にもほとんど携わらないできた者です。約1年前

に、札幌市の条例に基づいて設置された子どもの権利委員会の委員が公募されま

した。委員会は学識経験者と公募委員という二種類の委員から構成されますが、私

は公募委員に応募いたしました。 権利委員となって1年間、10回ほどの審議に参

加して感じたり考えたりしたことを話題として提供させていただくとい うことで、これ

から15分程お話してみたいと思います。>

 はじめに、なぜこの委員に応募したのかという、私の意図からお話させていただき

たいと思います。当時、2つほど考えました。1つは、この札幌市の子どもの権利条例

が、日本国憲法と国連子どもの権利条約の趣旨にそった、則った解釈、運用される

よう、きっちりウォッチングしていきたいと。そういう思いで応募致しました 。

 解釈改憲という言葉もあるように、実際、条例が、先ほど世取山先生から良い内容

と言っていただきましたけれども、本当にその通り運用されるのかということを市民と

してチェックしていくことが大事だと思って応募したということです。率直に言って子ど

もの権利条約や日本国憲法で言っていることと、ちょっとズレがあるんじゃないかな

と、そういう部分もあるんじゃないかなということも、委員になって感じることも若干ご

ざいました。そういう部分も後でお話しできればなと思っております。
 
 2つ目ですけれども、これは公募委員に応募する際に、作文しなければならなかっ

たのですが、その内容に関わります。札幌市の場合は、条例制定運動に関わった方

が多数おられると思うんですけれども、一方で、子どもの権利に批判的、懐疑的な運

動もあったことは事実でした。例えば議会に対する反対の請願が賛成の請願より も

多かったということを聞いております。そうした状況の中でできた条例ですので、ぜひ

子どもの権利に批判的、懐疑的な方々とも対話を通して、何ゆえにそのように批判的

なのか、恐れるのかを聞きながら、少しでも合意を作れればなと いう思いで応募いた

しました。実際に、後で委員の名簿も見ていただきますけれども、必ずしも子どもの権

利に積極的ではない意見をかつて言われていた方も委員の中におられます。そうい

った中で、子どもの権利推進計画というものを作って行くのは、なかなか大変だという

のが正直な実感であります。私自身、ストレスを感じながら審議していたというのが本

音です。後でこの辺、ちょっとお話したいと思います。>   

 子どもの権利委員会の役割ということで、この1年間で私が実際やってきた仕事と

いうのは、先ほど国連子どもの権利委員会のお話をいただきましたけれども、市長か

ら諮問を受けた子どもの権利推進計画をどうしていくかということを答申していくことで

して、そういう面で言えば、かなり審議会に近いイメージでやってきたのだとご理解い

ただければと思います。権利委員会がやることは、今、申しあげたことと、もう1つで

すね、子どもの権利の保障状況の評価です。任期は2年間で、今1年が終わるところ

なんですけれども、これからは具体的な施策の保障状況を見ていくということがメイン

の仕事になってくるかなって思います。> 子どもの権利推進計画の基本施策は、4つあ

りますが、条例を制定した他の自治

体のを参考にしながらまとめました。1つ目の柱が子どもの意見表明・参加の促進と

いうことになりましたけれども、原案では参加の促進とあっただけで意見表明というの

はなかったんです。審議を通じて意見表明ということを盛り込んでいったわけです。そ

の辺のことを議事録を使いながらお話ししたいと思います。> 委員になって感じたこと

を2点だけお話したいと思います。1点目は、先ほど申し上げた、憲法・条約と条例との

多少のズレといいますか違和感というか、そこら辺についてです。ローマ数字Ⅱの1のと

ころ、自律ですけれども、これは日本国憲法でも子どもの権利条約でも大事にしている価

値だと思います。もう一方では自立、これは英語で言えばインデペンデンスですが、経済

的自立と言う場合にはこの自立を使うわけですが、札幌市の条例の行政解釈というんです

か、教育委員会によるこの条例に関する解説書がありますが、「子どもの権利とは」とあ

って、「 自立と社会性」というのがキーワードとして出てくる。市役所の担当部局の子

ども未来局もそうですが、子どもの権利を理解する際に、この「自立と社会性」というの

が常に出てきます。
 
 私は、自立という文言に初めて出会った時に、引っかかりました。というのは2006年

に教育基本法が「改正」されましたけれども、さきほど新自由主義という話が世取山

先生からありましたが、新しい教育基本法には「自立」という文言が3カ所か4カ所に

あったように思います。まさに新自由主義のラインにのるものだと思います。福祉に

頼らず自立しろという趣旨だと思います。新教育基本法の性格をよく表しているもの

だと思いますが、それがですね、いきなり子どもの権利の話の冒頭に出てくるというの

は、いったいどういうことだろうか。私は非常に違和感 を持ちました。私は委員会で

自己紹介した時にも、そのことを申し上げました。 
 
 資料をめくっていくと、アンケートの表が出てくると思います。これは今後4年間の推

進計画を作る前に、札幌市の子どもの実態、意識調査、大人の子どもの権利に関す

る意識調査を行った際の原案です。問20にあるように、「自立した社会性のある大人

へ成長するために」と出て来るわけです。これってどういう意味なんでしょうかってこと

を質問したのとその回答が資料にありますが、インデペンデンスとオートノミーに関す

る問いを出したのは私ですが、結論から言いますとインデペンデンスの方の自立にオ

ートノミーの自律は含まれているから大丈夫ですよ と。こだわるとろではないという指

摘も受けるんですけれども、私は憲法や子どもの権利条約にインデペンデンスという

のは本当に含まれている価値なのかなと思っているものですから、こだわってみまし

た。ここが、憲法・条約と条例のズレを感じた最初であります。>>
 
 2つ目の点は、意見表明権は参加権に含まれる?とレジュメには書いているんです

けれども、実は札幌市の権利条例というのは、参加というのを意見表明の上位にお

いている節があるんですね。第4節「参加・意見表明の機会の保障」というのが資料

にありますが、子どもの参加権、参加する権利といった場合は、おそらく第1回の日

本政府に対する勧告の中で意見表明権ということの内容を示すために参加権という

ことを出したように記憶しているんですけど、札幌市の場合は参加の方が上位に来て

いるんです。「参加・意見表明」という言い方をしているんですね 。多治見市も川崎市

も「意見表明・参加」としているのですが、札幌市は「参加・意見表明」としているので

す。どういうことなのかなと思ってました。実際、委員の中にも「参加だけでいいだろ

う」、「意見表明って入れなくていい」と言う方もいました。ただ、私は、ここで言われ

ている「参加」は、意見表明権から導かれる「参加」であって、町内会の行事に参加する

ってことではないんだと思うものですから、こだわって委員会で発言しました。>

 資料にもありますが、札幌市の「各部局で子どもの参加に関してどんなことをやって

いますか」というところでは、事実似たような参加の例が出ています。「中学生の税に

ついての作文」募集事業とか、こうしてみると率直に言って、子どもの意見表明権から

ダイレクトに導かれる参加ではないものも含まれているし、こういうところから参加とい

うものをやっていった方が入り口としてはいいという判断も条文を作る際にはあったの

かなぁと思っていますけれども、参加というのが先に来るのが気になりました。資料に

第6回、第7回委員会の議事録がありますが、 「意見表明を入れてもらいたい」と言っ

たところ、いろんな意見がありましたけれど、最終的には意見表明が入りました。意

見表明の中の参加という形で子どもの権利推進計画には入りました。ただ、よく見て

いただくと、意見表明にアレルギーを感じているから参加でいいんじゃないかと言う方

もいましたし、一方、意見表明権があると言うよりも、参加と言った方が色んな部局も

市民も受け入れやすいからこういう所から入ろうと言う意図も感じられた、そんな審議

の経過でした。

 最後になりますけれど、私はこうやって基本的に憲法や条約の趣旨に則って条例

を…と思いながらやってますけれども、現実にはそこを余り強く出し過ぎると、条例制

定の時の経緯をご存じの方は多いと思いますが、かなり反発を受けるということもあ

って、いろいろと慎重にしながら文言を作ったりということを行政の方もお考えなのか

なってことも感じながらやっています。やはり、私としてはいろんな委員の方がいる中

で、対話を大事にして合意をとりながら、あくまでも条約と憲法に則している部分を活

かし、伸ばしながら、そうでないなというところを抑え るという形で少しずつやっていく

しかないのかなという気がしております。幸い、今回の国連の勧告には、パラグラフの

20で自治体に対する勧告をいただきました。しっかりと子どもの権利という観点から

予算措置の重要性を訴えるものですが、そういったことも慎重にというか、上手に使

いながらジワジワとこの計画の推進状況を見ながら入れて行く、札幌市の財政状況

をみながらやっていく、という必要があるのかなと思いながらやっているところでありま

す。たいへん駆け足で雑駁でしたが、この1年間、推進計画を作る上で感じたことを

お話させていただきました。


(演者及び特別報告者の最後の発言より)
 
粟野)えっと、今日お願いしていなかったんですけども、あの、事務局のほうのご好意

で、子どもの権利推進計画(素案)と、あの、札幌市の子どもの権利条例を配布していた

だきましたことをお礼申し上げます。エー、推進計画(素案)の方に関しては、1月末ま

でにパブリック・コメントを出すことができるものとなっております。で、あの、お金と

人をあまり付けられないという枠組みの中で作ったもんですから、決して、満足のいく素

案とはなっていないと思うのですが、ご意見をいただければありがたく思います。 それ

と、あと、今年の、後半にはですね、えー、子どもの権利委員のまた公募があるかと思い

ますので、まあ、あの、率直に言ってあまり権利条約を知らない方が委員になって審議す

るような状況ですので、是非あの、子どもの権利に理解のある皆々さまに、応募していた

だければと思ってます。

「子どもと教育のつどい」100名を超える参加で成功!

2011-01-10 08:54:40 | 行事・イベント・企画
朝の吹雪模様を見て、参加者よりも世取山さんが飛んで来れないのではないか?と言う思いの方が強かったです。
 ボクは、仕事の会議で「つどい」には参加できませんでしたが、苫小牧からの会議参加者が、「恵庭までは晴天!そこから北が荒れていた」と言ってましたので、安心しました。
 更に、「つどい」に参加した知人から「世取山さんも、一木さんも満席ヨ」とメールが入ってホッ!としていました。主催者発表、100名以上。途中で資料を会館まで戻ってマス・プリしたようです。事務局のみなさん、ご苦労様でした。

 ボクは、そのあとの懇親会から参加しましたが、10人が参加。終電間際まで頑張った組みもあり、大いに交流と激論?されたと思います。


 さて、「つどい」参加者の感想や意見を寄せていただければと思います。
 よろしく、お願いします。
                            (そらこと のたもう!)

2011年の新春は1月8日の「つどい」にご参集を!

2010-12-12 15:22:06 | 行事・イベント・企画
 11月の事務局会議で、今夏に開催された第3回国連子どもの権利委員会で日本政府に

に対して発せされた勧告の内容を深く学び、家庭・学校・社会での実践にいかそうと、

DCI日本支部の世取山洋介さんを招いて「子どもと教育を考える新春のつどい」を開催し

よう!ということになりました。

 共同代表の姉崎洋一さんを介して、打診をしてもらったところ「1月8日なら」と快諾

を得られました。

 「つどいのご案内」を紹介します。後日、会員のみなさんには、「会報」とビラが送ら

れていきます。同僚等をお誘いのうえ、1月8日は教育文化会館へ!



「子どもと教育を考える新春のつどい」のご案内

 すでにチラシでお知らせしているように、「子どもと教育・文化 道民の会 2011年新

春のつどい」を開催します。日時は、2011年1月8日(土)午後(13時半―16時)、会場は

札幌市教育文化会館研修室です。

 内容は、子どもの権利をともに考えるための講演と意見交流のつどいです。  

 第1部には、世取山洋介さんの講演「国連子どもの権利委員会「第3回最終所見」をどう

生かす」、第2部には報告と意見交流を企画しています。世取山さんは、大学教員の仕事

とともに、DCI日本支部事務局長、子どもの権利条約市民NGO報告書をつくる会代表委

員など子どもの権利や教育法にかかわる研究や運動の最前線にいるパワフルな研究者で

す。国連子どもの権利委員会の最終所見に至る経緯や「子どもの声を国連に届ける会」の

取り組みなどを、自らジュネーブなどに出かけてきた経験を踏まえて、明晰かつ生き生き

とした臨場感をもってお話しされるかと思います。
 
 第2部では、粟野正紀さん(教育大札幌校)、松代峰明さん(富良野高校)に、子ども

の権利に関して、札幌市の子どもの権利条例の現段階や高校現場での取り組みを、最初に

ご報告いただき、その後参加者で、自由に意見交流を行いたいと思います。

 競争と自己責任論の強まりの中での子どもの孤独感の高さや、あいつぐ子どものいじめ

自殺問題など、心を痛めるニュースが続いています。父母住民・教職員・教育行政・子ど

もたちの共同の力での根本原因打開の取り組みには何が必要でしょうか? つい先日、12

月3日に公表されたユニセフ・イノチェンテイ研究所の報告書「取り残された子どもた

ち」(The children left Behind)は、子どもの状態に関して①物質的な幸福、②教育達

成度、③身体的幸福の3項目について、OECD加盟の欧州24ヶ国と米国の比較をしてそ

の格差の現状を明らかにしました。詳しくはここでは書きませんが、OECDの「富める

国々」においても、格差や不平等が明白になっており、「子どもが精神的、肉体的に成長

するチャンスは一回きりだ」「落ちこぼれ取り残されていく(falling behind)子どもの

問題は現在の何百万人もの個々の子どもたちだけではなく、国民の経済的社会的未来の問

題として危機的な問題なのだ」との指摘は重要です。新聞報道によれば、G.アレキサン

ダー所長は、「比較した24ヶ国はすべて先進国だ。子どもの貧困を克服する力は同じよう

に持っている」と述べているようです。今回の調査は、日本はその比較において直接的な

対象ではありませんでしたが、日本の子どもの貧困や格差は、米国と並び深刻であり、幸

福度も低いとの指摘があるなかで、ユニセフ調査は重要な示唆を与えています。
 
 新春の講演と意見交流のつどいでは、このような議論を含め、子どもの問題や教育の

様々な問題解決や打開の方向を考えていく機会になることを期待したいと思います。皆様

とお仲間お誘い合わせてのご参加を呼びかけます。 


                             (共同代表・姉崎洋一)