goo blog サービス終了のお知らせ 

子ども期の人権を育む!~子どもと教育・文化 道民の会

子ども期の権利を育む実践を家庭・学校・社会で進めるために、情報交換、意見と運動の交流ができればと思い開設してみました。

「新春のつどい」での粟野正紀さんの報告とまとめ

2011-03-17 16:20:17 | 行事・イベント・企画
 以下、主催の「子どもと教育・文化 道民の会」事務局長の了解を得、発言者本人

の了解も得ましたので、アップしたいと思います。



1月8日に行われた「子どもと教育 新春のつどい」(「子どもと教育・文化 道民の

会」主催)における、粟野正紀さん(札幌市子どもの権利委員)の特別報告



 まず、札幌市子どもの権利委員としての1年間を、自分なりに振り返る機会をいた

だいたことに感謝申し上げます。先ほど姉崎先生からありましたように、私は子ども

の権利条例の制定にも、その運動にもほとんど携わらないできた者です。約1年前

に、札幌市の条例に基づいて設置された子どもの権利委員会の委員が公募されま

した。委員会は学識経験者と公募委員という二種類の委員から構成されますが、私

は公募委員に応募いたしました。 権利委員となって1年間、10回ほどの審議に参

加して感じたり考えたりしたことを話題として提供させていただくとい うことで、これ

から15分程お話してみたいと思います。>

 はじめに、なぜこの委員に応募したのかという、私の意図からお話させていただき

たいと思います。当時、2つほど考えました。1つは、この札幌市の子どもの権利条例

が、日本国憲法と国連子どもの権利条約の趣旨にそった、則った解釈、運用される

よう、きっちりウォッチングしていきたいと。そういう思いで応募致しました 。

 解釈改憲という言葉もあるように、実際、条例が、先ほど世取山先生から良い内容

と言っていただきましたけれども、本当にその通り運用されるのかということを市民と

してチェックしていくことが大事だと思って応募したということです。率直に言って子ど

もの権利条約や日本国憲法で言っていることと、ちょっとズレがあるんじゃないかな

と、そういう部分もあるんじゃないかなということも、委員になって感じることも若干ご

ざいました。そういう部分も後でお話しできればなと思っております。
 
 2つ目ですけれども、これは公募委員に応募する際に、作文しなければならなかっ

たのですが、その内容に関わります。札幌市の場合は、条例制定運動に関わった方

が多数おられると思うんですけれども、一方で、子どもの権利に批判的、懐疑的な運

動もあったことは事実でした。例えば議会に対する反対の請願が賛成の請願より も

多かったということを聞いております。そうした状況の中でできた条例ですので、ぜひ

子どもの権利に批判的、懐疑的な方々とも対話を通して、何ゆえにそのように批判的

なのか、恐れるのかを聞きながら、少しでも合意を作れればなと いう思いで応募いた

しました。実際に、後で委員の名簿も見ていただきますけれども、必ずしも子どもの権

利に積極的ではない意見をかつて言われていた方も委員の中におられます。そうい

った中で、子どもの権利推進計画というものを作って行くのは、なかなか大変だという

のが正直な実感であります。私自身、ストレスを感じながら審議していたというのが本

音です。後でこの辺、ちょっとお話したいと思います。>   

 子どもの権利委員会の役割ということで、この1年間で私が実際やってきた仕事と

いうのは、先ほど国連子どもの権利委員会のお話をいただきましたけれども、市長か

ら諮問を受けた子どもの権利推進計画をどうしていくかということを答申していくことで

して、そういう面で言えば、かなり審議会に近いイメージでやってきたのだとご理解い

ただければと思います。権利委員会がやることは、今、申しあげたことと、もう1つで

すね、子どもの権利の保障状況の評価です。任期は2年間で、今1年が終わるところ

なんですけれども、これからは具体的な施策の保障状況を見ていくということがメイン

の仕事になってくるかなって思います。> 子どもの権利推進計画の基本施策は、4つあ

りますが、条例を制定した他の自治

体のを参考にしながらまとめました。1つ目の柱が子どもの意見表明・参加の促進と

いうことになりましたけれども、原案では参加の促進とあっただけで意見表明というの

はなかったんです。審議を通じて意見表明ということを盛り込んでいったわけです。そ

の辺のことを議事録を使いながらお話ししたいと思います。> 委員になって感じたこと

を2点だけお話したいと思います。1点目は、先ほど申し上げた、憲法・条約と条例との

多少のズレといいますか違和感というか、そこら辺についてです。ローマ数字Ⅱの1のと

ころ、自律ですけれども、これは日本国憲法でも子どもの権利条約でも大事にしている価

値だと思います。もう一方では自立、これは英語で言えばインデペンデンスですが、経済

的自立と言う場合にはこの自立を使うわけですが、札幌市の条例の行政解釈というんです

か、教育委員会によるこの条例に関する解説書がありますが、「子どもの権利とは」とあ

って、「 自立と社会性」というのがキーワードとして出てくる。市役所の担当部局の子

ども未来局もそうですが、子どもの権利を理解する際に、この「自立と社会性」というの

が常に出てきます。
 
 私は、自立という文言に初めて出会った時に、引っかかりました。というのは2006年

に教育基本法が「改正」されましたけれども、さきほど新自由主義という話が世取山

先生からありましたが、新しい教育基本法には「自立」という文言が3カ所か4カ所に

あったように思います。まさに新自由主義のラインにのるものだと思います。福祉に

頼らず自立しろという趣旨だと思います。新教育基本法の性格をよく表しているもの

だと思いますが、それがですね、いきなり子どもの権利の話の冒頭に出てくるというの

は、いったいどういうことだろうか。私は非常に違和感 を持ちました。私は委員会で

自己紹介した時にも、そのことを申し上げました。 
 
 資料をめくっていくと、アンケートの表が出てくると思います。これは今後4年間の推

進計画を作る前に、札幌市の子どもの実態、意識調査、大人の子どもの権利に関す

る意識調査を行った際の原案です。問20にあるように、「自立した社会性のある大人

へ成長するために」と出て来るわけです。これってどういう意味なんでしょうかってこと

を質問したのとその回答が資料にありますが、インデペンデンスとオートノミーに関す

る問いを出したのは私ですが、結論から言いますとインデペンデンスの方の自立にオ

ートノミーの自律は含まれているから大丈夫ですよ と。こだわるとろではないという指

摘も受けるんですけれども、私は憲法や子どもの権利条約にインデペンデンスという

のは本当に含まれている価値なのかなと思っているものですから、こだわってみまし

た。ここが、憲法・条約と条例のズレを感じた最初であります。>>
 
 2つ目の点は、意見表明権は参加権に含まれる?とレジュメには書いているんです

けれども、実は札幌市の権利条例というのは、参加というのを意見表明の上位にお

いている節があるんですね。第4節「参加・意見表明の機会の保障」というのが資料

にありますが、子どもの参加権、参加する権利といった場合は、おそらく第1回の日

本政府に対する勧告の中で意見表明権ということの内容を示すために参加権という

ことを出したように記憶しているんですけど、札幌市の場合は参加の方が上位に来て

いるんです。「参加・意見表明」という言い方をしているんですね 。多治見市も川崎市

も「意見表明・参加」としているのですが、札幌市は「参加・意見表明」としているので

す。どういうことなのかなと思ってました。実際、委員の中にも「参加だけでいいだろ

う」、「意見表明って入れなくていい」と言う方もいました。ただ、私は、ここで言われ

ている「参加」は、意見表明権から導かれる「参加」であって、町内会の行事に参加する

ってことではないんだと思うものですから、こだわって委員会で発言しました。>

 資料にもありますが、札幌市の「各部局で子どもの参加に関してどんなことをやって

いますか」というところでは、事実似たような参加の例が出ています。「中学生の税に

ついての作文」募集事業とか、こうしてみると率直に言って、子どもの意見表明権から

ダイレクトに導かれる参加ではないものも含まれているし、こういうところから参加とい

うものをやっていった方が入り口としてはいいという判断も条文を作る際にはあったの

かなぁと思っていますけれども、参加というのが先に来るのが気になりました。資料に

第6回、第7回委員会の議事録がありますが、 「意見表明を入れてもらいたい」と言っ

たところ、いろんな意見がありましたけれど、最終的には意見表明が入りました。意

見表明の中の参加という形で子どもの権利推進計画には入りました。ただ、よく見て

いただくと、意見表明にアレルギーを感じているから参加でいいんじゃないかと言う方

もいましたし、一方、意見表明権があると言うよりも、参加と言った方が色んな部局も

市民も受け入れやすいからこういう所から入ろうと言う意図も感じられた、そんな審議

の経過でした。

 最後になりますけれど、私はこうやって基本的に憲法や条約の趣旨に則って条例

を…と思いながらやってますけれども、現実にはそこを余り強く出し過ぎると、条例制

定の時の経緯をご存じの方は多いと思いますが、かなり反発を受けるということもあ

って、いろいろと慎重にしながら文言を作ったりということを行政の方もお考えなのか

なってことも感じながらやっています。やはり、私としてはいろんな委員の方がいる中

で、対話を大事にして合意をとりながら、あくまでも条約と憲法に則している部分を活

かし、伸ばしながら、そうでないなというところを抑え るという形で少しずつやっていく

しかないのかなという気がしております。幸い、今回の国連の勧告には、パラグラフの

20で自治体に対する勧告をいただきました。しっかりと子どもの権利という観点から

予算措置の重要性を訴えるものですが、そういったことも慎重にというか、上手に使

いながらジワジワとこの計画の推進状況を見ながら入れて行く、札幌市の財政状況

をみながらやっていく、という必要があるのかなと思いながらやっているところでありま

す。たいへん駆け足で雑駁でしたが、この1年間、推進計画を作る上で感じたことを

お話させていただきました。


(演者及び特別報告者の最後の発言より)
 
粟野)えっと、今日お願いしていなかったんですけども、あの、事務局のほうのご好意

で、子どもの権利推進計画(素案)と、あの、札幌市の子どもの権利条例を配布していた

だきましたことをお礼申し上げます。エー、推進計画(素案)の方に関しては、1月末ま

でにパブリック・コメントを出すことができるものとなっております。で、あの、お金と

人をあまり付けられないという枠組みの中で作ったもんですから、決して、満足のいく素

案とはなっていないと思うのですが、ご意見をいただければありがたく思います。 それ

と、あと、今年の、後半にはですね、えー、子どもの権利委員のまた公募があるかと思い

ますので、まあ、あの、率直に言ってあまり権利条約を知らない方が委員になって審議す

るような状況ですので、是非あの、子どもの権利に理解のある皆々さまに、応募していた

だければと思ってます。

二女の中学卒業式に参加して思う~5年つきあって

2011-03-17 15:42:51 | 会員の声 メッセージ
岡崎です

 15日は、二女の中学の卒業式で、完全寝坊の一女と一緒に式場へ。別居の妻に気

を遣いながら?で結構つかれたみたいです。一女が2年の時から通算5年間世話になった

先生、校門からの生徒の送り出しを見届けた後、握手をしてきました。

 ボクは式場をサッサと引き上げて、最後のホームルームでの先生(男)と生徒たち

をビデオに撮ってあります。
 
 一女の時は、「先生は前の学校で、心が折れそうになりました。ここに来てみんなと

生活し、先生は救われました。ありがとう…」と号泣でした。この学校の過剰な管理教

育を受け入れるしかなかった先生の身の上がわかって、一女に対する姿勢の全般

を“許せた”瞬間でした。

 昨日は、「先生はみんなと過ごした3年で絆の大切さを学ばされました。それは、そ

れまでの先生に欠けていたものだと気づきました。ありがとう…」と泣いていました。自

分を振り返って、生徒に“自分の弱さを語れ力”を持った先生なんだなぁ~と。おそら

く、この春、転勤でしょう。

 40才になった、双子含めた3児のお父さん。教員としての職制と保護者の区別と関

係性で、子どもの成長とともに悩むことになろうけれど、大いに悩んでほしいし、保護

者として悩んでほしい!と思います。そういう意味で、浅くとも長~いつき合いをしたい

と。「一女に対した生徒指導がどうだったのかを、あなたが実践的に総括できるのか

どうか、オレはズ~っと観続けているからナ!気ぬくなヨ!」の思いです。