「新感染 ファイナル・エクスプレス」予告編
映画の「食べ合わせ」が悪かったと言いますか、『ダンケルク』の直後でなければもう少し楽しめたかもしれません。あれがすごすぎた。
吹き替え否定派というわけではありませんが、韓国映画に関しては字幕版のほうがよろしいのではないかと思います。本作では中村悠一に坂本真綾、小山力也に喜多村英梨と、アニメ界隈で評判の良いボイス・アクターがキャスティングされています。確かに上手いのですが、韓国語特有の感情を揺さぶるような発声があっての韓国映画。酢のない韓国冷麺という、ニンニクが入っていないキムチいうか、どうにも最後までしっくりきませんでした。
ゾンビ映画としては可もなく不可もなく。映画を通して描かれている(と思われる)韓国社会の問題が面白かった。例えば、「今の若者は何かあるとデモするけれど、昔だったら殴る蹴るされて逮捕される」と語る老姉妹。その言葉の裏には「自分の主義主張だけ通すのではなく、もっと相手のことを慮るべき」という、失われつつある古き良き韓国への憧憬がありました。他人のことを思いやる人ほど損をするという社会なんて滅びてしまえばいいという、激しい憤りが描かれています。
「自分さえ良ければ他はどうなってもいい」という空気は、そこここで描かれています。何しろ主人公が(悪徳)ファンド・マネージャーなのですから。その彼が絶望の淵に追い込まれて少しずつ変わっていくわけです。
最終防衛ラインが釜山、災厄が北から南へ下ってくるというのは嫌でも朝鮮戦争を彷彿させます。だとするとゾンビは危機のメタファーであり、我々がよくわかっていないだけで、韓国社会はたいへんな状況にある(と感じている人が少なくない)のかもしれません。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』
個人的満足度: ★★(字幕なら多分★★★)
映画の「食べ合わせ」が悪かったと言いますか、『ダンケルク』の直後でなければもう少し楽しめたかもしれません。あれがすごすぎた。
吹き替え否定派というわけではありませんが、韓国映画に関しては字幕版のほうがよろしいのではないかと思います。本作では中村悠一に坂本真綾、小山力也に喜多村英梨と、アニメ界隈で評判の良いボイス・アクターがキャスティングされています。確かに上手いのですが、韓国語特有の感情を揺さぶるような発声があっての韓国映画。酢のない韓国冷麺という、ニンニクが入っていないキムチいうか、どうにも最後までしっくりきませんでした。
ゾンビ映画としては可もなく不可もなく。映画を通して描かれている(と思われる)韓国社会の問題が面白かった。例えば、「今の若者は何かあるとデモするけれど、昔だったら殴る蹴るされて逮捕される」と語る老姉妹。その言葉の裏には「自分の主義主張だけ通すのではなく、もっと相手のことを慮るべき」という、失われつつある古き良き韓国への憧憬がありました。他人のことを思いやる人ほど損をするという社会なんて滅びてしまえばいいという、激しい憤りが描かれています。
「自分さえ良ければ他はどうなってもいい」という空気は、そこここで描かれています。何しろ主人公が(悪徳)ファンド・マネージャーなのですから。その彼が絶望の淵に追い込まれて少しずつ変わっていくわけです。
最終防衛ラインが釜山、災厄が北から南へ下ってくるというのは嫌でも朝鮮戦争を彷彿させます。だとするとゾンビは危機のメタファーであり、我々がよくわかっていないだけで、韓国社会はたいへんな状況にある(と感じている人が少なくない)のかもしれません。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』
個人的満足度: ★★(字幕なら多分★★★)