「晴耕雨読」

もしかするとこの世の幸せなんて
瞬くイルミネーションのようなものなのかも知れない…

『カリブの花』

2005-08-21 17:44:16 | Weblog
 燃える日射しの中で 私の想いはあなたへ
 髪にかざした花は 私のウェディングドレス
 白い波間のかなたから あなたはいつ迎えにくる
 貝の首飾り編んで あなたの胸をうずめる

 さざ波寄せくる夜は せめてあなたの想いを
 しぶきに託して欲しいの今は 白い船はまだ
 

 熱い口づけかわし 二人誓ったあの日を
 夜空の星のひとつに そっとうちあけてみた
 白いかもめは私に あなたの帰りを知らせる
 波はあなたの声のように そっと私をつつむ

 いつも唱ったあの歌 月が憶えているは
 明日は浜辺にあなたの笑顔が 白い船がくる 

『神田川』

2005-08-10 21:10:10 | Weblog
貴方はもう忘れたかしら 赤い手拭マフラーにして
二人で行った横丁の風呂屋 一緒に出ようねって言ったのに
いつも私が待たされた 洗い髪が芯まで冷えて
小さな石鹸カタカタなった 貴方は私の体を抱いて
冷たいねって言ったのよ 

若かったあの頃 何も怖くなかった
ただ貴方のやさしさが 怖かった


貴方はもう捨てたのかしら 二十四色のクレパス買って
貴方が描いた私の似顔絵 巧く描いてねって言ったのに
いつもちっとも似てないの 窓の下には神田川
3畳1間の小さな下宿 貴方は私の指先見つめ
悲しいかいってきいたのよ 

若かったあの頃 何も怖くなかった
ただ貴方のやさしさが 怖かった
 

『おまえのサンダル』

2005-08-10 21:04:46 | Weblog
親の許しもなく 夫婦ものお断りの部屋で
お前のまっ赤なサンダルをかくす毎日
あの頃の二人は 旅に出る金もなく
故郷の地図をひらいて汽車のない旅をした

やさしい女よ 許しておくれ きつい暮らしと涙の他は
何も与えなかった


破れ小窓から 夕焼けを見たね
お前が故郷へ帰って もう2年だね
僕は目を閉じて 故郷の空を想う
今頃はもう菜の花が咲いているだろうか

やさしい女よ 許しておくれ きつい暮らしと涙の他は
何も与えなかった