「晴耕雨読」

もしかするとこの世の幸せなんて
瞬くイルミネーションのようなものなのかも知れない…

『神田川』

2005-08-10 21:10:10 | Weblog
貴方はもう忘れたかしら 赤い手拭マフラーにして
二人で行った横丁の風呂屋 一緒に出ようねって言ったのに
いつも私が待たされた 洗い髪が芯まで冷えて
小さな石鹸カタカタなった 貴方は私の体を抱いて
冷たいねって言ったのよ 

若かったあの頃 何も怖くなかった
ただ貴方のやさしさが 怖かった


貴方はもう捨てたのかしら 二十四色のクレパス買って
貴方が描いた私の似顔絵 巧く描いてねって言ったのに
いつもちっとも似てないの 窓の下には神田川
3畳1間の小さな下宿 貴方は私の指先見つめ
悲しいかいってきいたのよ 

若かったあの頃 何も怖くなかった
ただ貴方のやさしさが 怖かった
 

『おまえのサンダル』

2005-08-10 21:04:46 | Weblog
親の許しもなく 夫婦ものお断りの部屋で
お前のまっ赤なサンダルをかくす毎日
あの頃の二人は 旅に出る金もなく
故郷の地図をひらいて汽車のない旅をした

やさしい女よ 許しておくれ きつい暮らしと涙の他は
何も与えなかった


破れ小窓から 夕焼けを見たね
お前が故郷へ帰って もう2年だね
僕は目を閉じて 故郷の空を想う
今頃はもう菜の花が咲いているだろうか

やさしい女よ 許しておくれ きつい暮らしと涙の他は
何も与えなかった