「晴耕雨読」

もしかするとこの世の幸せなんて
瞬くイルミネーションのようなものなのかも知れない…

『男は明日はくためだけの靴を磨く』

2004-11-30 12:33:35 | Weblog
夕暮れの町並みが 少しずつ暗くなってゆく
ひとりの男が 今日も坂道を降りてくる
アパートのドアを開け 手さぐりで灯りをつけた時
今日一日がふと目の前を通り過ぎる
ひとり暮らしは気楽と言えばいい

過去のことは思い出さず これからのことはわからない
男は明日はくためだけの靴を磨く
その日暮らししていても ほら こんなに幸せだと
大きな声で笑える日もいつかはくる
時の流れに 身をまかすのも いいさ

やさしい女がどこかにいたような気がする
そんな気持ちに たとえ答えられなくても
男なら恋心をさりげなくポケットにいれて
そのあとでそっとどこかで取り出してみたとき
熱い思い出 静かに消せばいい

男なら夢のひとつ くつがえすこともできるし
夢からさめたら また新しい夢をみればいい
窓辺で枯れてゆく 一輪ざしの花でさえ
この部屋の中で精一杯に咲いていた
そんな小さな生きざまをみつけたい