ヨハン先生のドイツ語フランス語三昧

ドイツ語、フランス語をはじめて学ぶ人からブラシュ・アプしたいと思っている人まで、楽しく、しっかり身につくブログです

ドイツ語の時間第三週目

2011-10-08 09:13:24 | wiki
ドイツ語の時間、第三週一日目

みなさんこんばんは。
そしてあけましておめでとうございます。

新しい年がどうぞみなさんにとって飛躍の年となりますように。

Ich wünsche Euch allen alles Gute im neuen Jahr 2011.


さて、ドイツ語の時間は、今日から第三週目に入ります。


本日の検索キーワードは「パラドックス」です。


(独)
Ein Paradox ist ein scheinbarer oder tatsächlich unauflösbarer, unerwarteter Widerspruch.
(和)
パラドックスは見た目のまたは実は解決できない、予想外の矛盾です。 (調: F.Ohdaka)


すでに2週みてきましたから、小生も学生がこの課題にどう取り組もうとしたかは、分かってきました。小生が提案したのは、ドイツ語と日本語の双方で対応している文章を見つけてくることだったのですが、実際にはほとんど対応していないことがはっきりしてきました。そして学生は、それでも課題をこなそうと、辞書をひきひき訳しているらしいのです。


今回のOhdaka君の訳した文章には、やはり冠飾句が使われていて、形容詞が3つ、それがすべてWiderspruch (矛盾)を修飾していることは分かると思います。

ただ、一つ目の形容詞 scheinbar と以後の形容詞 unauflösbar、unerwartet の間には oder という言葉がはいっているので、形だけで意味の取り方を説明すれば、Aの矛盾あるいはB、Cの矛盾という形になっているわけですね。

ですから、日本語としても、いったん oder「または」の前で区切りをつけて、Aの矛盾と訳しておいたほうが読む側には分かりやすくなったと思います。

で、その scheinbar と言う言葉ですが、たしかにOhdaka君が使った「見た目の」とか、「外見上の」という言葉で、訳として間違いではないのですが、これは次の B、Cの矛盾とは区別されており、そのことを日本語としても分かるように訳さないといけません。で、こういう場合は、くどくなってしまうのですが、説明的に訳した方が誤解を避けることができるのです。

たとえば、

パラドックスとは、外見上の矛盾、または、実際解決不可能な、当初は予想もしなかった矛盾のことを言う。

とでもなるでしょうか。


日本語ウィキのそれらしい箇所を探すと、こう書いてありました。


パラドックス (paradox) という言葉は多義であるが、正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す。

また、岩波数学辞典に書かれた次の定義も紹介されています。

一般に容認される前提から、反駁しがたい推論によって、一般に容認し難い結論を導く論説を逆理(パラドックスまたは逆説)という。一見正しそうでも、よく考えれば間違った前提や欠陥のある推論を用いている場合は虚偽(fallacy, paraligism)と呼ぶべきだが、これも広い意味では逆理に含められる。




◎ このドイツ語を覚えましょう

今日はドイツ語ウィキの方に、パラドックスのいくつかの例が挙げられているなかで、次の一文です。

„ich lüge immer“


やさしい文ですから、意味はわかりますね?

そして、なるほど、この文章は、発せられた瞬間、パラドックスになりますね。



☆ ☆ ☆

みなさんこんばんは。
ドイツ語の時間第三週の今日は二日目です。

毎回さまざまにテーマが変わりますが、それはほぼ学生から提出された順番に従って取り上げてきているからです。

で、今回はスポーツの話題です。


(独)
Volleyball ist eine Mannschaftssport aus der Gruppe der Rückschlagspiel, bei der sich zwei Mannschaften mit jeweils sechs Spielern auf einem, durch ein Netz geteiltes, Spielfeld gegenüberstehen.
(和)
バレーボール とは、ネット越しにボールを打ち合う球技である。1チーム6人、または9人で行われる。 (調: T.Sawata)


毎回のようにコメントしてきていますが、今回ここに取り上げている文章は、ドイツ語ウィキ、日本語ウィキともに、小生が意図したとおりのオリジナルの記述です。

まず、ドイツ語の方にさっと目を通してみて、さらに声に出して読んでみてください。


日本語ウィキの方は二つの文章になっていますが、ドイツ語ウィキはこれで一つの文章です。

日本語ウィキの説明が二つの文章を合わせてもドイツ語より短いので、最初の文章だけで比較するとずいぶんドイツ語ウィキの説明は長いことがわかりますね。


この短い日本語ウィキの説明がどのようにドイツ語ウィキと対応しているか、すこしドイツ語の説明文が修飾が多くて複雑になっているので、整理しましょう。

ドイツ語ウィキの説明が複雑になっている原因は、

Rückschlagspiel という言葉が入っているからです。ちなみに、ここにはSawata君が提出した文章そのままをのせましたが、どうもこれでは意味が通じないので、念のために調べてみました。

この Rückschlagspiel という単語は、複数形でなければなりません。語尾の -e が Sawata君の文章では落ちてしまったようです。

で、あらためて eine Mannschaftssport aus der Gruppe der Rückschlagspiele という箇所についての説明です。


Mannschaftssport は、チーム競技ということですね。

そして Rückschlagspiele は、ボールを打ち合う競技を指す言葉ですが、このあとで、この単語についてはさらにドイツ語ウィキでみてみることにします。

aus は「~から由来する」という意味の前置詞です、

したがって aus der Gruppe der Rückschlagspiele で、「ボールを打ち合う競技種目に入る(グループ分けされる)」という意味になります。

eine Mannschaftssport aus der Gruppe der Rückschlagspiele 全体だと、「互いにボールを打ち合う競技種目の一つであるチーム競技」となっているわけです。

これが前半部分です。


後半は bei der の der が Mannschaftssport を先行詞とした関係文です。

関係文中の主語は zwei Mannschaften mit jeweils sechs Spielern です。ここでの mit は Spielern の前置詞ですが、jeweils が間に割り込んでいるために、おそらく初学者のみなさんには、複雑に見えるとおもいます。

jeweils は辞書をひくと「そのときどきに」と意味が出てると思いますが、ここでは、「互いに」と訳した方が意味が通ると思います。つまり、「互いに6人の選手からなる二つのチーム」というのが関係文の主語です。


そして、次の auf einem, durch ein Netz geteiltes, Spielfeld
これはすでに何度も顔を出す冠飾句ですね。直訳すると「ネットで分けられた競技場(コート)で」という意味です。

パート、パートにまだみなさんには慣れていない修飾語がたくさんくっついた句が割り込んでくると、とても複雑に感じることだと思います。


今のそれぞれに説明したパートを組み合わせて、あらためてドイツ語ウィキのオリジナル文章を直訳してみましょう。


「バレーボールは6人の選手からなる2チームが、ネットをはさんだコートで互いにボールを打ち合うチームスポーツの一種です」


なんだか江戸時代末の蘭学者のような気分になりましたね。訳さなくてはならない原文の (初学者にとっての) 文法的、構造的な複雑さと、意味がわかった時の内容の単純さ、このギャップがすさまじい!!

でも、慣れですからね。いつか、一読して、構造が把握できるようになりますから、今は、長ったらしい修飾の多い、入り組んだ文章にでくわしたら、区切りのつくまとまりを鉛筆で線引きして、全体を一望できるようにしてください。


Volleyball / ist / eine Mannschaftssport aus der Gruppe der Rückschlagspiele, / bei der / sich / zwei Mannschaften mit jeweils sechs Spielern / auf einem, durch ein Netz geteiltes, Spielfeld / gegenüberstehen.



ウィキの文章には、クリックするとその項目の説明に飛ぶことができる単語がいくつか出てくること、そのためそういう単語はアンダーラインされて、色違いの文字になっていることは、知ってることと思います。

そこで、ここでは先ほども触れましたが、Rückschlagspiel という単語に飛んでみることにします。


Ein Rückschlagspiel ist eine Ballsportart, bei der zwei Parteien sich einen Ball gegenseitig so zuspielen, dass die jeweils andere bei der Annahme oder Rückgabe einen Fehler macht. Fehler von Partei A gelten als Punkte für B.


この検索ワードには、対応する日本語ウィキの項目はありません。

ドイツ語ウィキのこの説明を直訳してみることにします。その前にそもそもこの「Rückschlagspiel」という単語にあたる日本語を小生自身知らないので、これはそのままドイツ語を使います。

「Rückschlagspiel は、2チームが一つのボールを互いに相手側に打ち、相手チームが受け取る(レシーブの)際、あるいは打ち返す際にミスすることを競う競技です。チームAのミスがチームBの得点となる。」

やはり、気分は解体新書だ。


気分を変えて、バレーボールのウィキの説明には「歴史」についての記述もありますから、ドイツ語、日本語それぞれを比べてみて締めくくることにします。


In der zweiten Hälfte des Jahres 1895 wurde von William G. Morgan, einem Sportdirektor des YMCA, in Holyoke, ein Spiel namens Mintonette als Zeitvertreib für ältere Mitglieder entwickelt.

(注: In der zweiten Hälfte は「後半」という意味です。ですから、1895年の後半という意味です。
Holyoke は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州「ホルヨーク」)


バレーボールは、テニスをヒントに、女性や子供が気軽に楽しめるレクリエーションとして1895年2月9日、アメリカ合衆国でウィリアム・G・モーガンによって考案された。このころのルールは非常に単純で、試合に集まった人たちを同じ数の2チームに分けて、ボールを打ち合い、ボールを落としたほうが負けというものであった。
1896年、モーガンはこの新ゲームをスプリングフィールドで開催されたYMCA体育指導者会議の際に公開した。モーガンは当初このゲームをミントネット(Mintonette)と名付けたが、後に名称をバレー・ボール(volley ball)に改めた。1952年に現在のようにバレーボール(volleyball)と一語で表すようになった。



◎ このドイツ語を覚えましょう

今日は今あげた「歴史」の記述の最後のほうにあった für ältere Mitglieder という言葉です。

「ältere」は絶対比較級で、ここの場合「中高年の」といった意味になっています。ちなみに Mitglieder は「メンバー」という単語です。


このドイツ語ウィキの説明を読むと、ミントネットが、初期には激しい競技に不向きな「中高年」を対象にした、日本のゲートボールのような感覚で、楽しんでするスポーツとして考案されたものだったことが分かりますね。

小生のようなジェネレーションにとっては、バレーボールはもちろん大松監督と日紡貝塚チーム、そして回転レシーブが真っ先に思い出される激しいスポーツです。

1964年の東京オリンピックの時代ですからね、はるか、はるかな昔の話になりました。



☆ ☆ ☆

第三週三日目





Hallo, meine lieben!
Die Winterferien gehen langsam zu Ende.
Wir sehen uns bald wieder beim Unterricht.

みなさんこんにちは。
冬休みも明日で終わりですね。

さて、今日このブログにアクセスして少しは驚きましたか?
そろそろだれてきたんじゃないかと思ってね、テコ入れのために画像もアップしてみたのですよ。
先生はいつも学生のことを考えている。あはははは、本当の話。


今日はね、検索キーワード、ビールだもの、これくらいのことをして楽しくしなくてはね。


(独)
Im engeren Sinne ist Bier ein alkohol- und kohlensäurehaltiges Getränk, das durch Gärung meist aus den Grundzutaten Wasser, Malz und Hopfen gewonnen wird. Für ein kontrolliertes Auslösen des Gärvorganges wird meistens Hefe, selten auch Milchsäurebakterien zugesetzt.
(和)
ビールは、アルコール飲料の一種。主に麦を発芽させた麦芽を酵素(アミラーゼ)で糖化させ、ビール酵母でアルコール発酵させて作る製法が一般的である。 (調: R.Takase)


今回Takase君が調べて、ここにアップしてある文章も、ドイツ語ウィキ、日本語ウィキ、ともにオリジナルです。

どうでしょうか? やはり、初学者の諸君にとっては、二つを対比する作業、そんなに易しいものではないのかもしれませんね。


ドイツ語ウィキの記述を、丁寧に読んでいくことにしましょう。

① Im engeren Sinne / ist / Bier / ② ein alkohol- und kohlensäurehaltiges Getränk,/ ③ das / ④ durch Gärung / meist / ⑤ aus den Grundzutaten Wasser, Malz und Hopfen / ⑥ gewonnen wird. // ⑦ Für ein kontrolliertes Auslösen des Gärvorganges / ⑧-1 wird / meistens / ⑨ Hefe, selten auch Milchsäurebakterien / ⑧-2 zugesetzt.


前回書きましたが、意味の句切れを意識するだけで、ずいぶん文章の構造がとりやすく感じられることだと思います。

① 「狭い意味で」となります。engeren となっているのは比較級です。「より狭義に捉えると」ということですが、これも絶対用法で単に意味を強調しているだけです。

② haltig というのは「含有する」という形容詞で、二つの単語に共通してこの形容詞をくっつけるために A- und B~ という形にします。したがってここでの意味は「アルコールと炭酸を含有する飲料」となります。

前半の主文はそれで終わって、

③ das は Getränk を先行詞とする関係代名詞です。

④ は「発酵によって」という意味ですが、小生なんかは、こういう場合は「発酵させることで」と Gärung を英語で言う動名詞のように訳した方が、意味が通りやすくなると思います。

⑤ の Grundzutaten のような単語はたぶん辞書に出てこないと思いますからね、Grund と Zutate を分けて意味を調べます。Grund は「基本となる」という意味で、Zutate は「添加物」という意味です。したがって全体で「基本的には水、麦芽、ホップを入れて」となっているわけです。

⑥ は受け身の形ですね。後期の試験にもだすよ。werden ・・・過去分詞 という形になります。意味は「獲得される」となっています。

これで関係文は終了で、一つ目の文章も完結です。

⑦ 二つ目の文章の先頭がこれだから、慣れていない初学者の諸君にとっては、こういう場合の日本語の意味の取り方にことさら苦労するのではないかと思います。その原因は、Auslösen という単語だろうと思います。これはもちろん動詞 auslösen を不定形のまま大文字で書きだして名詞化しているのです。これが英語の動名詞に相当するドイツ語の形ですね。性は中性、das ~ となります。
そしてこの動名詞化された Auslösen をさらに kontrolliert という形容詞が修飾しているのです。直訳、直訳と思っていても、だんだんドイツ語が入り組んでくると直訳もままならないことになりますからね、まず構造を把握して、単語の意味を確認して、あとはイメージです。日本語でどの様に説明したら分かりやすくなるか、頭の中で考え、そのあとは思いっ切って意訳していけばいいのです。
Gärvorgang という名詞も辞書に載っていないのじゃないかな。これは gären 「発酵させる」という動詞の語尾を切って Gär- として次の名詞 Vorgang と複合形をつくっているのです。ここでの意味は「発酵過程」といった意味になっています。
以上を踏まえて、日本語として分かりやすくするために、ここでの意味は「発酵を安定的に促すために」と訳したらいかがでしょうね。

⑧ は ⑧-1 と⑧-2 で枠構造。werden・・・過去分詞、の受け身の形ですね。後期試験にでるよ!
文末にある zugesetzt は過去分詞の ge- がサンドイッチされる分離動詞でしたね。不定形は zusetzen「付加、添加する」という意味です。

⑨ がこの文章の主語です。


いかがですか?
今回は細かく文章成分を分解しながら説明しました。

説明が長いから冒頭の日本語ウィキを忘れてしまったって?
そういう場合はなんども画面をスクロールしてくだされ。


全体説明が終了しましたから、ドイツ語ウィキの文章の意味を確認しましょう。


「 狭義におけるビールとは通常水、麦芽、ホップを基本添加物として製造されるアルコール、炭酸を含む飲料を指す。発酵を安定的に促すためにたいてい酵母が付加されるが、まれに乳酸バクテリアを使用することもある」


これで今日もビールがおいしいぞ。

あ、日本ではアルコールは20歳過ぎてからだった。あかんよ、調子に乗って未成年が酒のんだら。

ところで、ドイツ語ウィキの記述をずっとよく読んでいくと、各国のお酒が許可される年齢についての記述もありました。

ドイツについてはこう書いてあります。

Bier darf in Deutschland wegen seines Alkoholgehalts in der Öffentlichkeit nicht an Personen unter 16 Jahren abgegeben werden, außer wenn Jugendliche von einer personensorgeberechtigten Person begleitet werden.


よくドイツではビールなんかはアルコールに入らない、んなもん子供でも飲んでる、って ―実は、小生も授業でそういう説明をしたことがありました― いやいや、とんでもない話だ。

ドイツだって、ちゃんと規制されているよ!!
今のドイツ語よく読んでみてね~
子供にビールを売ってはいけません。罰せられます。

でも、よく読むと、こうだ!

禁止されているのは公に売ってはいけないこと。つまり、自宅、仲間内なら子供に与えてもよい。
また、禁止されるのは16歳以下が対象。
そして、16歳以下でも、大人が同伴していれば、目をつぶる。

そう書いてある!!!

やはり、ビールの国だ。


というわけで、ビールに関連する単語を覚えましょう。

Der Bierbauch ビール腹
Der Bierdeckel コースター
Das Bierfaß ビヤ樽
Die Bierflasche ビール瓶
Der Biergarten ビヤガーデン
Der Bierkrug ジョッキ


面白いのは、次のような単語かな。

Die Bierleiche ビールで酔いつぶれた人 ・・・Leiche は「屍」っていう意味の単語だよ。

Die Bierreise ビヤホールをはしごすること


また、こんな慣用表現もあるんだよ。

Das ist nicht mein Bier. それは私の関知する問題ではない

☆ ☆ ☆ 


さて、今回画像もアップしたから、この写真をご覧にいれましょう。

ビールと言うと、ドイツを思い浮かべるけど、日本人にもよく知られた銘柄のバドワイザー、あれはもともとチェコのブドヴァルという街が誕生の地です。
今日取り上げたウィキの記述にもありましたが、ビールの命は、ホップと水。山国のチェコにはすぐれた水があり、また、田舎をバスなんかで訪れると延々ホップが栽培されていることがわかります。

そんなことで、1999年の夏に、小生はプラハからオーストリアに向かう旅の途次、ブドヴァルとプルゼニを訪れました。
プルゼニ (ドイツ語ではピルゼン) はピルスナーの故郷です。ビール醸造工場の門をくぐってなかに入ればもちろん自家製のビールを飲ませてくれるレストランがありました。



(1999年8月撮影)





◎ このドイツ語を覚えましょう

今日はウィキの記述の冒頭に出てきた「意味」という単語のドイツ語 Sinn です。
辞書では Sinn なのに、出てきたのは Sinne という形でしたね? 複数形になっているわけではありませんよ。
単数なのに、なぜ Sinne となっているかというと、語尾-e は昔の語尾変化、単数3格形のなごりです。2格で-es がつく場合、昔は3格にも-e をつけたのです。今は不要です。不要な語尾ですが、成句には残ることが多いのです。
たとえば、 nach Hause gehen なんかがその典型です。



☆ ☆

第三週四日目

みなさんこんにちは。
今日1月10日は祝日。「成人の日」ですね。
さっき、ツィッター画面をのぞいていたら、ドイツ語で「今日は日本では成人式ですよ」と、ドイツ語でつぶやいていた人がいました。
Heute ist der Tag der Erwachsenen.

文法上は間違いないドイツ語です。しかし、なんだかなあ、あってそうな気もするするけど、こうはならないだろうなあ、と思います。このドイツ語で意味されるであろうことは、「今日は未成年者を除いた大人たちの日」ということになります。
日本独特の慣習、風習などを他言語に言いかえる時には、どうしても説明的にならざるを得ないのです。
そこで、手元の和独辞典で「成人の日」がどう訳されているか、調べてみました。

Tag der Mündigkeitserklärung (三省堂、コンサイス和独辞典)

Mündigkeit という単語は「一人前の状態、成年」という意味です。次にくる –s は接着剤。そしてErklärung は「他者に向かって宣言すること」です。

これなら、意味が伝わりますね。さすが国松孝二先生編集。


で、今回の検索ワードは「チョコレート」です。

(独)
Die Schokolade nimmt die cacao-Forelle an, die es zur Gärung bringt, und briet dem Samen des cacao ein Hauptmaterial, und es ist das Essen, das es Zucker vermischt, hier kneteten avatar, pulverisierte Milch damit, und es steif. Ich sage die Schokolade für Kurzschluß. Ich werde vielleicht Schokolade gerufen. Außerdem, wie für das Produkt von Tokyo. Mondtempel ließ 1878 in (1878) frei, es wurde gemacht .... und ein Ersatzcharakter [1].
(和)
チョコレート(英語: chocolate)は、カカオの種子を発酵・焙煎したカカオマスを主原料とし、これに砂糖、ココアバター、粉乳などを混ぜて練り固めた食品である。略してチョコともいう。ショコラ(フランス語: chocolat)と呼ばれることもある。なお、1878年(明治11年)に発売された東京凮月堂の製品は貯古齢糖と当て字された[1]。 (調: Minakami)


この課題をこなしてきた学生以外でブログを訪れてくれているであろう方々には心から感謝いたします。すこし説明を入れます。
小生は学生諸君に、調べた内容をコピペしてメールでわたしのアドレス宛てに送ってくれるようにと言ったのですが、何人かは、プリントアウトの形で手渡ししてきました。

このMinakami君のプリントを整理していて、小生は軽いめまいに襲われました。
あれ? 小生のドイツ語能力が低下してしまった?
丁寧に、文法的に文章の解読をしようと、試みましたが、まったく意味がとれません。
こりぁあ、まずい。いよいよ隠居か。
そんな不安さえ頭をよぎり、このMinakami君のプリントには赤で「はてなマーク」をつけ、しばらく放置していました。

で、ほかの学生の提出したものについて、いよいよブログをたちあげ、今日まで解説を書いてきたのですが、その間に、突然「ピーン」と来たのです。

通常学生たちは、日本語ウィキからドイツ語ウィキに飛んで、ぴったり符合する文章が見つからないため、辞書をひきひき、調べ出したドイツ語ウィキの文章を日本語に訳していたのですが、今回もそうだろうとばっかり思って、つまりMinakami君が提出したドイツ語はウィキの記述をそのままコピペしたものとの先入観で小生は見ていたのです。ご丁寧に注をあらわす[1]なんかもはいっているし。
ところが、あるとき、「ピーン」ときたのです。
これは、ひょっとして他の学生の逆をやったに違いない。
つまり、日本語ウィキの記述をそのままにコピペして、それに相当するドイツ語ウィキの記述がないために

「自動翻訳」

を使ったに違いない、と。

そこで、小生はそれを確かめるために、 つまりですな、 ― 事実と証拠に基づいて、粛々と作業を進めるためにですよ ― 自ら日本語ウィキの文章を「自動翻訳」にかけてみたのです。

先生をなめたらあかんよ!!! あははは。なんでもお見通しされるぞ!!!

で、冒頭のドイツ語ウィキとされる文章は、小生が自動翻訳で造ったにせドイツ語です。

今回この記事を書くにあたって、もう一度、Minakami君の提出したプリントを確かめました。たぶんソフトがいろいろあるために、その違いからか、若干の相違がありますが、ほぼ、この通りです。

みなさんも、是非「自動翻訳」で試してみてください。見事にこのようなちんぷんかんぷん、あんにゃもんにゃのドイツ語が表記されます。

でも、まあ、何度も書いていますが、初学者が自動翻訳で出てくる外国語が、正しく翻訳されたものなのかどうかは、なかなか判定できないのも事実。

小生がいろいろ試してみた結論から言うと、翻訳精度は、5割に満たないと思います。

しかしね、みなさん、自動翻訳が正しく出来たかどうかを調べる方法は、勿論ありますよ。

出来上がった文章を、再度、逆翻訳させて見ればいいのですよ。

そこで、Minakami君が臆面もなく提出したドイツ語もどきを、小生が再度逆翻訳させて、日本語に直してみました。
結果は次のようになりました。

「チョコレートはそれを発酵に至らせるカカオ-Forelleを引き受けます、そして、カカオの種を揚げます主な材料、そして、堅くそれに砂糖、ここでこねられるアバター、それを粉砕するミルクとそれを調合するのは食事です。私は、略してチョコレートを言います。多分、私はチョコレートと呼ばれているでしょう。さらにまた、東京の製品に関しては。月寺院は(1878)の1878を無料のままにしました、それはされました ....そして、代替性格[1]。」
どや!! まいったか!!!

では、実際には「チョコレート」はドイツ語ウィキではどう記述されているのでしょうか?

Schokolade ist ein kakaohaltiges Lebens- und Genussmittel. Es wird als Grundstoff in reiner Form genossen und als Halbfertigprodukt weiter verarbeitet. Das Wort leitet sich vom Namen des ersten kakaohaltigen Getränkes ab, dem Xocóatl oder Xocólatl (Nahuatl: Xócoc ‚bitter‘, atl ‚Wasser‘; also ‚bitteres Wasser‘ oder ‚Kakaowasser‘) der Azteken.

大訳) チョコレートはカカオを含有する嗜好食品。素材そのままで食べたり、加工されたりもする。語源はアステカ人のカカオを含んだ飲料の名Xocóatl あるいは Xocólatl から来る。

ウィキに慣れてきたら、是非みなさんも出来る限り「Geschichte (歴史)」のところの記述に目を通すようにしてみてください。そこがやはり一番面白いところですよ。

ドイツ語ウィキ
Das erste Mal wurde der Kakaobaum (Theobroma cacao) vermutlich um 1500 v. Chr. von den Olmeken genutzt, die im Tiefland der mexikanischen Golfküste lebten. Um 600 n. Chr. wurde der Kakao dann von den Maya angebaut.

大意) カカオの木を最初に利用したのは紀元前1500年頃、メキシコ湾岸の低地に住んでいたオルメカ人と推測されている。やがて起源600年頃カカオはマヤ人によって栽培された。
(注: オルメカ(Olmeca)とは、紀元前1200年頃から紀元前後にかけ、先古典期のメソアメリカで栄えた文化、文明である。アメリカ大陸で最も初期に生まれた文明であり、その後のメソアメリカ文明の母体となったことから、「母なる文明」と呼ばれる[1][2]。)



◎ このドイツ語を覚えましょう

今日は「自動翻訳」の限界について肝に銘じていただきたく存じます。

サラリーマンの次の会話を自動翻訳で、ドイツ語、英語にしてみました。

― お昼だ。牛丼食べたい。
― 僕はうなぎだ。


(独)
― Es ist Mittag. Ich will eine Rindfleischschüssel essen.
― Ich bin ein Aal.
(英)
― It is noon. I want to eat a beef bowl.
― I am an eel.

分かりますよね? ドイツ語も英語も、このサラリーマンの会話の話し相手は「うなぎ」になってしまったってことが。




☆ ☆ ☆

みなさんこんにちは。
ドイツ語の時間、今日は第三週五日目です。

検索ワードは、「電気」


(独)
Elektrizität ist der physikalische Oberbegriff für alle Phänomene, die ihre Ursache in ruhender oder bewegter elektrischer Ladung haben.
注) Elektrizität (von griechisch ἤλεκτρον ēlektron „Bernstein“)

(和)
電気(でんき)とは、電荷の移動や相互作用によって発生するさまざまな物理現象の総称である。 (調: H.Hara)


今日の「電気」もドイツ語ウィキ、日本語ウィキのオリジナル記述です。
ただHara君がドイツ語ウィキのわずらわしい語源について省略しましたので、注)という形で補足しておきますね。


理科系にまったく疎い小生としては、日本語ウィキの記述がぴったしドイツ語ウィキの記述と対応しているかどうか判断できません。(面目ござらん)
一応、ドイツ語ウィキでどう記述されているか、直訳して比べてみます。

直訳) 「電気とは静止状態、あるいは動いた状態にある電荷が原因によって引き起こされるすべての現象に関して言われる物理的上位概念である。」

わかっとらん人間が訳すとこんな日本語になります。理科系の諸君の方が日本語での勝負となったら圧倒的な強みを持っているはずですからね、小生の直訳と、日本語ウィキの記述を比べて、ぴたりと符合しているかどうか判断して下さい。
いずれにしても日本語ウィキの記述の方がすっきり、きれいに説明できていますね。
小生が Oberbegriff について「上位概念」と訳した箇所が、日本語ウィキでは「総称」という言葉が使われています。もちろん場合によりますが、この言葉の方が、読む者にはすんなり入ってきますね。
ちなみに、ドイツ語の方、Oberbegriff の反対の言葉は、Unterbegriff となりますよ。


ところで、ドイツ語ウィキにもともとあって、小生の方から注)の形で補った箇所は、語源の説明です。
文化系の小生としては、どうしてもそちらの方に目がいきます。

注) 電気 (ギリシャ語 ἤλεκτρον エレクトロン „Bernstein“ が語源)

となっていたわけですが、ここで小生は、はた、ととまどいました。

Bernstein とは何か?
もちろん「琥珀(コハク)」を意味するドイツ語ですが、電気の説明で、石を意味する単語が突如出てくるものかな、と戸惑ったのです。Bernstein は人名にもよく見かけるので、バーンスタイン (ドイツ語読みすると、ベルンシュタイン)という人と何か関係あるのかな、っておもってしまいました。

その謎は、日本語ウィキをつらつら、見ていって、ただちに解消しました。
語源の問題は、とても知的好奇心を刺激してくれます。



電気を表す英単語 electricity はギリシア語の ηλεκτρον ([elektron], 琥珀)に由来する。古代ギリシア人が琥珀をこする事により静電気が発生する事を発見した故事によるもので、そこから古典ラテン語で electrum、新ラテン語で ēlectricus(琥珀のような)という言葉が生まれ、そこから electricity が派生した。

一方で漢語の「電気」の「電」は雷の別名であり、いわば「電気」というのは「雷の素」といった意味になる。ベンジャミン・フランクリンによる研究はしばしば「雷の正体が電気である事を発見した」と紹介されるが、この文章は字義的な矛盾を含む事になる。もちろん「電気」という漢語がフランクリンの時代以後に作られたからである。



◎ このドイツ語を覚えましょう

今日はボキャブラリーですね。

概念、上位概念、下位概念についてはとりあげましたから、「電気」のしっぽについている -zität、これがついた他の単語を紹介します。すべて女性名詞です。


Kapazität 容量
Publizität 世間に知れ渡ること


次に、電気に関する単語ですね、

Das Ampere アンペア
Das Volt ポルト
Das Watt ワット
Elektrische Spannung 電圧
Elektrischer Strom 電流



☆ ☆ ☆

第三週六日目

みなさん、こんにちは。
今学生諸君は定期試験の時期ですね。
がんばってください。

励ましのエールを送る時、ドイツ語では
Toi, toi, toi!
と言います。

さて、本日の検索ワードはこれです。

(独)
L'Arc~en~Ciel ist eine seit 1991 bestehende J-Rock-Band.
(和)
ラルクアンシェルは1991年に結成された日本のロックバンドである。 (調: Soh)


ドイツ語、日本語、確かめてみると、だいたいこのままですが、Sohさんが若干の飾りを取り除いて、対照しやすくすっきりしています。

ドイツ語の方、何度も出てくる冠飾句で、直訳すれば
「1991年以来存続する」となっています。
これで意味としてはまったく正しいことになるのですが、日本語ウィキだと、「1991年に結成された」となっていますね?

ドイツ語が理解できることと、うまい、きれいな日本語訳をつけられる力とは必ずしも一致しません。
ですから、訳をするときに求められるのは日本語力なのです。逆に、ドイツ語に直す時には、ドイツ語として通りの良い言い回しを探す必要があるわけです。

そんなことから、こうしてドイツ語ウィキ、日本語ウィキを比べてみるのは、とても有効なことが次第に分かってくると思います。文法や会話の練習問題をたくさんやっても、そのことで翻訳、通訳の力がつくわけではありません。うまい訳を見つけたら、意識してメモして、次につなげていくといいですね。


それぞれのウィキの説明、もう少し先をスクロールしてみてみると、この文章が出てきます。

(独)
L'Arc~en~Ciel wurde im Februar 1991 in Ōsaka von Bassist und Bandleader Tetsu (Tetsuya Ogawa) gegründet

(和)
1991年(平成3年)2月頃、大阪市でtetsuyaを中心に結成される。


文の構造を見やすくすると、ドイツ語はこうなっていますね。

~ wurde im ~ von ~ gegründet.

昨日も試験に出た、受動態。時制は「過去」

対応する日本語ウィキは? 「結成される」と現在で訳されています。今も続いているからです。


さらにもう少しスクロールするとこんな文章がありました。


(独)
Anfang 1997 wurde der Schlagzeuger Sakura wegen Heroinbesitzes festgenommen und verließ die Band kurz darauf.

(和)
•2月24日、sakuraが覚せい剤取締法違反の現行犯で逮捕され(後述)、事実上の活動中止となる。

少し相互の対応がつかみにくくなりましたので、ドイツ語の方を直訳してみます。

「1997年の冒頭、打楽器奏者(ドラム)のSakuraがヘロイン所持の理由から逮捕され、その間もなく後バンドを去りました」

festgenommen (festnehmen の過去分詞) は「逮捕する」という単語です。ここも受動態ですね。

アーチスト(芸術家)だから、薬物に手を出す、というのは「甘え」です。諸君はゆめゆめそんなことに誘惑されてはいけませんよ。刺激がほしくなったら、

ドイツ語!!!

おもいっきし難しいドイツ語を読みなはれ。頭がぱちぱち、薬物どころじゃない刺激に触れることができますです。



◎ このドイツ語を覚えましょう

「ラルクアンシエル」は、やはり小生には無縁な世界です。ただ名前は聞いたことがあります。最初変な名前だなあと思った記憶があります。やがて、なるほど、そうかフランス語をグループ名にしたのか、と分かりました。

小生の世代だと、「トワ・エ・モア」という二人組の歌手がフランス語をグループ名にしていました。札幌冬季オリンピックの時代です。あるときNHKの番組に出演したとき、司会者が「どちらがトワさんですか?」と質問したのを聴いて、ひっくり返りそうになりました。多少フランス語の知識があったアナウンサーなんでしょうね。

ラルクアンシエルはもちろんフランス語で「空にかかるアーチ、虹」という意味の言葉ですね。
ドイツ語では、虹は 

der Regenbogen です。

雨(Rgen)あがりに出来るアーチ(Bogen)ということです。

今回は一昨年小生がパリに滞在していた時に見た虹を画像アップします。


セーヌにかかるラルクアンシエル(2009年7月7日撮影)



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