「五次元世界の冒険」はアメリカのマデレイン・レングルという女流作家が、いつとは記されてないんですが1960年代の前半(でしょう)にニューベリー賞をとった作品です。
もう一つの私の大好きな作品「まぼろしの白馬」がイギリスのカーネギー賞を受賞していますが、それぞれ正にアメリカ的でありイギリス的なのは面白いくらいです。
同じところから生まれて出てきた人種だけど、根ざすものがもはや違っていたんですね。
「五次元世界の冒険」は原題を“A wrinkle in time”といって『時間のしわ』とか『時間のしわ寄せ』みたいに訳すんでしょうかと訳者の渡辺茂男さんも悩んでいらっしゃいます。訳者も素晴らしい方ですよね。
今回は【こども図書室】の紹介文もとてもいいので全文転載します。
――宇宙で行方不明になった科学者…実は、地球をおおう黒い影のむこうにある不気味な天体カマゾッツにとらわれている父…を求めて不思議な旅をする三人の子どもの物語である。気短な少女メグを主人公に、人の心を読みとることのできる風変りな弟のチャールズ、そしてメグの上級生で霊感を感ずるという少年カルビンの三人は平和で美しいジューリエル星から来たおばあさんたちの助けで“五次元運動”をおこして宇宙を移動する。
魔の天体カマゾッツの支配者であるそれは、住民のすべてを統一し、個々の自由な考えや行動を許さない。父を求めてこの天体に来た三人の中、チャールズもそれの魔力にとらわれるが、最後にメグの愛によって自己をとりもどす。
ロケットの月への軟着陸、宇宙遊泳といったことから、宇宙に対する関心は深まり、空想は無限に広がっていく。この作品も宇宙を舞台にした空想科学小説だが、その根底に、宇宙に目を向ける現代の人間として忘れてはならない、身近で大切なことも数多く示唆している。そういった点からも宇宙時代にふさわしい読み物といえよう。――
まだ、人類月面着陸のまえだね。
「五次元運動」なんて、不思議な言葉だよね。
わたしはこの本を気に入ってるもんだからみんなに宣伝してまわるんですけど、みんなが口をそろえて言うことには「五次元じゃなくて四次元でしょ。五次元はあり得ない」というものでした。私が必死になって「五次元なんだー」と叫んでもみんなタイトルの見まちがいか、最悪なのは誤植だというのです。
そこで私は身振り手振りでこう説明します。
もっとも印象に残っている場面です。
弟のチャールズが姉のメグに説明します。
「オーケー。一次元はなんだい?」
「えーと、線よ。」
「オーケー。じゃあ、二次元は?」
「えーと、線で平面をつくるの。平面が二次元よ。」
「じゃあ、三次元は?」
「えーと、平面で立体をつくるの。平面は、もうたいらじゃなくなって、底面も、側面も、上面もあるの。」
「じゃあ、四次元は?」
「えーと、数学的にいえば、立体の二乗よ。でも、鉛筆をつかって、三次元以下の図をかくように、四次元をかくことはできないわ。アインシュタインの原理や、時間と関係があるわね。だから、四次元は、時間ということもできるのじゃないかしら?」
「だいたい、いいね。」とチャールズがいった。「そのさきが、五次元だ。四次元に第五の次元をくわえると、宇宙空間を、まわり道しないで、しゅんかんに移動することが可能になるんだ。だから、これを、ユークリッド幾何学や、ほかのふるい単純な幾何学のことばにおきかえると、二点をむすぶ最短きょりは、直線ではないということになるんだよ。」
ほんとうに、このバカ丸出しの私にこんなことがわかってたんでしょうか?
もちろんこんなに上手に説明できなかったですけど、それにしても誰もわかってくれなかったなあ。小学校の時じゃないですよ、しかも。もっと相当大きくなってからのことです。よっぽど下手な説明だったのかな?
弟のチャールズにそれを教えてくれたジューリエル星から来たおばさんの説明はもっと印象に残ってる。し、ユニークな説明。
ワトシット夫人は、フー夫人にむかっていった。「さあ、スカートをつかって、みせてあげてください。」「セルバンテスのことばですよ、『経験は、知識の母なり』ってね。」そういいながらフー夫人は、ながいころものすそを手にもって、ぴんと張ってみせた。
「いいですか。もし一ぴきの小さな虫が、あのころものすそにそって、フー夫人の右手から左手まであるくとしたら、ずいぶん時間がかかりますね。かりに、一直線上をあるいたとしても。」
こんどはフー夫人が、すそを両手にもったまま、両手をぴたっとくっつけた。
「さあ、こんどは、どうでしょう。一歩もあるかずに、虫は、目的地についてしまいます。それが、わたしたちのやり方です。」
それ実演したんだよ。
でもこのお陰でその後何十年とたってから『ご近所物語』(漫画)を読んだ時に、主人公の女の子が「ワープッ」って叫んで走りまわってるのを見たとき、すぐ理解できた。
何をじゃーっ 何を理解したんじゃーっ
もう寝よっと
これはまだ序章ですから。きっと気に入っていただけると思うわ。この世の傑作だと思います。
もう一つの私の大好きな作品「まぼろしの白馬」がイギリスのカーネギー賞を受賞していますが、それぞれ正にアメリカ的でありイギリス的なのは面白いくらいです。
同じところから生まれて出てきた人種だけど、根ざすものがもはや違っていたんですね。
「五次元世界の冒険」は原題を“A wrinkle in time”といって『時間のしわ』とか『時間のしわ寄せ』みたいに訳すんでしょうかと訳者の渡辺茂男さんも悩んでいらっしゃいます。訳者も素晴らしい方ですよね。
今回は【こども図書室】の紹介文もとてもいいので全文転載します。
――宇宙で行方不明になった科学者…実は、地球をおおう黒い影のむこうにある不気味な天体カマゾッツにとらわれている父…を求めて不思議な旅をする三人の子どもの物語である。気短な少女メグを主人公に、人の心を読みとることのできる風変りな弟のチャールズ、そしてメグの上級生で霊感を感ずるという少年カルビンの三人は平和で美しいジューリエル星から来たおばあさんたちの助けで“五次元運動”をおこして宇宙を移動する。
魔の天体カマゾッツの支配者であるそれは、住民のすべてを統一し、個々の自由な考えや行動を許さない。父を求めてこの天体に来た三人の中、チャールズもそれの魔力にとらわれるが、最後にメグの愛によって自己をとりもどす。
ロケットの月への軟着陸、宇宙遊泳といったことから、宇宙に対する関心は深まり、空想は無限に広がっていく。この作品も宇宙を舞台にした空想科学小説だが、その根底に、宇宙に目を向ける現代の人間として忘れてはならない、身近で大切なことも数多く示唆している。そういった点からも宇宙時代にふさわしい読み物といえよう。――
まだ、人類月面着陸のまえだね。
「五次元運動」なんて、不思議な言葉だよね。
わたしはこの本を気に入ってるもんだからみんなに宣伝してまわるんですけど、みんなが口をそろえて言うことには「五次元じゃなくて四次元でしょ。五次元はあり得ない」というものでした。私が必死になって「五次元なんだー」と叫んでもみんなタイトルの見まちがいか、最悪なのは誤植だというのです。
そこで私は身振り手振りでこう説明します。
もっとも印象に残っている場面です。
弟のチャールズが姉のメグに説明します。
「オーケー。一次元はなんだい?」
「えーと、線よ。」
「オーケー。じゃあ、二次元は?」
「えーと、線で平面をつくるの。平面が二次元よ。」
「じゃあ、三次元は?」
「えーと、平面で立体をつくるの。平面は、もうたいらじゃなくなって、底面も、側面も、上面もあるの。」
「じゃあ、四次元は?」
「えーと、数学的にいえば、立体の二乗よ。でも、鉛筆をつかって、三次元以下の図をかくように、四次元をかくことはできないわ。アインシュタインの原理や、時間と関係があるわね。だから、四次元は、時間ということもできるのじゃないかしら?」
「だいたい、いいね。」とチャールズがいった。「そのさきが、五次元だ。四次元に第五の次元をくわえると、宇宙空間を、まわり道しないで、しゅんかんに移動することが可能になるんだ。だから、これを、ユークリッド幾何学や、ほかのふるい単純な幾何学のことばにおきかえると、二点をむすぶ最短きょりは、直線ではないということになるんだよ。」
ほんとうに、このバカ丸出しの私にこんなことがわかってたんでしょうか?
もちろんこんなに上手に説明できなかったですけど、それにしても誰もわかってくれなかったなあ。小学校の時じゃないですよ、しかも。もっと相当大きくなってからのことです。よっぽど下手な説明だったのかな?
弟のチャールズにそれを教えてくれたジューリエル星から来たおばさんの説明はもっと印象に残ってる。し、ユニークな説明。
ワトシット夫人は、フー夫人にむかっていった。「さあ、スカートをつかって、みせてあげてください。」「セルバンテスのことばですよ、『経験は、知識の母なり』ってね。」そういいながらフー夫人は、ながいころものすそを手にもって、ぴんと張ってみせた。
「いいですか。もし一ぴきの小さな虫が、あのころものすそにそって、フー夫人の右手から左手まであるくとしたら、ずいぶん時間がかかりますね。かりに、一直線上をあるいたとしても。」
こんどはフー夫人が、すそを両手にもったまま、両手をぴたっとくっつけた。
「さあ、こんどは、どうでしょう。一歩もあるかずに、虫は、目的地についてしまいます。それが、わたしたちのやり方です。」
それ実演したんだよ。
でもこのお陰でその後何十年とたってから『ご近所物語』(漫画)を読んだ時に、主人公の女の子が「ワープッ」って叫んで走りまわってるのを見たとき、すぐ理解できた。
何をじゃーっ 何を理解したんじゃーっ
もう寝よっと
これはまだ序章ですから。きっと気に入っていただけると思うわ。この世の傑作だと思います。
読みたいわ~
わたしは五次元世界わかるわかる!
SF少女だったもん
手塚治の「青いブリンク」みたいだね
父が行方不明になって
母は亡くなっていて
子供たちで父を探しに行くというのは
王道なんだな
母も一緒だとお笑いか、お涙頂戴になって
冒険にはならないのかな
母、だめね・・・
この子たちの母は登場するの?
ちなみに、わたしがワープを知ったのは
「宇宙戦艦ヤマト」であろうか?
「キャプテン・ハーロック」であろうか?
はたまた、レンズマンか火星シリーズか
頭の中がワープのしまくりで
ぐっちゃぐちゃやねん!
シェークスピアと野田秀樹が
五稜郭で串かつ食べててもいいってことよ
宇宙時代か・・・
もう、地球人が宇宙に思いっきり
夢を見られる時代は終わった・・・かもね
いや、いまこそジューリエル星の
おばさまに地球の温暖化をなんとかする
秘策を教えてもらいたい!たい!
2007年、日本の10月は夏になった。
この子たちのお母さん、ちゃんといるんですよ。
科学者の母。
実験室でお料理したりする人。
聡明で美しい人です。
でも質問されるまで私もすっかり忘れてました、母の存在。
もう一度読み返してみます
今日はぞろ目になりました。