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「1株当たり純資産」の「純資産」にはどこまで含めるべきなのか?

2005-10-29 | 株価分析では少数株主持分に注目
久々にこのカテゴリーの記事です。

去る9月22日に企業会計基準委員会(ASBJ)は、
企業会計基準公開草案第10号
「1株あたり当期純利益に関する会計基準(案)」などを
発表しておりますが、この内容が
少々ややこしいことになっております。

というのは、既に私のブログでも紹介した、
ASBJが8月に公表した新しい貸借対照表案では、
「純資産」に「少数株主持分」や「「新株予約権」を含めている
ことをお伝えしましたが、
今回の会計基準案では、
「1株当たり純資産」(=BPS)の算定にあたり
これらが外されているのです。

このため、“純資産”の定義・範囲が貸借対照表とBPS計算で
異なることになりますので、財務情報利用者に混乱が生ずる
可能性は大いにあると思います。

参考までにこの点をきっちりフォローされている大和総研の
レポートを紹介しますので、こちらもご参照下さい。

<BPSに「新株予約権」を含めるべき!>
http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/accounting/05102001accounting.html

大和総研では、少数株主持分は日本の連結会計が経済的単一説ではなく、
親会社説を採用しており、親会社の株主を念頭に置いていること、
また新しいEPS(1株当たり当期純利益)の算式でも
少数株主損益を控除していること等から止むを得ない、
という結論に達しております。

しかし、純資産の定義が変わる上に、しかも複数の算定式がある、
となるとキツイですね。

どういう結論になるのか、引き続きウォッチしていきましょう。
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