◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

コムスン支援候補・ニチイ学館の07/3期決算に思う

2007-06-15 | この決算書・会計処理はおかしい

いつもご覧下さり誠に有難うございます。

久々にほぼ連日、しかも深夜の更新ということで体はキツイですが、
ネタ的には新聞等の先手を打てて自己満足している次第です。
14日の日経1面はまさに不動産鑑定評価の厳格化につながる話でしたらからね。

さて、本日はコムスン問題で受け皿候補のニチイ学館。
せっかくですから、決算短信をざっくりと見てみました。

 http://nichii-ir.irbridge.com/ja/BriefAnnouncement/BriefAnnouncementPar/0/TwoDownPar/01/document_1/19-3.pdf

連結総資産920億円ですが、純資産484億円と結構分厚い。ワタミの倍あります。
買収通貨用なのでしょうか、自己株式も59億円ありますので
財務的な余裕度はそれなりに感じます。
なるほど、体力的にも一括引受けに堪えられるかも知れない。


・・・・・・と思って短信を見ていきまして、私はあるページを凝視してしまいました。
「これはちょとどうなんだろう・・・・・」。


それは、事業別セグメント情報(p.41)です。是非ご覧下さい。
具体的に申しますと、セグメントの内部消去額が結構大きいんです。

つまり、各事業の営業利益を単純合計すると112億円なのですが、
内部取引等の消去が86億円もあって、全社合計でたったの26億円しかない

という状況です。

私もいろいろ決算書を見ておりますが、ここまでの豪快なヤツは初めてです。


で、 何が言いたいのかといいますと、こんなに内部消去が大きいと、
各事業で計上している利益に何の意味があるのでしょうか?
ということです。


たとえばヘルスケア事業。
この2期、このセグメントの営業利益は20億円、18億円とそれなりに堅調に推移して
いるんですけど、たとえばですが、別の配賦方法等を使えば、実は赤字、って可能性は
ありませんでしょうかねぇ?


もちろん、当社は固定資産の減損会計を事業所毎に計算しているので(短信p.30)
それなりにしっかりしていると思います。
しかし、(あくまで可能性の問題ですが)そもそもの事業所の利益計算を高めにやっていて
減損の兆候を見逃してはいないか?というツッコミもあっておかしくない。


とにもかくにも、そういうツッコミが入らないよう、
事業セグメントの利益配分はもっと厳正にやるべきではないかと思った決算書です。


やはり、介護では実際には儲けられないし、儲けてはいけないんでしょうね・・・・・・・。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« バブル3世 ~「3度目の不動... | トップ | 会計士を粉飾の罠に落とす「... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
農協のセグメント消去 (経理○○年)
2008-08-10 18:41:04
いつも楽しく拝見させていただいております。

私が以前勤めていた某農協の事業別報告(一般会社のセグメント情報)はもっとすごい。(今も)
どんな事業もすべて黒字にするために
給料だろうが、貸し倒れだろうが
管理費という名目で全部内部消去項目につけてしまう。
そして組合員への報告は「全事業で黒字(おいおい)」
ほとんどの農協でこのような大本営発表が
されていることと思います。

農協系の監査に監査法人が入るべきといわれて久しいですが
全くそのとおりだと思います。
(農林水産省は天下り先がなくなるのか大反対しています。)


返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

この決算書・会計処理はおかしい」カテゴリの最新記事