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GSOだんちょのアナログな日々

GSOのだんちょです。
デジタルが当たり前の昨今ですが、音楽聴くならアナログだ!ということをお薦めするブログです。

故 山本正人先生

2012年01月26日 | 吹奏楽
東京芸術大学音楽学部器楽科トロンボーン助教授から後に同音楽学部ソルフェージュ科教授で学生部長。当時クラシック以外の演奏はご法度だった上野の東京文化会館で、何のクレームも出ずにジャズを平気で演奏していた東京芸術大学吹奏楽研究会の産みの親であり偉大な指揮者であった山本先生の薫陶を受けた音楽家は数多くおられ、私の所属するグレイス・シンフォニー・オーケストラの音楽監督である大山文史朗先生もその中の一人です。

日本の「吹奏楽の父」 故 山本正人先生


東京吹奏楽団HPより借用


山本先生(愛称トロ先生)の両手を大きく広げる指揮や「ばかやろ」という口癖などいくつかのエピソードを大山先生からお聞きすることがあります。いずれも厳しく温かい先生のお人柄を示しており、是非一度ご指導頂きたかったのですが、今となってはかなわぬ夢となってしまいました。
しかしグレイスシンフォニーで練習で毎回必ず実施する音階(スケール)練習はまさに山本先生の教えそのものであり、大山先生の管楽器に対する特別な思いと情熱で現在管楽器全般において指導下さっているのも、山本先生の薫陶の賜物と言えるかもしれません。

山本先生の使っておられた楽器と同型機種

 

Holton Paul Whiteman Model

スライドチューニング(チューニング管がスライドに付いている)でベルには
Whitemanの似顔絵(Potato Head)が書かれています

このモデルと山本先生のエピソードはこちら→大山先生のブログ


さて今回ご紹介するLPは現在活躍中の「東京吹奏楽団」の前身とも言える「東京吹奏楽協会」の演奏で、当時の東京芸術大学音楽部管楽器学科の教官を中心に管・打楽器の精鋭メンバーで組織されています。



録音に主席として参加されている教官(ライナーノーツのまま)は

クラリネット:三島勝輔 教官
サクソフォーン:坂口 新 教官
トランペット:中山富士雄 教官
テューバ:大石 清 教官
打楽器:小宅勇輔 教官

で、当時の錚々たる面々の演奏。

そしてその演奏は。。。『爽快!』の一言。誰もが知っているアメリカのミリタリーマーチの特集なのに本当に聴いていて楽しく、爽快で思わず体が動き出すほどの興奮。何度聴いても胸の高まりが抑えられない美しさがあります。
リズムの正確さとキレ、ビートの爽快感、各楽器の音色、全てどれを取っても一級品!これらのマーチは聴いていて「快感」以外の何物でもありません。
当時と比べて楽器や演奏の技術は大きく進歩しているはずなのに、今果たしてここまで演奏できる団体がプロアマ通じてあるのか?と思える程の素晴らしい演奏です。

もちろんただバリバリと吹いているわけではなく、さすが山本先生とも言えるところはどの曲も実に華麗で優美であること。
この美しさの理由のひとつはやはりこの楽団が山本先生の薫陶を受け、鍛え上げられた楽団であるということでしょう。これはこのLPに収められた演奏が如実に物語っています。
これらの演奏はもちろんどのパートも素晴らしく、書き上げたらきりがないのですが、私が感じた特筆すべき点は小宅先生率いる打楽器パートです。
この打楽器パートが実に「凄い」のです。こればかりは実際聴いて頂くしかないのですが、この打楽器パートの素晴らしさには本当にトリハダが立ち、文句なしに感動できます。マーチなのに言いようのない感動で目が潤む。マーチを聴いて涙がにじむのは私も始めての経験でした。

スーザのマーチなど今の若い人には古臭く思われるかもしれませんが、吹奏楽の全ての基本が詰まっています。演奏次第でこんなに感動できる楽曲になるということを改めて思い知らされる素晴らしい演奏です。

当時の他の演奏も生で聴いてみたかった!

MARCH DELUXE
AMERICAN MILITARY MARCHES
THE BAND SOCIETY OF TOKYO
conductor:MASATO YAMAMOTO

東京吹奏楽協会
指揮:山本正人


SIDE 1
NATIONAL EMBLEM 国民の象徴
THE WASHINGTON POST ワシントン・ポスト
THE THUNDERER 雷神
THE FAIREST OF THE FAIR 美中の美
HANDS ACROSS THE SEA 海を越えた握手
THE MARINE'S HYMN 海兵隊讃歌

SIDE 2
THE STARS AND STRIPES FOREVER 星条旗よ永遠なれ
SEMPER FIDELIS 忠誠
EL CAPITAN カピタン
ANCHORS AWEIGH 錨を上げて
THE HIGH SCHOOL CADITS 士官候補生
THE U.S. AIRFORCE SONG アメリカ空軍

1962年12月24,25日
東京厚生年金会館大ホールにて録音

追記:芸大の教授がTopとして録音に参加してるって。。。今から考えたら凄いことですね。自分の演奏を生徒の前で堂々と演奏して録音に残すなんて。
今の音楽大学と言われている所の先生方がこんな素晴らしい録音を残せるのかな??

少しくらいしょぼくれていても、聴くと必ず元気になれる演奏なんてそうめったにありませんよ、本当に!

追記(バストロ@おかやまさんのコメントを受けて):山本先生はどこの学校にもある有名なトロンボーン教則本の著者でもあります。先生の楽器を構える写真などが掲載されていますので、お持ちの方は是非ご覧下さい。そしてもう一度最初から練習してみて下さい。すでに上級者の方ほどこれらの簡単な練習がいかに大事で、そして難しいかを実感できるのでは。デイリーエクセサイズとしても充分使えますがいかがでしょう?

2013.1.30追記:もう何回聴き返しただろう。いつ聴いても胸が踊る。疲れていても気分は最高、いつもの椅子に座って行進しているように体が動き出す。胸を張って少し上を向いて。

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6 コメント

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トロさんの楽器 (バストロ@おかやま)
2012-01-26 05:43:56
30年以上前、トロさんのポール・ホワイトマンモデルの実物を六本木で見せていただいたことを思い出しました。Boon先生が遊びに行ったときに、たまには吹いてくれと言われて預かってきたとか。

当時はまだオドオドしながら通っていた高校生の私には、当時唯一の日本語で書かれた教則本の著者など雲の上のさらに上の話で、話を聞くだけでドキドキして、その楽器に触って見ようなんて思いつきもしませんでした。

懐かしい思い出です。
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Whiteman Model (だんちょ)
2012-01-28 02:33:08
コメントありがとうございます!
実は私。このモデルを吹いた事があります。

さすがHolton、良い音です。
細管でベルも小さく、スライドチューニングという今では吹く人も少ないモデルですが、楽器の進化とは何か?と言う事を考えさせられます。
ただ大ホールにあわせて音量を上げる事が出来るようになっただけで、音質はむしろ退化してるんじゃないかと思わせるほど良い音でした。

現在は私もHolton吹き(156 Friedman Model)です。
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Holton 156 改 256 (バストロ@おかやま)
2012-01-30 21:07:51
私も長い間156 改 256がメインでした。今でも吹きますよ。去年の5月のソロコンサートでは、マラ3の1楽章のソロとブラゼヴィッチの1番を吹きました。マウスピースは今はさすがに大きい4Gのですが、51Bオリジナルのコピーも持っています。GSOのメンバーで私を知る人でも、私がテナーを吹いていたことを覚えている方はいないかもしれませんね。私の場合、ちょっと笑える話で、買ったときは156で、大久保・I楽器に行って256に変身して帰ってきました。
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156改 (だんちょ)
2012-02-02 01:40:34
おぉ、156改ですね。私もお金とHolton Hornのベルジョイントがあればやりたいんですよ。
ただ前の重さが増すので左手の指が悲鳴上げるでしょうけど。。。MPはSchilke 52D OHYAMA Model Originalを使用中。Holtonとの相性も良いようで、音は気に入ってます。
因みにEuph(YAMAHA321S)は何故かDillon Musicの中古コーナーで売っていたSchilke 52 Ohyama Modelの中細管用を使っていますが、これもEuphにはピッタリの相性です。
1986年シカゴ響来日時にFriedmanが使っていた51Bのコピーは私も作りました。東京文化会館でのショルティ:シカゴのマラ5のレーザーディスクに映っているちょっと変わったシェイプのものです。。。難しいので使いこなせてはいませんが。
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懐かしいレコード (インファント)
2013-10-23 18:34:07
発売当時すぐに買いました。
その後、45回転盤も出たので、それも。
とにかく最近の録音とは空気感が違います。
CDも出ましたが、買い逃してしまいました。
美中の美が凄すぎて、もう悶絶です。
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美中の美 (だんちょ)
2013-11-06 01:37:27
インファント様
コメントありがとうございます。レスが遅くなって申し訳ありませんでした。

私もこのLPの中では「美中の美」が一番好きです。
マーチをここまで美しく演奏するのは至難の業ですね。楽器は常に「美しく」演奏しなければならないというのは山本先生のお言葉だったそうですが、まさにこの録音はその美しさが結集しているようにも思います。

題名の通り、実に美しい演奏です。
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