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GSOだんちょのアナログな日々

GSOのだんちょです。
デジタルが当たり前の昨今ですが、音楽聴くならアナログだ!ということをお薦めするブログです。

Edward Kleinhammer : IMPRESSIONS IN COLOR / Bergstrom Papers

2014年01月15日 | シカゴ響の巨人たち
2013年12月、シカゴ響黄金期を支えた世界的な名Bass Trombone奏者Edward Kleinhammer氏が逝去されました。
WINDSONG PRESSというサイトにその追悼記事があり、そこに"Serendipitous You"という曲のMp3データがリンクされていました。
まずJazzという音楽をKleinhammer氏がSoloを取っているというとても珍しい音源でしたが、残念ながら音質が(Mp3だということもあり)非常に悪かったためにこの記事からKey Wordを拾って検索を開始してついに発見、入手したのがこの写真のLPです。
ジャケットは崩壊寸前な程ボロボロでしたが、LP自体は状態が良くスクラッチノイズも少ない、NM(Near Mint)と言ってもいい程。宣伝用なので数回聴いた程度でお蔵入りだったのかもしれません。

このLPは先ほどのWindsong Pressの記事にあるように「Bergstrom Papers」という印刷会社のプロモーション用LPで、販売はされていませんから、非常に貴重なレコードかもしれません。
A面はやはり宣伝用らしく各曲の出だしが印刷機の音で始まり、その音やリズムから着想を得た音楽へと続いています。

問題はB面。ライナーノーツにはこう書かれています。

このB面に収録されている曲が目的の「Serendipitous You」なのですが、もう1曲、B面5曲目にも「Yes, Yes, Nannette!」という曲がありました。
ライナーノーツにあるように(と言っても私の英語読解力はかなり怪しいのですが)シカゴ響トロンボーンセクションをバックにKleinhammer氏が吹いているという我々にとっては垂涎の超豪華版録音。Kleinhammer氏のSoloだけでも凄いのに、アップテンポの「Yes, Yes, Nannette!」は彼らのセクションとしての音楽がとんでもない。「うわ!」と言ったあと絶句。そして悶絶。こればっかりは聴いてみないとその壮絶さは伝えられません。
当時のメンバーはJay Friedman, Frank Crisafulli, Edward Kleinhammer, Glenn Dodsonの4人。なんとゴージャスな。。。

Kleinhammer氏の音を聴いてみればやはり先のMp3とは全く別物で違う音楽ではないかと思える程。音は柔らかくまさに豊穣。最低音の半端ない重量感は腹にずっしり応えます。このメンバーでのJazzアンサンブルも本当に見事です。

最近クラシックの演奏家がこんなのも吹けるんだぞとアピールするためだけに「なんちゃってJazz」を吹いている録音も沢山あります。とても子供っぽい演奏で(日本の水槽子供達には大ウケですが)、「そんなことやってないできちんとクラシック吹いてなさい!」と言いたくなるような録音が多いのですが、大山先生からいつもお聞きしているKleinhammer氏のエピソードや氏の数々の演奏、その誠実な職人技の名演から人となりを考えれば、そんなデモりたいだけの録音などありえない。このLPでの演奏は実際販売されない宣伝用LPであっても「クラシック演奏家のJazz」そのものであり、音色はもちろんリズムの取り方からビートまで、やはり「Kleinhammer氏の音楽」なのではないかと思います。私の個人的な感じを言わせて戴くなら、このビートやリズムはKleinhammer氏が終生尊敬していたという「故George Roberts」に似ているようにも思えます。




Herseth氏、Kleinhammer氏と世界トップの演奏家が次々と亡くなられた2013年。世界は至宝をまた失ってしまいました。合掌

(2014.6)YouTubeに曲をUpしました。Serendipitous YouとYes, Yes, Nannette!の2曲



Bergstrom Papers
presents
IMPRESSIONS IN COLOR

composed,arranged and conducted by William S. Walker

Side 1
Blue Line
Press Party
Harpanova
Opus in Offset
Color Me Waltz
Printer's Devil
Pulse of a Printing Plant

Side 2
Bongolow
Serendipitous You
All at Sea
Beyond My Wildest Dreams
Yes, Yes, Nannette!
Who Knows

1967
Universal Studio, Chicago, Illinois
Bernie Clapper, Engineer

追記:このLPには実はもうひとつ聴きどころがあります。それはシカゴ響のハープ奏者Edward Druzinsky氏がSoloの曲があります。(Side1-3:Harpanova)曲自体はあまり大したことないのですが、氏のSoloをフィーチャーした曲はとても珍しいのでそれ目当てに聴くのも一興かと。
追記2:後日大山先生にこのLPのCD化をお願いした訳ですが、ご好意によりReel to Reelのオープンテープにもダビングして下さいました。これがまたとんでもないシロモノで、プレイヤーからアーム、カートリッジに至るまで最高のセッティングで鳴らしたものはここまで凄まじいのかと改めて驚嘆。

そうして聴き直してみると、Kleinhammer氏の偉大さや当時のCSO Trombone Sectionの音色や技術を含めたレベルの高さをまざまざと思い知らされた次第。
さてそこで疑問。最後の曲はTrumpetの音も違うように思えます。これはこのLPを聴いた仲間内は気が付いたと思いますが、このTrumpet Soloとアンサンブルはどう聴いてもHersethに聴こえる。となると2ndはCichowiczか?レコードにはクレジットが付いていませんが、当時クレジットなしでお忍び参加というのは無い事ではなく、LPの特徴からクレジットを消してほしいと頼んだことも考えられます。。。(後記2014.3.31:とある情報よりこの最後の曲でTpを演奏しているのはRudy Stauberと判明。なるほど!)
追記3:この録音ちょっと変です。というのもステレオ黎明期であった67年当時には多かったのですが、例えばピアノは左チャンネルでトロンボーンは右チャンネルといった具合にパート毎にはっきりとセパレートされていて立体的というよりただ右左にチャンネルを振っているだけの変な録音になっていて、大山先生に伺ったところ録音機材は最高級なのにエンジニアがそれを使い切っていないとのこと。何かと残念な録音です。

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