何か月も前にNHKで放送された辺見庸さんの番組を見た。plan-Bで全篇が収録されていた。
震災から、お父さまとの関わりから、歴史から、身体の根拠を突き詰めてゆくような、暗さの奥をつらぬいてゆくような、辺見氏と場所の空気感が、とても魅力的だった。
氏の文・ことば、を、読むたび息を止めてしまいそうになるが、あの空間で語り続ける氏の姿はまた特別だった。内部が激しく騒ぐ。乱され、そして、問われるような気持ちで見た。氏の背後にある壁面が、氏の存在とともに呼吸して、無言ゆえの言葉を語っているようにも感じた。
若松孝二監督の映画『エンドレスワルツ』にもここが出てくる。阿部薫と鈴木泉をめぐる映画だ。阿部薫のライブシーンがplan-Bだ。張り裂けるようなサックスと壁の沈黙。やはり印象に残っている。
場所の声、とでも云えばいいのだろうか、個性などというより、強い、物質に生命が宿ったような、ここで踊るたび、いつも、そんなものを感じている。喰われるかとびびったこともある。強い。
この場所に、またこの場所に関わる人たちに、とても長く独舞公演の一つ一つを受け入れていただいている。
ここで踊るたび、場所への思いもまた新しくなってゆく。
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