久々の対面公演を終え、今、観客の方々から言葉をいただいているその一言一言を読みながら上演作の反省を進めていますが、そこから、すでに次の公演の作業の最初の段階が始まっている感があります。
公演の場は、ひとつの結果でもあるのだけれど、それは同時に、ある種の対話の場でもあり、未体験の場でもあり、さらに、すでに、ひとつの始まりである、という実感を、今回あらためて確かめています。
以下は、上演後に書いていたメモの一部です。
「僕の場合、舞台は連続して生まれてゆく。ある舞台で体験した出来事や感じた雰囲気や観客の方々からいただいた言葉が、次の舞台につながってゆく。僕の個的な心や思考から生まれたものだけではない何かが、本番という特異なトポスから得られるのだと思う。瞬時瞬時にはしる空気感や様々なハプニングが、いつしか非常に複雑に絡まりあって特異な熱や磁気を発生させる。虚実皮膜の出来事というのか、イマジネーションと現実の力が互いに協力しあってかたちづくってゆく何かがある。ダンスと言うと、カラダ(体)というものが中心にあるようだけれど、僕はそうは思っていなくて、やはり、場に生まれるエネルギーこそが、ダンスの中核に関わるものなのではないかと、思っている。肉体も作品も、それらに立ち合っている人との間に生まれているエーテルが関わって初めて出てくるものがあるように思えてくる。作品が呼水になって湧き上がる心の問題、感謝、悲しみ、怒り、悶え、寂しさ、恋しさ、例えばそのような気持ちの波が客席から舞台に、舞台から客席に、観客と演者の双方の体に響き染み込んで、何か振動のようなものを場所に時間に起こしてゆくのかもしれない。」
ひきつづき、いろいろ思うことを書いていきますので、どうぞよろしくお願いします。
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Stage info. 櫻井郁也/十字舎房:公式Webサイト
上記公演の記録情報をご紹介しております。
※次回公演まで、いましばらくお待ちください。