先日から大きな話題になっていた、SoftbankによるVodafone日本法人買収の交渉が、今日妥結しました。
http://www.softbank.co.jp/news/release/2006/060317_0001.html
今日は、Vodafoneモロー社長、Softabank孫社長、ヤフー井上社長の共同記者会見も行われています。

ケータイWatchの記事はこちら、
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/28303.html
1兆7500億という超巨額買収となったこの買収劇ですが、仕組みとしては米投資会社カーライルと京セラがDDI PocketをKDDIから買収する際に使った、「レバレッジド・バイ・アウト(LBO)」という手法をとり、Softbankは2000億という資金負担ですむということになったようです。
交渉途中は、英Vodafone本社側も「日本への影響力は残したい」ということで、過半数程度の株式売却を考えていたようですが、結局はSoftbankと合弁企業設立という形で日本との関係を維持し、97.7%保有している全株式をSoftbankに売却することになりました。またSoftbankは残りの2.3%もTOB(株式公開買い付け)で取得し、100%子会社にするとしています。
その他経済用語バリバリでよくわからんという方は、ITmedia Mobileのこの記事が比較的わかりやすいと思います。
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0603/17/news111.html
で、この買収でユーザーにはどんな影響が出るのか、同じくITmedia Mobileのこちらの記事が一つの指標になりそうです。
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0603/18/news006.html
内容としては、
- 今日明日、急激にサービスが変わることは無い
- 料金の低価格化は、まだ未定だが可能性は高そう
- コンテンツは一気に増強、ポータルはYahoo!に?
- 端末は国内・海外両方揃える
- ブランド名は変更
という方向のようです。
ここから後は僕の個人的な予測です。とりあえず今日のあらゆる報道を見てきた限り、
短期的にはかなりの数のユーザーが流出する。
と思います。
まず何と言っても「ブランド変更」をするのは、イコール「○.vodafone.ne.jp」のメールアドレスのドメインがまたもや変更されるということなわけで、もし最初期のSkyWalkerから使っている人だと、なんと3度目のドメイン名変更になります。これはユーザーから相当な反発が予想されます。
「jp-○.ne.jp」→「○.vodafonene.jp」が行われたとき、それまでJ-PHONEを使っていたユーザーが他社に乗り換えていく姿をたくさんみました。どうせメールアドレスが変わるなら、電話会社を乗り換えても一緒ということで、ユーザー流出のきっかけを自ら与えてしまう結果になったのです。
まして今年は同じ電話番号で別の携帯電話会社に乗り換えられる「ナンバーポータビリティ」が始まる年。電話番号で縛り付けることが出来なくなった上に、メールアドレスまで変わってしまうんでは、「それなら他キャリアに」というユーザーは急増するのではないでしょうか。
DoCoMoやauの施策次第ですが、Vodafoneが格好の草刈り場になる可能性は非常に高いです。
次に「急激に変わることはない」としていますが、少なくとも英Vodafone本社出身のモロー氏が残ることはまず無いでしょうし、津田会長も京都の「ケータイフォーラム」には顔をだしたのに、今日の記者会見には来なかったところからみても、ソフトバンク側とはうまくいってないか、軽視されているかのどちらかと思われます。少なくとも経営陣の総入れ替えは確実に行われるでしょう。
となれば会社としての方針はまた一から決め直しになるわけで、およそ社風の違うSoftbankとVodafoneでは、反発からくる人材流出も起きるでしょうから、社内の混乱はどう考えても避けようがありません。販売現場もYahooBB系とVodafone系ではまるでつながりが無かったのに、「一緒にやれ」とか言われるでしょうし、おのおのの代理店も統合するのしないので揉めることも考えられます。
結局しばらくの間は混乱で、ユーザー獲得・ユーザー維持に必要な力も減退するのではないでしょうか。これもやはりユーザー流出の原因になりそうです。
端末もすでに企画進行中の今年年末商戦端末ぐらいまでは、そのままVodafone時代の状態でだすでしょうが、これから企画が固まってくる来年春商戦端末とかは、
一度白紙に戻ってまたやり直し→来年の春商戦からしばらくは端末が手薄、もしくはあまりの迷走のために出来の良くない端末になる。
ということも大いに考えられます。
と、短期的には状況が良くなる材料はあまり見あたりません。
では長期的にはどうなるか、これはもちろんSoftbankのやり方次第ですから、今日は結論はだしません。しかし舵取りはかなり慎重にやらないと、本当に沈没まっしぐらになると思っています。
野球のホークスのように、オーナーだけすげ替えて、自分たちは首を突っ込まず、運営方針は長年やってきた現場のベテラン任せというのがベストだと思うのですが、今日の会見を見る限り、完全にSoftbank-Yahoo色で染めるつもりみたいですからね・・・。
ちなみにVodafoneに勤めてる友人何人かに聞いてみたのですが、現場は結構冷静だそうで、そこは少しホッとしました。