ロートル技術屋の日記

デジタルスケール(電子秤)で密度測定 貴金属製品の真贋判定ができます。

先日購入したデジタルスケールが思いの外、精度が良かったので密度測定をしてみました。


対象物は金色の懐中時計の蓋です。
恐らく金メッキがされており中身が何かわからないので特定するため密度を測ってみようと思いました。

まずは蓋だけの重さを測ってみました。


8.73gでした。

次に使い捨てのプラスチックカップに水を入れてデジタルスケールの蓋の上に載せました。

十分な水の量にすると結構重くなります。

この状態でTAREボタンを押して表示を0に設定します。


懐中時計の蓋を細いニクロム線で吊るして底に着かないようにして水に全部沈めました。

重さの増加は1.00gでした。
計算して作られているのか偶然なのか、ちょうど1.00gというのはびっくりしました。

この増えた重さの分だけ懐中時計の蓋が水を押しのけているので体積は1.00g分の水の量、1.00cm³(1.00cc)になります。
(1gの水の体積は温度で変わり、厳密には25℃で1.0029cm³ですが、重さの有効桁数が3桁しかないので4桁目を四捨五入して1.00cm³と表記するのが実験結果としては正しい表記です)

重さ8.73gで体積1.00cm³ですので密度は8.73÷1.00=8.73g/cm³となります。
銅の密度が8.96 g/cm³ 、真鍮(銅と亜鉛の合金:黄銅)の密度が8.4~8.73g/cm³(銅と亜鉛の比率による)ですので真鍮に金メッキされた物という事がわかりました。

この測定方法は「流体の中で静止している物体は、その物体が押しのけた流体の重さだけ軽くなる」というアルキメデスの原理を応用しています。
ここで大事なのは懐中時計の蓋を吊したニクロム線で上から支えていることです。
吊るさずに沈めると蓋の重さと同じになりました。
元々あった水に蓋の重さが全部加わったのですから当然です。
最初に重さを測らなくても底に着けて上から吊らなければ重さを測れることがわかります。

吊るした状態で懐中時計の蓋を水に入れると増えた水の重さで懐中時計の蓋が支えられている形になります。
この支えている力を浮力と呼んでいます。
精密なばね秤に蓋を吊るして水に沈めると水の外で測った重さから水の浮力を受けてばね秤の表示は1g軽くなります。
(アルキメデスの原理です)

厳密には吊るすのに使ったニクロム線の重さと体積が誤差になります。
しかし、今回使ったニクロム線は直径0.1mmと細く長さも約150mmと短く軽いのでほとんど影響がありません。
(計算上は重さ0.01g、体積0.0011cm³です。)
このニクロム線はアマゾンで購入しました。
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長さ25m

長さ10m

水に浮いてしまう物(水より軽い物)は全部沈めることができないので簡単には測れなくなります。
立方体(サイコロ状)の物など、測りやすい形の物であれば例えば半分の高さのところに線を引いて水に半分だけ沈めて増えた重さを測り、2倍することで体積を計算できますが、複雑な形状の物は難しいです。

水より重い物であれば全体を沈められるので精密に測れるデジタルスケールがあれば簡単に密度測定ができます。

純金の密度は19.32 g/cm³
18金 14.84~16.12 g/cm³
14金 12.91~14.44 g/cm³
白金(プラチナ) 21.45 g/cm³
純銀 10.50 g/cm³
というように密度を測ることである程度本物かどうかを判別できます。

ただ、中には密度19.30のタングステンに金メッキした偽物もあるようなので密度だけで判断するのは危険です。

タングステンは非常に硬く変形しませんが、金は柔らかくすぐに変形するので硬さを利用して判別することは可能です。
時代劇で小判を歯でかんで確かめるシーンがあるのは柔らかさで判断しているからです。

また、磁石にくっつくかどうかも判別材料になります。
金、白金、銀、銅は磁石にくっつきませんが鉄やニッケルを含んでいるとくっつきます。
(例外:18-8ステンレスは鉄とニッケルを含んでいますが磁石にくっつきません)

皆さんもお手持ちの貴金属が本物かどうか、密度測定をしてみてはいかがでしょうか。
(残念ながら我が家には密度測定するようなお宝がありません...。)

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