いつも拝見している吉田誠一さんのホームページが昨日更新されていました。
「今週の明るい彗星」で紹介されている紫金山ーアトラス彗星C/2023 A3に気になるコメント「最近はこの予報より暗い。」がありました。
以前、紹介した国立天文台 渡辺潤一先生の論文を再度見直してみました。
太陽に近づいたことの無い彗星は比較的遠くでドライアイス等が蒸発して固体成分が表面に残り熱を遮断してしまうという非定常のマントル発達モデルで計算すると実際の光度変化に近いと記述されています。
オースチン彗星C/1989 X1 の光度変化が図5に示されています。
左側が太陽に近く右側が太陽から遠いグラフになっており、+0.3付近で折れ曲がっているのがわかります。
対数表記の+0.3は約2天文単位となります。
以前の記事でも紹介したサイトで今日の位置関係を見てみると紫金山ーアトラス彗星C/2023 A3は太陽から2天文単位(地球と太陽の距離の2倍)付近にいることがわかります。
オースチン彗星の光度変化と同様に2天文単位付近で光度変化が鈍ってきているという事は予報通りには明るくならない可能性が高まってきたと言えます。
救いは最近観測されている画像にはダストの尾が見えていることです。
オースチン彗星の場合は同じような状況でダストの尾が無かったそうです。
オースチン彗星ほど酷いことにならないことを期待したいところです。