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鼓曲萬来

Africa We Go Go

#1 OSIBISA

光があれば影もあるものです

昔銀座のシーザースパレスで箱(月契約での演奏)に入っていた頃なんですが
当時私はパーカッションとヴォーカルを担当しておりまして
ドラムは成田賢&エモーションの金澤淳が担当しておりました

箱の場合 演奏時間もステージ回数も多くなっております
体力的にも 又喉の調子も保たなくてはなりません
従いまして必然的にインストと呼ばれます
歌無しの楽器演奏の曲も多くやっておりました

只ちょっと手持ちぶたさになり しまいにはちょっぴり飽きてまいりまして
メンバーには「なあ、ラテンやアフリカンの曲やろうぜ!」と
まあ簡単に言えばサンタナとかアフリカンのパーカッションが入ってる奴ですね
例えばこんな感じ

Music For Gong Gong - Osibisa (1971) (HD Quality) 

しかし当時はまだレゲエとかエスニックな感じも認知度が低く
其の手の曲ばかりレパートリー用に持ってくるので
楽屋での私の呼び名も次第に変わってまいりました

最初は皆私の事を「よしみさん」と呼んでおりましたが
それがアフリカンバンドのオシビサからよしみさんがリエゾンして
最終的に「おしびさん」と呼ばれる様になった次第です

話はそれましたが
その金澤淳が私や近田によく言ってたのが
「ストーンズのハイドパーク見たろ
あの悪魔を憐れむ歌で演奏してるの
トラフィックのリーボップクワクバーさんだぜ!」というもの
まじかよ....
トラフィック好きだったもんで
その話は結構「やっぱりトラフィック凄えな~」位に受け止めておった訳です

じゅん坊は当時住んでいたロンドンから東京に戻ってきたばかり
当然私も近田もじゅん坊がそう言うならと
疑うことなく信じておりました

亡くなった方を責めるつもりはありませんが
ここに至り、それは全くの出鱈目だった事が判明いたした次第です

で、そこに登場するのが今日の話の中心
ジミースコットというナイジェリアのミュージシャンであります

#2 ジミースコットのちょっと哀しい話

ジミースコットはナイジェリア産まれのコンガ奏者
当時移民政策に出ていたイギリスに
密航し そこで新しい生活に入る事となったそうなんです



色々と職を転々としながらも
やがてコンガ奏者として演奏していく内に
クラブでビートルズのポールマッカートニーと出会う事に

度々顔を合わす度に親密になっていった二人
その後ビートルズのレコーデイングセッションに招かれたジミーは
そこでコンガを演奏しましたけれど 残念な事にクレジットも無し

其の後ビートルズのアルバムが発売されると
ジミーは自分の口癖ともなっていた
ポールと話する時よく使っていたナイジェリアの言い回しが
タイトルになっている曲を聴く事となりまして
驚いたでしょうね

ジミーは確かにこれは自分がいつも使っている言い回しなのだからと
ポールに作詞権利の一部を要求するんですが
ポールは世間一般の普遍的なものだからと
これを拒否 一切の権利はジミーには分与されなかった訳です

しかし納得出来ないジミー
明らかにこれは自分の言い回しであると主張した彼は
ポールを訴える事にしました

そうこうしている内に
やがてジミーは妻と子供への養育費が滞った罪で収監されてしまう事に
すると突然ポールから連絡が入り
釈放費用を私が払う、ただし著作権の異議申し立てを取り下げろとの条件
ジミーは金銭的に余裕もなかったのでこれを了承するしかなかったんでしょうね

いや、この一件を考えるとポールにも多少の後ろめたさもあったんでしょうかね

やがて自分のバンドを作り演奏ツアーに
しかしもう60を越えていたジミーはツアーの過酷さから身体の調子を崩してしまいまして

そしてイギリスに戻る時 空港で2時間もの間全裸で検問を受けまして
(当時差別的な対応もあったのんでしょうね)
容疑は違法薬物所持の疑い
何も出てこなかったが その過酷な取調べの結果
容態が悪くなり 即病院に運ばれたが
翌日急変しそのまま死亡してしまいました

ビートルズの曲のタイトルにもなったジミーの口癖
それがOb-La-Di, Ob-La-Da  でありTHE LIFE GOES ONだったとか

改めて聞いてみると現実に比べてジミーの人生への皮肉にも聞こえますね
歌詞の内容とは間逆の境遇
その時のテイクはお蔵入りと書きましたが
この曲で使われている数々のパーカッション類
もしかしたらジミーのテイクから抜いているかもしれません

あきらかにフレーズが通常のビートルズのパーカッションとは
センスもフィーリングも違いますし テクニックもルーツ的な感じも致します

まあ、クレジットも無いですし聞いた話ですから今更確認は出来ませんが
いや、底抜けのハッピーソングとばかり思ってましたわ
Ob-La-Di, Ob-La-Da  LIFE GOES ON ♪
La La How the LIFE GOES ON ♪♪

で、結論を申しますと
ローリングストーンズのブライアンジョーンズ追悼ハイドパーク
あの「悪魔を憐れむ歌で」コンガを演奏しているのは
このジミースコットだそうです
なんと50年の時空を越えて真実があきらかになりました

じゅん坊 クワクバさんじゃなかったわ
でも、そんな事はもうどうでもいい事で

それよりも新しいドラムフレーズをいっぱいロンドンから持ってきたり
いつも大きな音で汗を掻いて演奏している姿や
「目からひょうたん出したから いる?」なんて
勿論冗談ですが そんなひょうきんな姿だけが
今も思い出として強く残っております 

Sunshine Day - OSIBISA  

本当に光があれば必ず影が出来る訳なんですよね
つくずく思うわけです。
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