13. la poitrine (ラ・プワトリヌ) 「胸」
Mes cheveux , ma poitrine ... tout mon corps ... (Tome 2)( メ シュヴー、 マ ポワトリーヌ … トゥー モン コール…)
「 私の髪も、私の胸も…私の身体は全て… 」
OT 「(あなたのために アントワネットは生まれてきました) この髪も この胸も (血のさいごのひとしずくまで すべて すべてただ あなただけのものです)」 (集英社文庫第5巻)
◇ poitrine (n.f) :① 胸・胸部・バスト;肺 ② (女性の)胸、乳房
ストーリー:
フランス革命が勃発し、ヴェルサイユ宮殿を追われ、国外逃亡にも失敗したマリー・アントワネットを救出しようと、フェルゼンは命をかけてテュイルリー宮に潜入します。
その夜、18歳での出会いから19年目にして、初めてフェルゼンと結ばれたマリー・アントワネットがフェルゼンに言った言葉です。
同じ 「胸」 でも、こちらは、「(女性の)胸」の意味がある poitrine を使っていますね。大事典版では、coeur (n.m)「心臓、(胸、胃)」 を使っています。このテクストも、比較文学してみたいですが、いつになりますことやら。
ちなみに、フランス語で 「 ブラジャー 」 は、soutien (s) - gorge (n.mpl) (スティヤン・ゴルジュ) といいます。 gorge (n.f) は 「のど;のどもと;咽喉部」の意味ですが、文語で「(女性の)胸、乳房」 の意味があります。soutien (n.m)は、動詞 soutenir (v.t) :支える の名詞形です。
英語の brassiere はフランス語の bras (n.m):(ブラ) 「腕」からきていますが、現在、フランス語の brassière は「赤ちゃんの(長袖の)お洋服」という意味で、英語とは意味も発音も全く違います。
ところで、gorge (ゴルジュ) という言葉は、筆者にとって印象深い言葉のひとつです。
筆者がフランス語を始めたのは、日仏文化協会の「 夏休みフランス語速習セミナー 」 に参加したのがきっかけです。
その時の入門コースの講師の先生は、NHKのテレビ講座にも出演されていた素敵なフランス人女性でした。流暢な日本語を話され、細やかな心遣いをして下さる方で、入門コースの受講者も、リラックスして勉強することが出来ました。
この方が、「のど」は、gorge といいます…と教えて下さった時、うっとりした表情で、「gorge … きれいな言葉…」 (もちろん、日本語で)とおっしゃったのです。
筆者はびっくりしました。日本語では、濁音のついた音は、耳障りな印象がありますよね。ゴーゴーとか、ザーザーという音も、激しい印象があります。
音だけで「きれいな言葉」とおっしゃったのではないかもしれませんが、日本人にとって耳障りな音を持つ言葉を、うっとりするほどきれいな言葉ととらえられるとは…
フランス人の方と日本人では、音に対する感覚が違うんだなぁ…と、しみじみと思いました。
同じものを見たり聞いたりしても、文化背景によって感じ方が違うことを実感した、筆者にとって最初の経験でした。
身体の各部の名称 バックナンバー
① http://blog.goo.ne.jp/club_3/e/28b4b3539b7d75e336661114cf084578
② http://blog.goo.ne.jp/club_3/e/1c60412ed1c8d94449fbeeace59c2c74
③ http://blog.goo.ne.jp/club_3/e/60ae4c9c82f5332635f7661670c01034
④テクスト http://blog.goo.ne.jp/club_3/e/aae68ac8c000bea6a46c6b2b90010aaf④解説 http://blog.goo.ne.jp/club_3/e/61192f7f5625764ec04f51812db58876
⑤ http://blog.goo.ne.jp/club_3/e/640643eafc2830c12b2850bd9d0f0ed7
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