言語学者の間では、「乱れている」といわれる日本語の移り変わりを「変化」と表現しているのだそうだ。前進か後退かは後の世にならないと分からないので、「進化」という表現は使わないのだそうだ。変化を認めながらも決して肯定的ではなく、どちらかといえば否定的なようだ。
さて。前進か後退かは分からないけど、社会的な要因で使われなくなっている言葉がある。身体的特徴を表すその使われかたが、ちょっと差別的である場合が多かった…のかどうか、僕の頃にはすでに聞かれなかったのでよく知らない。足が立たないので這ったりひざでにじり歩いたりする様子、またはその人を表す「いざり」。網で海底を漁るのが語源だと勝手に思っている。
イザリウオは、体を引きずるようにして海底を這う様子から名づけられている。泳ぎの苦手なところから疑餌で小魚をおびき寄せる習性が発達したものの、それと"漁り"とは関係がない。ザリガニは、"イザリガニ"がなまったものといわれる。それぞれの語源は件の「いざり」で、「いざり」の語源が漁る様子だとすると、たまたま海に戻ったところが面白い。語源はいずれ消えていく運命にあるが、学名は残る。
変わるのか!