御伽噺6  伽噺 6  'Different lovers also '

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「ホスピスに『女優』と期限付きの『彼氏』」

2012-04-13 19:12:28 | リンク
「ホスピスに『女優』と期限付きの『彼氏』」
私はホスピスにずっと彼氏が来てくれないかなって思っていた。18才だから大学受験が終わる頃にはもう生きていない。「棺は何入れようか?」友人は高校を中退して「女優」になっていた。撮影日じゃない日だけ見舞いに来てくれた。「作品を入れてくれない?」「沢山あるからな」そんな話をしていた。春はもう終わりを告げた。人気はあるらしい。まあ、これだけ美人だとね。私は彼氏がもう来るはずのない事を覚悟した。しかし、友人は面白い。メールで男優紹介してあげるよ。そんな気持ちじゃないし。今は薬を飲んでいるよ。黒い喪服を着て「焼かれる」つもり。寂しい人生だね。そうだね。彼氏とのメールを送りたいけど、邪魔になりたくない。病気の事を教えたけど、それでも、葬儀には行くと言っていた。きっと嘘。多分別れの捨て台詞。「死者」には興味がないか。学校を中退をした。哀しいけど。皆前を向いている。だから辞めた。
ゲームで暇を潰した。一枚の写真がある。彼氏との最期のデートの写真。ずっと会いたいけど。友人はオリジナルのシェイクを売っている男友達がいるらしい。大学生で暇つぶしにあったら?そう言っている。「シェイク欲しいし、命が尽きるまでは付き合いたいな」「分かった。向こうのバイトが休みの日に紹介してあげるよ」「格好いい人?」「君よりは顔がいいよ」欠陥商品でも寂しくなければ、それでいい。そして、いきなり出会ってすぐに付き合う事にした。予想よりも遥かにいい男だ。「シェイク飲む?」「是非」どうせ振られた身だ。だから、嫌な言い方をすれば誰でも良かった。誰よりも独りで泣くのは夜になったら。学校では髪は茶髪に染めた。あの頃は沢山お洒落になる事を夢見た。でも、今は普通の女に観えるらしい。70ぐらいまでは生きたかった。やる事は沢山あったんだ。棺に誰にも観えない夢を書こうと思った。結構いい男でしょう?私には勿体ないね。そんな事を言いながら。彼女は黒い髪に染めている。大人っぽく見える。「逝く時はその前にメールをしてね。一緒にいて一番話が合う友人だし」「まあ、確かに見舞いに来てくれるぐらいだからね」君が逝ったら、国に掛け合い。モザイクは要らないと政府に訴えてみるから。凄い数になりそう。君らしいね。レンタルで借りれるから、いいと思うよ。なんて事を話す。彼女だけ大声で。昼だからいいけど。恋人の証が欲しい。今の彼氏と写真を撮った。本当は『元彼』が見舞いに来てくれたら嬉しい。でも、同情を狙っても、冷たくされそう。冬になり、やはり待ち人は来てくれないらしい。センター試験がある日に逝った。そして、暗闇が明けて、花火が上がった。最期の思い出が観れた。誓う事はこれからは友人が来てくれるのを待つ。私に逝く前にお歳暮を贈った女だから、来てくれるかも知れないなと思った。モザイクが要らないだけの公約で政治家になれそうだ。夢のある話だなって思った。彼氏は全員此処には来ない。何故か今までの人生の『ハイライト』が観える。いいなと思った。


「蒼く染めた男が教えてくれた」

2012-04-13 16:56:41 | リンク
「蒼く染めた男が教えてくれた」
別に気に入っていた訳じゃない。でも、必要としてくれた。「好きだよ」と言ってくれた。蒼く染めた髪の男だった。私がよく行く公園でベンチで何か描こうとする男がいた。缶コーヒーをこぼしていた。ダサイ奴。第一印象はそんな感じだった。こんな時にそんな男を見かけた。高校時代の日曜日。留年が決まり、もう辞めようかなって思っていた。そんな頃。私は毎回あっていた。声もかけないで。ただ学校を辞めたらどうしようかな。そんな事まで考えている。私は髪を染めた事もピアスをした事もない。だけど、学校はよくさぼっていた。そのつけが回ってきたのかも知れない。彼氏だった男と結婚を約束をしていた。そんな時期もあったけど。
その蒼髪の男は、何故か苦しそうだった。缶コーヒーをまたこぼしている。勿体ない奴だな。蒼く染めたのかなとか思うようになってきた。だんだん忘れていく彼氏がどうでもいいようになってきた。好きだけど、もうそろそろ忘れないといけないから。馬鹿だね。会いたい人が目の前の男になってしまって。涙がつーと顔を通過して、苦しい思いをしている。
いつか声をかけてくれた。毎日会っているから気になっていた。ちょっと病気でさ、我儘言って病院に行く事辞めて、ここで絵を描いているんだ。彼氏も絵を描いていたっけ。そんな事を思い出した。家でただ彼氏の写真を観るようになった。この人は本当に格好良かった。だから、惚れたのだろう。馬鹿だね。一人で逝く勇気もない。今なら会えたり出来るかもしれないのにね。君はただ墓参りさえしないで欲しいと言っていたらしい。結婚を考えていた。指輪を外していた。今度は幸せになれるのかな。そして、公園で遊ぶ事にした。デートでもないけど、告白してくれた。私は理解している。知っている。「恋」だけじゃいつか滅びると。コーヒーを飲みながら、絵を観ていた。楽しいと思う心を抑える毎日。18才になった。普通であれば大学生になっていただろう。でも、いい。どこで染めているの?薬の副作用。後10年ぐらいは持つらしいよ。「プロになれるといいね」私は何時か逝った時に思い出になればいいなと思った。
30を過ぎた。蒼い髪にするのは髪が痛むから。染めなかった。一応高卒の資格を取って、今は記憶を風化するのを待っている。今は未亡人だ。結局二人も愛してしまった。これで良かったのだろう。今ならそう思う。どちらにも逝かないのは決定している。「人生を楽しみに生きたら。俺の事は思い出せなくていいよ。俺は絵と共に過ごすから寂しくないし」何で死後の事が分かるの?「さあね。勘だけど」「缶コーヒー一杯あるといいね」そんな会話をしていた。きっと、元彼より好きになった。だから、これからは幸せになろうと思った。フォトグラファーを夢見ながら。あの公園にはもう行くつもりもない。今は「カメラ店」で働いているけど。いつか泣いた日を思い出しながら。

「暗闇の『黒い』感情が消えたのに」

2012-04-13 00:01:13 | リンク
「暗闇の『黒い』感情が消えたのに」
いい思い出しかない。私は黒い髪を少し染めた。16才で高校には行かず。一人で紅茶屋で働いている。彼氏はいる。でも、バイトで忙しいようだ。ハンバーガーショップで。たまにバイト代を削り食べている。美味い。デートは時間が無くて、あまりしない。高級な紅茶らしい。飲んだ事ないけど。常連客で賑わう。どの紅茶もレベルが高いらしい。飲んだ事ないし。でも、『嵐山』から『山』を取っている程。提供する紅茶はレベルが高いらしい。種類は知らないが。
私は男受けしかしない女なんだなって気がする。魅力があるのは悪い訳がない。ナンパが初体験。「今の彼氏」だったりする。18才だと勘違いしているらしい。20で『日テレ』の食堂の店員になりたいらしい。16才だから敬語で話さなくていい。そう言うと、俺も16才だと言っていた。本物の彼氏は16才の後半に出会った。ハンバーガーが美味しい店だと「今の彼氏」が奢ってくれた。それにしても、格好いいので店員に恋をした。だから、「今の彼氏」と別れた。半年の付き合いだった。ナンパをされてもほっとくけど。友人はいない。でも、男がかまっているので、退屈はしない。でも、いつも常連客は男ばかり。私は飯を食っている時間はないから、水を飲んでいた。美味しいし、飯は特にない。家で食べる時に飯を食えば何とかできる。黒い髪に染めてから人気が出た。中学校の時からここで学校に行かずにバイトをしていた。試験だけは受けに行った。不良じゃなく、ヤンキーでも、ひねくれているんじゃない。ただ一人で生きられるだけ生きたいだけだった。よく誘われていた。でも、誘惑より、ただ一人で生きてきた女になりたかった。施設に入るのもいいなと思ったけど。「和」を乱す。自滅行為なので一人で生きたかった。初めて本当のデートをした。逝く寸前だったと彼氏は話していた。私は他人の為に泣いている。初めての事だ。施設に入らなかったのは彼氏も同じだったらしい。同じく行かない理由が分かったら、余計好きになった。後二年は生きれるらしい。そして、心を開いた事を後悔した。出会わなければ良かったと思った。「今の彼氏」だった男と付き合っていたら、無理して生きる事はなく、ただ普通の時間が過ごせたかもしれない。そして、無縁仏になった。どうしてだろうね。何故愛してしまったのだろう。20になった途端に。そうして、私は本当の関係を一度交わした。もうしばらくは恋人は要らなくする為。27才の時。私はこの店の店員になっていた。私は初めて紅茶を飲んだ。種類はよく分からない。彼氏に傷を付けた。お互い傷が出来るから会いたくない。今度は友人一人ぐらいとたまに彼氏を替えられるぐらいのルックスがあればいいなと思った。
墓参りには命日に必ず行く。今は今なりに好きな人はいる。付き合おうと言ってくれた。貴方よりも愛してしまうかも知れないけど。君は赦してくれるだろう。愛情が芽生え始めたんだ。だから、心の中で「さようなら」と。