御伽噺6  伽噺 6  'Different lovers also '

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「黒髪の女と青年」

2012-04-03 18:24:27 | リンク
「黒髪の女と青年」
高校を中退して一年が経つ。茶髪を黒く染めた。ベンチでただ暇にしていた。特技もないし、特別綺麗な訳でもない。そして、ただジュースを飲んで誰もいないんだなと思った。でも、誰かを待っている。私の運命を変えてくれる人に。バイトはトルコアイスの店で働いている。私はそこで、ジュースを買う為にく。
黒髪に戻して、ただどうしようもない生活をしている。そして、青年の客が来た。昼休みぐらいに毎日来る。声を掛けて貰って、ただ暇な時に会う事にした。青年はサラリーマンっぽい人だ。私は18の頃いつも気に掛けていた。そして、私から声をかけた。それがきっかけだった。
待っていてくれていたらしい。物凄く格好いい人だった。聞いたら、もうすぐ転勤する前に、惚れたのだと言った。恋人になれそうだなと思った。
「普通の女じゃないですよ?」「いいんだ。良かったら、後半年だけ付き合おう」「私と付き合っても楽しいとは思えないですよ」「何か人が嫌いそうなオーラがあったから。最期に会えて良かったよ。たまには年下も付き合ってみたかったし。18は超えている?」「一応」「それなら、いい」そして、デートを夜にずっとした。夏は終わりかけた。本音は一緒に行きたい。でも、彼氏はずっと好きでいてくれないだろう。一応考えとくと言った。もし俺がさ。半年しか生きられないなら、君は泣いてくれるかい?葬式には行くよ。そっか。秋の紅葉が終わりを告げる。バイトを辞めて、彼氏と一緒に話していた。失業して預金で食っているらしい。前の彼女は逝くと分かった瞬間、別れ話に応じてくれた。それが最期だと思っていた。でも、新薬が認可するか寿命が延びるかは厚生労働省が決める事。話が合うから、なるべく長生きしたいね。私はもっと長生きして欲しいなと思った。冬が過ぎるなら、私たちは最期になる。
冬は別れの季節の初め。命が無くなる前に認可されたらしく、この薬が治療薬になるのかテストをしているらしい。「新しい転職先」はしばらくしたら見つかるかもと思った。そう告げた。そして、瞳が蒼くなったけど、それ以外は今の所副作用が無いらしい。私が22才になるまで付き合ったら結婚しよう。いいけど、君は意外と一途だね。俺はただ厚生労働省に感謝するけどね。私はきっと、君以外はダメだよ。初めて情が移った。半年では短すぎると思っていた。
そして、私はベンチでジュースを飲んでいる。冬はもう終わっている。桜が観える。でも、彼氏だけなんだ。今は。やりたい事も知らない。天国でも一緒に生きていた感じがするみたいに、もっと近づけた。親しくなった。
27才になった。今では二人で暮らしている。死期はどうなるのかは不明らしい。まだ恋人でいたい。結婚届は30になってからしよう。やはり、本気でお互い惚れたらしい。刺激しか知らなかったけど。今は落ち着いている。「天国」でも二人でいよう。それを近くの神社で祈った。きっと叶えてくれるはずだ。

「魔法使いが決めた事」

2012-04-03 15:39:07 | リンク
「魔法使いが決めた事」
私は魔法を使えなくなった。愛する人をこの手で殺してしまった。それ以来、逝った彼氏の事を思い出している。国を追われた。隣の国に魔法使いの集団がいる。そこで生活しようと思った。蒼い髪が目印だ。黒い服を身にまとっている。ただ、同胞だから一緒にいさせてくれた。色んな男に誘われる。魔法が使えないからただの居候だ。きっかけは、彼氏がクーデターを起こそうと目論んだ。私に内緒で。後で遺書で分かった。そして、結婚できなくてごめんなと最後に書いてあった。魔法を使えなくなったら、一年で逝く。
16才で罪罰人になった。一番強い魔法が使えるからという理由だ。政治クーデターの人たちの担当だった。彼氏も観ていたはずだ。私の魔法で逝くことを。苦しむ事を。何故クーデターなんてしたんだろうね。私が逝く前に看取った方がよっぽど夢があったのに。でも、涙を流して魔法を使った。「愛しているよ」そう呟いて逝ってしまった。私はもう気力を失った。魔法が使えなくなった。馬鹿な男だった。そう思いたい。幼馴染だからかもしれない。共にいるのが当たり前だったし。好きだとは言えない人だったから意外だった。
「風呂に入りなよ」「今から少し書き物をしてからね」「分かった」友人がいる。魔法を使えなくなった同士だ。暑くなってきた。この国の流行ファッションに身を包み。水風呂に入り、後は氷入りの酒を呑んでいた。後半年の命か。悪くない。葡萄酒を呑んでいる。彼氏は向こうでは英雄扱いされている。せめて、直接伝えたい。最期の処刑は全てを終わらせた。単なる恋人なら国に残った。ただ「家族」と豪華な家で住む為に稼いでいた。今となってはどうでもいい事だ。長が嘆いていた。長の所に行き、もう一度魔法が使えるようになった。一度だけ。自分に向けて。少しずつ寒くなってきた。長が言ってくれた。「跡継ぎが逝くなんてね」30までは生きられたかもしれない。そう言ってくれた。魔法使いの寿命は平均で25才だ。命をすり減らして魔法を使う。痛みが腕に来る。それが逝く予兆らしい。長が言ってくれた。ずっと魔法使いを観てきたけど、生まれた国が悪かったね。そして、故郷がクーデターを成功させたらしい。魔法使いを虐殺されたと言う噂を聞いた。かなり抵抗したらしいが。魔法使いの集団はもっと遠くの場所で暮らす事になった。私は此処に残る事にした。もとより半年も生きられるはずもないし、寒さが引いたら、命の炎を一瞬で逝くから。魔法を使うから。寒くなってきた。遺書を書いている。また会える保証はない。右手が痛みだした。日に日に痛くなる。後どのくらいまで生きるかは全く持って分からない。でも、最期に自分に向けて魔力を使った。そして、記憶が無くなった。もう会えないんだな。氷の道を歩いて行く。温かい温もりが呼んでいる。多分、この先にいると思いたい。この先にいる事を不安に思いながら歩く。魔法はもう使わないから。永遠に使えなくなってもいいから。

「蒼いネクタイ黒スーツで『素人家庭教師』」

2012-04-03 00:00:01 | リンク
「蒼いネクタイ黒スーツで『素人家庭教師』」
蒼いネクタイをしている。名門高校に通ってから、中学生相手に家庭教師をしている。基礎になるし、金になるし。美味しい商売だ。私は黒スーツに蒼いネクタイをしている。瞳も黒く、髪も黒い。
彼氏は東大に行きたいらしい。塾に通っている。中々会えないから別れてしまった。それでも、やはり官僚になって欲しい。合格したらまた付き合おうと言って来た。それでも、いいのかも知れない。私は一応受験勉強をしている。ちっとも面白くない。とりあえず、国立大学を狙おうと思った。
デートはしたいなって思っている。でも、勉強は中々さぼれないし。どうしようかな。と思ったら先輩から告白された。同じ大学を目指しているらしい。学科も同じだ。そして、早朝にデートをしていた。後は一緒に学校に通うようになった。一浪してもまた挑めばいいかと思った。夏休みはずっと去年出てきたテストを用意して、分からない所を丁寧に教える。学校は違うが最難関の問題で教えられるのは現役の名門校の二年生だからだと思った。一人しか教えていない。この子が入学合格レベルだと思う。成績も常にトップをひた走っているらしい。まあ、可愛い子だ。アイドルとしても通用するだろう。興味はないが。ただ、給料で、参考書を買ったりしている。デートはたまにする。月一に長い時間喋っている。今は受験が大切らしい。二浪したら蕎麦屋を継ぐと言ったらしいし。ライトノベルを読むようになった。作家になりたいなと思うようになった。でも、勉強はきちんとしている。家庭教師で、高校生の方がブランクが無くていいかも知れない。そして、夏休みはデート一回に終わった。最悪だと思った。高校二年の冬。雪が綺麗だ。まあ、責任は果たせそうだ。私はデートをサボった女子高生のようだ。一番楽しい季節が無駄に過ぎる。ある意味「ストイック」だなって思った。私は黒いスーツと蒼いネクタイで、「教え子」が合格出来そうだと言っていた。そして春が来た。教え子は教えた甲斐があった。「元気にね」それでバイトも終わり、先輩は一浪する事になった。私は高校三年の冬に一日デートをした。一日ずっと楽しめるデートを。冬で喫茶店兼食堂でカレーを食べた。ラーメンが好きだと言ったから、私が知っている美味しいラーメン屋にも行った。ディズニーに行きたいと言った為、違う彼女と行ってくれと思った。合格したら一緒に行こう。それでもいいよ。私は小説家になりたいんだ。無理だって。そうか。そんな話をした。今度は一緒に受験会場に行こうぜ。そうだね。情事も交わし、久しぶりで良かった。まあ、またカレーを食べに行った。前彼も約束を忘れたらしい。まあ、とりあえず、私は彼氏と受験会場に行った。珍しく制服を着て。私だけ合格した。彼氏は受かるまでやるらしい。チャレンジャーだ。元彼との約束は破棄した。大学卒業したら、大手のスーツ屋で働きたいなと思った。とりあえず、まともなデートを出来る人を探す。