御伽噺6  伽噺 6  'Different lovers also '

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「私は蒼い空が好きで」

2012-04-30 23:52:06 | リンク
「私は蒼い空が好きで」
この景色はいい。私用でよくここにきていた。蒼い空の下で色んな人に声を掛けられた。そして、服や飯代を稼いでいた。悪い事だとは思えない。一応惚れた相手にしかしないから。三か月で別れると言っている。大人っぽくするから、バレない。一緒に競馬で賭けている。一万円ずつ出して。私の金だぞと言いながら、賭けている。競馬で大穴を狙った職員がいて、当たったらしい。私たちは何故か競馬が好きだ。そして、長く付き合うと「自分ではなくなる」日が来る。怖かった。現実になった。病人と付き合う事にした。そして、病人は後一年で散ってしまうらしい。特別な相手だ。どんな人よりも格好いいし、性格もいい。ただ彼女は去ってしまったらしい。私は蒼い空が好きで。大学一年で辞めて、余命を煙草を吸いながら待っていたらしい。そこにいる間。ずっと、一緒に待つから自然と仲良くなった。「何で煙草吸っているんですか?癌なんでしょ?」「いいよ。どっち道、蒼い空に逝くから。痛くない癌らしい。珍しいから、実験台に去れていたけど。高校時代の夏休みから発症したんだ。家に帰りたいと言ったら診察だけになった。薬も要らないと言った」付き合って服や飯代は求めなかった。一人暮らしのアパートだった。結構年季がある。でも、綺麗にしている。何故本気で惚れたのだろう。18才で稼ぐ事はインディーズでもいいんだけどなって思っていた。馬鹿だね。売れなくなるかもしれない。まともな商売なんか出来る訳ないのに。半年後に彼氏は逝く。金持ちなんだね。そうだね。涙が流れた。私が逝ったら嬉しい?別に。長生きして、楽しく遊んだら。また会いたいな。夢でもいいけど会えないかな。会いに行くよ。そうだったらいいね。涙が止められなかった。私は長生きして恋愛をすると思う。10年間は我慢するよ。逝くまで傍に居て欲しいだけ。「私用でよく散歩した所がある」俺も行きたい。そこを歩くか。冬まで、時間があるし。いいね。買い物以外では初めて二人同時に出るね。高校を辞めたなら。俺の馴染みの先生が教えてくれる高校に通ったら、足しになると思うよ。少なくても体を売るよりは、楽だと思うよ。そんな事言ったかな。大分前に話して貰ったし。ここで景色を観ていた。蒼い空が綺麗だね。そうだね。写真を撮ろうよ。そう言って、通行人の人に頼んで二人の写真を写した。二人は一緒になれた。写真は大切にしたい。君の葬儀は「競馬仲間」を呼んで、寂しくないように葬儀をした。もうこれで金はない。体力に自信はある。今は警備員をしている。夢に出てきた。多分、本物じゃないけど。私は28才を待っている。「競馬仲間は次々と結婚しているよ」そう施設の友人が言ってくれた。私は蒼い空の向こうを眺めて、心が落ち着く。しばらくは一人で生きるよ。幾つまでか分からないけど。私は蒼い空を観た。それから二年は過ぎた。27で出会った男。振ったのが勿体ない。
格好良かった。性格も君よりいいかも知れないのに。頑固だなと自分で思った。

「ニット帽と黒いサングラス」

2012-04-30 19:37:01 | リンク
「ニット帽と黒いサングラス」
高校に行ったら、いつも生徒指導室に紹介される。「後で生徒進路室に来い」「何処ですか?」「毎日来ているんだろう。いい加減覚えろ」高校三年になっても、周りの目を気にせず。予備のニット帽と黒いサングラスの格好だ。制服は着る。そこだけ女子高生だ。夏は私はニット帽は着ない。周りからは馬鹿と呼ばれていた。成績がいい馬鹿だと。私は大学に行くつもりだ。ニット帽を被る為に彼氏に奢って貰っている。学校でいつも没収されるんだわ。そう言うと学校に着て行かなくてもいいんじゃない。同じ大学を目指しているし。君は金持ちでいいね。俺が結婚したいって言ったらどうする?とりあえず断る。絶対捨てられると思うから。それよりも、デートが勉強なんて寂しくない。いいじゃん。たまにはさ。デートもしているし。俺もとりあえずリニモに乗りたいし。なら、今から頑張ろう。リニモはまだ運転しているのかな?さあ。君もモテない訳ないから、大学ぐらいは遊んだら。もっといい女が待っているよ。別に遊ばなくてもいいけど。そんな不可能だよ。飽きた女を抱くより、新鮮な女を抱きたいんでしょ。利害が一緒だって。「別に刺身じゃあるまいし。君もサングラスよりも、普通の眼鏡にしたら」いい女に観えないじゃない。ニット帽に飽きちゃったけど。先生と会話をするのが楽しみでさ。君、友達いないだろう。彼氏はいるけど。そう言えば友達いないね。
二人共、歩いていたらトラックと事故に遭った。桜の季節に。
27年までは生きたかった。ニット帽とサングラスを珍しくしていた帰りだった。まあ、妹がいるから良かった。地球上に。性格がいいなと思われているらしい。妹の影響でニット帽を被るようになった。それを彼氏に言ったら笑っていた。何故拘ったのか理由を話してくれた。「病気で長く持てないから大切にしたんだ。君、冷たいから、見舞いに来ないかも知れないから。振られたら葬儀に招待しないつもりだったんだよ」私は意外だった。27才で逝く予定だったのか。私で良ければ付き合っても良かったのに。「君は俺でいいの」「別にいいと思うよ」そして、桜の木が咲いて、ほろ苦い味がするコーヒーを飲んだ。そして、色んな話をしながら、桜が散った。27才で年は老けなくなったようだ。彼氏はサングラスをしている。私の唯一のプレゼントだ。度は入っていないけど。新鮮な風呂や歯磨きセットと服まである。気温は少し冷たい。銭湯みたいな部屋も。何故かシャンプーとリンスがある。ボディーソープもある。生理が来なくなったし、彼氏もあれだけしたがっていたけど、今はいいかも知れないと言ってくれた。とりあえず、愛情を感じるようになった。いつかは別れるだろう。楽しく、生きていたい。来世があるならば。でも、今が一番かも知れない。ニット帽と黒いサングラスでも不自然じゃないから。それに彼氏は永遠を信じているみたいだから。この人なら私もいいかなって思うから。

「蒼い指の刺青と黒いジーンズ」

2012-04-30 17:17:11 | リンク
「蒼い指の刺青と黒いジーンズ」
黒く染まるはずのない髪。黒くしたくて何度も染める。蒼い刺青が指先に出てきた。蒼い刺青が指を全部染まれば逝くらしい。歌以外に特技はない彼氏に相談をとにかく言った。喧嘩は苦手みたいだ。根性がある時と無い時があるらしい。私が話していても、本当に聞いているのか分からない。デートは白いカッターと黒いジーンズを穿いている。「大丈夫だって。俺がいるし」当てにならないなと思った。こいつはすぐに裏切るタイプだと何となく感じている。「女なら誰でも好きなんでしょう?」「まあ、そんな気がする」「墓参りはしなくてもいいよ」「二回目は未遂に終わりそうだけど」「ちゃんと来てくれよ」「俺も忙しいから。デートで」「アンタはきっと幸せになれるよ」「ありがとう」
出会いは17才の時。暇で仕方が無く、出会いがないなと思っていたら、すぐに彼氏が出来た。まだ生きていられるまで。あの世は来ないうちに。私でいられるうちに。友人が誘ってくれた。サラリーマンとの合コンを。格好いいね。その刺繍と言われて、付き合う事にした。合コンは一回だけ。今は友人が見舞いに来てくれる。茶髪のままでいいんじゃない。無理して黒く染めないで。「黒が好きなんだよ」彼氏が出来た感想は?同級生しか付き合った事はないから、新鮮な感じがする。家族は仕事で忙しいよ。ホテル代もったいないでしょ。此処ですれば?そこまで厚かましくないよ。最期はいい人になりたいしさ。女扱いはしてくれた彼氏たちに感謝してさ。でも、今の彼氏が滅茶苦茶好きだけど。彼氏は「黒服専門店」で働いている。黒色しかないの?デザインが洒落ていて。私も「黒色のジーンズ」買ったし。サラリーマンではないけど、社会人だから。また明日ね。分かった。ありがとう。親友には昨日言った。病気の事を。
「指に刺青しない方がいいと思うよ」そんな事を言われても、染めたいんだよと言った。涙を堪えて。すぐに止まるけど。今の内にデートをしている。バイトじゃなく、ボランティアで店を手伝った。そんなに結婚したいか?暇だからだよ。まあ、店としては有難いけど。最期ぐらいは君といたいとは言えなかった。逝く時になったら友人が見舞いに来てくれる方がいい。家族は忙しいから、病院に入院させられるだろう。それまでは今のままでいたい。黒い上下の服もプレゼントされた。27才まで付き合えたら結婚して欲しい。今すぐにはダメなの?まあ、どのうち最後までは付き合いたい。私でいいの?出会いが無いし君しかいないだろう。アンタらしいね。そう言って笑った。私も同じ気持ちだ。そう言った。いくらでも、出会いがありそうな気がする。アンタの場合は。そうして、指は全部蒼の刺青が入った。友人は大学を卒業して彼氏の店を継いでくれた。私が継ぎたかったけど。地上での生活は終わった。そして、黒い髪になれた。鏡がある。刺青は相変わらずだけど。そういう病気らしい。でも、「完治」したと言う所だろう。今は誰かを待っている。待ち人は来ないだろうけど。

「最期ぐらいは一緒にいたかった」

2012-04-29 21:59:42 | リンク
「最期ぐらいは一緒にいたかった」
後一年で28才になる。高校時代の恋人は事故で死んだ。会えないけど、供養をして、結婚までした。だから、一緒にいれた数年間だけ明るかった。
いいの。私で。別にいいんじゃない。好きだし。嘘っぽいなと思ったが、とりあえず本気にした。特別な女じゃない。えりごのまなければ、付き合える程度。そう思っていた。高校一年で付き合って、私は28才まではいいみたい。そっか。俺はそこまで付き合えないよ。別にいいよ。期待していないし。
春には散る運命を知っている桜の木々たち。雪よりも「冷たく散っていく」ずっと、待っている間。いつも一緒にいられるんだと錯覚していた。死はやってくる。いずれは逝くけど、せめて彼氏と共に生きたかったと思っている。最期ぐらいは一緒にいたかった。墓参りをしている。夫が買ってくれた車で毎日行っていた。今は夫がいる。だから、大切な人だとは思っている。心は穏やかだ。生きていられる。私だけが年を取る。大切な家族が出来て行く。最初の頃はずっと泣いていた。普通に結婚できたのも彼氏のお蔭だと思っている。彼氏は楽しそうに話してくれる。何となく付き合えて良かったなと思っている。バイトは衣料品の店。スーツから普段着までオリジナルの店だ。よく彼氏が妊婦になっても着ていられる服を選んであげるよと言っている。結婚したいのかな?俺は大学勉強はしなくていいから、いいなと思っている。君は大学に行くだろう。俺はこの店を継ぐ。そして、こっちもその気になり、バイトをする事にした。明るくなったね。そう最近気づいた。「友人たち」が言っていた。そんな会話になる。格好いいねそのシャツ。今度店教えてよ。いいよ。そうして、店を訪れて、格好いい服やズボンを買って行ってくれた。いいな。こんな生活。初めて学校が良い所だと思えた。寿命は長持ちするようだ。治療法が確立され、天寿を引き延ばし出来た。それを言うと良かったねと言ってくれる。ある日、車に轢かれて逝ってしまった。高校の最後の年に。私はたださようならと言われた。そんな気がした。人生を長く見た時、必要なのはこの人だけではない。理屈で言えば簡単だが、感情のコントロールは難しい。涙が流れる。「さようなら」と。それ以来何かが足りなかった。高校ぐらいは明るい振りをしようと思った。バイト先は買えなかった。「正社員として」扱ってくれた。23才の春。大学の友達が格好いいと服を買ってくれる。毎日、彼氏の供養をしてから、店で働く。そこの店長の知り合いに紹介するよと言ってくれたので、流れでそっちの方がいいかも知れないなと思った。大学時代でも付き合っていたし。一緒にいると心が満たされる。でも、愛しているのは夫。好きなのは彼氏だった男。高校時代で互いの結婚式には特等席とただで招待してくれるはずだった。墓場でそう思い笑っている。もうそろそろ、泣けなくなるけどね。今は夫と共に天国に逝きたいから。最期ぐらいは一緒にいたかったけど。明日も来るよ。そう思った。

「逝く日まで」

2012-04-29 15:03:49 | リンク
「逝く日まで」
雨が降る。夏の雨。私はここで逝くんだと思った。静かに待っている。灰色の建物の中で生涯で一番記憶に残っている。もう何処に行ったのか知らないけど。
17才の頃、雨が降る夏の日に出会って。晴れた日だった。珍しく雨以外でここに座っていた。「もうすぐ死ぬんだ」が売り文句。誘いに乗る人もいたから、ふしぎなものだと思っている。長生きは出来なさそうだが、もうすぐではない。彼氏も引っ掛かっていた。でも、本当に長生き出来ないかも知れないし、病気は眠ったままだから。雨の日。会えない日は泣いていたら、泣けてくる。雨は涙を消してくれた。男を知らない訳じゃないが、最近は続かない。27才になったら逝こうかと思った。多分生きているだろうけど。絶望だけが過ぎり、楽しいことはすぐに、そっぽ向く。彼氏はいつも、喫茶店で出会う。ここのスペシャルメニューを作っている。閉店間際に行く。バイトをしながら学校に会う事は無く。ただ学校に行っていた。独りでも大丈夫だが。楽しい出会いは最後までなかった。別にどうでもいい存在だが、家族は。昔までは大切な一員だった。義父が来てから、嫌気が差した。好きじゃない。ただそれだけを思っていた。彼氏の家で一緒には住めなかった。仕方なく、実家で過ごしていた。彼氏は20になったら、同棲しようと言って来た。いいよ。どうせ暇だし。高校を卒業して、彼氏と料理を作っていた。馬鹿が多いから、結構笑えた。いいな。こんな空気も。よそよそしくないし、家族のように接してくれた。雨は嫌いだ。いつも雨が嫌いだった。そして、そのまま、車で映画館で映画を観ていた。昔は映画を観なかったけど、最近は休みの日によく二人で観に来る。まあ、どんなジャンルでもいいのだが。実家に住んでいるが、まだ懐けない。あまり、いたくないけど、生活が過ごせる。バイト代だけで生きていける。母親は20の時に結婚式に呼んだ。一応義理の父親も。来てくれた。彼氏と結婚をした。初めて義父が笑顔を見せてくれた。「おめでとう」と言ってくれた。以前程、憎悪はない。以前の父親と違って戸惑った。元の父親はたまに会ってくれた。そして、葬式に出た。それが一番悲しいと思った。14才頃か。いなくなったのは。すぐに結婚したから憤りを感じた。何でかは今でも分からない。ただ、娘にしては意外と父親と話が合った。だから、意外と仲がいい。その思い出が強烈だったから、嫌気が差したのだろう。彼氏と今でも思っている。相変わらず夫と言う響きは合わない気がする。彼氏はこの世を去った。私が27才の時に。一番辛かった。そして、棺に入れられた。炎の中に「彼氏」がいる。最期の恋になりそうだ。それから、数年が経った。病院の診察で、余命が二年ぐらいしかしないと知った。それから、このコンクリートの建物に住んでいたから、バイトを辞めて、ずっと待っている。
雨が降る。夏は死の季節だ。恋人と父親を一遍に奪った。「私の命も」もうじき。