御伽噺6  伽噺 6  'Different lovers also '

Copyright:(C) 2010-2014 shinya komatsu. All Rights Reserved

「『美中年』との付き合い」

2012-04-05 23:18:43 | リンク
「『美中年』との付き合い」
青白い部屋のベッドでいつも寝ている。20まで生きられるといいな。大丈夫だと思う。本が好きで結構読んでいた。今は気力がないから読みたくないが。「私は後三年しか生きられないよ」それが誘いの文句。心の中で刹那的に生きなさいと囁く。三年だからいいか。それぐらいの年月をかければ、気軽に遊べる。
そして、18才になったら、下らない付き合いが出来そうだ。『美中年』の男と遊ぶようになった。「もう20ですよ」「まあ、暇だから。飯奢ってよ」初めて飯を奢ってくれるように頼まれた。いいよ。後三年の命だし。
そして、喫茶店でスパゲッティーを食べている。まあ、国からお金を貰っているし、まあ、後少ししか、付き合わないからいいと思う。
そして、君はいくつが初体験。「馬鹿」そんな事を言いながら飯を奢る。国の金で。この人は働いた事がなさそうだ。毎日朝から夜までデートする。俺の部屋に来いよ。いいね。銭湯で生きているらしい。「馴染みだからさ」「私の家に来る」いや。知らない人の家で住みたくないし。風呂の掃除のバイトをしているんだよ。それで朝にさっぱりしてから、君とデートしていたんだ。へんな奴。そう思いながら、付き合う。18才も終わった。いつも、ミートスパしか食べない。私はトーストだけを食べている。蒼いマニュキュアを買った。少し明るくなれたかも知れない。茶髪にした。彼氏はどんな色でもいいらしい。飯を奢ってくれるなんて。美味しいし、ここでもバイトしたいくらいだ。紹介してあげようか?いいの?いいよ。そして、彼氏はここでも働くようになった。銭湯のバイトとランチタイムのみバイトの日々になったらしい。銭湯で親子二代に渡って、「雇用」された。まあ、俺と付き合えて良かっただろう。面白かった。いい思い出になるよ。俺は後40年は生きるつもりだから、迎えに行くよ。あまり来て欲しくないけど。夜だけデートになった。冬になった。後少しか。ただブログを作って、実名な所が生きた証にもなればいいかなって思っている。銭湯店の電話でデートの誘いをする。そして、いつも、結婚をせがまれる様になった。何で?資産が欲しいから。あはは。まあ、別にいいよ。冗談だって。お互い独身でいよう。多分君が最期だよ。そうか。いい記念にもなったし。寂しくなるな。まあ、お互い間違っている気がするが。葬儀に来るつもりはあるの?ない。きっと、近いうちにお別れだろう。涙が出そうになる。まあ、すぐ乾くけど。生きているうちは泣かないよ。そっか。19才の冬に彼氏と別れた。もうすぐ逝くから。そして、私は20になれないで逝った。寒い夜の日に。
眼を開けると、絵が飾ってあった。先祖が画家だったから、よく教えて貰った。いいな。ずっと絵を描き続けていたらしい。「しばらく観ていたいな」「かまわんよ。絵をまた教えて欲しい?」デッサンだけ作りたい。いいよ。お別れをした。面白かったから、悔いはない。恋愛に関してだけど。


「茶髪の女と一緒に逝く」

2012-04-05 18:49:31 | リンク
「茶髪の女と一緒に逝く」
綺麗な茶髪の女と仲が良くなっていた。私たちは逝ったらさ、また遊ぼうよ。いいね。病院食にステーキをと注文したのに、常識が足りないのかな。「普通、ステーキは出てこないだろう」「あの世で注文しよう」「相変わらず馬鹿だね」病室が一緒でいつも下らない話をしていた。いいな。君は彼氏が出来て。「何で作らなかったの」「別に要らないから」「格好いい人が食事に誘ってくれたじゃん。一人と言わずに、幾人も」あいつら、ただ女なら誰でもいいんだよ。そう考えると嫌だった。プライド高い女。「君の彼氏なら付き合ってもいいかな」「まあ、100%盗られる気がするが、いいよ」「そんな事する訳ないじゃん」「後お互い一年だね」「そうだね」「あの世で結婚しようかな」「呼んでね」そんな話をずっとしていた。初めて喋った時も楽しかった。ロリコンは嫌いだと言っていた。でも、いつも大人に惚れていた。矛盾だったようだ。
私は、休憩時間に彼氏と飯を食う。「観覧車でしよう」「無理だって」彼女が嫌いな身体だけの目当ての男だ。でも、させる気はないし、彼氏も気付いている。病気さえなければ結婚しても良かったのに。子供をがんがん産んで欲しかったね。「はいはい」私と同い年のようだ。まあ、年上っぽい人だ。「君は逝く前にしては明るいね」「本音は怖いけど親友がいるからね」「そっか。あの世では会えそうもないね」「やっぱり恋愛より友情が欲しいからね」「なら、今日で別れようか」「そうだね。普通の女の方がいいよ」「葬儀には出るよ。『供養』して欲しいだろう」「まあ、それが良い恋愛の終わり方だね」最期にキスをした。病院の駐車場で。「じゃあね」誕生日に振られた。後一年で卒業できたのかも知れない。全日制の学校で。親友と言っていた普通の世界。憧れた。でも、大丈夫。あの世で二人暮らしするだろうから。そして、君と一緒に逝く予定で良かったよ。「私達はあの世でも一緒にいる。今ならそう思える」最期に、恋愛したかった。そう言っている時彼女の顔は暗く感じる。私は逝くのが怖くなった。一緒にいられる保証はない。どうなるのか想像も出来ない。ただ独りでいる予想も考えられた。「ステーキの味が忘れられない」「私が作ってあげるよ」「どうやって?」「病院抜け出すか」「嫌だ。外寒いし」「ステーキを食べたくないの?」「君がデートしていた時にこっそり、近くのステーキ屋に通っていたんだ」「嘘」そんな話をしながら、私は最期に会えた人が「君」で良かった。逝った時に何やら雪が降っている。眼を閉じてからこの世の人じゃないと気が付いた。そして、雪は「桜色」に変化する。「誰か男が来るといいね」願いは叶った。退屈はしない。孤独でもない。私の一番大切な人は、きっと私じゃなくて、好きだった男が一緒にいてくれた方がいいのだろうけど。「男来ないね」「好きだった人に『祈ったら』」いいね。そう言っている。気心が知れている。景色を観に行こうよ。そして、雪の向こう側を歩き出した。私よりずっと綺麗な人と。

「蒼い髪に黒いスーツで逝く」

2012-04-05 00:00:01 | リンク
「蒼い髪に黒いスーツで逝く」
最後に泣いてくれたのは嘘だと思う。分かっているから。見送りは要らないよ。高校二年で勉強を選んだのは間違いじゃない。それぐらいは分かっている。
退学してから蒼い髪に黒いスーツで逝く。その年は4年ぐらい。悪くはない。女子高生に「ナンパ」された。女だよと言ったらビックリしていて、写真を撮られた。まあ、男向けの香水をしている。少しだけクールになった気がする。逝く日が近すぎて何とも言えないけど。ナンパされる回数が減ってきた。私は一日の食費は500円らしい。だから、取りあえず煙草代で消えてしまう。バイトでもしないと生きていけなくなった。頭は悪いけど、回転は早い。香水ショップで働くようになった。面接でも何とか入れた。休みの日に黒いスーツを着るようになった。ある程度金は貯まった。あの彼氏だった男は受験シーズンだ。一応、薬を飲んでいる。新薬は髪を蒼くした。2年間延命する。それでいいと、思う。二年間あれば十分楽しめるし。これでようやく栄養補助食品が食える。そうしたら、客で格好いい人が来ると言って、カメラを意識して店で働くようになった。制服で良い香水で高級のからお手柄の物まである。良い香水は私は親に「奢って貰っている」きっと、写真を撮った人も、二年後には違う人を映す。私は店が休みの日だけ薬を貰いに行く。私はきっと、最初に付き合ったのがこの彼氏だった。2年間も付き合った。これ以上は仕方がない。別に煙草代が増税されても、いつもの所で買うから。煙草を吸っていたら、一人の入院患者が声をかけてきた。私と少し年上ぐらいか。中々いい男だ。見た目よりも、誠実そうだ。「いい匂いがするね」それが毎週続く。心は緩んだ。逝く時期は一緒らしい。なら、二人で列車に乗って。「俺はここで逝くよ」「そっか。20才の後半になったら、結婚したいな」「俺は今でもいいよ」そして、薬で性欲がどんどん減ってきている。それなりに楽しめそうだ。病院内だけの夫婦だけ。週一夫婦だけど。彼氏と出会った事を思い出した。最初の彼氏と。18才の夏に結婚した。年齢は28才。話題が噛み合うし、とにかく煙草が吸いたい時は奢ってあげる事にした。蒼い髪はそのまま。たまに切る時だけ切りに行く。黒スーツは結構目立つ事に気づいた。絵だけ上達したらしい。逝ったら見せるよと言って来た。別に興味ないからいいよと言って置いた。「また、会えるかな」「会えるんじゃない」「あの世が楽しみだ」奥さんは別れを選んだらしい。「そっか」別れを選んだ日から、ずっと。こんな相手と結婚をしたかった。私が思いが通じ合える人。笑いあえる人。最初の彼氏と何となく似ている。そして、私の方が先に逝くみたいだ。「香水ショップ」を辞めて、一緒にいる時間が減った。そして、21才の梅雨の日。私は逝った。暗闇に黒いスーツと蒼髪はそのままなんだなと思った。鏡とスーツだけがあった。絵は観る事はないだろう。そして、彼氏が迎えに来てくれた。出来れば最初の彼氏が良かったけど。