「黒いＹシャツと蒼いネクタイ」

「黒いＹシャツと蒼いネクタイ」
私は１７才で学校を辞めた。レールを踏み外す。「平日は」寝たい。しばらくは一人で。髪色は黒い。黒いＹシャツと蒼いネクタイ。それにチノパンで外に行く。蜜柑ジュースを飲んでいると、しばらくは続きそうな男と一緒に暮らしたいが、いつもその場限りの切ない出会いで、彼氏と別れた傷を更に上に重ねる。「何でそんな感じの『格好』なの？」「蒼色が好きでさ。ネクタイの方が合っているし。しばらくは家で寝ているし、用があったらメール頂戴」「分かった」軽くなったものだ。恋人と呼べるのか。ただ安くていい服を買ってくれればいい。家で試してみる。中々似合うと思っている。
暑い日は外に出ない。小説と映画を独りで観ている。どうやって働こうかな。「女優」は奇抜だし。かといって「姫」にはなれそうも無いし。どんな感じで生きて行こう。１７才の夏は涼しい場所で、規則正しく生活をしていた。学校の教科書はほとんど捨てた。生きる予定は何時までで。何才になったら迎えに来るのか正直分からない。だから、今が良ければ、後はいつか何とかと思っている。ならなければ、『割の合わない』仕事でもしようかななんて思っている。やっぱり、まともでは生きるのは難しい。彼氏だけは反対してくれた。「今辞めたら、将来が厳しいぞ」長い間付き合って来たから、一番辛い答えを言った。「私は女だから生きて行くのも苦労しないよ」「まあ、大学は違うから、どの道別れちゃうんだけどさ」いつも、一緒にいすぎて、大切な人と言う感じではなかった。だから、最後の最後で別れられたのだろう。もう会えないと思うと絶望になった。高校ぐらい行くべきだったかもしれない。私は後悔は日に日に強くなる。この格好も彼氏の「パクリ」だ。言い方を悪くすれば「マネした」と言ってもいいだろう。いつもこんな格好をしていたから、このような格好をするようになった。未練たらたらかもしれない。まともな恋はきっとこの先ないだろうから。蒼いネクタイは彼氏からの最後の誕生日プレゼント。「もっといいものがあったのに」「私は君を憧れているからね。服だけ」「君は飽きないな。楽しいと思う事の方が多い」そう言ってくれた事。素直に君といて欲しかった。別れる時。「嘘」をついた。「いい女作ってね」本当は君と離れたくなかった。辞めた気持ちは違うけど。辞めたのは、ただ勉強についていけなかったから。涼しい日に色んな男と会うのは、離れてしまったから。「大切な人」と。２０になった。夜間の大学を目指して勉強する。初めてバイトした。「近くの」たこ焼き屋で。彼氏にたこ焼きを作って貰った事がある。その時の感覚を思い出していた。店なんて潰れてもいいし。ずっとここでバイトをしていた。大学に行ってから付き合おうとする男を見つけようと思った。そして、２４才。入学式を迎えた。一応スーツを買った。真面目にその服を着た。また恋人が出来たら、「ネクタイ」を替える。夏は「いつも」と。違う格好で行くが。憧れはもうないけど。

「蒼い炎と暗闇の十字架」

「蒼い炎と暗闇の十字架」
私はこの刑務所で雇われている人間だ。一族で１７才の少女が色んな国の刑務官で呼ばれるらしい。蒼い炎は愛してしまった人の為に使う。それで寿命は減る。だから、あまり使いたいとは思えなかった。
白い炎が処刑につけられる。刑務所でも政治収容の地域に転勤した。そこで運命を感じさせる男がいた。私は死刑を覚悟で一緒に逃げた。どこか安全な場所まで、一緒に。そして、私は彼氏が病人だと知った。１８才で逝くらしい。悔しいくらい泣いてしまった。私も一緒に逝ったら嬉しい？別に自由になれただけマシだよ。白魔法使いに会いに行こう。そうすれば、これから先も一緒にいられる。そこで、白魔法使いを探していた。後半年しかない。どんどん寒い地方へ向かっていく。世界を滅ぼす力と同等。世界を救う魔法使いだった。今は歴史を替えられない。追ってはやって来なかったようだ。刑務所での給料は医師に観て貰えない。だから魔法に頼った。綺麗な顔がどんどん青白くなる。涙が流れて行く。私はきっと後悔するだろう。黒い十字架を彼氏から貰った。
「向こうで会いに行きたくなったら、会いに行くよ」そう言うようになった。後、もう少しなんだ。どうしても逝くのなら。私はきっと、私の力は無くていい。ただ一緒に生きれば。そして、氷の国。苦しそうだ。せめて、もう一方の魔法使いは今は途絶えたらしい。せめて氷の棺を注文した。高級な宿にとまり、風呂に入っている。綺麗なまま生きられていなかったから。彼氏の命を尊い。蒼い髪な人は珍しい。俺は白魔法の使い手だったけど、もう力が使えないんだ。一人治すたびに一年余分に減る。御免な。最期に治した人が君に似ていてさ。苦しいけど楽しかった。迷惑ばかりかけて御免。
そう言って彼氏は私が涙を流す後で穏やかな顔をして逝った。「黒い十字架」二人共同じだった。一緒の所に逝けると良いね。私はずっとここで泣いていた。ずっと泣いていた。一時の恋の味だと思わなかった。多分生涯に渡り後悔してしまうのだろう。私が他の男と付き合えば。私は安い宿で白魔法を使って、安い宿を転々としていた。蒼い炎を使うなら、私も君のスペアを見つけて使うよ。その代り会えなくなるかもしれないけど。私は髪が蒼くなった。多分、昔聞いた話で、蒼い炎を使えなくなるのがこの髪色になるらしい。愛する人は一人だけでいいのかも知れない。自殺じゃない。ただ会いに逝くだけだ。私は氷の世界で。彼氏に会えるけど、先に先約がいるだろう。だから、ずっと後でいい。これから、ずっと会えなくても。可能性を信じて。そして完全な蒼髪になった。この国の死刑囚を皆殺しにして、ようやく棺代を手に入れた。
とても氷で固めた。それに私用に棺を買って、彼氏の隣で。
彼氏が黒い十字架を道しるべにしてくれた。「今度は離さないよ」一緒にいよう。ずっと。そして、再会のキスをした。何の味もしなかったけど。