アジア映画巡礼

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『PK』ラージクマール・ヒラニ監督来日記者会見(上)

2016-07-28 | インド映画

『PK』のラージクマール・ヒラニ監督が来日し、インド大使館ホールで記者会見が行われました。まず最初のご挨拶は、昨年12月に着任したスジャン・R・チノイ駐日インド大使です。

大使はグジャラート州出身で、アーメダーバードにあるグジャラート大学の修士課程に学んでいた時には大阪の追手門学院大学に留学、またその後外務省に入省してからは、香港中文大学で中国語も学んだという東アジアをよく知る方です。「『PK』を見た私が言います、素晴らしい映画です」と絶賛していらっしゃいました。

今回のパネルは、ちょうど人の頭ぐらいの所にPK(アーミル・カーン)とジャグー(アヌシュカ・シャルマ)の顔を配した公開日が貼り付けてあります。これが、私の席からはなかなか絶妙な位置に写り込み、楽しいです。下の写真も何だか、「大使、マジすか」とでも言っているようなPKですね。

そしていよいよ、ラージクマール・ヒラニ監督が登壇。こちらは、PKとのツーショットが決まります。


まず第一声は、「皆さんこんにちは。日本に来られてとっても嬉しいです。日本に来るのは、実は今回が初めてなんです」と短め。というのが、通訳の野村佳子さん(『チェイス!』でアーミル・カーンが来日した時も通訳を担当)を気遣って、「この辺で切った方がいいよね」とストップして下さったのでした。やさしい~。


「私はインドで映画学校に行ったのですが、そこで映画を通じて、初めて日本と出会いました。私は黒澤明監督のもぉぉぉのすごいファンなんです。多分、全作品見ていると思います。映画学校で見たのは、『七人の侍』『用心棒』『どですかでん』『生きる』...、とにかく見られる作品は全部見ました。彼の作品を通して、私は日本を知ることができたんです」好きな黒澤監督の話になると、熱が入ってついお話も長めに...。


「劇映画を撮る前はCFを作っていたのですが、黒澤監督があまりにも好きだったもので、最初に設立した会社に「デン・フィルム」と名付けたほどです、『どですかでん』の「でん」から取ってね」(笑)


「それ以来25年間ずっと日本に来る機会がなかったのですが、今回初めて来ることができました。今回は、妻と息子も一緒に来たのですが、来る前にアシスタントに、”何か息子がすぐ憶えられる日本語、ありがとうとか簡単な言葉をリストアップして”と頼みました。すると彼女は、”ハローという意味です”と言って、”モシモシ”という言葉を書いてくれたんです」(笑)(なるほど~、”ハロー”間違いをしちゃったわけですね)

「今ではそれは間違っているというのがわかっていますが、日本の空港に着いた時息子はすっかり張り切って、会う人ごとに”モシモシ”と挨拶しました」(爆笑)(カワイイ~~~、私も言われてみたかった)

「あとになって、キョウコ(日活が買ったインド映画のコーディネーター旦匡子さん)が”モシモシは電話を掛ける時に使う言葉よ”と教えてくれたんですが、でも、それまで”モシモシ”と言われた人は全員が笑顔で受けてくれて、本当に礼儀正しい人ばかりでした。ですから私の日本の第一印象は、幸せな笑顔だったんです」


「このような場を設けていただいて、とてもありがたく思います。ここにおいでになるチノイ・インド大使、日活の杉原さん、コーディネーターの旦匡子さん、彼女は私よりもずっとたくさんヒンディー語映画を見ている人なんですが、感謝の気持ちを申し上げたいと思います。それから、日活の皆様、そしてアレンジをしてくれている皆さん、日本人の名前を憶えるのはとても難しくて、通訳さんもヨシさんと憶えているんですが、ジョシやスシと混同してしまったりします(笑)。皆さんに心から感謝しています」


「これから上映される私の映画を楽しんでいただきたいのですが、本作は重要なメッセージが込められている作品でもあります。神や宗教に対する見方を呈示している作品なんですが、私が言いたかったことは、我々人間は神を守る必要はない、神は自らを守ることが出来るのだから、ということです。自分の神が一番だとしてそれに固執し、互いに争うのはやめよう、というメッセージが本作には込められているのです。楽しい娯楽作品なんですが、そういったメッセージをくみ取っていただければ嬉しいです」


けっこう抽象的な内容だったこともあり、通訳さんが説明を加えながら訳したので訳が長くなったため、監督が「しゃべりすぎたかな?」とまたまた会場を沸かせます。「本当に、この場に来て下さってありがとう。映画を楽しんで下さるよう願っています」と監督がしめくくると、会場からは大きな拍手が起こりました。お人柄のよさがにじみ出るような暖かいご挨拶は、すっかり会場のマスコミ関係者を虜にしてしまったようです。

ちょっと記事が長くなるので、あとは明日またあらためて、にしたいと思いますが、最後におまけを一つ。”モシモシ”の息子さんは現在20歳ぐらいで、実は監督のタマゴ。彼、ヴィール・ヒラニさんが作った短編がYouTubeにアップされています。タイトルは『お返し』。ユーモアもあって、絵づくりなどなかなか達者です。

RETURN GIFT - A Short Film By Vir Hirani


 


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