アジア映画巡礼

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『サーホー』ワールドを攻略せよ!<その2>謎の事件が多すぎる!

2020-03-12 | インド映画

またまた『サーホー』の本編映像が追加アップされました。今回は「砂嵐強襲の肉弾戦本編映像」と題されて、後半に出てくるアクションシーンが2分04秒の尺で紹介されています。砂嵐が襲う、口の中がジャリジャリしてくる気がする映像ですが、ここはどこ? プラバースと戦っている相手は誰? プラバースの手になぜ手錠が??? と、疑問ばかり沸いてきますね。一つだけヒントを差し上げると、この場所のキーワードは「開発」です。すでにアップされているオープニング映像をよーく見ていただければ、場所の特定ができるはずです。

『サーホー』砂嵐強襲の肉弾戦本編映像

ですがこのシーンは、映画の流れからいくととてもわかりやすいシーンで、かつこの後に起こる出来事が「スカッと!」の札を押し込みたくなるような種類の出来事のため、カタルシスを味わえる、非常に気分が上がるシーンでもあります。このシーンの後にはプラバースのサービス・シャワーシーンもあるし、少しアクション設計(というか、撮り方?)がタルいのも許せてしまいます。

それに対して、予告編で「大規模な窃盗事件」と説明されている事件は、何度見ても謎ばかり。この窃盗事件に関係する人物は十数人いて、警察が全員捕まえたのに、誰一人として「自分が盗みを働いた」とは思っていない、という変な事件です。玉突き事件というか、いくつかのグループ、あるいは個人に指示が出され、指示書と同時に現金が手に入るようになっていたり、指示書で成功報酬が約束されたり、という形で、何らかの利益が保証されているため、みんな着実に任務を果たしていきます。その任務が、まるで玉突きかドミノ倒しのように連動していって窃盗事件が成功するのですが、仕事を担った個人またはグループは自分たちに指示されたことしか見えていないので、自分が事件の片棒をかついでいるとは夢にも思っていない、というヘンテコな事件なのです。

たとえば、最初に登場した男は背の低い、コロっとしたムスリム(イスラーム教徒)の中年男で、下町の集合住宅に住む彼の一家は、朝起きて朝ドラを見るところから1日が始まります。それが終わらないと、奥さんは朝食を準備してくれないのです。その日も男が「朝からテレビ見て、電気代がかさむぞ」と嘆きながら家の玄関ドアを開けると、矢が飛んできます。その矢に付いた手紙には、「朝ドラが始まったらピストルを1発、ぶっ放せ」。すると、天井からするすると買い物かごが降りてきますが、ビニールの買い物かごの中には何と!ピストルが。手紙には続けて、「言うとおりにしたら、電気代を払ってやる」とあったため、喜んだ男はピストルを握って「バ~ン!」。ところが、それが次の男への指示だったのです。赤いバンに乗った運転手は、乗り込んだとたんメモを見つけます。「ピストルが鳴ったら、この車でバンドラ地区まで移動しろ」続いてサンバイザーから丸めた紙幣束を見つけた運転手は、指示に従えば金が稼げると思い、ピストルの音を聞いたとたん車を飛ばしてバンドラ地区へ一直線....。

とまあ、つぎつぎと連鎖を起こさせて、宝石店の貴金属を根こそぎいただいてしまう事件なのですが、面白いことは面白いものの、ちょっと策に溺れた感があるんですね。この事件の黒幕は、それだけの細かい指示をどうやって出したんだ? こんなの、仲間が相当数いても無理じゃないの? と言いたくなってしまいます。主人公登場の露払いとしては、少々くどい気がしたのですが、その後この黒幕を捜査するため有能な覆面捜査官アショーク(プラバース)が登場し、特別本部が作られ...と大規模な捜査が繰り広げられるためには、これぐらいのこけおどしが必要だったのかも知れません。

実は最初の方でもう一つ謎の事件が起きて、裏社会の男らしき屈強な男が3人殺されます。この事件に関しては、当初から捜査に当たっていたアムリタ(シュラッダー・カプール)とアショークとが知恵を競い合って解いていくのですが、脚本も担当したスジート監督、こういう知恵比べがとってもお好きのようで、凝り性の監督という感じです。さらに、すでにアップされている本編映像のうち、”推理シーン”と名付けられたシーンがあるのですが、ここは最初の宝石店窃盗事件の黒幕を見つけようとするシーンで、ここも相当注意深く画面を見ていないとよくわかりません。おまけに、その監視カメラ映像分析に、アショークとアムリタのサッカーゲームが重なるので、よけいにわかりにくいのです。それでツインさんが、前もってじっくり見られるようにアップして下さったのかも知れません。監視カメラ映像をスチルにして止めて、よーく見てみて下さいね。

【独占公開】“バーフバリ” プラバースの主演インド映画「サーホー」 “推理シーン”が独占公開

というわけで『サーホー』、やはり二度、三度と見ないと、細部まで理解できないかも知れません。我々がゆっくり楽しめるよう、3月27日(金)の公開日には安心して映画が見られる環境になっているといいですね。公式サイトはこちらです。

 


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