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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

週一『SANJU/サンジュ』<最終回>:劇場で見てきました!

2019-06-28 | インド映画

公開期間が1週間延長された『SANJU/サンジュ』@新宿武蔵野館。本日、6月28日(金)までなので、最終日前日に見に行ってきました。館内は6~7割の入り。時折笑い声があがり、とても反応のいいお客様と一緒に、大きなスクリーンで日本語字幕付きの画面を楽しんできました。


この作品に関しては、これまでもこのブログでいろいろ書いてきました(「週一『SANJU/サンジュ』<1>ラージクマール・ヒラニ監督とサンジャイ・ダット、<2>サンジュ=サンジャイ・ダットって誰?、<3>もう一人の主役・父スニール・ダット、<4>サンジュの母ナルギスはインド版原節子、<5>ダット家とカプール家の因と縁、<6>「寝た女は350人」(byサンジュ)に含まれるのはだれ?、<7>魅力的なキャストについて、<8>スタッフ情報/いよいよ明日公開です!)し、先日は「BANGER!!!」のサイトにも掲載してもらいました。でも、また作品を見てみると、書きたいことがむらむらと。ラージクマール・ヒラニ監督作品はいつもそうで、ながーく楽しめるのです。

 

©Copyright RH Films LLP, 2018

特に気になったのが、中で引用されているインド映画の懐メロの数々。元ネタをちょっと付けておきたいと思います。

①サンジュのデビュー作『Rocky(ロッキー)』(1981)の歌「Kyaa Yahi Pyaar Hai」

最初の方で、父スニール・ダットが監督し、サンジュが主演する『Rocky』の撮影シーンで使われます。あまりにもサンジュの演技がダメダメなので、父やカメラマン、雑用係などが協力して、女優の写真を見せたり(1975年の『炎』のヒロイン、ヴァサンティー=ヘーマ・マーリニーの写真を見せるのですが、手元が狂って途中から同作の悪役ガッバル・シン=アムジャド・カーンの写真になってしまいます...)して、やっと無事に撮影が終わります。実際のシーンはこちら。相手役は、<6>にも名前を出したティナー・ムニームです。

- Kya Yahi Pyar Hai-Rocky Love Song [HD] (1981).flv

♫Kyaa yahi pyaar hai(キャー・ヤヒー・ピャール・ハィ/これこそが愛なのか)、Haan yahi pyaar hai(ハーン・ヤヒー・ピャール・ハィ/その通り、これこそが愛なのだ)、 Ho dil tere bin kahin lagataa nahin(ホー・ディル・テーレー・ビン・カヒーン・ラグター・ナヒーン/おお、心は君がいないとどこにも向いていかない)、 Vakt guzarataa nahin(ワクト・グザルター・ナヒーン/時は過ぎていかない)♫


©Copyright RH Films LLP, 2018

②父が「師」と仰ぐ歌<1>『Imtihaan(試練)』(1974)の歌「Ruk jana nahin tu kahin haar ke」

開始1時間ぐらいのところで、ドラッグに溺れたサンジュが、送りこまれたアメリカの施設から脱走するシーンがあります。ボロボロになってニューヨークのヴィッキーの所に辿り着き、そこで父と遭遇したサンジュは、母の入院中に録音された両親の会話を聞かされます。その中で母は楽しげに映画音楽の話をし、父が昔勤務していたラジオ・セイロンのライブラリーにあった曲の中から、勇気を与えてくれる曲を「師(ウスタード)」として崇めていたことを思い出させます。その最初に出てきた曲が、上記の曲でした。作詞はマジュルーフ・スルターンプリー。著名なウルドゥ詩人で、1960~80年代に多くのヒンディー語映画音楽に彼の作詞が提供されました。

RUK JANA NAHIN TU KAHIN HAAR KE KANTON PE (The Great Kishore Kumar) Laxmikant Pyarelal.flv

♫Ruk jana nahin tu kahin haar ke(ルク・ジャーナー・ナヒーン・カヒーン・ハール・ケー/立ち止まるんじゃない、何かに負けたままで)、Kaanton pe chalke(茨の道を歩いてこそ)、Milenge saaye bahaar ke(手に入るのだ、春のぬくもりの陰は)♫


©Copyright RH Films LLP, 2018

③父が「師」と仰ぐ歌<2>『Humraaz(秘密を共有する人=仲間)』(1967)の歌「Na munh chhupa ke jiyo」

開始2時間になろうかというところで、父スニール・ダットがサンジュに、母との結婚時に起きた事件を語って聞かせるシーンがあります。当時のボンベイ・マフィアの総元締め、ハジ・マスターンがスニール・ダットに対し「ナルギスはムスリムの誇りだ。ナルギスと結婚する異教徒など許さん。殺してしまえ」と言ったというのです。父はハジ・マスターンに電話して逢い、「愛することが罪なら撃ち殺せばいい」と言ったそうなのですが、その時勇気をくれたのが上記の歌なのでした。作詞はサーヒル・ルディヤーナヴィー。この人も高名なウルドゥ詩人で、詩集もたくさん出ています。映画音楽の作詞も膨大な数にのぼり、この間インドに行った時も、ファンだった出版社社長から延々彼の素晴らしさを聞かされたのでした。これは『Humraaz(ハムラーズ)』で出演者の1人スニール・ダットが歌う歌で、舞台の踊り子ではヘレンの姿が見えます。

HUMRAAZ (1967) na moonh chhupa ke jiyo aur na sar jhuka ke jiyo Mahendra Ravi Sahir

♫Na munh chhupa ke jiyo(ナー・ムンハ・チュパー・ケー・ジヨー/顔を隠して生きていくな)、Aur na sar jhuka ke jiyo(アウル・ナー・サル・ジュカー・ケー・ジヨー/そして、頭を垂れて生きていくな)、Gamon ka daur bhi aaye to(ガモーン・カー・ダゥル・ビー・アーエー・トー/悲しい時がやってきても)、Muskra ke jiyo(ムスクラー・ケー・ジヨー/笑って生きていこう)♫


©Copyright RH Films LLP, 2018

④父が「師」と仰ぐ歌<3>『Haathi Mere Saathi(象は僕の友達)』(1971)の歌「Duniya mein rahana hai to」

上記のシーンの少し後、仕事に対する態度が不真面目なサンジュに父が「師匠No.2の歌を紹介しないといかんな」と言ってヘビロテで聞かせるよう運転手に命じる歌。1971年の大ヒット映画で、ラージェーシュ・カンナー(トゥインクル・カンナーの父)とタヌージャー(カージョルの母)が主演した『Haathi Mere Saathi(象は僕の友達)』で象の演技シーンに流れた歌ですが、この歌よりも「Chal chal chal mere hathi, o mere sathi(行け行け行け僕の象、僕の友達)」が大ヒットしました。しかし、「俺は芸をする象かよ」とサンジュはくさったことでしょうね。作詞はアーナンド・バクシーで、この人も1970~90年代、いっぱい映画音楽の作詞をした人です。アーナンド・バクシーの名前は、このあと「第3の師匠」として父の口から出て来ます。

Duniya Mein Rehna Hai Toh (Video Song) | Haathi Mere Saathi | Rajesh Khanna & Tanuja

♫Duniya mein rahana hai to(ドゥニヤー・メーン・ラフナー・ハィ・トー/この世で生きていくためには)、Kaam karo pyaare(カーム・カロー・ピャーレー/仕事をしろ、愛しい者よ)♫


©Copyright RH Films LLP, 2018

⑤父が「師」と仰ぐ歌<4>『Amar Prem(不滅の愛)』(1972)より「Kuchh to log kahenge」

ウィニーが書くサンジャイ・ダット伝記本のタイトルになった歌です。ピッタリだなあ、と思ったのですが、このあたりはヒラニ監督の創作でしょうか。ホントにヒラニ監督と共同脚本のアビジャート・ジョーシーは懐メロをよく知っていて、どの映画でも縦横無尽に使い回しています。

Kuch Toh Log Kahenge Logon Ka Kaam Hai Kahana | Amar Prem | Rajesh Khanna, Sharmila Tagore

♫Kuchh to log kahenge(クチュ・トー・ローグ・カヘーンゲー/人は何かと言うものさ)、Logon ka kaam hai kehnaa(人々の仕事なんだよ、あれこれ言うのは)♫


©Copyright RH Films LLP, 2018

⑥カムリーの友情に対して流れる歌:『Yaarana(友情)』の「Tere Jaisa Yaar Kahan(お前のような友はどこに)」

アミターブ・バッチャンのヒット映画からです。画像があまりよくないのですが、こちらです。

Tere Jaisa Yaar Kahan | Kishore Kumar | Yaarana 1981 Songs | Amitabh Bachchan

♫Tere jaisa yaar kahan(テーレー・ジャイサー・ヤール・カハーン/お前のような友はどこに)、Kahan aisa yaarana(カハーン・アイサー・ヤーラーナー/どこにこんな友情が)、Yaad karegi duniya(ヤード・カレーギー・ドゥニヤー/覚えているだろう、世間は)、Tera mera afsana(テーラー・メーラー・アフサーナー/お前と俺の物語を)♫

♫  ♫  ♫  ♫  ♫  ♫  ♫

というわけで、『SANJU/サンジュ』をご覧になったら、パンフレット代わりにこのサイトをご訪問下さい。そして、次のツインさん配給作品、8月16日(金)公開の『KESARI/ケサリ』と10月18日(金)公開の『ガリーボーイ』を楽しみにしていて下さいね。今年の2、3月にインドで公開されたばかりの作品です!

 



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