アジア映画巡礼

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『きっと、またあえる』のコレに注目!<3>主演カップル初顔合わせ

2020-04-11 | インド映画

いつあえるかな~の『きっと、またあえる』ですが、出演者がとっても魅力的なので、徐々にご紹介していきましょう。今日は主演カップルのアニことアニルッド(スシャント・シン・ラージプート)とマヤ(シュラッダー・カプール)という、初顔合わせのお二人です。

アニ役のスシャント・シン・ラージプートは、1986年1月21日生まれの34歳。『きっと、うまくいく』のラージクマール・ヒラニ監督作品、『PK/ピーケイ』(2014)でお馴染みですね。冒頭でヒロインのジャグー(アヌシュカー・シャルマー)とベルギーのブルージュで出会い、結婚式当日のすれ違いで別れざるを得なかったパキスタン人青年をさわやかに演じていました。冒頭だけの出演かと思っていたら、最後にも登場して観客をボロ泣きさせるという、主人公のPK(アーミル・カーン)よりも印象に残ると言っては言いすぎですが、もうけ役でした。ちゃんとソング&ダンスシーンまで用意されていたので、ラージクマール・ヒラニ監督、よほど彼が気に入ったのだと思います。その歌のシーンをどうぞ。

'Chaar Kadam' FULL VIDEO Song | PK | Sushant Singh Rajput | Anushka Sharma | T-series

『PK/ピーケイ』は2016年10月に日本公開され、日本版ソフトも出ていますので、公開前に予習したい方はぜひご覧になっておいて下さい。しかし、2013年の大阪アジアン映画祭をご覧になった方は、「スシャント・シン・ラージプートの紹介は、こっちの方が早いもんね」とおっしゃるかも知れません。そう、この第8回大阪アジアン映画祭で上映された『わが人生3つの失敗』(2013)こそが、彼の日本初お目見えだったのです、というか、この作品がスシャント・シン・ラージプートのデビュー作だったのでした。『わが人生3つの失敗』は人気作家チェータン・バガトの小説の映画化で、邦題は英語タイトルから訳したため、小説の題名と同じになっています。映画の原題は「Kai Po Che!」と言い、凧揚げの時相手の凧と闘って、「凧の糸切れた!」と叫ぶグジャラーティー語の言葉なのだとか。このデビュー作でスシャント・シン・ラージプートは人気者になり、翌年の『PK/ピーケイ』、2016年の『M.S.ドーニー~語られざる物語~』(日本ではIFFJ2017で上映)も大ヒット、次々と主演作を世に出し続けている、というわけなのでした。

Kai Poche film poster.jpg M.S. Dhoni - The Untold Story poster.jpg

『きっと、またあえる』では老け役も体験し、今後ますます演技の幅が広がりそうです。Netflixでは、ジャクリーン・フェルナンデスと共演した『DRIVE ドライヴ』(2019)が見られますので、予習候補リストに入れておいて下さい。

一方、ヒロインのマヤ(音引きを付けると「マーヤー」。のちのお釈迦様、ゴータマ・シッダールタの母の名前と同じですね。ヒンディー語では「神通力、幻」というような意味もあります)を演じるシュラッダー・カプールは、1987年3月3日生まれの33歳。超大作『サーホー』(2019)でプラバースの相手役を務め、今や「最高に稼げる俳優の一人となったシュラッダー・カプールが興行収入ランクを席巻!」という記事まで出るほどの人気者です。この記事では、今年公開された『Baaghi 3(反逆者3)』と『Street Dancer 3D(ストリート・ダンサー3D)』が彼女の魅力でヒットしたと述べ、『きっと、またあえる』や『サーホー』のヒット実績にも言及しながら、シュラッダー・カプールが役柄を魅力的に演じて観客や批評家を魅了し、興行成績も押し上げた、と褒めちぎっています。確かに、独身女優ではカトリーナ・カイフやジャクリーン・フェルナンデスがいまひとつ魅力的なヒロイン像を表出できていない現在、シュラッダー・カプールの活躍は目立ちます。

Photo by R.T. Chawla

シュラッダー・カプールは父親シャクティ・カプールが俳優で、母親シヴァーンギー・カプール(旧姓コールハープリー)もかつて女優、そして母方の叔母はパドミニー・コールハープリーという1980年代の人気女優、という家に育ちました。上の写真は写真を撮ったカメラマンの説明によると、「シャクティ・カプール一家」とのことで、右からシャクティ・カプール、妻のシヴァーンギー、娘のシュラッダー、撮影時期は1990年代末です(左端の女性は不明)。シャクティ・カプールは、1980年代までは悪役専門、その後コメディ俳優に転じて、ゴーヴィンダー主演作などで人気を博した人です。この頃は絶頂期で、ご家族と共にどこかのパーティーに出席した時の写真のようです。

シュラッダー・カプールは2010年にアミターブ・バッチャン主演の『Teen Patti(3枚のトランプ)』でデビューしますが、人気がブレイクしたのは2013年の『愛するがゆえに』(上写真。公開時にいただいた画像を使わせていただきました)でした。アメリカ映画『スター誕生』をインドに置き換えてインドでもヒットした『愛するがゆえに』は、2015年8月に日本公開され、日本版DVDも出ているのですが、ちょっとアマゾン沼でも見当たりませんね。権利が切れたのかも知れません。その後は、シャーヒド・カプールの相手役で「ハムレット」を映画化した『Haider(ハイダル)』(2014)、ヴァルン・ダワンの相手役で見事なダンスを披露した『ABCD 2(誰でも踊れる 2)』(2015)、タイガー・シュロフの相手役を務めた『Baaghi(反逆者)』など、次々と話題作、ヒット作に出演して行きます。その後はちょっとパワーが落ちますが、昨年から今年に掛けて大ヒット作を連発し、前述のような押しも押されぬ人気女優No.1になっている、という次第です。

『きっと、またあえる』は、やはり男子寮のエピソードが中心なので、シュラッダー・カプールの実力が十分発揮されているとは言いがたいのですが、スシャント・シン・ラージプートとの共演は初めてなのでとても新鮮。ハレー彗星に巡り会うぐらいの確率でしか理系大学には存在しないという、美人リケジョはもっと活躍してくれてもよかったと思うのですけどねえ、ニテーシュ・ティワーリー監督。奥様のアシュヴィニー・アイヤル・ティワーリー監督(『ニュー・クラスメイト』(2016)や『Panga(対戦)』(2020)など、フェミニズム作品を撮っている)に叱られませんでしたか? 冗談はさておき、シュラッダー・カプールの魅力を予告編で再度確認して、会える日を楽しみにお待ち下さい。

『きっと、またあえる』 予告編

 


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