毎年10月に開催される東京国際映画祭(TIFF)ですが、昨年から、国際交流基金アジアセンターとの共催で、「クロスカットアジア」という特集上映が始まりました。正確なタイトルは、 「国際交流基金アジアセンターpresents CROSSCUT ASIA」と言い、昨年の第1回は「魅惑のタイ」というタイトルのもと、タイ映画『稲の歌』『先生の日記』など8本が上映されました。下のようなミニパンフレットも配られ、タイ映画にあらためて関心が集まりました。
そして今日、本年の第28回TIFFではフィリピン特集に決定、というニュースが配信されてきました。ニュースリリースをコピペして付けておきます。
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昨年大好評だったタイ特集に続く第2弾は、豊かな映画史を誇るとともに、今まさに「第3期黄金時代」に突入したと世界的に評されるフィリピン映画の世界を特集することが決定いたしました!
今回は、最新作『TAKLUB』が現在開催中の第68回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品されているフィリピンの若き巨匠、ブリランテ・メンドーサ監督(『囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件』、カンヌ国際映画祭監督賞受賞『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』)を特集する他、フィリピン映画の今を感じる注目のラインナップの予定です。
<ブリランテ・メンドーサ監督プロフィール>
ブリランテ・メンドーサ監督は、フィリピンのインディペンデント映画界における至宝であり、最も重要なフィリピン映画製作者の一人。様々な映画やTVコマーシャルのプロダクション・デザイナーとしてキャリアをスタートし、2005年、インディペンデント映画プロダクション「センター・ステージ・プロダクションズ」を自ら設立し、フィリピン映画の再興に貢献。監督デビュー作『Masahista (The Masseur)』は05年ロカルノ国際映画祭ビデオ部門で金豹賞を受賞し、フィリピン映画の新たな潮流を生み出した。母国のストーリーを世界に発信し続ける彼は、フィリピン人監督として初めて三大映画祭全てのコンペティションに出品され、受賞を果たしている。近年では、フランス政府より芸術文化勲章を授与。フィリピン人監督としては初めて、巨匠ベルナルド・ベルトルッチやダリオ・アルジェントと並ぶ栄誉を授かった。最新作『TAKLUB』は現在開催中の第68回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品されている。
<主な監督作品>
『Tirador(Slingshot)』(07年ベルリン国際映画祭カリガリ賞受賞)
『Serbis(Service)』(08年カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品)
『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』(09年カンヌ国際映画祭監督賞受賞)
『Lola』(09年ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門出品)
『囚われ人パラワン島観光客21人誘拐事件』(12年ベルリン国際映画祭出品)
『Thy Womb』(12年ヴェネツィア国際映画祭the La Navicella Venezia Cinema Award受賞)
<ブリランテ・メンドーサ監督からのコメント>
「今回の東京国際映画祭で私の映画やフィリピンの映画が上映され、映画祭の一部となることを大変嬉しく思っています。皆さん、どうかご覧になってください。東京国際映画祭はフィリピン映画だけではなく、私達が普段映画館で観られないような趣向の変わった類いの映画を観ることができる最高のチャンスです。東京国際映画祭をみんなで応援しましょう。」
<フィリピン映画第3黄金期とは>
フィリピン映画の長い歴史で、最初の黄金時代は第2次世界大戦後の1950年代に到来した。大手映画会社がスターシステムで娯楽映画を量産する一方、巨匠監督たちも活躍した。60年代の停滞期を経たのち、70~80年代に第2期黄金時代を迎え、抵抗精神を秘めた硬派の傑作群が生まれた。リノ・ブロッカ、イシュマエル・ベルナールなどの監督で、”アジア・インディペンデント映画の父”と称されるキドラット・タヒミック(『悪夢の香り』)のように映画産業とは無縁のインディーズ作家も登場した。そして、21世紀のデジタル時代は若いインディペンデント作家たちが続々と台頭し、インディーズの祭典であるシネマラヤ映画祭などを通じて世界的に注目されている。『囚われ人』のブリランテ・メンドーサ、『昔のはじまり』のラヴ・ディアスはカンヌなど国際映画祭の常連となっている。メンドーサがデビューした2005年あたりから現在に至るまで、フィリピン映画の第3期黄金時代が続いている。
■第28回東京国際映画祭
■開催期間:10月22日(木)~10月31日(土)
■会場:六本木ヒルズ(港区)ほか
■オフィシャルHP:http://www.tiff-jp.net
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タイの次はフィリピンと、映画製作に勢いのある国が選ばれていますね。だとすると、来年はインドネシアかな? それはさておき、ブリランテ・メンドーサ監督の作品に関して、cinetamaからちょっと補足を。
『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』(09年カンヌ国際映画祭監督賞受賞)~日本版DVDが発売されています。
『Lola』(09年ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門出品)~2010年のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で『ばあさん』というタイトルで上映済み。この邦題は気に入らない(笑)のですが、映画はとっても気に入っているので、ぜひTIFFでも上映してほしい作品です。
『囚われ人パラワン島観光客21人誘拐事件』(12年ベルリン国際映画祭出品)~日本でも一般公開され、DVDも発売されています。
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囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件 [DVD] |
下の写真は、2014年3月の香港国際映画祭(HKIFF)でのブリランテ・メンドーサ監督。この時のHKIFFではイザベル・ユペールの特集が組まれ、その記者発表がペニンシュラ・ホテルであった時に姿を現したものです。『囚われ人』での出演体験がモノを言って、イザベルはメンドーサ監督にべったり。厳浩(イム・ホー)、陳果(フルーツ・チャン)ら並み居る香港の大監督を悔しがらせました。右奥は、『イロイロ ぬくもりの記憶』(2013)のアンソニー・チェン監督です。
『Thy Womb』(12年ヴェネツィア国際映画祭the La Navicella Venezia Cinema Award受賞)~2013年の香港国際映画祭で見た時に、拙ブログのこちらでご紹介してあります。スチールもありますので、ご参考にどうぞ。
フィリピンはメンドーサ監督作品のほかにも、昨年こちらでご紹介した『牢獄処刑人』(2013)のように、面白い作品がいっぱい生まれているようです。私の情報源はもっぱらよしだまさしさんのブログ「大丈夫日記」で、最近も『HALIK SA HANGIN』という一風変わった映画の紹介を読みながら、あれこれ想像したりしました。今回のTIFFの特集、メンドーサ監督作品以外にどんな映画が上映されるのか、楽しみですね~。
メンドーサ監督の作品の他に何が上映されるのかはまだ分かりませんが、フィリピン映画はインディペンデント映画だけじゃない、シネマラヤ映画祭から出てくる映画だけじゃないっていう内容の特集になってくれるといいですね。
「フィリピン映画の今を感じる注目のラインナップ」、いったいどういうラインナップになるのか楽しみです。
そうです、まさに、よしださんを狙い撃ち! ゲストもいっぱい来ると思いますので、サインをもらうのに忙しくなりますよ~(笑)。
余談ながら、私も「咳が止まらない風邪」にかかってしまい、病院に再度行って強い薬を出してもらって、やっと昨日から楽になりました。
咳で寝られない夜が6日間続きましたが、あれはまさに拷問ですねー。
お互い、体には気をつけましょう~。
咳は峠を越えましたが、それでもいまだにノドがむずむずして咳き込んだりしています。今回の咳、やたらとしつこいですね。
で、その後も『SISTERAKAS』『DA POSSESSED』とフィリピン映画を観ているのですが、ニフティ側のトラブルでホームページを更新できなくなっております。とりあえずフェイスブックに感想をアップしてありますが、早くニフティにも回復してもらわないと。
よしださんがフィリピン人ゲストにサインをおもらいになる時の殺し文句は、「くーっ、こういうの一度言ってみたい!」というのばかり。
ゲストの方も、「えー、あなたあんな映画見てるの!?」というわけで、毎回うらやましくブログを拝見しています。
ブログ復活の早からんことを祈りつつ。