インド映画の連続講座を開催中のスペース・アーナンディで、ちょっと変わった講座をやります。
スペース・アーナンディ/インド映画特別講座
「インド映画の字幕翻訳を手がける人のために」
スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、今回はそれとは別に、字幕翻訳者の方に向けての特別講座を企画してみました。インド映画の字幕翻訳は、現在、ヒンディー語から直接字幕を作成できる藤井美佳さんが活躍中で、他にも松岡環や何人かの人がヒンディー語やベンガル語から直接字幕翻訳を行っています。ですが残念ながら、ちゃんと字幕制作講座等でスキルを学び、経験を積んだプロの字幕翻訳者と言えるのは、藤井美佳さんだけです。
そのため、ヒンディー語などインドの言葉はわからないけれど、プロの字幕翻訳者として活躍中の方が、英語字幕台本をもとにインド映画の字幕を担当なさることもよくあります。その場合、使われている言語がわかる人が監修(字幕をチェックして、表記や内容の間違いを指摘する)を担当すれば問題はないのですが、英語字幕台本を訳しておしまい、というケースも非常に多く見られます。ですので、Netflixには「アチャー!」の字幕がいっぱいです(『ハッピーニューイヤー』で「マノハ窃盗事件」とあるので「?」と思っていると、「マノーハル(Manohar)窃盗事件」でした)。これをどうにかして、「アッチャ-(よい)!」の字幕に変えたい、というのが私の願いです。
インドにはどんな言葉があるのか、それが英語字幕になるとどうなるのか、日本語字幕を作る時、どんなことに気をつければいいのか、固有名詞表記は何を参考にすればいいのか....。今回の講座は、インドの言語とインド映画について知っていただいて、英語から字幕を作る字幕翻訳者の方に参考にしていただこう、というのが目的です。日頃疑問に思っていらっしゃることなどにもお答えしながら、お話を進めていきます。
日時:2019年10月19日(土) 15:00~17:30
場所:スペース・アーナンディ
(東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
定員:20名
参加資格:字幕翻訳の経験者、または字幕制作講座等修了者
講座料:¥3,000(含む資料&テキスト代)
講師:松岡 環(まつおか たまき)
ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図(Google Mapより正確!)をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡環)
[講師紹介]
1949年兵庫県生まれ。大阪外大(現大阪大)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『パッドマン 5億人の女性を救った男』等、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。
私がこれまでに字幕を手がけたインド映画は、劇映画だけだと50数本というところなのですが、私自身、誤訳もいくつかやっています。中には確信犯的誤訳もあるのですが(『きっと、うまくいく』の目立つところでやっています。気がつかれた方、いらっしゃいますか?)、ものを知らなかったばっかりに誤訳していた、という20年前の仕事もあり、そんなお話もしながら、誤訳をなくすためにはどうやって調べればいいのか、参考文献として役立つものは何か、というような資料もお配りする予定です。字幕の専門用語もいっぱい使うのと、今回のお話を実際に役立てていただきたいために、受講なさる方に条件をつけましたが、その点、悪しからずご了承いただければ幸いです。
インド映画を結構見ておられるであろう映画評論家の方が、「ヒンドゥー語」と書いたりなさるのを見ると、まだまだ「インドの言語は『ヒンディー語』、宗教が『ヒンドゥー教』、『ヒンドゥー語』というのは存在しません!」と声高に唱えないといけないんだなあ、日本では、と思ってしまいます。正確な字幕が定着すれば、それも少しは解消するはず。字幕翻訳者の皆様、その道を歩もうとなさっている方々、ぜひ一度、インド映画の言語世界を知ってみて下さい。
日本の某航空会社の機内上映でも相当に酷いのがありました。
「マニパー」は仕方ないとしても、
「ジャイパー」はいかがなものかと思いました。
「マニパー」は「マニプル」ですので、知らない人もいると思います。
しかし「ジャイパー」は「ジャイプル」ですので、
ジャイプルも知らない人が訳しているのか・・・。
とガッカリしたのでした。
あとはヒンディー語を知らないと解らない複数形の女性名詞「チュリア」(単数形チュリ)などを、
そのまま書いてある事もあります。
せめてヒンディー語が解る人にチェックしてもらってから、
公開してほしいと思っています。
ううむ、「Manipur→マニパー」「Jaipur→ジャイパー」ですか...。
英語字幕台本でも固有名詞は大文字で書いてあるはずなので、日本語のサイトでこのローマナイズ綴りと「インド」とかのキーワードを入れれば、すぐにカタカナ書きが出てくるでしょうに。
とはいえ、「ジャイプール」になっているかも知れませんけど、それでもまだマシですよね。
こうしてみると、「困ったちゃん」表記が山と出てくるような気がします。
字幕翻訳を担当なさっている方が、「これではイカン!」と思って下さるといいのですが。
安宅さんはいつもインド映画講座に来てくださっていますし、実際にインド関係の字幕翻訳もなさっているので、もうかなり知識も、そしてそれを手に入れる方法もストックなさっていることと思います。
もし、こういうことを調べるためにはどうしたらいいのか教えてほしい、というようなことがおありでしたら、事前に言っていただければテキストに組み込んでおきます。
スペース・アーナンディにお申し込みの時に言っていただければ私に伝わりますので、よろしくお願い致します。