まだまだ大学関係の仕事が終わらないのですが、気分転換に思い切って『DON 2』を見てみました。香港の某所から1月半ばには届いていたのに、なかなか3時間を確保することができなかったのです。結論から先に言うと、予想していたよりも面白かったです!
『DON 2』は、前作『DON~過去を消された男』 (2006)よりもさらに世界をまたにかけた作品になっています。ロケ地別にして、物語を追ってみましょう。
<フランス/リヴィエラ>ヨーロッパのボスたちが集まり、ヨーロッパに進出してきたDON(シャー・ルク・カーン)を消す相談をする。
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<タイ>前作から5年、DONはタイに在住。取引に出かけていくが、殺されそうになる。(ここでタイ映画『トム・ヤム・クン!』 (2005)の真似っこネタが使われていて思わずニヤリ)
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<マレーシア/KL>マリク警視(オーム・プリー)と今は彼の部下であるロマ(プリヤンカー・チョープラー)の前にDONが現れ、自首する。DONはワルダーン(ボーマン・イーラーニー)のいる刑務所に収容されるが、ワルダーンを伴って脱獄。
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<スイス/チューリッヒ>ワルダーンを使い、DONは保管金庫からあるテープをゲット。そこには、ユーロ紙幣を発行しているDZB(ドイツ中央銀行)の副総裁、インド人ディーワーン(アリー・カーン)の後ろ暗い過去が写っていた。
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<ドイツ/ベルリン>テープでディーワーンを脅し、彼から引き出した情報を元に、DONはDZBが保管しているユーロ紙幣の印刷原版を盗むべく大規模な銀行襲撃計画を立てる。愛人のアーイシャー(ラーラー・ダッター)のほか、天才ハッカー(クナール・カプール)やディーワーンの雇った殺し屋(ナワーブ・シャー)も仲間に引き入れて、DONの計画が実行に移されていく....。
今回は最後のベルリンが主舞台で、インターバル以降のかなりの部分がDZBの銀行シーンとなります。とても緻密な計画になっているため、それはそれで手に汗握らされるのですが、裏を返すととインド映画らしい大味な面白さがなくなっている、とも言えます。ロマの感情を翻弄するDONのシーンが、ちょっとした救いでした。ま、でも、「ユーロは暴落してるから、そんなの盗んでも紙屑だよ~」とかツッコんだりしながら(笑)、十二分にストーリーを楽しめたので、75点はあげられます。
最後のどんでん返しは、今回も健在でした。ただ、前作のどんでん返しの衝撃がメガバイト級だとすると、今回はキロバイト程度。前作は、オリジナルの『ドン』 (1978)に乗っかれたからこその成功だったのだ、とあらためて思いました。あと、もう1、2曲、ソング&ダンス・シーンがほしかったなあ。コミカルなシャー・ルク・カーンも見たかったですしねー。まああれこれ不満もありますが、ファルハーン・アクタル監督の才能のキレには、あらためて感心した次第です。
前にもご紹介しましたが、予告編はこちら。ファルハーン・アクタル監督の顔を知りたい方は、昨年の第8回ラテンビート映画祭で上映された『人生は一度だけ』 (2011)の予告編をどうぞ。アバイ・デオル、リティク・ローシャンと共に活き活きと主役の1人を演じています。
この『人生は一度だけ』、私はファルハーン・アクタルと父親役ナスィールッディーン・シャーのシーン以外はあまり気に入らなかったのですが、今年の「フィルムフェア」誌賞では作品賞、監督賞(ゾーヤー・アクタル=ファルハーン・アクタルの双子の姉妹)、助演男優賞(ファルハーン・アクタル)、そして批評家の選ぶ作品賞までも獲得しています。さらに、香港で3月末に開催されるAsian Film Awardsでも作品賞にノミネート。これって、そんなにいい映画だったかしらん??
「フィルムフェア」誌賞の一覧をご覧になりたい方はこちら。受賞者の顔をご覧になりたい方はこちら。そうそう、『DON 2』もアクション賞を受賞しています。インドの映画賞の結果は、昨年と同じように、いくつか一緒にまとめてご紹介しますね。
おっと忘れるとこだった、『DON 2』は2月9日から開催される第62回ベルリン国際映画祭でも上映されます。シャー・ルク・カーン、プリヤンカー・チョープラーらがゲストとして登壇するそうで、上映は2月11日(土)9:30pmから。会いたい方はベルリン国際映画祭に参加しましょう。『DON 2』はその後、ドイツ語吹き替え版になって公開されるそうです。いいな~、ドイツ。
DONなもんだか早く観たいです~
前作よりもどんでん返し力が低下したそうですが、それもまた楽しみです。
『普通に生きる』はやっと明日見に行けそうです(今日でレポート採点が終わる予定。あくまでも予定...)。朝10:30@ポレポレ東中野は寝坊助の私にはちょびっとつらいけど、とても見たいのでがんばるぞ。予告編を見ただけでもじわ~ときてしまうので、大判ハンカチ用意して行きますね。